司馬日記外伝 誰得?華得!
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「……なによ」

朝食後、華琳を起こそうと思って部屋に入って名を呼ぶと、不機嫌そうに机から顔を上げた彼女の目元は赤かった。

 

「…仕事を頑張ってくれるのも有難いけど、あんまり無理しないでくれよ」

「…うるさいわね。仕事じゃないわよ」

再び机に突っ伏してしまうテンション最低の華琳と、その周りに積みあがった反故紙の山。

「私もう眠いから寝るわ。会議は夕方からだから稟に直前に起こしてって言っといて」

「寝ちゃうのか、華琳」

今日は日中ずっと華琳と一緒に居る予定になっていたはずだったけれど、眠いのなら仕方が無い。

しかし、だいぶ前に華琳が例の薬をこの日に使うからと言っていたが、その後の連絡は無かった。そして寝ておらず不機嫌な華琳、反故紙の山。

悪い想像に思い当たって声を掛けかねていると、机に突っ伏したままの華琳の方が「見なさいよ、そのごみの山」と呟いた。

 

一枚を手にとってみる。

『幼馴染。合同塾の生徒会長、一刀は私を追って生徒会に入った書記見習いの庶務。一刀は昔から私の事が好きで好きで割りと所構わずべたべたしようとして来る性格。(実際の一刀よりちょっと軽い位を指示)まだ恋人同士ではなくここから結ばれる場面』

その文末にこれも華琳の字で『ありきたり ×』と書かれており、次々に丸められた紙を披いてみる。

 

『清純箱入り娘 稟がやったのに近い ×』

『小悪魔風 蒲公英、小蓮とかぶる ×』

『気弱系 季衣流琉凪呂蒙月はわわあわわのどれかとかぶる ×』

『妖艶姉 居過ぎる ×』

『つんでれ もう何度もやった ×』

『やんでれ 一刀がひく ×』

『上司(私)と部下(一刀) ある意味やりつくした ×』

『不倫 張勲の十八番 ×』

『実は私も天の御遣いだった 一刀がひく ×』

 

……例の薬を使ったプレイを考えたけれど、目新しさが欲しい、しかし誰かと被るのは嫌、あと俺の対応力の限界を超えそうなのも駄目ってことか。先が読める天才って難儀だ。

 

「………見た?笑えば?馬鹿みたいでしょ」

「そんなことないよ」

「いいからもうほっといて、私寝るから」

「そんな所で寝てたら風邪引くだろ。……あと華琳が寝るまで添い寝させてくれよ」

「いいわよそんな気を遣わなくて。貴方暇になったんだから他の待ってる娘の所へ行ったら?それも貴方の仕事のうちよ」

「華琳」

「いいの!」

寝台へ連れて行こうと彼女の手を取ろうとした手が、小気味いい音を立てて撥ね付けられる。その音に一瞬だけ華琳のはっとした顔が上げられるが、直ぐにまた伏せられてしまう。

 

取り付く島がない。

しかしこういう華琳を放っておいてはいけない事を経験的に知っているし放っておきたくもないので、彼女の隣に椅子を持ってきて座って、彼女が落ち着くのを待つ。

部屋に流れる沈黙は、彼女の気持ちを考えたら不謹慎だけれどこの二人きりの時間は心地いい。

その時間を少しだけ堪能してから、「華琳、寝台に行って寝よう」と声をかけると彼女の背がびくりと震えた。するとその震えは次第に大きくなり、しゃくりあげる息は嗚咽となった。

 

「華琳……」

「…どおして、凪とか…稟とか蓮華とかは、あんなに可愛いのよ…、ど、どぉして!わたしはこんなにかわいくないのよぉぉ…!いくら考えても可愛くなれないの、可愛い子達の真似しようとしても違うのが分かるの!あ、あの子達は本物なのに自分だけ偽物なのが分かるの、でもこのままじゃ全然可愛くないのも分かるのよ!もうどうしたらいいのか分かんない、教えてよ一刀、ねぇぇ…!」

泣きじゃくる彼女を抱き寄せて背中を撫でる。気の利いた表現じゃないんだろうけれど、思うままを彼女に伝える。

「ありきたりな言い回しで申し訳ないんだけどさ、華琳はそのままで凄く可愛いよ、大好きだよ。華琳は自分が可愛げが無いって思ってるんだろうけどそんな事無いんだよ」

「う、嘘吐き」

「嘘じゃないと思うんだけどな」

「あ、貴方垂らしだけど結構皆に気を使うからね、いいのよ私にそんな気を遣わなくて、魏王舐めないで。ほらっ…早く帰んなさいよぉ!」

 

やばい。

腕の中から出て行こうと胸を押してくる華琳はやばいかもしれないと本能が察知して、ほぼ無意識に華琳の唇を奪っていた。

逃れようとする華琳を無理矢理抑え込んでひたすら彼女の口内を蹂躙し続けたのはそういうプレイの時以来だ。

 

呼吸困難寸前になって唇を離し、脱力して頬が紅潮し先程の涙とは違う潤んだ瞳の華琳を見た瞬間、天啓が閃いた。それを彼女に伝えたら人として、男として常識と倫理を持っているという誇りをも失う可能性が頭をよぎったが俺には迷いはなかった。

 

「もう一回言う、俺はどうにもこうにも華琳が大好きだ。そんで、華琳だけに対して変態的な劣情を抱いている」

「……へ、変態的ってどんなよ…。貴方元々大概に変態じゃないの…」

それをボソボソと「……という感じで」と華琳に伝えると、流石に「頭は大丈夫この種馬」という目つきで見られたがそれは織り込み済みだ、迷いは無い。

「…その枠は小蓮とか璃々が居るんじゃないの?」

「いや違うはっきり違う。小蓮は端的過ぎるし、最近の璃々ちゃんは大分大人っぽくなった上に母親譲りに直線的に来てる。というか璃々ちゃんはそういう間柄じゃないから引き合いに出さないでくれ、色々自信が無くなる。それはさておき華琳には『あざとく』、その枠としては主に太ももがエロ過ぎ熟れ熟れボディと幼ないながらもませた口調で俺をケダモノにしてくれるはずだ。頼む、これは華琳にしかしない、華琳にしか出来ないお願いなんだ」

 

「………しょ、しょうがないわね…、服とかはこのままでいいの?」

よし通った。

「スカートはぱつぱつな雰囲気を出すためにもう少し丈を詰めて。あと小柄感を強調しつつ胸元を危うくする為に市販の華琳の服(大-中)があるからこれに着替えて」

「よ、用意がいいのね」

「常々着て欲しいと思ってたので」

「馬鹿…じゃあ着替えたら呼ぶから、少し外に出ていて」

「了解」

 

 

 

なお入っていいと呼ばれて部屋に入ると、椅子の上でくりくり瞳で上目遣いと明らかに見せる為の体育座りでパンチラかましてくれながら舌っ足らずな声で名前を呼ばれたら理性が赤壁的大敗を喫したとだけ言っておく。

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「すっごい、変態…………貴方、改めて思うけど底無しね」

「いや…華琳が可愛過ぎるからだ…、予想以上、だった」

腕枕で荒い息をつく彼女が御満足そうでなによりだ。いや俺も俺でへろへろになったくらいだけど。

「それは喜んで良いのかしら…?ああもう…服も何もかもどろどろじゃないの」

「半分近くは華琳の、あてっ」

「馬鹿。…それにしても私は貴方の危ない扉を開けてしまったのかしら」

「いや華琳限定のプレイだから大丈夫…だと思いたい。華琳もちょっとくらいは新しい世界の扉が」

 

髪を撫でながら彼女の顔を覗き込むと照れ笑いの表情を浮かべて胸を軽く叩かれた。

「…開いちゃったじゃないの、どうしてくれるのよ!…もぉっ、かりんかずととおふろいくの!ねえだっこぉ、だっこして!」

「はいはい」

甘ったるい声でしがみついて来る彼女を抱き上げながら、彼女の笑顔に幸せを覚える。

…多少失ってしまった人として大切な何かの事はとりあえず忘れて。

 

 

 

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…とは言っても。

 

 

 

「…………華琳。流石にこのプレイの事は」

「……そうね、曲がりなりにも皇帝と魏王でコレっていうのを人に知られるのはちょっとね…。でもちっちゃいかりんにむらむらしてあーんなにえっちことしたのはかずとよ?かりんはされちゃっただけだもん、ねぇ?」

「ちょっ、やめ!元気になっちゃうから華琳ちゃん!降りなさいって!」

「ほらほらぁー、うふふふふ…ふ、んっ…はああぁ…ん………もぉかずとったらぁ…、またこんな深くぅ…」

 

 

 

 

 

 

「ああ、姉者ちょうど良いところへ。悪いんだがこれを医務室まで持って行ってくれないか」

「なんだこれは…って稟か、また鼻血まみれじゃないか。構わんが、秋蘭はこんなところで何をしているのだ?」

「ん…まあ門番のようなものだ」

「?華琳様がお部屋に居るのか?」

「いや?我々の良く知る華琳様なら居ないぞ。ただ、この部屋の中には国家機密があるからな、警備はしておくに越した事は無い」

「そうか!では門番は頼んだぞ秋蘭」

「任されたよ姉者、稟を宜しく頼む。あと予算会議は明日に延期だと風に伝えておいてくれ」

「分かった」

 

 

 

「…ああ、稟の鼻血は医者が止めてくれるだろうが、後で口も止めておかなくてはな…」

説明
難産の末でしたが、電波を受信しまして…。
私はとてもしっくり来ちゃったんです…華琳様ごめんなさい。
華琳様ファンの方にもごめんなさい。
(でも思春ファンには謝らない キリッ )
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コメント
華琳ちゃん可愛い(オレンジ)
華琳さん……。とりあえず自分だけのスタイル獲得おめでとう!これはこれでカワイイヨ!(ミドリガメ)
↓いや、めだかちゃんと華琳様じゃスタイルが全然ちg(ザク!)(メガネオオカミ)
・・・なるほどこうなりましたか。すばらしいです。ところで「幼馴染で生徒会長の同級生」という設定でめだかボックスを連想したのはわたしだけでしょうか?めだかちゃんみたいにしたら華琳にはしっくりくるとおもったのですが(南華老仙「再生(リボーン)」)
国家機密とか、鼻血だけでなく口も止めるとか、秋蘭の言い回しにいちいち吹くw(FOX)
国家機密扱いにされた変態的プレイ…かりんちゃん、マジぱねぇ!!(サワディー(・ω・))
こんな華琳さまも好きだ! 好きだ! 大好きだーっ!(神余 雛)
扉は開けるモノで、閉めるモノでは無いと、、、(R田中一郎)
華琳さんwwwやんでれはもう斗詩がやってますwww(zero)
よく読んだら稟の事をコレ扱いしてるww秋蘭さんマジヒドスw(Alice.Magic)
途中までは一刀さんイケメンダッタノニナー(くらげ)
一刀さんパネェwwwあと華琳さまそれはヤバい何人か真理の扉開いちゃいそうでヤバいwww(ルーデル)
幼児プレイとかww一刀さん守備範囲広すぎっすwww でも華琳様は可愛い(Alice.Magic)
………………………………………………………………………だいじょーぶ、秘密は守られるカラwwwwww(悠なるかな)
秋蘭GJ! しかしこのままだと華琳も病みそうで怖いな……。まあ、一刀さんならなんとかしてくれるか(メガネオオカミ)
幼児だけに、一周まわって戻ってきたわけだ← しかし華琳かわいい!!(呂兵衛)
よ・・・幼児ぷれいだと・・・(牛乳魔人)
聞かれてたと華淋が知ったら自害しかねんなwww(アルヤ)
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