響く音は誰のためか(恋姫短編) |
音々音「違うのです。ここはこうするべきです」
一刀「ん〜…個人的にはここはもうちょっと控えめにした方が人を節約できると思うけど」
音々音「それも悪くないですが、こうすればがあっち側に手が出せるはずです」
一刀「あ!なるほど、それは思いつかなかったな」
音々音「ふふん、まだまだですね」
ここは城のとある一室です
なぜねねとへぼ主人がこんな会話をしているかを説明するとねねたちが今『勉強会』をしているからです
なぜねねとへぼ主人が『勉強会』なんかしているかを説明すると朱里と雛里の発案のせいです
この勉強会の主な目的はへぼ主人を教育することです
一国の主としてはもう少し知識を持っていなければならないと判断したみたいです
その教育者としてねねに白羽の矢が立ったわけです
といっても、それはねねが優秀だからと言うわけではなく、むしろ文官としての経験が足りないからだそうです
だから、『勉強の最適な方法は勉強を教えること』という格言にしたがってへぼ主の教師なんぞをしているわけです
まあ、確かに朱里と雛里はねねと比べて軍師としての能力は別格です
というか、あの二人は三国の全軍師全文官たちのなかでもずばぬけています
また、一時期は月殿の下で軍事、政治を任されていた詠も癪ですが能力自体はねねより高いです
そんなわけでくやしいですことはくやしいですがねねの経験が他と比べて足りないのは事実です
最初のうちは普通に教えていましたがへぼ主が多少はましになってきてからはむしろ議論するのが主な活動になってきました
やってみると議論と言うのはなかなかよいものです
意見を言い、知識を得て、考えて、論破する
頭を動かすことはやはり楽しいことです
それにへぼ主人も腐っても天の御使いですから、たまにですけどねねが考えもしなかった意見を出してきます
なんだか教えて教えられるようなという奇妙な関係ですが妙に心地いいです
それに、最近はなんだか調子がいいです
前なら思いつかなかったであろう政略、軍略の策がどんどんあふれてくるのです
仕事も前の半分くらいの時間で片づけられるようになりました
ありふれた言い方をすると『日々が充実している』といった感じです
あとは…
一刀「あ…もうこんな時間か。じゃあ、今日はここまでにしようか。飯食いに行こうぜ」
音々音「もうへばったのですか?しょうがないですね。今日はねねの勝ちですからおごってもらいますよ、一刀」
へぼ主人と一緒にいる時間が多くなってへぼ主のことを名前で呼ぶようになったです
そんなある日
朱里から呼び出しがきました
音々音「何の用ですか?」
朱里「最近すごいよね、ねねちゃん。仕事の効率とか前よりだいぶ上がってるよ」
音々音「前置きはいいです。要件は何ですか?」
朱里「ああ…うん。実は教師の件なんだけど、他の文官さんたちにも教えてあげてくれないかな?」
音々音「他の文官たちも面倒を見ろということですか?」
朱里「うん。今のねねちゃんなら余裕があると思うんだけど」
音々音「まあ、いいですよ」
朱里「あと、ご主人様のことは私と雛里ちゃんで引き継ぐよ」
音々音「え?…どういう…ことですか?」
朱里「ご主人様も文官としてだいぶ成長してきたからそろそろ私たちが教えてもいいかなと思って」
音々音(確かに今のねねでも文官としての能力では朱里たちにとても勝てないですけど…)
音々音「分かり…ました」
そこまで大変な仕事を任されたわけでもなかったのに妙に気分が悪くなりました
その日からしばらくして文官たちへの教育が始まりました
けど…
音々音「楽しくないです…」
前はあれほど楽しかった議論もあまり楽しいと思いません
文官たちの中には一刀よりしっかりした考え方、やり方を持っていた人もいましたけど議論してもなんか楽しくありません
教育にも妙に身が入りません
一刀とやったときは教えることも楽しかったのに
前はよかった調子も最近はいまいち芳しくありません
音々音「ご飯の時間ですか…」
今日も一人でご飯です
本当は恋殿と食べたいところですが、恋殿は武官ですから仕事中はあまり会えません
まあ、近くにだれかがいればその人を誘いますけど
そのとき近くの扉から話が聞こえました
一刀「そうだなあ…これならどうだ?」
一刀の声です
気になってちょっと覗き見してみました
朱里「私もそれならだいじょうぶだと思います。雛里ちゃんは?」
雛里「私はこれよりもこっちを使ったほうが好きです」
一刀「たしかにこっちの方が雛里らしいけど、もっとどーんと構えてもいいんじゃないか?」
雛里「そうでしょうか?…でも、この方法の方が…」
話は続いてます
きっとなんかの題目で議論してるんでしょう
その表情は真剣ですがなんだか楽しそうです
音々音「盗られたです…」
最初に思ったのはそれでした
少し前なら一刀の隣にいたのはねねだったです
また気分が少し悪くなったような気がしました
それからも仕事が立て込んでて一刀に会うことは出来ませんでした
こうなると一刀の周りにいる女はすべて敵であるかのように思えました
いつも一刀と一緒にいる桃香と愛紗
一刀と軽口を聞きあう星と鈴々
ともに一刀と訓練し汗を流す翠と蒲公英
あからさまに一刀にせまる紫苑と桔梗
一刀とどたばたしてる焔耶と美以たち
一刀の奉仕することが仕事の月と詠
ねねから一刀を盗った朱里と雛里
みんなしてねねに見せびらかしていると思いました
そして、今日も仕事が終わって気分が悪いまま恋殿の帰りました
恋殿だけはねねを裏切ったりしないねねの味方です
音々音「ただいまです、恋殿」
恋「………おかえり」
音々音「おや恋殿、なんかうれしそうですね」
普通の人がはたから見てもわからないでしょうがねねにはわかります
音々音「なにかありましたか?」
恋「………今日はご主人様と警邏した」
音々音「…え?」
うそですよね恋殿?
恋「………いっしょに散歩して肉まん食べた。………楽しかった」
音々音「………」
恋「………ねね?」
じゃあ恋殿も私の味方じゃないんですか?
恋「………ねね?」
私はしばらく一刀と会ってさえいないんですよ
恋「………ねね?………ねね!」
この女もねねにいじわるする敵なんですか?
恋「ねね!しっかりして!起きて!目を開けて!」
華佗「重めの風邪だな。割と長い時間無理をしてたみたいだ。まあ、しばらく安静にしておけば大丈夫だろう。肉体的だけじゃなくて精神的な疲れもたまってたかもしれない、ゆっくり休ませてやれ。あと、誰かひとりは看病してやれ。体調や調子が悪くなると情緒不安定になって普段なら考えないことも考えるようになるからな」
音々音「…う〜ん…ここは?」
一刀「よかった!起きたかねね!」
音々音「…一刀?」
どうやらねねは倒れてしまったみたいです
起きたら自分の部屋の寝台の上でした
一刀「しばらく俺が看病するよ」
音々音「…一刀が?お前に看病なんかできるですか?」
一刀「大丈夫だって。それに仕事も今は朱里と雛里に任せてる」
うれしかったです
そして、あの時間は楽しかったです
久しぶりにたくさん一刀と話しました
仕事をほかの人に任せてでもねねと一緒にいてくれました
やっぱり一刀だけはねねの味方です
だから、一刀…
一刀「じゃあ、もう帰るよ。暖かくしておけよ。おやすみ、ねね」
音々音「そのくらいわかってるですよ。おやすみです、一刀」
こんな敵だらけのところから一緒に逃げるです
しばらくしてねねの風邪も治りました
一刀も毎日看病に来てくれました
ねねの敵たちもお見舞いにきてくれましたが正直どうでもよかったです
そして…
「火事だー!」
「火を消せ!」
「用のない者は迅速に逃げろー!」
一刀「くそ、なにがあった!」
「出火元はまだ不明です。急いでお逃げください」
音々音「一刀!こっちです!」
一刀「ねね!もう大丈夫なのか!?」
音々音「風邪ならとっくに治ってます!それよりもこっちに馬車を用意してます!」
一刀「分かった!一緒に逃げよう!」
音々音「はいです!」
これでずっと一緒ですよ、一刀
今はある村で一緒に生活をしているです
一刀は最初のうちはいろいろごねて帰ろうとしてました
きっと、あの女どもに変なことを吹き込まれたんでしょう
だから今は少し心が痛みますが、手錠をつけて逃げられないようにしてあります
聞いた噂によれば、あの火事は結構な規模の損害になったようです
まあ、あいつらがどんなひどい目に合おうが知ったことじゃないですけど
そんなことより今日も一刀と二人っきりです
音々音「おはようです、一刀!」
一刀「おはよう、ねね。…なあ…やっぱり…いや…なんでもない」
音々音「ん?おかしな一刀ですね?じゃあ、今日は何をしましょうか。一緒に買い物をしましょうか、一緒に新しい料理に挑戦しましょうか、一緒に散歩でもしましょうか、それとも今日はずっと愛し合いましょうか。何がいいですか、一刀?」
今はかつてないくらいに調子がいいです
説明 | ||
また短編です 前回のラブラブはよく考えたら私の知ってるラブラブじゃなかったと気づきました 今回は友情系を目指します |
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コメント | ||
ヤンねね、珍しいなだが嫌いじゃないぜ(一火) 音々怖い音々怖い音々怖い音々怖い音々怖い(頭翅(トーマ)) 俺もヤンデレや修羅場って大好物なんだよねぇ♪(親善大使ヒトヤ犬) ああ……こういうの大好きだなぁ俺(二郎刀) 淡々と語られるからこそ、この音々音の恐さが引き立っている……(喜多見功多) |
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