IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者?
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episode130 極秘情報

 

 

 

 

「サミット防衛線からそれほど経っては無いのですが、お久しぶりです、織斑教官」

 

「あぁ」

 

IS学園に到着してからクラリッサは千冬に会い敬礼した。

 

服装はISのコアに量子変換して保存していたシュヴァレツェ・ハーゼの部隊員が着る軍服を着ていた。血で汚れた眼帯は新しいのに変えていた。

先ほど怪我の治療を受けて頭に包帯が巻かれていた。

 

近くには輝春が居り、アーロンと颯はこの場にいない。

 

「・・・こんな形でお会いすることになったのは残念ですが」

 

「仕方が無い。気にするな」

 

「・・・・」

 

「しかし、なぜお前がここに」

 

「・・・・」

 

クラリッサは暗い表情を一瞬見せる。

 

 

 

「数日前に、何の前触れも無くシャドウがドイツに侵攻してきたのです」

 

「なに?」

 

「ドイツにあいつらが・・・」

 

「軍は応戦するもあまりにも戦力さに全滅は時間の問題でした。我々シュヴァレツェ・ハーゼも応戦するも防戦一方が限界でした」

 

「・・・・」

 

「そんな時に、我々にドイツ軍の上層部よりとあるものをIS学園に届けるようにと命令を受けました」

 

「・・・・」

 

「しかしそれは祖国を見捨てることのようなものです」

 

「・・・・」

 

「しかし、上層部は必ず届ける必要のあるものだと命令し、我々は生き恥を忍んでドイツを抜けIS学園に向かったのです」

 

(命令の重要度から必ず成し遂げないといけなかったんだろうな。国を見捨てる事になっても・・・)

 

「その後もシャドウの追撃に遭い、部下は重要物を運ぶ私の為にシャドウに捕まって時間を稼いだ」

 

クラリッサは俯くと静かに震える。

 

「そうか・・・」

 

「そうしてあの時に至るって事か」

 

「えぇ」

 

 

 

 

 

「それで、一体何を運んでいたんだ」

 

「こちらです」

 

と、クラリッサは右手に持つアタッシュケースを千冬に見せる。

 

「この中には軍でも最重要機密が入っています。軍でもほんの僅かな者しか知らない物です」

 

「・・・・」

 

「渡された時も何も聞かされていませんので、どんなものかは想像が付きません」

 

「・・・・」

 

クラリッサは近くにあったテーブルにアタッシュケースを置くと、ナンバー錠を解いて開けると、タッチパネルとロックされたふたがあり、次は暗証コードを入力してロックを解除してふたが開き、そこにメモリーカードが入っていた。

 

「メモリーカード?と言う事は何らかのデータってことか」

 

「これの為に厳重にロックされているほど重要なものか」

 

「上層部の話では、軍の技術に関わるものでは無いようです」

 

「ますます分からんな」

 

「要は見れば分かると言う事だろう」

 

千冬は手にしていたタブレット端末をクラリッサに渡して、メモリーカードを端末に入れて起動する。

 

「・・・これは?」

 

クラリッサはデータを見て疑問の色を浮かべる。

 

「内容は?」

 

 

 

「・・・この記録の始まりは・・・四十年前になります」

 

「かなり古いな」

 

「何が記されている?」

 

「・・・記載されている文によると・・・ドイツ南部の山岳地帯で地震が起きて大規模な土砂崩れがあり、その現場である物が発見された」

 

「ある物?」

 

「こちらです」

 

と、クラリッサが端末の画面に映る物を二人に見せる。

 

「これは・・・?」

 

「何だ?」

 

それを見て二人は目を細める。

 

外見は楕円形のもので、薄い紫に光っていた。どことなく卵の様で、繭のような生物的な感じがあった。

 

「当時から現在までこの物体の正体は全く不明。常に謎のエネルギーを発し、スキャンしても中身までは分からないようです。物体の表面を調べた所、構成物質は不明ですが、構成と物質の類似点から・・・繭のようなものだと推測されているようです」

 

「ま、繭だと?」

 

「三メートル近くはある繭か」

 

「四十年経った今でも羽化する予兆はないようです。しかしまるで生きているかのように、心臓の鼓動のような音を一定の間隔で出しているようです」

 

「生きている・・・って言うのか?」

 

「そもそも地中の中になぜ繭が・・・」

 

ますます謎が深まるばかりに二人は首を傾げる。

 

「そこの地層も調べられているようです。推測でも紀元前・・・それもかなり初期の地層であるようです」

 

「そんな昔の地層からだと!?」

 

「何千も前から・・・」

 

「その時に繭となって眠りについた・・・と、言う事なのか?」

 

「そんな蛾が居るかよ」

 

「そんなのは分かってる。それに蛾とは限らないだろ」

 

「じゃぁ何だよ。三メートル近くはある魚か?トカゲか?」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「少し前まで軍の最重要施設の地下深くに安置されて調査されていたようです」

 

「・・・正体が全く分からない繭・・・しかもまだ生きている。だがこれを隠す理由が分からんな」

 

「たぶんこいつが生まれたら何かをしようと思ってたんだろうな。ただの代物じゃないから他の者には知られないようにした」

 

「・・・・」

 

 

「それと、繭があった地層の調査をした所、不可解なものも発見されています」

 

「不可解なもの?」

 

「地層の土とは質が違う土があって、中には武器のような形状をした土ぐれがあったようです」

 

「どういうことだ?」

 

「調べた所、何かが分解されて出来た土ぐれのようです」

 

「ますます謎が深まるばかりだな」

 

「あぁ」

 

「だが、それをなぜドイツのお偉いさんは俺達に教えようとしたんだ?」

 

「・・・恐らくシャドウと交戦経験が多いIS学園の者に見て欲しいんだと思います」

 

「なに?」

 

「どういう事だ?」

 

「・・・シャドウはドイツ侵攻時に、真っ先にこの繭を施設より運び出していますから」

 

「あいつらが?だが何でこの繭を・・・」

 

「その繭が何か知っているから、なのかも知れない」

 

「あいつらが繭の正体を知っているって言うのか?」

 

「そうでないと、軍でも僅かな者しか知らない施設にこの繭があるとは分からない」

 

「確かに・・・」

 

「で、この繭の事を知られないために関連データを運んでいたクラリッサたちを襲ったのか」

 

「それなら辻褄が合うな。それで、今ドイツはどうなっている?」

 

「恐らく陥落し、シャドウに占領されていると思います」

 

「・・・・」

 

「私の役目はこのデータをIS学園に運ぶ事です。しかしその後の命令は受けてない為、これからは私独自の判断で動きます。しばらくの間は織斑教官の指揮下に入ります」

 

「・・・許可する」

 

「ボーデヴィッヒ少佐の事は聞いております。私も全力を持って少佐の救出に当たりたいと思います」

 

「うむ」

 

千冬はクラリッサの言い分を承諾した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・少しいいか?」

 

「ん?」

 

それからしばらくしてクラリッサは輝春に近付く。

 

「さっきは・・・感謝する。お陰で助かった」

 

「礼はいいさ。当然の事をやったまでだ」

 

「そうか・・・」

 

「・・・格下の男に助けられたのが気に食わないのか?」

 

「そうではない。むしろ私はそうは思わん」

 

「・・・?」

 

「今までの時代を築き上げてきたのは男だからな。それがISの出現で女の方が偉くなったと言えど、それが正しいとは思わん」

 

「珍しいな。今時そういう、それに軍人でそう思うのが居るとはな」

 

「そうだろうな。それと、一ついいか?」

 

「何だ?」

 

「・・・あの救世主は・・・お前が乗っていたのか?」

 

「あぁ。ドイツの方じゃAGE-1はそう呼ばれているのか。そう呼ばれる事は無いと思うが・・・」

 

「あの事件でお前のAGE-1とやらは救世主に相応しい存在になったのだぞ」

 

「そうか」

 

今となっては残っているデータは少ないが、ドイツで初めは名も分からなかったバインドと接触があり、そのまま戦闘に入り、そこで訓練生時代であったクラリッサとラウラが輝春が操るAGE-1によって救われている。

 

 

 

 

「・・・・」

 

「どうした、大尉?」

 

ぼー、とするクラリッサに輝春が聞くとハッとする。

 

「い、いや、何でもない」

 

「・・・・?」

 

「それに・・・私の事は・・・名前で呼べばいい。私もお前を輝春と呼ぼう」

 

「あ、あぁ・・・分かった、クラリッサ。これで良いのか?」

 

「あ、あぁ・・・」

 

クラリッサの頬は少し赤くなっていた。

 

 

 

 

 

 

(日本の漫画ではよく主人公に絶体絶命の時に助けられて惚れるヒロインも居るが・・・ありがち間違った表現ではないのだな)

 

内心でクラリッサは呟いた。

 

(ボーデヴィッヒ少佐も・・・少なからずこんな気持ちだったのかもしれないな・・・異性に惚れると言うのは・・・)

 

どこかずれた表現でクラリッサは納得していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして今に至る。

 

 

 

 

「ラウラが率いる部隊の副官のIS・・・これは酷いな」

 

隼人は損傷状態を見て静かに唸る。

 

(これでよく逃げながらバインドと交戦したな)

 

そうしてウインドウを閉じて別のウインドウを出す。

 

(こいつは外装を全てと内装を一部変えた改装じゃないと修復は出来んな)

 

色々と考えていると――――

 

 

 

 

 

 

「ほとんど会ったことの無いのに改装を引き受けるんだね」

 

と、束は例の受信機の解析と千冬のISの最終調整と白式の改修作業を同時に行っていた。

 

「ラウラの持つ部隊の副官ですからね。別に断る理由は無いですよ」

 

隼人はデータを表示したモニターでデータを選別しながら答える。

 

「私だったら断固拒否するけどね。何で他人の為にそんな事をしないといけないのかって」

 

「それは束さんの見解ですよ。俺の見解は違う。それだけの事」

 

「・・・・」

 

「分からないものですね。どうして束さんがそこまで他人嫌いなのかが」

 

「別にはっくんが知る理由も無いと思うよ」

 

「そうでしょうね。その先は俺が踏み入れる領域ではないから」

 

「・・・・」

 

「疑問に思っただけですよ」

 

「・・・・」

 

どことなく張り詰めた空気がしばらく流れた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!


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フラグが立ったか…。(mokiti1976-2010)
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ユニコーン バンシィ ガンダム インフィニット・ストラトス IS 

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