【習作】スカーレットナックル【オリジナル】 プロローグ「紅の拳」Ver2.00 |
スカーレットナックル プロローグ「紅の拳」
雪解けが終わり春の日差しが心地よい某月某日、この国が誇る大都市の一つ、「朝日市」の駅の付近の高架下、放置自転車の置き場となっており人気の無いこの場所に、メガネを掛けた身長の低い少年が2人の不良に絡まれていた。
「いやー、君さー、何も俺達カツアゲしようって訳じゃないのよ」
「外国の恵まれない子供達の為にさ、募金してほしいのよ、1万円程」
「あ、あの……そんなに持っていないです……」
少年はカバンを抱きしめながら縮こまる。対して周りの不良達は鼻に付く男物の香水の香りをまき散らしながら少年を威圧した。
「ああん? あるだろ? 家に帰れば親の金とかさ」
「なんなら俺ら君んちまで付いて行くよ?」
「い、嫌です!」
このままでは何をされるか解らないと感じた少年はそのまま逃げ出そうとするが、唇にピアスを付けた不良に髪を乱暴に掴まれて動きを止められてしまう。
「いだだだ!!」
「逃げんなよ、こっちの用事はまだ済んじゃいないんだからさー」
「ちょっと痛い目見ないと解んないかなー?」
そう言って不良の一人が髪を掴まれている少年の前に立ち、右手で拳を作り重心を低く落とす。正拳突きを少年に見舞おうとしているのだ。
「ひっ!」
少年は殴られると思い、反射的に目をギュッと閉じ身を屈める。だがその時……正拳突きを放った不良の右拳を、横から現れた黒いスポーティーショートに白いパーカー、紺のジーパンと言った格好の、14,5歳ぐらいの少年が掌で受け止めた。
「な、何だテメエ!?」
「……」
黒髪の少年はそのまま握力で、受け止めた拳を力一杯握り締めた。
「いでででで!!?」
余りの痛さに拳を引っ込める不良、そして現れた少年をギロリと睨みつけた。
「な、何すんだいきなり!?」
「……その動き、空手でも習っていたんですか?」
黒髪の少年は静かな口調で不良達に語り掛ける。すると不良はハンと鼻を鳴らし自慢げに語り始めた。
「お? よくわかってんじゃん! 俺実は黒帯なんだよねー! 何ならお前の体で……!」
すると不良は右拳を振り上げて黒髪の少年に襲い掛かった。
「試してやるぜええええええ!!!」
対して黒髪の少年は左手をポケットに仕舞ったまま、右手を軽く握って襲い来る不良の顎目掛けて素早いジャブを繰り出した。
「あぐっ!?」
ジャブは襲い来る不良の顎を掠めるように当たる。すると不良は脳震盪を起こされ、そのまま黒髪の少年とすれ違うように前のめりに倒れた。
その様子を見ていたピアスの不良は、何が起こったのか解らずただただ困惑していた。
「な、何だ今の!?」
「殴る動作が隙だらけだから余裕で反撃できたな……」
ブツブツ言いながら黒髪少年は何もない空間に何度もジャブを繰り出す。するとピアスの不良が捕まえていた少年を解放し、懐からバタフライナイフを取り出した。
「こ、この野郎! 舐めやがって!!!」
怒り心頭と言った様子で襲い掛かろうとする不良、だがその時……。
「敵わないと踏んだらすぐに刃物か、不良って奴はどこの地区も同じような行動をとるんだな」
黒髪の少年の後ろから、茶髪のマッシュカットに縁無しフレームのメガネを掛け、灰色のフードコートにジーパンといった格好の少年が現れた。
「何だテメエは!! 失せろぉっ!」
ピアスの不良は突然現れたメガネの少年に暴言を吐きながら、ナイフを持って黒髪の少年に突進して行く。するとメガネの少年は黒髪の少年の前に立った。
「ふん!!」
そして自分に向かって突き出されたナイフを、素早く左膝で蹴り上げて上に飛ばした。
「そうら!!」
「ごえっ!!?」
そして左ひざを上げたまま、今度は飛び上がりながら右膝をピアスの不良の顎に叩き込んだ。
不良は“ゴシャッ”という鈍い音と共に吹き飛ばされた。
「まったく……歯ごたえの無い、しかしユウキ、パンチのスピード上がったな。正確さも増した」
「アツシもね、あんな膝の連撃、俺だったら喰らいたくないよ……俺も足技練習しないと」
叩きのめした不良二人と呆然とする少年を尻目に、黒髪の男……ユウキと、メガネの男……アツシは先程の自分達の戦いを互いに分析し始める。
その時……ピアスの不良が目を覚まし、寝転がったまま携帯電話を取り出してどこかに連絡をしようとしていた。
「おい、何をしている」
「ぎゃあ!」
それに気付いたアツシはすかさずピアスの不良の腕を踏みつけた。
「お、お前らは終わりだ! 俺達はこの辺を仕切る暴走族の一員だ! ここまでされて俺達の仲間が黙っちゃいないぞ……!」
「ふーん、仲間ねえ」
「ああ! ヤクザとも繋がりがあるからな! てめえら二人共ブチ殺されろ!」
するとアツシは不良の腕から足を退ける。
「いいぞ、電話掛けて」
「は?」
「いくらでも呼んでいいって言ったんだよ、俺達は逃げも隠れもしない」
そう言って不敵に笑うユウキを見て、不良は得体のしれない恐怖を感じ、気絶したままの相方を担いでその場から逃げ出した。
「さてと……来るかな本当に?」
「あのゴミが言っている事が本当なら、多分俺達が求めている情報を得られる可能性がある。取り敢えず体で情報を集めるしかないさ」
そしてユウキとアツシは呆然と立ち竦んでいる少年に声を掛けた。
「そこの君、大丈夫だったかい? この辺って治安悪いんだねぇ」
「あ、はい……ん?」
その時、少年はユウキの手を見る。彼の手は血で紅に染まったテーピングで捲かれていた。
(なんだか痛々しいな……ちゃんと治療すればいいのに)
そしてユウキとアツシは駅の方へ歩き出した。そんな彼らを少年は呼び止める。
「あ、あの! どこへ!?」
「ん? ちょっと栄養補給をしにコンビニに、一緒に来るかい? この町の事とか色々聞きたいし」
「い、いいですけど……貴方達は一体?」
少年の質問に、ユウキは右拳で左手の掌をパンッと叩きながら答えた。
「俺達は格闘家、この町には……師匠の仇を探しに来たんだ」
NEXT STEGE「廃校舎」
アルカディアで感想欄でプロローグのひどさが指摘されたので修正しました。ついでにアツシの新技追加。膝で出す真昇竜拳みたいなイメージ。
説明 | ||
※ジャンルは格闘物、主にファイナルファイトや龍虎の拳がモチーフになっています。 ※相変わらず文章のクオリティはあんまり高くないです。 オリジナル公開するのは初めてです。 5/27 内容を大幅に変えました。 |
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スカーレットナックル オリジナル 格闘 | ||
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