真恋姫†夢想 弓史に一生 第七章 第四話 
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〜聖side〜

 

 

 

「我が名は関羽。御力を測らせて頂くゆえ、全力で参る!!!」

 

「よ〜しっ!!! 全力で行くからね、聖兄ちゃん。」

 

「…………どうしてこうなった……。」

 

 

 

陣から少し離れた荒野にて、対峙する二人の少女と一人の青年。

 

 

 

「愛紗ちゃん、鈴々ちゃん、聖さんも頑張れ〜!!!!!」

 

「聖さんって……どれくらい強いのかな……朱里ちゃん……。」

 

「さぁ〜……。でも、鬼の化身って言われるくらいだから、相当強いはずだよ。そうだよね、麗紗ちゃん。」

 

「お……お兄ちゃんは……すっごく強いよ……。すっごく……。」

 

「ふふ〜ん。そん所そこらの相手になんか先生は負けないのですよ、朱里。」

 

「あんちゃ〜〜ん!!!! きばってね〜!!!!!!!」

 

「聖〜!!! 頑張れよ〜!!!!」

 

「………………頑張って……。」

 

「お頭の力、見せ付けちゃってくだせぇ〜!!!!!!」

 

 

 

 

 

そこから少し離れた安全なところでは、両軍の全武将が戦いが始まるのを今か今かと待っている。

 

 

 

 

太陽は既に天高く上りつつあり、南中するのも時間の問題だと思われる。

 

そんな太陽に照らされながら、先程までの経緯を思い返す。

 

果たして、俺は何処でルートを間違えたのか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「それじゃあ、話の続きをしようか。」

 

「ですね。」

 

「まずは、お互いに持っている情報を交換といきたいんだが……。」

 

「分かりました。私たちが得ている情報は、黄巾賊の主力部隊は鉅鹿に存在し、首領の名前は張角。賊の兵数は日に日に増加しているため、正確な数は分かりませんが、物見の報告によると約3万。先日官軍が兵2万で討伐に出ましたが、あっさりと敗北……それが原因で今回の討伐命令が各諸侯に下ったのだと思われます。」

 

「そうだな。そこまでは各諸侯が持っている情報だろう。他に持っているか?」

 

「………残念ながら……。」

 

「そうか……。」

 

「聖さんの方は別に情報って持ってるの?」

 

「………持っているといえば持っているが……。」

 

「……我等が信用ならないと?」

 

「いや……そういう訳じゃないんだ……。別に隠すことでもないんだが、俺はもしかしたら首謀者の張角を知っているかもしれないんだ……。」

 

「ええっ!?」「なっ!?」「にゃっ!?」「はわわっ!?」「あわわっ!?」

 

 

 

 

俺の一言にその場が騒然となる。

 

 

 

 

「あくまで可能性だがな……。」

 

「な…なんで知ってるの!!??」

 

「一時期だけだが……俺は一緒に旅をしていたことがあるんだ……。だが、その時には黄巾賊を率いるような……そんな子ではなかったんだよ……あの子は……。」

 

「……つまり、聖さんの知っている張角とは似ても似つかないと……?」

 

「………俺はそう思う。」

 

「う〜ん………ともすると、張角とは誰なのか……。そして何の目的があるのか……ここのところの情報がもう少し必要なところですね…。」

 

「そうだよな………。うちの軍から細作を出してるんだが、皆情報を持って来れずらしいし……。」

 

「実は私たちの方でも同様の結果で……。特に一番奥の方の天幕には警備が厳重で近づけないそうです……。」

 

「警備が厳重ってことは、そこに何かある可能性は高いな……。よしっ……偵察に行くか…。」

 

「偵察に行くって……まさか、聖さんがですか!?」

 

「あぁ。こう見えても隠密は得意だし、いざとなったら戦える武も持っていると自負するからな。」

 

「ほぅ………。鬼の化身の力……少しばかり興味がありますな……。」

 

「鈴々も興味あるのだ!!」

 

「…………はい??」

 

「その力、是非我等に見せてはくれないか? 聖殿。 いざ尋常に勝負!!」

 

「鈴々もやるのだ〜!!」

 

「……え〜………。」

 

 

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となって最初に至る………。

 

因みに、俺が武器を取りに戻った時には、既に橙里達は楽しそうに観戦の準備をしていたりする……。

 

 

 

 

「では…まず私から……。」

 

「あ〜!!愛紗ずるいのだ!! 鈴々が先〜!!」

 

「私の後に鈴々がやれば良いだろう?」

 

「愛紗の後だと、聖お兄ちゃん疲れてて鈴々と全力で試合してくれないのだ。だから鈴々が先〜!!」

 

「それは私とて同じことだ。鈴々の後では、全力で相手してもらえぬではないか。」

 

 

 

愛紗と鈴々がどちらが先にやるかということで口論中。この隙に観客席のほうへ………。

 

 

 

「「どちらと先にやりますか!?(先にやるのだ!?)」」

 

 

 

………ですよね。逃げれるわけ無いですよね……。

 

 

 

「あ〜ぁ…。めんどくさいし、二人同時で良いんじゃない?」

 

 

 

あの関羽と張飛相手に2対1だと流石に苦しいとは思うけど、その方が研究なりされなくて済むしね。

 

俺がそう言うと、二人はポカーンと口をあけて驚いていた。

 

 

 

「ほほ〜う……。」

 

「言っとくけど、鈴々たちは強いのだ。それでもやるのか?」

 

「手っ取り早くて良いだろう?」

 

「しかし、それでは御力を測ることが……。」

 

「負けたら所詮その程度ってことだろ……。時間も惜しいしやるんなら早くやろうぜ……。」

 

「それもそうですね………鈴々、初めから全力で行くぞ!!!」

 

「応なのだ!!」

 

 

 

張り切り二人を見ると、多少はやってやろうと言う気にはなる。

 

相手は天下の猛将、関羽と張飛……。

 

俺の力が何処まで通用するか……腕試しには丁度良い……。

 

 

 

「では………関雲長、参る!!!!」

 

 

 

愛紗は偃月刀を横に構えると、

 

 

 

「はぁぁぁあああああ〜〜!!!!!!」

 

 

 

裂帛の気合と共に飛び込んできた。

 

 

その速さ自体は霞に比べればそれ程でもないが、体重の乗ったその一撃を受ければ、武器が吹き飛ばされるかはたまた俺が飛ばされるか………。まず間違いなく俺の体勢は崩れるだろう………。

 

 

ならば……と、バックステップで愛紗の一撃を寸でかわし、振り切った後の僅かな硬直を狙って前に出る。

 

 

 

「鈴々!!!」

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃ〜!!!!!!!!」

 

 

 

前に出るのと同じくして愛紗の影から鈴々が飛び出し、蛇矛の連続突きが俺を襲う。

 

 

 

「うおっ!!?」

 

 

 

身を反らす事で何とか鈴々の攻撃をかわし、そのまま距離をとる。

 

 

 

「ふぅ〜……危ない危ない…・・・。」

 

「まさか今のを初見でかわされるとは……流石です。」

 

「たまたまだよ。それにしても厄介な連携だな……。互いの呼吸がぴったりだ……。」

 

「えっへん!! 鈴々たちは息がぴったりなのだ!!」

 

「………こりゃ骨が折れるね…。」

 

「いかがですか…。今からでも一人ずつに変更しても構いませんよ?」

 

「へっ…まさか。」

 

 

 

磁刀を納刀し、腰を屈めて居合いの姿勢をとる。

 

 

 

「ここからが本番だろ!!?」

 

 

 

眼光鋭く二人を見つめ、その一挙手一投足に注意を払う。

 

へっ………やっぱり強敵とやるのは楽しいね〜…。

 

 

 

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〜愛紗side〜

 

 

 

「ここからが本番だろ!!?」

 

 

 

その言葉を境に聖殿の纏う空気が変わる。

 

見たこともない構えをしているな………少し慎重に行くか……??

 

 

 

「鈴々。聖殿の空気が変わった。何かしてくるぞ。」

 

「了解なのだ。」

 

 

 

武器を構えたまま、相手の動きに集中する。

 

 

じりじりと間合いは狭まっては来たが、まだ少し遠い……さぁ……何をしてくる…。

 

 

 

ちりっ…。

 

 

 

「えっ……!!!!!!!」

 

 

 

ガキン!!!!!

 

 

何かの気配を感じて引き上げた偃月刀の刃が、相手の刀を受け止め、金属同士がぶつかり合う鈍い音が、大々的に鳴り響く。

 

 

 

「……驚いた。まさか止められるとは……。」

 

 

 

目を大きく見開き感嘆の声をあげる彼は、先ほど自分が目で捉えた位置から大きく移動している。

 

今の一瞬で、この間合いを詰めたと言うのか……。

 

もし、あと少し反応が遅れていたら……やられていた……。

 

 

 

「うりゃ〜!!!!!!」

 

「おっと!!」

 

 

 

ブォン!!!!

 

 

鈴々が横から攻撃を仕掛けるが、それも容易くかわされ再び先ほど同様の距離が生まれる。

 

 

 

「大丈夫か、愛紗〜!!」

 

「あぁ、鈴々。大丈夫だ……だが、中々さっきの攻撃は厄介だぞ…。」

 

「愛紗は見えたのか〜?」

 

「いや……何となく嫌な予感がしただけだ…。」

 

「そうか……鈴々もまったくなのだ…。」

 

「どうやら、あれを多発されると我等に勝ち目は無さそうだ…。」

 

「なら、どうするのだ?」

 

「先ほど受けた感じでは、速さはあるが一撃の威力はそれ程でもない……。相手に隙を与えず攻めて、攻撃させないようにすれば問題はあるまい。多少の反撃は咄嗟の判断でどうにかするとしよう…。」

 

「分かったのだ。」

 

 

 

作戦を決めたところで再び彼を見やる。

 

 

彼の腰を落とし半身に構えて刀と鞘を握る姿は、見た目では隙だらけに見える。

 

しかし、対峙してみれば隙はおろか、こちらが一歩でも動けばやられそうな……そんな気配が漂ってるではないか…。

 

 

このままでは分が悪い……ならば、死中に活を求める!!!

 

 

 

「でぇぇやぁああああ!!!!!!」

 

 

 

愛刀を水平に構え、切っ先を相手に向けて最速の突きを放つ。

 

勿論、私の誇る最速の突きなのだからこれが決まってくれればそれで構わない。

 

しかし、彼はこの一撃を悠々とかわし、次の鈴々に対処するだろう。

 

今まではそこで一旦区切りがついていたが、今度はそうはいかない…。

 

体力の続く限り……隙を見せずに全力で打ち込もうではないか…。

 

 

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〜聖side〜

 

 

「うりゃうりゃうりゃうりゃ〜!!!!!!」

 

「せやっ!!はっ!!はぁ!!せぇぇええい!!!!!」

 

 

 

暴風のような凄まじい連撃が襲い来る中を、何とか磁刀を使いながら捌く。

 

しかし先ほどから反撃をする暇もないほど重い一撃を受け続け、手がそろそろ限界を向かえそうだ…。

 

どうにかしないとな………。

 

 

 

「隙あり!!!」

 

「っ!? しまっ…!!!」

 

 

 

 

 

ガキンッ!!! ヒュルルル〜…………ガシャン……。

 

 

 

 

 

「もらったのだ〜!!!!」

 

「うおっ!!?」

 

「お覚悟!!!」

 

「ひっ!!?」

 

 

 

鈴々の矛が髪の毛をかすり、愛紗の偃月刀が服の裾に切れ目を入れる。

 

本当に紙一重の回避である。

 

 

 

何とか距離をとり、蛇弓を出現させる。

 

 

 

「弓だとっ!? 何処にその様なものを!!」

 

「細かいことは気にすんなよ。」

 

「お兄ちゃんは弓も使えるのか〜!?」

 

「……悪かったな。俺、二人を少し舐めてた……。ここからは、全力で行かせてもらう!!」

 

 

 

 

裏小笠原流師範代、徳種聖。いざ参る!!!!

 

 

 

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〜愛紗side〜

 

 

聖殿の武器を弾き飛ばし、彼が距離を取る為に後退するまで予想通りだった。しかし、急に弓が現れるとは一体………。

 

 

 

 

「愛紗〜!! お兄ちゃんは今疲れてるはずなのだ!! 今攻めるしかないのだ!!」

 

「しかし、鈴々。急に弓を取り出したのだぞ!! それこそ五胡の妖術か魔術の類かもしれん。ここは冷静n……。」

 

「そんなことしてたら折角の好機が台無しなのだ!!!」

 

「うっ……。まぁ、そうだが……。」

 

「それとも……まさか、愛紗は怖いのか〜。」

 

「何だと!! この関雲長、五胡の妖術などに臆したりはしない!!」

 

「なら、行くのだ!!」

 

 

 

何だか上手いこと乗せられたような気がするが……戦いに関して絶対的な感覚を見せる鈴々がああ言っているのだ。きっと判断は間違いではないはず。

 

それに、相手が持っている武器は弓。

 

いくら妖術であっても、武器が弓では接近戦は苦手ははず。

 

直ぐに手元に入り込んで、先ほどと同様の攻めで今度こそ決める!!

 

 

 

「よしっ!! 行くぞ、鈴々。」

 

「応っなのだ!!」

 

 

 

先ほど同様の苛烈な勢いで攻め立てる。

 

やはり武器が弓だけあって、反撃が来る事はなく、一方的に私たちが攻め続ける展開となっている。

 

彼はその弓でひたすら私たちの攻撃を防いでいるばかり……。このままいけば勝てる!!

 

そんな雰囲気が漂う中で、同時に不気味な気配を感じる。

 

その出所を探ると……先ほどから劣勢に立たされている聖殿が……笑っている……??

 

 

 

「まずい!! 鈴々、罠だ!!」

 

「にゃ!?」

 

「もう遅い……。」

 

 

 

鈴々の一撃を彼は受けるのではなくかわした。

 

それにより鈴々は体勢が崩れ、大きな隙が生まれる。

 

 

 

「どんなに勢いのある『水』でもその勢いを削がれ、『包』まれてしまえばそれは『泡』となる。その『水』の『末』路と言えば消え去ること……。つまりは儚く消えるのさ…。裏小笠原流暗殺技 第一系『泡沫』 近接戦闘における技で、相手が攻めているように見せかけて、その勢いを一瞬で挫き、その命を奪う技……。まさか、こんなのまで使う羽目になるとはね……。でも、これで降参してくれるよね?」

 

 

 

彼は鈴々の首元に矢を突きつけ、鈴々に降伏を促す。

 

 

 

「うっ〜……。鈴々の負けなのだ……。」

 

 

 

彼はそれを聞くと無駄のない動きで弓を構え、私を狙って打ってくる。

 

 

あまりにその動作が無駄のない洗練された動きで、一瞬見惚れてしまったが故にどうも避けられそうにない……。

 

ならば、その矢を打ち落とすまで!! ……とそう決めたのだが……。

 

 

 

「何だとっ!! 矢が………止まっている……!!」

 

 

 

確かに彼の弓から射られたはずの矢が、私と彼の間で止まっている。

 

これでは、矢を打ち落とすことが出来ない……。

 

 

 

「何とも面妖な!! これも、妖術などの類か……!!」

 

 

 

ならば!! 今の内に回りこんで攻撃するのみ!!

 

そう思い動き出そうとしたところで……。

 

 

スコーン!!!

 

 

 

「痛っ!!!」

 

 

 

先ほどまで停止していたはずの矢が、私のおでこに当たる。

 

その衝撃は中々に大きく、地面にうつ伏せで倒れると、意識がぼんやりとしてくる。

 

 

 

「………裏小笠原流暗殺技 第二系『刻留』遠距離にて相手を襲う回避不能の技……正体は……秘密だ…。これで、俺の勝ちで良いのかな?」

 

 

彼のその言葉を最後に、私の意識は途切れたのだった。

 

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第七章 第四話 腕試し END

 

 

 

 

 

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後書きです。

 

 

第七章第四話が投稿終了しました。

 

 

 

いや〜バトルって書くのはやっぱり難しいですよね……。

 

まぁ、チート能力がある聖を中心に書いていけば何となくは書けるんですが、どうも中身の薄い内容になってしまって………。

 

 

因みに、小笠原流と言う弓の流派は本当に存在しますが、裏小笠原流は存在しません。

 

これは作者が勝手に作ってるだけですのでお間違えの無い様に…。

 

因み序に言うと、裏小笠原流は殺人術です。

 

魅せる弓道と違い、裏小笠原流は戦うことに重きを置いた流派というのが主の設定ですのでご了承ください。

 

 

 

 

 

 

それにしても、愛紗と鈴々を相手に勝てる聖ってとんでもねぇな〜……。

 

まぁ主人公最強設定なので当たり前と言えば当たり前なのですが……。

 

 

 

 

次話はまた来週の日曜日にあげるつもりです。(明後日ではないです。)

 

 

それでは、皆さんお楽しみに〜!!!!

 

 

 

 

 

 

説明
どうも、作者のkikkomanです。


劉備軍全員と顔を合わせた聖たち。

そこで聖は劉備たちの人柄を知る。

今後の彼女たちとの関係はどうなるのか……。

また黄巾賊との戦いはどうなるのか…。

それはまた別の話……。



と言うことで、物語の進展は無かったり(笑)

こんなものばかり書いているから進まないんでしょうね……。
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コメント
>将軍さん コメントありがとうございます。   あの二人相手ではしょうがないかと……。それにしても本当に久々なんですよね……。メイン弓なのに…。(kikkoman)
聖が久々に弓を使った!? まぁ関羽と張飛を相手ならしょうがないかwww(将軍)
タグ
真恋姫†夢想 オリ主 オリキャラ多数 愛紗 鈴々 バトル回 裏小笠原流 

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