魔法少女リリカルなのは 四天王始めました
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テスタロッサ姉妹が転入してからと言うもの毎朝ほぼ同じ時間に目覚ましの如く雷が落ちる。

 

始めは敵襲かと慌てたが、今となってはもう目覚ましのようなものだ。

 

それはさておき、連休になり、今日から温泉に行く。

 

荷物は着替えと各々の必需品のみ。移動は車。運転席にヴァルド、助手席にレオン、後部座席はシア、俺、リゼットの順だ。

 

これと言った問題も発生せずに宿泊先の旅館に到着した。

 

受付で部屋の鍵を受け取るときに、今日は団体客が来ることを聞いた。何でも俺達が泊まる部屋の隣の部屋に来るとか。

 

まさかね……。

 

ふと浮かんだ予感を頭から振り払い、部屋に荷物を置く。後は各自の自由になっている。

 

シアとレオン、ヴァルドの三人は海に行くそうだ。リゼットは温泉に。俺も温泉に行きたいが、容姿的に男湯に入れないので混浴の方しかないので、夜中に入るつもりだ。幸い、温泉は二十四時間いつでも入っていいのが救いだ。

 

仕方ないので俺は一階にあるマッサージチェアに腰掛けながらまったりとする。勿論、マッサージチェアは動かしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

マッサージチェアでまったりとして、約一時間。

 

「わ〜!此処が温泉のある場所なんだね!!」

 

ん?……この声は…………?聞き覚えのある声がした方に視線を向けると見覚えのある金髪少女と目があった。

 

「あっ!レイン!ヤッホー!」

 

「……アリシア」

 

アリシアがいると言うことは……勿論、テスタロッサ一家がいると言うことで……。

 

「げっ!?あんたは……」

 

「っ!?」

 

フェイトとアルフは俺を見るなり警戒する。

 

「ほらほら、フェイト、アルフ。落ち着きなさい」

 

フェイト達の後からプレシアが現れ、俺を警戒する、フェイトとアルフをたしなめた後に俺に視線を向けた。

 

「こんにちは。こんなところで会うなんて偶然って凄いわね」

 

「そうですね」

 

プレシアの言うことに頷くと、また聞き覚えのある「お姉ちゃん!手伝ってよ!」と言う声が聞こえた。

 

アリシア越しに声が聞こえた方に視線を移すと、忍さんが彼氏らしき男性と腕を組ながら歩いており、その後ろから荷物を持った二人のメイドとすずかが現れた。さらに、その後ろから、アリサとその執事の人、なのはとその姉らしき人物と見た目が異様に若い夫婦が現れた。

 

ふぅ……この時、俺は察した。この旅行は思った以上にゆっくり出来ないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、面識の無かった高町一家と自己紹介をした。そこ際に武術か何かをやってないかい?と聞かれたので、やっていないと答えた。

 

実際に俺は武術を習っていないからだ。

 

その答えに納得のいかない表情をされたが、特に何も言われることはなかった。

 

そして、俺が男であることを知らない面子からは例のごとく驚かれた。この反応には慣れてるからまだ、良いが……実際に服を脱がしてまで確かめようとした輩も出たので大変だった。

 

 

はりこの容姿は他者から男に見てもらえないようだ。

 

それに、この後すずかに話がしたいと言われ、二人だけで話すことになった。これに対してフェイトとアルフが難色を示していたが、すずかが説得して事なきを得た。

 

全く何を警戒してるのやら……俺は基本的に敵対しないなら放っておくつもりなんだが……やれやれ。

 

 

 

 

 

 

 

「……こうして話すのって久しぶりだね」

 

「そうだね……久しぶりだ。それで、話って何かな?」

 

二人だけって言ったんだ……ある程度は予想できる。

 

「……私は人間なの?それともレインくんのような化物?」

 

「……自分の好きにしたら良い。俺は俺、すずかはすずか……それ以外に成りようがない。それだけは決まっていることだ」

 

「私は……」

 

俯き悩むすずか。

 

「俺から言えるのはそれだけ……後はすずか次第だよ」

 

俺はそう言うと立ち上がり、部屋から出ていく。

 

「あっ!話、終わったんだね」

 

部屋から出た俺を出迎えたのはアリシアだった。

 

「何で此所に?」

 

「ちょっとだけね……聞きたいことがあって」

 

聞きたいこと?何だろうか……。

 

「レインは人間なの?」

 

おや?……もう知られたのかな。

 

「アリシアはどっちだと思う?」

 

「……そうなんだ、アルフの言った通りか」

 

情報元はアルフからか……流石、狼素体の使い魔。

 

「それだけかな?無いなら俺は行くけど」

 

「ちょっと待って!夜ご飯皆で一緒に食べない?」

 

「……皆が良いって言ったらね」

 

俺はそう言うとアリシアに背を向けて歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

部屋に戻り、皆が帰ってくるのを待つ。そして、皆が帰ってきたところで、アリシアに夜ご飯を皆で一緒に食べないか誘われたことを伝える。

 

皆は断る理由もないとの事で夜ご飯を一緒に食べることとなった。

 

それから、夜ご飯の時間になる少し前に、コンコン、とノック音が聞こえ、その直後に「そろそろ行くから返事を聞きに来たよー!」とアリシアの声が聞こえた。

 

俺は部屋の扉を開く。すると、扉の前にはアリシアだけでなく、すずかもいた。

 

「じゃあ、夜ご飯はご一緒に食べさせてもらうよ」

 

アリシア達の後に続いて廊下を歩いていくと宴会用の部屋に着いた。

どうやら、此処で食べるらしい。履いていた靴を脱ぎ部屋に上がると、既に料理は並んでおり後は食べるだけのようだ。

 

大人組と子供組で席は別れており、大人組の方には酒が置いてある。

 

「さっ、来たわね。リゼットは此所に座って」

 

アリサが自分の隣の座布団をパンパンと軽く叩く。

 

「分かったわ」

 

アリサの行動に苦笑しながらリゼットはアリサの隣に座る。

 

レオンとシアはフェイトとなのはの隣に座り、俺はすずかとアリシアの間に座った。

 

 

 

 

 

 

俺は話すよりも食べることを優先して黙々と食べ続けた。食べ始めて三十分程立つと、一旦箸を休め、大人組の方に視線を向ける。

大人組は既に酔い始めていた。

 

しかも、まだ、未成年者である忍さんと恭也さんが士郎さんに飲まされている。桃子さんはプレシアと娘自慢で盛り上がり、ヴァルドはメイト二人と家事について話し合っていた。

 

さて、此方はと言うと……。

 

娘自慢で恥ずかしくなった、なのはとフェイトがお互いに恥ずかしさで顔を赤くしながら俯いている。

 

「勝負だ!アルフ」

 

「上等!」

 

シアはアルフと大食い勝負を始め、

 

「アリサ、これなんてどうかしら?」

 

「う〜ん……そうねぇ〜」

 

リゼットは何処からか持ってきた服のカタログをアリサと一緒に見ている。

残った、俺とアリシア、すずか、レオンは普通に雑談を始める。

 

「ねえねえ、レインは前、何処に住んでたの?」

「あっ!それ、私も気になる」

 

「それは秘密だ」

 

俺がそう言うと「え〜〜」とアリシアは文句を言うがすずかは「そうなんだ」と苦笑した。

 

死後の世界からですとは言えないしね……。

 

「じゃあ、レイン達は皆血は繋がってるの?全員顔があまり似てないし……」

 

この、アリシアの問にはレオンが答えた。

 

「全員一応は繋がっているよ。遠縁なだけで」

 

「へ〜そうなんだ」

 

その後もこれと言った問題もなく時間は過ぎていき、お開きとなった。

 

 

 

 

 

 

 

夜中になり、辺りが静まると俺は部屋から出て温泉に向かった。

 

俺がゆっくり温泉に入れるのは夜中か早朝のどちらかだけだ。

 

「ふぅ〜〜〜〜」

 

温泉に浸かり、深く息を吐く。

 

その直後に結界が張られた。

 

……………………マジかよ。

 

俺のテンションが著しく下がった。それはもう、初詣のおみくじで家族の中で自分だけ凶を引いたとき並に……。

 

魔法にやる炸裂音や色とりどりの光が見える。それに「ディバイン・バスター」や「サンダー・レイジ」、「フォトン・ランサー、ジェノサイドシフト」などの声が聞こえる。

 

派手にやってるなぁ……ぼんやりとそんな風に思っていると結界が解けた。どうやらもう終わったらしい。

 

「ママー!早く温泉入ろう!」

 

母親を急かす元気な声が聞こえた。…………マジ!?何で此所に?さっきまで外にいたはずじゃ……。

 

「落ち着きなさい、アリシア。温泉は逃げないわよ」

 

「そうだよ、姉さん」

 

「にゃはは、元気だね……アリシアちゃんは」

 

「離してなのは!お願い!」

「あり?この臭いは……」

ふぅ……どうやら団体さんのようだ。それにユーノ……お前は後がヤバイぞ。

 

それに俺もヤバイな……隠れるのはアルフがいる時点で臭いでバレるから隠れる意味がない。ならば……もう、普通に浸かってるしかないじゃないか。

 

いっそのこと……ユーノに矛先を向けさせればなんとかなるか?

 

そんなことを考えているうちにガラガラと音を立てながら扉を開き入ってきた。

 

「あっ!レインだ!…………何で此所に?」

 

それは、こっちの台詞だと思うのだが。

 

「冷えるから早く温泉入ったら」

 

「あ、うん。そうだね。……ふぅ…………てっ、そうじゃない!何でレインがいるの」

 

誤魔化せなかったか……まあ、これで誤魔化せたら頭は大丈夫か疑わなければならないが。

 

「「「「「あっ」」」」」

 

温泉に浸かる俺を見た、アリシアを除く全員が声を揃えた。

 

「まあ、とりあえず、温泉に入って。話はそれからだ」

 

俺はそう言って

全員を温泉に浸からせる。ユーノはフェレット姿なので桶にお湯を入れて、そこに浸からせる。

 

全員が温泉に浸かっているので俺から話を切り出す。

 

「ジュエルシードの封印お疲れ様」

 

「「なっ!」」

 

驚きの声を上げる、なのはとユーノ。それに、対してプレシア、フェイト、アルフ、アリシアはこれと言った反応を示さない。

 

「やっぱり、知っていたのね。いつからかしら?」

 

プレシアの言葉に俺はなのはに視線を向けながら答える。

「初めから……なのはがデバイスを始めて起動させた時から」

 

「嘘……だったら、何でジュエルシードを放っておくの、あれは危険なんだよ!」

 

「俺……デバイスなんて持ってないし」

 

俺の言葉に固まるなのは。

 

「そう……持ってないね。なら、何であなたは学校の屋上から飛び降りても平気なのかしら?」

 

プレシアの発言に皆が嘘だろと言った表情をしながら俺の答えを待っている。

 

「あれくらいどうってことはない」

「「「「「「いやいや!どうってことあるから」」」」」

 

全員が同じことを言い、詰め寄ってきた。

 

「レインは何なの?」

 

「それは、そこにいるフェレットにも同じことが言えると思うよ」

 

俺は此処でユーノのことに話を逸らす。

 

「えっ!僕ですか?」

 

「そうだよ、フェレット人間」

 

「フェレット人間!!そんな、僕はちゃんと人間ですよ!」

 

俺のフェレット人間発言に反論するユーノの言葉になのはが反応した。

「えっ……ユーノくんて、人間だったの……」

 

「えっ……始めて会ったとき……僕、人間の姿だったよね」

 

「ううん、初めからその姿だったよ」

 

やはりか……。

 

そして、なのはがブツブツと呟きだす。そして、「うにゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」と悲鳴をあげた。

 

「どうしたのなのは!?」

 

突然悲鳴をあげた、なのはにフェイトが声をかける。

 

「……フェイトちゃん、私……ユーノくんに全部見られた」

 

このなのはの一言

全てを察した面子が口々に言う。

 

「ユーノ……責任持つのよ」

 

「ユーノ……責任取るんだよ」

 

「今回だけは見逃してあげるから次からは気をつけなさい」

思っていた以上に温かい反応だ。

 

「で、何でレインは此所に?」

 

俺に再び矛先が向いた。

 

「俺の性別はどっちに見えますか?」

 

「ああ、そう言うことね」

 

アリシアはその一言で納得してくれた。

 

「どういうこと?」

 

一人納得しているアリシアにプレシアが問いかけた。

「レインは学校で一人だけ専用の更衣室があるから」

 

それだけで分かってもらえる当たり何も言えない。事実であるがゆえに。

 

さて、俺から意識が離れている今のうちに上がるか……。

 

そして俺は風呂から素早く上がり、手早く着替えて部屋に戻り、寝る。念話で何度も話しかけられたがガン無視した。

それが原因で明日しつこく付きまとわれるのだが……その事を俺は知らない。

 

 

 

 

説明
無印編 8話 温泉にて
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