【K】善条さんがアンナに飴ちゃんをもらう話 |
カサ、と右手に下げた買い物袋を軽く揺らし「帰ったらすぐ昼メシ作らなアカンなぁ」と、草薙が苦笑混じりに左手で繋いだアンナの小さな掌を軽く握れば、人形のような少女は、こくり、と微かに頷いて見せる。
「思ったより時間かかってもうたしな」
「ミコト、きっと待ってる」
珍しく自ら食事を要求してきた周防にすぐなにか作ってやれれば良かったのだが、間の悪いことにHOMRAの冷蔵庫は八田と鎌本の襲撃を受けた直後で、ロクな物が残っていなかったのだ。
「十束も便乗して結構な量、食いおってからに……」
アンナの為にと買ってあるプリンなどのデザート類は、粗方十束の胃袋に収まってしまった。
「尊のやつ、ふて腐れてまた寝に戻ってなければえぇんやけど」
デカイ子供がぎょうさんおって困るわーほんま困るわー、とわざとらしく嘆くも、アンナは草薙を見上げて軽く首を傾げるだけで口を開くことはしない。
「なぁアンナ、ほんまに飴ちゃんだけでえぇんか? 他にもチョコとかクッキーとか。ほらケーキ屋もそこの角にあるんやし」
「……これで、いい」
ドロップ缶の入った小さな袋を胸元に引き寄せ、いい、と繰り返すアンナに、そうか、と草薙が眦を下げたその時、ふと、アンナがあらぬ方向を見上げた。
「どないしたん?」
きゅっ、と無言で強く握られた手に草薙は、良くないモンがおるんか、と僅かに眉を寄せる。それを裏付けるかのように横手を走り抜けた車輌に、あぁ、と無意識の声が零れ落ちた。
成り行きとはいえ吠舞羅が関わった事件が原因で旧体制解体と相成ったセプター4は、程なくして新たな王が現出するも新体制で活動を始めてから日が浅い。青の王の人となりもまだ霞の中で、少しでも早く、少しでも多くの情報を得たいというのが草薙の正直な心境だ。
前を見ているのかすら怪しい周防に代わり、全方位に目を光らせるのが自分の役目であると、草薙はそう思っている。
赤の王の元に集う者たちはどちらかと言えば肉体派で、頭脳派は悲しいかな皆無と言えた。正面からのやり合いだけで済むのならそれで問題はないが、やはり今のご時世、情報がものを言う場面が多々あるのが実状だ。
特殊車輌が二台三台と立て続けに消えていくその先は、既に封鎖されていたのか一般車輌や通行人が多数引き返してくる。
「なんや、誘導はナシかいな」
セプター4に案件が引き継がれたのならば、所轄の警察は一般市民の避難誘導に移るはずだ。だが、パトカーのサイレン音が全くしないことから、警察はこの付近には居ないことが窺えた。
「連携ミスか、あるいは……」
舐められとんのか、とはさすがに口にはせず草薙は、いつの間にか足が止まっていることにも気づかぬまま思考を巡らせる。
「……イズモ」
くん、と手を引かれ、はっ、と我に返れば、アンナが無言で見上げており、草薙は困ったように眉尻を下げると「かんにんな」と詫びの言葉を口にした。
「急いで帰る言うてたのにな」
「行きたいの……?」
「ん?」
不意の問いかけに首を傾げればアンナは、あっち、とセプター4の特殊車輌が消えた方を示す。
「あ、あー……いや、えぇよ。行ったところで追い返されるだけなんは目に見えてるし」
それよりも尊のメシやメシ、と再び足を踏み出すも、草薙の左手だけがついてこない。
「アンナ?」
どないしたん、と振り返れば、その場に踏ん張っていたアンナが、ぽつり、と一言。
「イズモの、うそつき」
漏らすが早いか、ぱっ、と草薙の手を振りほどいて駆け出してしまった。
「ちょっアンナぁ!?」
一体なにが彼女の気に障ったというのか、封鎖区域に向かってしまったアンナを追って草薙も走り出す。既に人通りも車通りも途絶えたそこは、向かう先から押し寄せる緊迫感とその中を駆ける少女の服装のせいか妙に現実味が無く、草薙は「アンナ、危ないから戻り!」と声を張り上げた。
それでも少女の足は止まらず、意外な健脚に舌を巻きつつどうにか細い腕を捕まえたのは、封鎖ゲート前に立ちはだかる人間の表情が視認可能なほど現場に近づいてからであった。
「もー、アンナの身に何かあったら尊に合わせる顔がないわー」
道路に片膝をつきアンナの肩を抱き寄せるも、アンナはこれといった反応を見せず、じっ、とゲートの方向を見ている。それにつられてか、すー、と流れるように草薙もそちらを見やれば、青服と一般市民が押し問答らしきものを繰り広げていた。
「いや、一般市民よりちぃーとばかしタチの悪い子ぉらか」
聞こえてくる会話から察するに、青服が気に入らない血気に逸ったチーマーが若い隊員に難癖をつけていると言ったところか。
「いちいち相手にしとらんのは感心やけど、一般人を現場にいつまでも居させるのはアカンなぁ」
職務に忠実に「退避してください」と繰り返すばかりで一言も言い返してこない隊員相手に調子に乗ってしまったか、更に声を荒げて突っかかっている男ふたりは見るに堪えない。
仕方ない、と苦笑を浮かべつつ草薙が立ち上がったのと、ゲート向こうの特殊車両から、ぬっ、と大きな影が降りてきたのは同時であった。
年の頃は三十半ばか。ひょろり、と縦に長いだけではなく、それに見合ったがっしりとした肩幅と、そこから伸びる腕は筋肉の塊と言っても過言ではないだろう。腰に下げた大太刀を引き摺ることなく、のそり、とゲート前にその男が立った時点で、騒動は収まったも同然だ。
「この先は危険ですので一般の方は退去をお願いします」
凄みを利かせるでもなく、声を荒げるでもなく、訥々と語りかけるという場に似つかわしくない穏やかな勧告であったが、それが逆に恐ろしいものに感じたか、今の今まで威勢良く噛みついていた若者ふたりは急に借りてきた猫のようにおとなしくなり、何事か口中で、もごもご、と不明瞭な言葉を漏らしてから、文字通りその場から逃げ出したのだった。
「なんやエラいのが出てきたなぁ」
顔の傷もそうだが、何より目を引いたのは肘の辺りで結ばれた左袖だ。あれがひょっとして、と草薙が目を細めた先で、車輌からもうひとり青服が姿を現した。
「あ、世理ちゃん」
間の抜けた声が聞こえたわけではないであろうが、未だ退避していない一般人に気づいたか、淡島が秀麗な眉を、きりり、と吊り上げる。
「そこのふたり」
「どうも。お仕事ご苦労様です」
見つかってもうたー、と半笑いで近づいてくる草薙に合わせるように淡島も自ら足を進め、ゲートの外へと出てきた。
「ふざけないで。この区域は避難勧告が出されているはずです」
「そない言われても誘導のおまわりさん、ひとーりもおらんかったで」
なぁアンナ? と傍らの少女に同意を求めれば、無言で、こくり、と上下する小さな頭に、淡島は隠すことなく眉根を寄せたまま早口にインカム越しに指示を飛ばす。
「所轄の警察に至急確認を。撤収なんてふざけたことをしていたら……えぇ方法は任せます。引っ張り出しなさい」
さすがツンドラの女、と漏らした草薙に淡島は呆れた顔を向けたかと思いきや、なにか気に掛かることがあったか不意に真顔になる。
「さっきのチーマー……吠舞羅のメンバーじゃないでしょうね」
「まさか。ウチの子ぉらは聞き分けの良い子ばかりですわ」
「どうだか」
ふん、と軽く一蹴する淡島に、辛辣やわぁ、と笑って見せつつ、草薙はサングラスの下では探るように鋭く目を光らせる。
「ほんま、苦労してはるみたいやねぇ」
僅かに声音の変わった草薙がなにを言わんとしているのか気づいたか、淡島は一瞬片眉を上げるも肩から力を抜くと同時に、ゆるり、と眉尻を下げた。
「若い隊員ばかりで軽く見られているのはわかってるわ」
頭の痛いことにね、と緩く頭を振る淡島の背後では、ひとり毛色の違う男がこちらの様子を、じっ、と窺っており、その無言の圧力に草薙は居心地悪そうに足を踏み換える。
「世理ちゃんの後ろでおっかない顔してはるお人はどちらさんで?」
年齢も纏う空気も他の隊員とは異なり、なにより場慣れしたその立ち居振る舞いは草薙の警戒心を嫌でも刺激する。
「あれ、内務の制服やろ? しかもシャツは規定外や。セプター4は規律にキビシイ思てたんやけどなぁ」
「お喋りな男はモテないわよ」
良く回る口を一言で黙らせた淡島は肩越しに振り返り、軽く目配せをした。それを受けて隻腕の偉丈夫は静かな足取りでゲートから出ると、淡島の横には並ばず一歩引いた位置で歩みを止めた。
「善条剛毅隊員よ。室長の要請により、もしもの場合に備えて待機してもらっています」
隠したところで草薙ならば労せず情報を得てしまうことをわかっているからか、淡島は男らしいまでの潔さで善条を草薙と対面させた。当然、ただ引き合わせただけではなく淡島にも目的はある。吠舞羅の幹部である男の顔を善条に、直にしかと見ておいて欲しかったのだ。
「へぇ、青の王直々のお願いですか。それは凄いですなぁ」
「いえ、弾除けくらいにはなる程度と思っていただければ……」
草薙も高身長ではあるが善条はそれよりも大きい。人を見上げるなどそうそうないことを差し引いても、善条という男はそこに居るだけで人を畏怖させるなにかがあると、草薙は内心で首を竦める。
「またまたご謙遜を」
緩く返しながらその名を聞き、草薙は自分の予想が正しかったと知る。
旧セプター4時代、王の懐刀と呼ばれていた男に間違いない。先代の赤の王のダモクレスダウンに巻き込まれ、不運にも主を失い隠遁したと聞いていたが、旧時代の人間を現在の青の王が起用しているのは意外であった。
草薙が知る旧セプター4の男はあっさりと、なんの未練もなく切り捨てられたからだ。
「善条隊員。このふたりはチーム吠舞羅のメンバーです。ナンバー2の草薙出雲と櫛名アンナ」
「赤の、クランズマンですか」
一瞬。ほんの一瞬ではあったが善条の凪の海のような瞳に波が立った。だが、それに気づいたのは草薙の足元でずっと黙っている少女だけであり、意図せず男の感情の揺らぎを拾い上げてしまい、そこになにを感じたか、きゅっ、と唇を引き結ぶ。
「淡島副長。そろそろお引き取りいただいた方が、良いかと思います」
赤のクランズマンとはいえ、一般市民には変わりない。しかも草薙が連れているのは、年端もいかぬ幼い女の子だ。異能者の居る場所から距離はあるとはいえ、状況は刻一刻と変化しており、ここも絶対安全とは言い難いのだ。
善条の危惧を正確に受け取った淡島が「自分の身は自分で守れると思うけど、立場上こちらはそれに期待するわけにはいかないので、早急に退去してください」とふたりに告げたその時、インカム越しの逼迫した声に瞬時にセプター4ナンバー2の顔へと変貌した。
「被害状況は!? ──そうか、隊を分けて負傷者の回収と目標の追跡、確保を最優先……」
「──来る」
草薙の手を、きゅっ、と握ったアンナの呟きを誰も理解する間もなく、どんっ、と空気が震えた。その衝撃でゲート向こうに駐車していた車輌が地を離れ、まるで見えない腕に押されているかの如く真っ直ぐに吹っ飛んでくる。
青の能力は防壁を張り、守ることに秀でたものではあるが、物理的な力である車輌と不可視の力である衝撃波の双方を防ぐには一般隊員では到底力が及ばず、不可視の衝撃波から己を護るだけで精一杯だ。
青の王であればこの場にいる全員を己の聖域によって守るなど造作もないことであろうが、今、その王は居ない。
丸ごと全てを受け止めることは無理であると理解しているが、それでも車輌の軌道を逸らすことが出来ればと、防壁を展開するべく草薙とアンナの前に立った淡島の前に、ぬっ、と巨大な壁が立ちはだかった。
押し寄せる圧迫感をものともせず、太刀を抜くことなく鞘を掴んで横薙ぎに振るわれたそれは、凝縮された力の刃であった。
否。刃という鋭いものではなく、巨大で強大な壁そのものだ。
圧倒的な力に押しのけられた車輌と衝撃波は横手のビルに叩きつけられ、無惨なまでにビル諸共大破する。
ここまでの出来事はほんの数秒の、それこそ瞬きひとつの間の出来事だ。もうもうと上がる砂塵と、パラパラ、と崩れ落ちるコンクリート片に、ごくり、と草薙の喉が鳴った。
「これは……大した弾除けやな……」
青の王はこない隠し球持っとるんか、と内務の制服に身を包んだ男の背中を見据えたまま、草薙は安堵の息を吐くと共に咄嗟に抱き締めたアンナの頭を、ゆるゆる、と撫でる。
「怪我は、ありませんか」
背を向けたまま静かに問うてくる善条は未だ警戒を解いておらず、びりびり、と痛いまでにその気迫が伝わってくる。だが、淡島が二三、インカム向こうの隊員とやり取りをした後「確保したそうです」と告げれば、立ち上っていた鬼のような気迫は瞬く間に消え失せ物静かな男へと戻った。
青のクランの力は凜と冴え渡った氷のようなイメージがある。だが、この男の力はまるで、青く燃え盛る荒々しい焔だ。現在のセプター4にはそぐわないと、ボタンをひとつ掛け違えたかのような違和感に草薙は内心で眉根を寄せる。
「結構な距離、飛ばしてきよったなぁ」
道路の先を透かし見るように目を細める草薙に倣って淡島も確保地点を見やり、「この程度の被害で済んだのが幸いというべきかしら」と苦い顔で漏らしたのだった。
あぁこりゃ下手打った隊員は帰ったら折檻決定やなぁ、と名も顔も知らぬ隊員に憐憫を寄せつつ、草薙は未だ背を向けている善条に向かって「助かったわ」と感謝の意を込めて言葉を投げる。
「いえ……」
ゆうるり、と振り返った善条はどこかばつの悪い顔をしており、一体どうしたのかと訝る草薙を余所に、隣のアンナの前で善条は膝を折った。
「こわい思いをさせて、すまなかった」
しゃがんでも少女より上にある顔は困ったように眉尻が垂れており、先の鬼気迫る姿をさらした男と同一人物とはとても思えない。
ゆるゆる、と大きな手に頭を撫でられながらアンナはポケットから赤いビー玉を取り出し、そっ、と己の眼の前に翳した。端から見れば不可解な動作であるが、これが彼女の世界との繋がり方なのだ。
「……ふたつ」
ぽつり、と漏らされた言葉の意味がわからず善条は、ぴたり、と手を止め、問うように僅かに首を傾げる。だが、それには応えずアンナは下げていた袋からドロップ缶を取り出すと、ぐい、と善条の胸に押し付けた。
「これは……」
「あ、あーもしかしてお礼のつもりなんか?」
助け船のつもりか傍らの草薙が問えばアンナは無言で草薙を見上げ、何事か考えるように、じっ、とサングラスの奥の瞳を凝視した後、肯定とも否定とも判断しかねる曖昧な首の振り方をしただけだった。
あとはテキトーに誤魔化したってや、と淡島に丸投げして現場を後にした草薙は、アンナを庇った際に投げ出してしまった買い物袋を覗き込んで、がくり、と肩を落とす。
「やってもーたわ……」
卵は見事にパックの中で黄身を覗かせており、白身は隙間から、ぬるん、と流れ出ている。
「アンナは飴ちゃん缶缶ごとあげてもうたし、もっかい買い物戻るか?」
「……いい」
ふるり、と首を横に振るアンナを見下ろし、草薙は開き掛けた唇を一旦閉じ、再度口を開いた。
「なぁ、アンナ。あん人になにが見えたんや」
この少女が他人に興味を持つなど珍しい、と好奇心が擽られたのは否定しないが、それよりもその後のアンナの行動が不可解で、草薙は返事は期待せず問うてみた。
二歩、三歩と足は進むも沈黙が続く。やっぱりアカンか、と草薙が諦めかけた時、
「……光。大きくて眩しい光と、小さくて柔らかな、光。でも、もうどこにもない。……泣いてた。暗いところに閉じこめられた鬼が、ずっと……泣いてた」
意外なことに素直に答えてくれたアンナに驚き、更にその内容に軽く目を見張る。小さな光は見当がつかないが、大きな光は恐らく先代の青の王のことだ。あの男は王という導を失い、光の届かぬ暗闇の中で生きているというのか。
では、善条にとって現在の青の王である宗像礼司は、一体どのような存在であるのか。こればかりは探りを入れたところで理解できるものではないと、草薙は詮索することを早々に放棄した。
ぽん、とアンナの頭に軽く掌を乗せ、ゆるゆる、と撫でる。危うい王を頂く赤のクランからすれば、あの男の現状は他人事に思えなかったのだろう。
「お礼やなくて慰め、か……」
アンナは優しいなぁ、と独り言のように呟いて、草薙はもう一度アンナの頭を撫でたのだった。
報告書兼始末書を手に執務室を訪れた善条が動く度に耳慣れぬ音が聞こえ、宗像は薄笑いを浮かべたまま「不思議な音がしますね」と執務机の正面に立った善条に声を掛けた。
「……音、ですか」
なんのことかと僅かに片眉を上げた善条だが、あぁ、と思い当たる伏しがあったか胸元に手を差し入れ、内ポケットからなにかを取り出す。大きな掌にすっぽり収まって宗像の位置からは見えないのか、それは? と問われ、そっ、と机の上にそれを置いた。
報告書と並んだそれは赤いドロップ缶で、宗像は、おや、と驚いたように若干目を丸くした。
「意外ですね。甘いものがお好きでしたか」
「いえ、これは、貰ったものでして……」
缶を手にした宗像が軽く振れば、中では固いものがぶつかっているが、かろんかろん、とどこか柔らかい音が響き王は目を細める。
「ひとつ頂いてよろしいですか」
「はい、どうぞ」
ぽん、と蓋を外し緩く缶を振って出てきたドロップはふたつ。宗像はオレンジ色のものを口に含み、掌に残ったピンク色のドロップを善条に差し出した。
「久しぶりに食べるとおいしいものですね」
「……はぁ」
曖昧な相槌と共に宗像の掌からドロップを摘み上げ、善条は甘いそれを口に運ぶ。
「では、これを貰った経緯の確認も兼ねて報告をお願いします」
かろん、と軽やかにドロップ缶を振る宗像は、文章を綴ることを得意としない善条の報告書など、端からアテにしていなかったらしい。言葉を紡ぐことも得意ではない善条からすれば、どちらも苦行だ。
それをわかった上で要求してくる宗像を睨み付けたいのを、ぐっ、と堪え、善条は重い口を開いた。
途切れ途切れになりながらも、どうにか事のあらましを伝え終えた善条に向かって宗像が一言。
「動物と、意外にも子供にも好かれるんですね、善条さんは」
それに対しては返事のしようがなく、善条は口を噤んだまま顔の傷を撫でたのだった。
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2013.03.10
説明 | ||
・時系列はSIDE:BLUEの少し後といった位置づけ。 ・幼女に飴ちゃん貰う善条さん微笑ましくね?と思って書き始めたはずがなんでこうなった的な結果に。 ・最後にちょろっと室長にご登場願いましたん。 ・タイトル思いつかなくて直球の仮タイトルのままだけどいつものことだからキニシナイ!(震え声) |
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