魔法少女リリカルなのは 四天王始めました
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今、俺は外に出て、色々な店を見ながら町を散策している。

 

「レイン!次はそこに行こう!」

 

アリシアと一緒に……。

 

本当なら一人で気ままにぶらりとする予定だったのだが昨日急にいなくなった俺を見失わない様にアリシアを押し付けられた。

 

プレシアは笑みを浮かべながらこう言っていた。

 

「アリシアをよろしく。もし、害虫が寄ってきたら対処は任せるわ」

 

そして、当のアリシアは、「今日はよろしく!」と満面の笑みを浮かべて俺の腕を掴むと町に向かって走り出した。

 

その際に念話で、フェイトとアルフからそれぞれ、

 

(姉さんをよろしく)

 

(アリシアになんかあったらガブッとするかね)

 

と言われた。

 

リゼットとシア、レオンはアリサ、すずか、なのは、ユーノ、フェイト、アルフと一緒に行動するらしく、その保護者としてヴァルドと月村家のメイド二人が付くそうだ。

 

それ以外は知らない。

 

アリシアに引っ張られて次の店に入る。此処では主にお面が売っていた。

 

一般的な物からマニア向けの物まで選り取りみどりだ。

 

幾つか気に入ったのがあったので買うことにした。いつも魔法関係の時に被る仮面が一つだけだと心許ない。

 

アリシアは色々と被って試していた。楽しそうに笑っているのでつまらなくは無いようだ。人によっては退屈だろうしな。

 

「アリシア、次いくよ」

 

俺は片手に持った袋を掲げてアリシアに呼びかけた。

 

「うん!分かった。何の仮面買ったの?」

 

アリシアは駆け寄ってくるとそう言った。

 

「これだよ」

 

アリシアに買った仮面の内の一つを見せる。

 

「……何その変わったの?」

 

アリシアに見せたのはfateのアサシンであるハサンの被っているあれだ、売っていたのを見つけて思わず買ってしまったのだ。

 

他にも、虚の仮面や蝶の仮面、赤い彗星や赤い彗星の再来の仮面も売っていた。

 

「さぁ、次の店に行くよ、アリシア。時間は限られているんだから」

 

そう言って俺はアリシアの手を引っ張り歩き出す。しっかり、少し離れた位置から此方を見ている複数の視線を感じながら。

 

 

 

 

 

 

 

その後も、ひたすらにお店を巡り続けて、気に入った物を買っていく。

 

そうしている間に昼になったので、昼食を食べる場所を探す。

 

「お昼は何処にする?」

 

「そうだね……荷物もあるから、何処かゆっくりできる場所がいいかな」

 

「確かに、結構買ったしね」

 

アリシアと昼を食べる店を探しながら歩く。しばらくすると丁度開店した店があったのでそこで食べることにした。

 

「アリシアは何にする?」

 

俺は目の前に座る、アリシアにメニュー表を見せながら訊く。

 

「う〜ん」と、声を出しながらアリシアはメニュー表を睨むような目付きで見つめる。

 

「よし!決めた。これにしよう!すいませ〜ん、注文いいですか」

 

「はい!只今、少々お待ちください」

 

店員が駆け足で寄ってきた。

 

「私は、シーフードパスタとオレンジジュース。レインは?」

 

「俺は、ペペロンチーノとカフェオレ」

 

「ご注文は以上でよろしいですか?」

 

聞き返す店員に頷き、返事をすると「オーダー!入りました」と言って、メニューを厨房に向けて言うと伝票を置き、去っていった。

 

「食べ終わったら何処に行く?」

 

「う〜ん……じゃあ、カラオケに行きたいな。まだ、行ったことないし」

 

カラオケか……そう言えば俺も行ったことないな。

 

「俺も行ったことなし、行くか……カラオケ」

「よーし!決定。食べ終わったらカラオケだ〜!!」

 

アリシアは楽しみとばかりにパァ、と表情を輝かせながら言った。

 

それに、俺も楽しみだ。表情が緩むのを感じる。

 

「おっ!レインの表情が緩んでる!珍しい」

 

おや?気づかれたか。まあ、気づかれたところで何かある訳ではないのだが。

 

アリシアと話していると料理が運ばれてきた。

 

「ご注文になっていた料理です。では、ごゆっくり」

料理を運んで来た店員はそう言うと仕事に戻って行った。

 

「「いただきます」」

 

 

 

 

 

 

 

昼食を食べ終わると俺とアリシアは近くにあったカラオケ店に入った。

 

「へ〜〜、中はこうなってるんだ」

 

キョロキョロと部屋の中を見渡すアリシア。

 

「部屋の中を見渡すのも良いけど、ほら」

 

「あっ、そうだったね」

 

俺がキョロキョロとしているアリシアにマイクを渡すと彼女は、思い出したようにマイクを受け取った。

 

丁度そのときに扉の前を過保護な保護者が通ったのを視界の端に捉えた。あちらは気づいていないだろうがバレバレである。後でこれを口実に少しイタズラをしよう。

 

俺はそんなことを考えながらも歌う曲をアリシアと一緒に機械で探す。

 

此処で一つ問題が発生した。それは……俺とアリシアが揃って知っている曲のレパートリーが少ないことである。

 

お互いに地球での滞在時間が短いのだ。

 

「「どうしよう?」」

 

俺達は顔を見合わせ、同時に首を傾げた。

 

とりあえず、お互いに知っている曲をひたすらに入れて歌った。

 

まだ、声変わりしていないので高い声が楽に出せた。…………俺……ちゃんと声変わりするくらい、成長するよね?今更ながら心配になってきた。

 

まあ、今はそんなことを考えるより歌おう。決して現実逃避じゃないぞ。

 

「歌うぞー!」

 

珍しくテンションを上げて叫ぶ俺。

 

「おー!」

 

アリシアもノリノリで叫ぶ。

 

そして、俺達はテンションを無駄に高くした状態で最後まで時間一杯に歌った。

 

 

 

 

 

 

「いやー、楽しかった!!」

 

荷物を抱えたまま大きく万歳をするように手を上にあげて伸びをするアリシア。

「確かに……たまにはこう言うのも悪くわない」

 

俺達はカラオケ店から出て宿泊先に戻っている途中だ。

 

「今度は皆と行きたいな〜」

「なら、誘えばいいじゃん?特にアリシアの家族なら二つ返事で行きましょうと言ってくれると思うけど?」

 

「アハハ……まさか……うん、特にママは否定できない」

 

苦笑いをうかべながらアリシアそう言う。

 

やっぱりか……プレシアはアリシアのことを溺愛してるからね。

 

「ところでアリシア話は変わるけど、俺達……尾行されてるのに気付いてた?」

 

「嘘!」とアリシアは驚くと、恐る恐る後ろを振り返る。

 

「…………本当だ。どうしよう……」

 

不安そうに訊いてくるアリシアの耳元に俺は顔を寄せて小言で呟く。

 

「じゃあ、驚かせようか。背後に回り込んで……ほら、丁度そこに曲がり角があるから」

 

「大丈夫かな?」

 

「そう心配する必要はないよ。だって、尾行していたのはアリシアもよく知っている人達だからね」

 

「私がよく知っている人達?」

 

「見ればすぐに分かるさ」

 

疑問符を浮かべるアリシアの手を引き、角を曲がると俺はアリシアを担ぐ。

 

「わっ!ちょ、レイン?」

 

慌てるアリシアに俺は静かにと自分の口元にひと差指を当てて、静かにするようにジェスチャーする。

そして、静かになったアリシアを抱えながら音を立てないようにジャンプして塀を乗り越えて尾行者達の背後に回り込む。

 

尾行者達が曲がり角に差し掛かったところで、俺はアリシアを抱えたまま塀を飛び越えて尾行者達の少し後ろに降り立つとアリシアを降ろす。

 

そして、アリシアと共に背後から尾行者達に話しかける。

 

「「何やってるの?」」

ビククッ!とする尾行者達は錆びたブリキ見たいにギギギとぎこちない動きで振り向く。

 

そして、

 

「アハハハハハ」

と全員で誤魔化すように笑う。

 

勿論、尾行者達はプレシアを筆頭とするテスタロッサ一家と高町一家と月村一家+俺の家族とアリサとその執事。所謂、温泉に来ていた全員が尾行していたのだ。

 

それに対して背後に黒いオーラを纏いながらニッコリとアリシアが話しかける。

 

「これはどういうことかな?」

 

「ね、姉さん……これには訳が」

 

おどおどした様子で話そうとするフェイト。

 

「へ〜〜訳ね……聞かせてくれないかな?」

 

「…………」

 

ガタガタと震えだすフェイト。

 

「どういうことなのかな?」

 

答えないフェイトに代わりなのはに問いかけるアリシア。

 

「え、え〜と、その〜」

 

目をそらして助けを求めるが誰もがなのはから目をそらした。

 

そして、終いには俺に助けを視線で求めるが俺は視線でこう返した。

 

自業自得と言うことで諦めてと。

 

「どうなのかな?」

 

アリシアの背後に見える黒いオーラどんどん濃くなっていく。

 

俺はアリシアに苦笑いをしながらなんとか誤魔化そうと必死な面々をニヤニヤと笑いながら眺める。

 

俺に助けを求める視線が多くなるが全て無視してこの状況を見て楽しむ。

 

そして、アリシアのお説教が始まった。

 

 

 

 

 

あれから一時間が経過した。アリシアの説教は路上に尾行していた全員を正座させてからだった。

 

その間、暇になった俺は自販機でお茶を二つ買い、一つをアリシアに渡した。

 

アリシアのお説教をBGMにお茶を飲む。アリシアに説教されている面々の姿を隠し撮りしておく。しばらくはこれをネタに弄れる。

 

「さっ、帰ろっか」

 

晴れ晴れとした表情でアリシアが言った。

 

「終わったの?もう少しばかり説教していて良かったんだけど?」

 

俺がそう言うと説教されていた全員「ちょっ!?」と慌てるがアリシアは「良いの!代わりに帰りは歩いて帰ってきてもらうつもりだから……海鳴市の自宅まで」と言った。

 

その言葉に尾行していた全員が顔を青ざめさせる。

 

「車はどうするの?」

 

「それは業者に頼んでおくから平気だよ」

 

迷いなく答えるアリシア。本気だなこれは……。

 

尾行していた全員に視線を向けると何とかしてくれと視線で訴えられたので俺も言うことにした。

 

「なら財布に入れるお金は没収して一人当たり二千円でどう?もしかしたら電車を使うかもしれないし」

 

愕然とする面々にニタニタと笑いながら俺はさらに言う。

 

「それとも全員で三千円にする?」

 

さらに少なくなる金額に正座したまま絶望の色を濃くする面々。

 

「駄目だよ!」

 

アリシアの駄目だよ!発言に 表情を明るくす面々だが、次の一言で完全に凍りついた。

 

「そんなのは無一文に決まってるよ!きっちりと反省してもらうんだから。レイン、行こう」

 

凍りついた面々をその場に放置して俺とアリシアは宿泊先から海鳴市の自宅に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから見事に無一文の状態でおいてかれた面々は徒歩で海鳴市に戻って行った。宿泊先へあらかじめお金は払ってあったので問題なくチェックアウト出来た。

 

「まさか……こうなるなんてな……」

 

「そうね……」

 

「あ〜〜尾行なんするんじゃなかった」

 

「アリシアに嫌われた、アリシアに嫌われた、アリシアに嫌われた、アリシアに嫌われた」

 

「か、母さん!どうしよう?アルフ」

 

「……フェイト、放っておいてやれ」

「……疲れたの〜」

 

「……余もだ」

「なのはちゃん、シアちゃんも頑張って」

 

「……………………」

 

その後も何とかお互いに協力しながら海鳴市に戻った、面々は自宅に着くなり疲れのあまり直ぐに寝たそうだ。

説明
無印編 9話 尾行の末路
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