こんな俺でも賊軍大将ぐらいにはなれると思う。第二話『偽名が欲しいのだがはっきりっていい案が無い』中編
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「潜入成功・・・・・か」

「そのようだな」

洞窟内。

根城にするだけあって中は広い。

しかし、

「人数が予想以上だな。村長さんから聞いてた人数の倍はいるぜ・・・・・・」

「全軍じゃなかったんだろ。村に押し入った時は。・・・だが確かに多い。義勇軍が一つ作れるぜ」

「これは面倒だ・・・・・・数は単純な脅威になる。こっちは少人数過ぎるからなおさらな」

「確かにな、数は分かりやすい力だ。数が多ければ包囲も出来るし力押しも出来る。並べるだけでも威圧になるし、使うとなれば正に圧巻だからな」

こりゃあ面倒な事になった・・・・・計算外だぜ、こんなの。

「しかし、どうにかするしか無いんだろ?いざとなれば力押しで突破するだけだ」

「力押しは愚作なので置いておくとして、確かにどうにかするしかないのが現状だな」

「おい・・・・・・」

「さて、どうするか・・・・・・・・」

・・・・・・あんまり考えすぎるのも考えものだな。ここはいっそ身体能にあかせた高速移動での突破策を取るか。

「斬梅、ちょいと危険な策になるぞ」

「・・・・ああ、どんな策だ」

「俺もお前も、幸い足は速い。身も軽いし、ここは限界の速さで敵の目を躱しつつ奥まで爆走する。単純だが効果的だと思われる」

「おお。確かにちまちましてるのもいいがあんまりそうしてると手詰まりになっちまうしな。いいんじゃねぇか」

上等。それならば・・・・・・・・戦争(クリーク)だ!!

 

 

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「お、おい!!侵入者どこ言った!?」

「それならあっち!!・・・あれ!?今そっちにいなかったか!?」

「え!?マジ!?」

「おーい!!俺の鎧知らねぇか!?」

「だったら手伝え!!今こっちで燃やされてんだよ!!」

「はぁ!?」

撹乱。撹乱。

ひたすらに走り回り、武器を燃やし(持って来ていたたいまつ使用)左から右に縦横無尽。

後ろに回り込み部屋に隠れ。

駆けずり回りて洞窟内ってな。さて・・・次はどうするかね。

「おい!!見つけたぞ!!」

と、考える暇も無く敵さんに遭遇。しかし・・・・

「一人二人ならのしちゃっても構わねえぞ!!!斬梅!!」

「おう!!」

そう言って、斬梅が持って来ていた剣を振りかぶる。巨大な大きさを誇るいわゆる斬馬刀。

それを用いて、瞬く間に見つけた奴らを打ちのめしてしまう。

「安心しろ。峰打ちだ」

「斬馬刀の峰打ちは立派な凶器だと思うぞ?」

 

 

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「おい、次はこの扉に入ってやり過ごそうぜ。五六七」

「がってん。斬梅」

そう言って、右手にあった部屋に転がり込む。

ガチャっ!!ゴロゴロゴロゴロ。

「ふうぃー。疲れたー」

「走りっぱなしだからな」

入った部屋は意外に広く、宝物庫のよう・・・・・宝物庫!?

「斬梅!!」

「ああ、多分ここにあるな」

そうと分かれば善は急げ。俺たちはそこら辺にある物を物色し始めた。

「なあ、箱の特徴って何だっけ」

「ん?側面に黒ってかいてある物がそうらしいが・・・・・」

「わかった・・・・・ってこれじゃねぇ!?」

「まじ!?」

斬梅が見つけたらしい。

それはでかい箱だった。人一人くらいは無理すれば入るくらいでかい。

側面には見事な字で『黒』と描かれている。

結構重い。

「さて、中身は鎧と剣らしいが。中身の改めと生きますか」

「合点承知」

紐を外し中身を覘いた。

 

 

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・・・・・・・・・・・・・・・・・何!?

 

 

 

 

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「・・・・・妙な鎧だな?こんな物見た事が・・・・・・ん?」

「・・・・・・・・・・」

「どうした、五六七」

・・・・・これが、何でこんな所に?

そもそもこれは実在しないはずの物のはず!!なんで・・・・・

「・・・・これが何か知っているのか?」

「・・・知ってるも何も、これは俺の世界の物さ」

「なに!?つう事は、これが天の鎧!?」

「そうなるんだろうな・・・・・・」

「な、これは一体どういう物なんだよ?教えてくれ」

「・・・・・・・こいつは少し昔の俺の国で、セクトと呼ばれる過激派集団の鎮圧を行っていた国の直属部隊、『特務隊』がつけていた鎧だ」

「つう事はお前さんの時代の官軍の鎧か。なんて言うんだ」

 

 

「・・・・・プロテクトギア」

 

 

・・・・・ありえない、こいつは物語の中だけの武装だったはず。何でこんな物が・・・・・・

「へー、『ぷろてくとぎあ』ね。変な名前・・・ん?まだなんか入ってるな」

「・・・・っは!!そ、それ剣じゃないか?入ってるもう一個の方」

とりあえず、これの事は後だ。今は宝物のチェックを優先せねば。

「あ、そうだな。じゃあこれも見てみるか。(ごそごそ)・・・・これ、剣か?剣にしちゃ短いような」

「・・・・ああ、そっちも俺の国の物みたいだな。俺の世界の軍隊の武器で、コンバットナイフって言うんだ」

「へー。あ、もう一個入ってた」

「お、そうなのか。・・・・・・ヨルダン軍用ナイフだな。それもプロトタイプだ」

「プロトタイプ?」

「試作品ってことだ」

 

 

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とりあえず、宝物を背負って脱出をはかる。・・・・・村長に戻ってこの鎧の事も聞きたいし、急がねば。

「おいしょっと。背負ってるのは俺だけどね」

「お疲れ斬梅」

「ああ・・・・・だが、こりゃ簡単には脱出できそうにはないな」

俺たちが部屋から出ると、洞窟内の退路は、全て賊達に酔って塞がれていた。

しかも、全てのルートを一人ずつで、と言うのではなく枝分かれしている通路の大本を何人かで固める形のようだ。

「アレだけの人数で固められると、宝持ったまま無傷でって言うのは難しいな」

「だな。どうする、今度こそ一点突破か?」

・・・・・確かに、それぐらいしかないな。

宝の奪還が今回の任務の根幹。それを優先するとなると一点突破して一気に逃走、と言うのが妥当だ。

「・・・・それ位しか考えが思い浮かばんな、この状況だと」

「じゃあ俺の後ろに続け。蹴散らすぞ!!」

「合点承知・・・・・・・・・絶対勝利で行こうぜ」

「おう」

かくて、決死の一点突破作戦が決行された。

 

 

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はっきり言って今回はキツかった。

数の差もあるが、相手は大本の通路を大人数で抑えているためそこを突破するのが少々と厳しかった。

というか二人で潜入任務なんぞやっている俺らに対して全力で向かって来る賊達が100倍以上。どんだけの難易度だよ。異常すぎて笑った。

・・・・と言った展開にはならなかったが。いやいや、斬梅さんが暴れる暴れる。突入の際には早さを優先するためにあんまり暴れなかった分鬱憤が溜まっていたようだ。

賊が飛んで行く、飛んで行く。一振りで五人位吹っ飛ぶ。飛んで行き過ぎワロタwww

「斬梅、やり過ぎでは?まあ別にいいけど」

「けっ!!こんな無茶な任務やってんだ!!こちとら生き生き残るのでいっぱいいっぱいなんだよ!!」

「さいですか。っていうかキャラ変わってねーか?」

「キャラってなんだよ・・・・・・・まあ大体意味は分かる。でもたまにはこうなったっていいだろ。これからそうなれる機械がないかもしれんし」

「そこはかとなくメメタァッと」

疲れているのだろうか。会話もおかしくなってしまっている。

 

 

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ひたすらに賊を切り、走り続けて幾時か。

「・・・・・迷った」

「くそっこんな所で迷うなんてな」

そう。

今俺たちは、絶賛迷子中です・・・・笑えねえ

ちぃっ!!目印を付けといたんだがそれさえ見つからないとは・・・・・・計算外だぞ!?

「そう言えば、追って来る人数が少なくなったな。どうしたんだろう」

「・・・・・そういやそうだな。他に何か問題でも起きたのか?」

聞き耳を立ててみると、何やら人質がどうとか、黒髪の女がどうとか聞こえて来た。

「・・・・・・黒髪の女?」

「黒髪の女・・・・・・もしかしてそいつ、黒髪の山賊狩りか?」

「例の噂の?」

旅をしていると、天の鎧を含む様々な噂が俺たちの耳に入って来る。

その一つが黒髪の山賊狩りだ。

黒髪の美しい女が、各地で賊を切りつつ旅をしていると言う。

嘘か本当かは定かではないが、しかしそういう風な噂が流れたのは本当だ。

実力者のようなので、本当ならばぜひスカウトしたいと考えていたのだが。

「まさかここで遭遇するとはな」

「妙な話だ。どうする、共闘でも持ちかけてみるか?」

「下手すると俺たちまで賊と勘違いされるぞ。却下だ」

こんな、宝を背負って洞窟から脱出しようとしている俺たちなんぞ、火事場泥棒に現れた賊にしか見えん。

「んな訳で却下だ、馬鹿門」

「あー・・・・・・会って話し合おうって時にばっさりってのはいやだな」

「だろ。逃げるに限る」

ま。悪いがその山賊狩りさんには囮になって貰おう。こちとら死にたく無いんでね。

「しかし、そっちはいいとして人質ってのは何だ?」

「・・・・・それは俺も気になってたんだ。恐らくは麓の村にから攫って来た女子供だろうが・・・・・・・ん?ちょっと待ておかしいぞ?」

「どうした?」

「いや、あの村の村長、何でその娘達の奪還を依頼しなかった?自分たちの村からも何人か連れ去られているだろうに・・・・・・・」

「そう言えばそうだな・・・・・・もしかしてあの村長、人の命諦めて自分の宝を取りやがったか!?」

いや、それはいくら何でも・・・・・・・待てよ?

人を救うと言うのは存外難しい事だ。一緒に移動すれば足手まといになる事もあるだろうし、それが原因でこっちまで捕まる可能性がある。

だが、宝ならどうだろうか?

自分で背負って動けるし、数を限定すればそこまで重くも無い。

どうしても取り返したいのならば人質を助けてもらうよう依頼するだろうが・・・・・・・そこまで気にしないのならば、むしろ自分の大事な宝を取って来てもらうのではないのだろうか?

だとすればとんだ横暴だ。時分の理のために他人を犠牲にするなんて!!

そもそもなぜ村人は止めなかったんだ!?それが事実だとすれば・・・・ん、待てよ?

そういえば・・・・・あの村はそこまで裕福と言う訳でもなかった。まさか連れ去られた奴も文だけ食い扶持が減ってありがたいとか村の奴らは考えてんじゃねぇだろうな!?それで村長を止めなかったのか!?

「・・・・・・それしか考えられねぇ!!クソ!!どいつもこいつも腐ってやがる!!」

「落ち着け、五六七・・・・・・どうした。村長が腐ってるのは分かったが」

俺はとりあえず考えを説明、斬梅も憤りを覚えているようだった。

「・・・・・・人質を救出するぞ。こっからは独断だ、宝も置いて行く。これのせいで報酬が無くなるが知ったこっちゃあない」

「同意見だ」

「こうなった以上依頼なんてどうでもいい。なんてしても人質を救出するぞ」

「合点だ。しかしどうする、これだけの数が跳梁跋扈しているんだ。はっきり言って俺たち二人じゃ厳しいぞ」

「・・・・山賊狩りと共闘する。今は宝を置いているから少なくとも賊とは思われない」

「なるほど。交渉役は任せるぞ」

「応」

 

 

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腐りきったこの漢王朝。まさかここまで腐食が進攻しているとはな。

しかし、この腐食はまだ正せるLevelだ。なら、正すのみだ!!

・・・・・・この前までただの冴えないリーマンだった俺も随分と変ったなぁ。何つうか、熱血漢になりました。

斬梅の影響だろうかね?

そんな事を思いつつ、再び洞窟をかける。そうすると、沢山の賊が集結している広場らしき所を見つけた

「あそこらしいな」

「囲まれているな。斬梅」

「合点」

そう言うと、斬梅が斬馬刀を振りかぶり、目の前の賊の背中を弾き飛ばした

「ギャア!!」

「なんだ!?」

「あ、こいつらさっきの!!」

周りから上がる声を無視し、その中心にいる奴の元へ向かう。

一人は黒髪、もう一人は青い髪の女が二人中心でこちらに視線を向けている。

「何奴!?」

「話は後だ。加勢する」

「加勢?貴殿らは?」

「ここに宝物の奪還を依頼されて来た者だが、少々事情が変わってな。人質がいるなればそちらを優先させて貰おうと思ってな」

「・・・・分かった。加勢感謝する」

「人質は?」

「この奥にある牢屋にいるらしい。我らはそこに向かおうと思っていたのだが関羽殿が無体を働かれている娘を見て歯止めが利かなくなってしまってな。暴走してしまったのだ」

「ちょ、張雲殿!?」

・・・・・・・何!?

関羽に張雲だと!?

関羽と言えば、劉備の義兄弟にして蜀の武将中でも忠義の人として名高く武人としても最強の一人に数えられ、五虎大将軍の一角に数えられる程の猛将。そして張雲は五虎大将軍の一角を同じく任される程の武力を誇り、『子龍は一身是胆なり』と呼ばれる程恐れからかけ離れた将。そんな有名人がなぜここに!?特に関羽!!!劉備はどうした!?張飛は!?

しかも、女!?

・・・・・・・パラレルワールドって奴か。人の想像できる事は全て実現すると言うが正にその通りだな。

「なるほど、それでこの状況か」

「うむ。それで困っていたのだがな。貴殿らの加勢で何とか道を開けそうだ」

「そうか。なら、逝くと仕様か」

そんな訳で、伝説級の武将との奇妙な共同戦線が結成された。

 

説明
第三話です。今回少し駆け足気味になってしまいました。申し訳ありません。後、今更なのですが、今回のお話はアニメの恋姫無双のお話とからんでいます。この作品、たまにアニメのネタも絡めて行くのでご了承を。(名前を間違えたので改訂しました)
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恋姫†無双 恋姫 賊軍大将 サラリーマン オリ主 

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