IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者?
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episode133 質問

 

 

 

 

「何とか・・・二人を救出できたな」

 

バインドが撤退した後、隼人は病室にいた。

 

ベッドには救出したセシリアと鈴がベッドに横になって眠っていた。

 

『幸い二人には異常は無かったみたいです』

 

医師より二人の容態を聞いたツヴァイが隼人に伝える。

 

「そうか・・・」

 

『それにしても、鈴さんをよく救出できましたね』

 

「多少の運があったからできた事だ」

 

『そうですか』

 

 

 

「しかし、本当にこの身体で良かったって思うよ、本当に」

 

と、右腕を摩る。身体には傷一つ付いてないが、それでもバンシィ・ノルンで受けた痛みは残る。

 

『多少の無茶が効くとは言っても、無茶はしないでください、隼人』

 

「すまんな。だが、あの時は無茶を通さないと鈴は助け出せなかった」

 

『・・・・』

 

「次からは気をつけるさ」

 

そうして隼人はリインフォースとツヴァイを残して病室を出た。

 

 

 

 

 

 

『どう思う、お姉ちゃん?』

 

『・・・お前と同じ考えだ』

 

二人は隼人が出た後に話し出す。

 

『隼人の事だ。今後も無茶をするだろうな』

 

『ですね』

 

『・・・やはり気は抜けない』

 

『・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、どうだったかな、ちーちゃん?」

 

「問題無い。むしろいい出来だ」

 

その頃千冬は第三格納庫で束よりエピオンの使い心地を聞かれていた。

 

「エピオンの持つレヴァンティンも中々の切れ味だ。カートリッジシステムやレヴァンティンの連結刃は癖のある機能だが、慣れれば問題は無い」

 

「うんうん。さっすがちーちゃんだよ!データも初陣にしては中々の出来♪」

 

 

「・・・しかし、よくあんなものを思いつくものだな、隼人は」

 

「はっくんの発想は独創的だけど、どれも画期的なものばかりだよ。束さんでも絶賛するぐらい♪」

 

「確かにそうだな。それと、一夏の白式はどうなっている?」

 

「どうにかこうにかで何とか戦闘が出来るまで修復は出来たよ。ただ複合兵装不知火の修復は出来なくて、その他の機能に不全が起きているから、激しい戦闘ができるまでは無いよ」

 

「そうか。それで、他の専用機を調べたか?」

 

「うん。調べたら白式とほぼ同じ場所にあの受信機があったよ。殆ど破損して無い状態だから何か分かるかもしれないね」

 

と、独立展開していたブルー・ティアーズと甲龍が束の目の前に安置されていた。

幸いにも破損箇所は少なく、弄られた形跡も見当たらない。

 

「いい結果が出るのを期待するぞ。それで対策が練れれば残りの専用機持ちを救出できる」

 

「もちろんその気で行くよ。箒ちゃんを無傷で救いたいからね」

 

「・・・・」

 

「それにしても、はっくんのバンシィって本当に凄いよ」

 

と、束は投影型モニターに先ほどの戦闘の映像を見る。

 

「IS本体にハッキングを掛けてコントロールを奪うんだもん。さすがに開発者の束さんでも出来ないのに」

 

「・・・・」

 

「正直バンシィって・・・本当にISなのかどうか疑っちゃうよね。ズバ抜けて性能が高いんだもん」

 

「・・・・」

 

思い当たる節があるので千冬は静かに唸る。

 

「まぁ、今はそんな事どうでも良いんだけどね」

 

しかし束はどこか疑問に思うような部分を見せる。第一形態時と第二形態時のデータでも分からない部分が多いので疑問に思うのは当然。

 

 

 

 

「それより、よくもまぁあんなものを作り出したものだな」

 

と、千冬が後ろを見ると、そこには整備員によって整備されているガンキャノン・ディテクターとリゼルディフェンサーbがあった。

 

「あれもはっくんのアイディアなんだよ」

 

「よくよくあいつのアイディアと言うのもそこが知れんな」

 

「そうだね。まぁ疑問に思うと言えば、まるで最初から知っているかのようなかんじだけどね」

 

「最初から、か」

 

今も隼人の事を怪しんでいる千冬は納得する。

 

「・・・ISの技術を応用して作り出した無人機・・・しかもAIは専用機持ちの戦闘データを基にしているそうだな」

 

「・・・・」

 

「まぁ別に聞こうというわけではない」

 

「・・・・」

 

「ただの独り言だ」

 

そう言って千冬は格納庫を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

その頃颯は敷地内を歩いて、さっきの戦闘の事を思い出していた。

 

(どうして・・・簪さんが・・・)

 

俄かに信じ難かったが、あの感覚は間違いなく簪のものであった。しかしなぜ簪だけがGモードが違うのか・・・

 

(この事を兄さんに伝えるべき・・・なのかな)

 

本当ならば伝えるべきなのかもしれない。しかし現在の状況から身勝手な行動は危険をまねかねないのだ。

この事実を知れば隼人は簪を助ける事を優先するかもしれない・・・下手すれば他の者に危害が被る事になる。

 

「・・・・」

 

深く考えていると――――

 

 

 

 

 

「――――!おーい、颯!!」

 

「っ!」

 

と、隼人の呼ぶ声に颯はハッとする。

 

「兄さん・・・」

 

後ろを向くと隼人が居た。

 

「どうしたんだ?さっきから呼んでいるのに返事をしないで」

 

「ご、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたから」

 

「そうか」

 

 

「それで、何か?」

 

「いや、大したことじゃないんだが、AGE-FXの調整をしようと思ってな」

 

「AGE-FXを?」

 

「あぁ。日に日にお前の力が増してきているから前の調整のままじゃ動きづらくなっているだろうと思ったからな」

 

「そういえば、最近ちょっと動きづらい感じがあったかな」

 

思い当たる節があったので、颯は顎に手を当てる。

 

「だろ?だから今から高い設定に調整するから」

 

「ここで?」

 

「すぐに終わる」

 

「は、はい」

 

颯は制服の内側に入れているAGE-FXの待機状態である青いクリスタルペンダントを出す。

 

それを受け取ると投影型モニターとキーボードを出して、調整を開始する。

 

 

 

 

 

「FXは初期段階の設定しか施してなかったからな。その時の颯ならそれで十分と考えていたんだ」

 

「あれでも、まだ初期段階の設定って・・・」

 

「だが、さすがに颯の成長に初期段階設定じゃ追いついてないからな。ここから一気に設定を上げる。そうすれば颯の動きにFXが反応するようになるはずだ」

 

「なるほど・・・」

 

「それと、設定を上げる際に封じていた機能を解禁する」

 

「封じていた機能?」

 

「一つは強力な威力を持つスタングルライフルの増加装備『ダイダルバズーカ』だ。まぁ普段これほどの威力を持つ武器は必要ないと思って封じていた」

 

「・・・・」

 

「そしてもう一つがAGE-FXの切り札・・・『FXバーストモード』だ」

 

「FXバースト・・・モード?」

 

「AGE-FXの最強形態だ。全エネルギーを開放して限界以上の性能を引き出すものだ。だが使用後は性能が極端にダウンし、更にCファンネルの反応も鈍くなる。まさに諸刃の剣だ」

 

「・・・・」

 

「使いどころじゃ戦況を覆すほどの力を持つ。発動タイミングは任意だから、覚えておけ」

 

「はい」

 

 

 

「・・・これでよし」

 

そうして調整を終えてクリスタルペンダントを颯に返す。

 

「まぁどう感じるかは使ってみないと分からないだろうな」

 

「・・・それならこの後試してみる」

 

「それが一番だな」

 

そう言って隼人は颯から離れようとする。

 

 

 

「兄さん」

 

颯は隼人を呼び止めた。

 

「どうした?」

 

隼人は後ろを振り向く。

 

 

 

「・・・やっぱり、何でも無い」

 

「?そうか・・・」

 

隼人は別に深く聞こうとはせずに立ち去った。

 

 

 

「・・・・」

 

颯はそのまましばらく俯いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく!隼人のやつ何所に行ったのよ」

 

と、シャーリーは隼人を探して学園内を歩き回っていた。

 

(くそ・・・面倒な事だから逃げているな・・・)

 

見逃さないように周囲を見回しながら歩いていく。

 

 

 

 

 

「・・・・?」

 

と、シャーリーはある人物を見つける。

 

それはずっと戦闘機人が着用する全身スーツを着用し、グレーのロングコートを羽織っているシノンであった。

 

(ちょうどいい。聞けるだけ聞いてみよう)

 

と、考えてシャーリーはシノンに近付く。

 

「ちょっといい」

 

「・・・・」

 

シノンは立ち止まるとシャーリーの方を見る。

 

「あんたって・・・確かシノン・・・だっけ?」

 

「えぇ」

 

「ふーん。本当に隼人と颯の顔と瓜二つね」

 

「元が同じなので。隼人の遺伝子データより私とべ・・・颯が作られているのですから」

 

「ふーん。つまり遺伝子上じゃあんたも颯同様に隼人の妹ってわけね」

 

「遺伝子上では。しかし私はあくまで一人ですので」

 

「・・・まぁいいわ。それより、一つ聞きたい事があるんだけど」

 

「答えられる範囲であれば」

 

「じゃぁ一つ。隼人の事なんだけどさ」

 

「・・・・」

 

「何か知っている事って無い?」

 

「なぜそのような事を?」

 

「ほらさ、隼人って色々と謎が多いしさ。話によれば大怪我を負ったのに少しすればケロッと治っているって言うのよ」

 

「・・・・」

 

「それに、普通なら重傷で済むような怪我じゃない怪我でも平然と居られる。普通に考えてもおかしいよね」

 

「・・・・」

 

「最近じゃISの意思が実体化したユニコーンとバンシィとか、リインフォースにリインフォースツヴァイとかが増えてるし、色々と疑問点があるのよね」

 

「・・・・」

 

「サミット防衛線でも連れ去られて、その際に大量の出血をしていたらしいのよね。残っていたグラディウスについていた血の付き方からすると思い切って腹かそんな所を突き刺されているって言われているし」

 

「・・・だから?」

 

「あんたなら隼人がどういう存在であるか知っているわよね?隼人のクローンのあなたなら」

 

「・・・何の事か全く理解出来ませんね」

 

「・・・・」

 

「つまりあなたは隼人が普通の人間とは違う。気になるからクローンの私に聞く。そんな世迷い言を申されるのですか?」

 

シノンは冷え切った目でシャーリーを見る。

 

「世迷い言?私はただ隼人がどうして常人離れしているのか。それを聞きたいだけなのよ」

 

「・・・本気でそのような何の確証もない戯言を私に聞くのですか?」

 

「戯言?私がふざけてこんな事を聞くと思ってんの?」

 

シャーリーは少し苛立ってシノンを睨む。

 

「・・・愚問ですね」

 

「あんたって隼人と違って人を苛立たせるのが得意のようね。最も隼人はそうやって苛立たせた事は無いけどね」

 

「そのような事を聞かれるあなたこそ、もう少し考えて質問するべきですね」

 

二人の間に険悪な雰囲気が流れる。

 

「・・・・」

 

「まぁ、隼人が常人離れしていると言うのは事実です。それは認めましょう。しかしそれ以外に何の答えようがあると?」

 

「・・・・」

 

「もう少しマシな質問を考えてくるのですね」

 

「・・・・」

 

 

「もういいわよ。それだけ聞ければ十分よ。あんたに聞いたのが間違いだったわ」

 

と、舌打ちをしてご立腹のシャーリーはシノンの元を立ち去った。

 

 

 

 

(知る必要など無い。ゼロが自分から言わない限り、私からは何も言う事など無い)

 

そうしてシノンはその場を離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!
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ユニコーン バンシィ ガンダム インフィニット・ストラトス IS 

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