真・恋姫無双 花天に響く想奏譚 12−A 其の二 
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   ――――――――――――― 、

 

 

 彼女は目を開け、徐々に意識を得た。

 

 目の前には葉が茂り、葉の間からは陽の光が木漏れ日となって顔に差し込んでいた。 眩しい。

 もとい上空に であった。 得た意識は重力を感知して、自分の体勢が仰向けに寝ている状態であることを告げる。 

 

 ( 何処だ  此処は )

 

 むくりと上体をあげると頭がぼやけていた。 いや 寝起きの時とは違い、クリアではあるが 根元の辺りがぼやけたような感覚がある。 思考がすぐに霧散する。

 

 そんな頭ではあるが周囲を見渡すと、どうやら自分は森か林の中に居るらしいことが分かった。 長い黒髪には枯れた植物の葉の破片がいくつかくっ付く。

 周囲は木々の群れに背の低い草の類、深い緑に若い緑と植物が繁茂していた。 一方向の木々の間からは空と黛の遠景が見える。 

 

 ( 何処だ此処は……  森?  何故斯様な所に  ? )

 

 頭の中に疑問がぽこぽこ浮き上がる中、彼女は傍らに何かが落ちているのを目の端に捉えた。 複数だった。

 

 ( 鞄 と これは…… )

 

 自分の荷物であることを認識した彼女は立ち上がってそれらを携え、衣服や髪にくっ付いていた落ち葉のかけらを払うと とりあえず先に描写した空と黛の遠景が見える一方向へと歩みを進めた。 人を見つけるべく だ。

 

 と 数歩歩いたところで、向かおうとした先から怒声のような音が木に散ったのか微かにではあるが聞こえてきた。

 

  ( 人か? )

 

 そう思った矢先に、今度は小さな女の子の声が。

 

 「!?」

 声は言っていた。

 木々に散ってはいても声は彼女の耳に入ってきた。

 悲哀の感情から必死に出したのであろうことを察せる声で叫んでいた。

 

 

 誰か助けて と。

 

 

 彼女はその声を認識した途端になにやら一瞬停止して変な間を空けたかと思えばはたと我に返って即座に声のほうへと走った。 木々の間を駆け抜け、若草を風圧で揺らし、黒髪をなびかせながら彼女は林の終わりまで到着した。

 

 そこは土肌のむき出しになった急な斜面の上だった。 林がガクンと途切れていて、下には山に続く広い緩やかな坂道が。

 その坂道の上にはおかしな格好の人間が複数居、一斉に彼女へ視線を向けていた。 面子は地に座す地味な服の少女が二人と、一様に同じような格好の男達。 内一人はうつ伏せに倒れているが。

 

 救難信号発信者はすぐに見て取れた。 地味な服装の金髪ロングの小さな女の子。 小さいが整った顔を悲哀と涙で汚した少女。

 原因は同じような格好の男達であることは明白だった。 男達は手に手に武器を持っていて、

 

 ( この状況はなんだ? )

 

 思うが早いか動くが速いか、

 

 「そこッ! 何をしている!?」

 

 彼女は異常な事態に警戒を表情に出し、通る声で吼えた。

 

 

 

 

 

 

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  < 12話 ― A 其の二  RHAPSODY『Blady Girl』 >

 

 

 

 ・秋水乙女 推参・

 

 

 ・((不見之刃|みえずのやいば)) ((祓舞|はらえまい)) 

 

 

 

 七乃と美羽の目線上方 急な土の斜面の上に走る音の源たる存在は現れた。 

 

 「 ぁ……?」

 「……?」

 美羽に七乃、野盗共もいきなり走る音と共に現れた存在に当惑。 なにせその格好が妙なものだったからだ。

 当のその存在も目下の状況に一瞬間を空けて逡巡の様子を見せたが。 即座に表情を鋭くして、

 

 「そこッ! 何をしている!?」

 その場に一声を投じ、スライディングの要領で斜面をズザザザと滑り降りた。

 

 地面に降り立ったその存在、年のころは七乃と同じぐらいの背の高い少女だった。

 艶やかな長い黒髪を姫カットにしていて また背を隠す後ろ髪の一部を三つ編みにして二房垂らしている、その黒髪に合わせたように綺麗な顔立ちの美人。 相乗効果と言うのか相互が引き立て合っていると言うのか、それほどに長い黒髪が似合っていた。

 が 今は鋭い警戒の意識をその美貌に現しているせいだろう、元々凛とした顔つきではあるのだろうがそれが尚のこと鋭く強く思わせた。

 それに加えて服装が妙だった。 意匠自体はそう珍奇だとかではないが、七乃達からすればなんとなく細部に違和感を感じる そんな印象の服。

 上に着ているのは肩の部分が膨らんでいて、首周りから胸元までや 袖周り等が深い緑色の布地に切り替わっている白い服。 胸元には赤地に白い縦の線が脇に入ったリボンタイ。

 下は膝までの長さの、縦にひだの入ったこれまた深い緑色のプリーツスカート。 靴は濃い茶系統の革のローファーだろう。

 

 そう、単語からも察せるだろう この世界にはありえない 現代の人間の格好をしていた。

 

 「 貴 様らっ、大の男が寄って集ってなんの悪ふざけだ!? 先の声はそこの子供であろう!

 今すぐ其の者達から離れろ!!」

 耳に捉えた悲鳴がべしょべしょの泣き顔の女の子があげたものと知ったせいか また男達が手にしているものが粗悪ではあっても刃物であったせいか、少女は心からの激昂を顔と雰囲気に現して一喝。

 

 「誰……?」「えぅ ぐぅ…?」

 正真正銘の命の危機が降りかかったかと思えば、今度はいきなり妙な何某かが登場しての一喝。

 美羽はともかく さしもの七乃も頭が状況の処理に数拍かけるその間に、腹巻は少女に悪い目つきを向けて乱雑に荒れる心情を吐き捨てる。

 

 「……アァどいつもこいつもうざってぇんだよ!! いきなり出てきて命令してんじゃねぇ!! 文句あんならてめぇから殺ってやらァッ!!」

 七乃の奇襲に美羽の泣き、とどめといきなり出てきた謎の少女の強い口調に苛立ちが頂点に達したらしく。

 腹巻は唾棄するように叫ぶと、錆の浮いた剣を振りかぶって何某とも知れない少女へと駆ける。

 「!?」

 ここで少女、咄嗟に手に持っていた荷物の一つ 革製であろう四角い形の荷物を向かってくる腹巻へと投げつけた。 表情には当惑と驚き。

 腹巻はそれを反射的に剣で打ち払おうとしたらしいが、投げられた荷物はある程度の重量があり また腹巻自身も剣を筋力的にも技術的にも扱いきれていないようで、荷物は振られた刃に当たっても軌道の角度が変わっただけで腹巻の胸にぶつかった。

 「 痛って くっそ!!」

 自分にぶつかり地面に落ちた荷物を腹巻は腹立たしげに剣で殴りつけ蹴り飛ばす。 荷物表面には剣の切り傷が荒く残り、

 少女はその荷物に付いた切り傷を見ると顔に動揺を現した。

 「真剣…!?」

 そんな少女に腹巻が再度、真上から斬り降ろす体勢で剣を構えて走りかかる。

 「ぅおらぁッ!!」

 「ッ!」

 唐竹に振り下ろされる剣の腹を少女は手にしていたもう一つの『それ』で横に叩き弾く。 ギィンッと金属同士の鈍い殴打音が響き、同時に斜め前へと前進したことで少女は剣を回避、「ぉっあ!?」腹巻は勢い余って前のめりに倒れ込む。

 動揺しているせいか見る人が見れば少女の動きはぎこちないものではあるが、それでも真剣と渡り合えているそれなりの動きである。

 

 「くっそが おとなしく死んでろってんだろが!!」

 転倒した己の無様に腹巻の頭は更に沸き、基礎も何も無い構えを再度取って眼光だけはいっちょまえに睨みつける。

 その対象である少女はと言うと、

 

 「 ―――――――――――――――――――――― 」

 

 表情の消えた顔で数メートル先を見ていた。

 

 「   先程 の  は      これを  」

 

 心此処に在らずな表情で、虚ろに自身も自覚していない微かな独白を漏らす。

 

 

 

 

 

  『   ほ 、  早 … いと   ……  な  こるか    ?   』

 

 

  最初は森の中で美羽の声を聞いた時だった  森の中でまず一回

 

 

 

  『   少しだ   伝ってあ  ら   』

 

 

  そしてここで更に一回 声がした

 

  周囲に空気の振動が渡ったことによるものではなく 振動を鼓膜が捉えたものではなく

 

  頭の中に直接入ってきたような 否 その文面が情報として現れたような

 

  そんな声がした

 

  

 

 そういった理由で動きが止まったがそれも一瞬、

 

 

 

 

  『    さぁ     闘おう?  

 

 

 

    じゃないと  後ろの娘達も      死んじゃうよ?   』

 

 

 

 

 うって変わって顔つきは一時停止から鋭い刃のようになり、目には強い光が宿る。  彼女を知る人が見れば どこか違うと思わせるほどに

 

 「推して参るッ!!」

 裂帛の気合と共に少女、持っていたもう一つの『それ』を構えて腹巻を強く見据えた。

 それは鞘に収まった剣だった。 

 ただし七乃達からすれば妙な剣で、鞘の形からしても刃が明らかに反っている上に全体がいやに細い。 少なくとも七乃が持っている剣よりも。 鍔は円盤状の透かしの入ったもの。 柄には布紐が巻いており、鍔元から柄頭まで斜めの交差が連続している巻き方だった。

 

 そう 即ち、日本刀。 先の剣を弾いた際に出た音然り、鞘は鉄拵である。

 だがその得物が白刃を現すことは無い。 少女は抜刀せずに、一方の手は柄頭に もう一方の手は鞘の鍔元を握った形で正眼に構える。 先の七乃と同じ、鞘に刃を収めた状態だった。

 

 裂帛の気合いに怯むことなく、「っらぁッ!!」腹巻は感情に任せて剣を力任せに袈裟に切りかかる。

 が そんな筋力・技術両面の理由で扱えていない腹巻の大振りな袈裟切りはタイミングも動きも見切られ素早い足運びで下がって避けられ、腹巻の腕は剣の重量に遊ばれて動きをわずかに止める。

 

 すると腹巻の手元 次いで頭から殴打音。 剣が横に弾かれて手から落ちた かと思えば少女が前進から横に鋭く移動すると、

 「ぅぐっ ぉあぁ…」

 腹巻はがくっと膝を付く。 下がって出来た反動を利用して踏み込んだ少女の反撃が炸裂した結果である。

 「早 ぃ……」

 つい七乃の口から感嘆が漏れる。 切っ先 もとい鞘先が霞んだようにすら見えたほどだ。

 まず手の甲への一撃によって剣は叩き落とされ、奔った痛みに腹巻が顔をゆがめるよりも早く次いで額に鋭く一本、最後は異様に速く突進しながらの胴薙ぎが叩き込まれた。

 前進は初速から異様に速かった。 それは行動全ての『起こり』が極めて少なかったからもあるが、くらった腹巻本人は当然として 傍から見ていた七乃達にすら、瞬間的に剣が動いて前進して 少女が胴を打った剣を引き抜き構えなおしたあとには腹巻が膝を付いた とのコマ送りレベルの現象として目に映ったことだろう。

 打たれて気絶まではいかずとも、胴薙ぎは人体急所の肝臓を防御が無い肋骨の下を前斜め下から捉えていて腹巻は痛みに耐えられずうずくまる。  手元で生んだ遠心力が余すことなく綺麗に打撃として刀で発されていた結果である。

 

 一瞥の間すら置かず少女はあっけに取られた残りの二人の間を駆け抜け、その向こうでへたり込む美羽と七乃の前に立ち正眼に構えた。 

 

 「エイレンッ てっめ 関係無ェくせに邪魔してんじゃねぇ!!」

 「黙れッ!! 子供を泣かせる狼藉を見て捨て置くなどと思うな!!

 

  今すぐ立ち去れ! 退く気が無いなら容赦はしない!!」

 

 一応は仲間を叩きのめされたことで湧いた怒りで声を荒げる腕布だが、それ以上の烈火の如き怒りにて眼光と表現出来る程に鋭い力を宿す眼を返され腕布とマスクの二人は逡巡するも、

 「っせぇ うるせェ!! おれらを下に見てんじゃねェッ!!」

 今までの数度の強盗まがいのカツアゲを相手が無抵抗のままに成功させた自信から出来上がった、自分達は強い無法者であるとの錯覚が少女の抵抗によって刺激され、下賎な自負が牙を剥く。

 

 痛みを知らないのであろう、先の一連を見てはいても鞘での打撃など気合でどうにかなるとでも思っている腕布は大股数歩で距離を詰め、踏み込みと同時に横薙ぎを放つ。

 これも同じく鋭い体捌きで少女は避けるが、先とは少し違い避けると同時に 今度は過ぎ行かんとする相手の剣を加速させるように叩き流す。 完全に剣の動きに合わせられており、しかも若干上向きになるように叩いてあったため腕布は勢いに振られて体前面を大きく開いてしまう。

 そこへ少女は一気に踏み込んで、柄の手はそのままに鞘の手を鞘中程辺りに持ち替えて刀を今度はさながら杖術や棒術のように用い、

  ゴッ!「ぅギッ!?」

 顎を斜め下から鞘先でかち上げられ動きがコンマ零秒止まったその隙に、

 ハバキを外して指二本分の長さほど抜いた状態で 柄を順手 鞘を逆手で持った刀の鞘で鳩尾を強烈に突いた。 突くと同時に『ギンッ』と鋭い金属音が響く。

 「グッ ぁごっ ァッ  っ  ……!」

 腕布は声にならないうめきをあげながら少女に背を向けて距離を取り崩れうずくまる。

 この突き、ただの突きではない。 突く際に出た金属音は刀を鞘に突き込んだことで生じた納刀の音で、『逆手で持った鞘での突き』に『順手の刀を鞘に突き込む 即ち釘打ちや鏨と同じ衝撃』を加え『突き込みによって再び一つになった刀全体を踏み込んで突き入れる』という三種類の衝撃を一つの突きに収束させた非常に強力にして繊細な技。

 そのような大仰な技を叩き込んだというのに一連の動きはあくまで流麗にして尖鋭。 続けざまに瞬くような いっそ綺麗と形容できるほどの動きである。

 

 唯の突きの数倍の威力で打点を穿たれていたことで強く鈍い鳩尾の痛みに腕布がうずくまって口の中に胃酸の酸味を感じているのを尻目に、すぐさま少女はマスクに正眼で向き合う。

 しかし間を空けて数拍、 マスクは剣を持つ手を下に降ろす。 それ即ち戦闘意志の放棄。

 少女の戦う様子を見て自分ではまず敵わないと判断してのことだった。 あくまで臨戦態勢は維持したまま、それを少女も察すると、

 

 そんなマスクの横面が

  『ゴスッ』「ぅぐッ!?」

 どうにか持ち直した腹巻に殴り飛ばされる。  

 「なにやってやがんだ! さっさとやれってんだろが!!」

 「、」

 口の端から血の筋を見せ何事か物申そうとしたマスクを尻目に腹巻は懲りもせず少女に肉薄。 打たれた右手には力が入らないからか、拾い上げた剣は今度は左で握られていた。

 だがこの接近も 手を伸ばせば届く距離まで迫ったところで少女はきれのある足捌きによって円を描くように絶妙な距離を得つつ横に動く。 視界の外にブレて消えたように見えたことだろう。

 地面と靴の擦過音が『ザザッ ジャッ』と二・三した後、腹巻の体が動くよりも早くに鞘での一撃が首筋の横に入る。

  ズドッ 「ッァ がぁッ!」

 だが。 アドレナリンの影響か、腹巻は多少動きが鈍っただけで首筋横へ入った刀を右手で掴み 次いで剣を捨てて両の手で掴んだ。

 剣道の面のように戻すこと前提の『叩き』ではなく、確実に一撃を入れるべく力を込めた『斬り』を少女は見舞ったのだが、刹那首筋を狙う危険性 即ち脊髄を損傷させる可能性が脳裏に奔り、その迷いのせいで威力が削がれたことも理由であるが。

 「!!」

 「ぐ っぅう!」

 少女もこれには意表を突かれ表情が強張り、柄側を少女 鞘を腹巻が握って 三尺三寸を挟んで二人は膠着。

 

 しかしそれも数瞬のこと、少女がその停滞を打ち破る。 なんと少女も刀を手放し すかさず体を密着させて襟元と肩口を掴むと、

 「っ せァッ!!」

 柔道で言うところの大外刈りで腹巻を地面にダァンッ!と叩き付けた。 足を刈られての一瞬の浮遊から、受身など一切無しに背中と頭部をもろに地面へと無防備に叩き付けられる。 状況としては先の七乃と同じだったが、今までのダメージが腹巻の頭を鈍らせていたことで刀を奪うアクションへ至らなかったようである。

 「っぐ か は ぁっ…!」

 フィニッシュの瞬間に襟元の手で上半身を下に叩き付けるようにしてあったため、地面に衝突した際の衝撃で肺の空気は叩き出され後頭部も打ちつけて腹巻の意識は数秒無くなり、手放された刀は再び拾い上げた少女の元に。

 見事なまでに決まって『ぁガ ァッ……!』地面に倒れて腹巻が身悶えする中、

 

 「きゃ ぁっ!?」「な なの!!」

 「ぐっ ぅぅ  動くな!!」

 「!?」

 一難去ってまた一難、少女が声に反応して弾けるように振り向きつつ刀を構えると、口の端から胃液交じりの唾液を覗かせる腕布に立たされた七乃が服の襟元後ろ部分を掴まれて喉元に刃を当てられていた。

 「下 衆が……!」

 非力な者を盾にするとあって少女の刀を握る手に 奥歯に力が加わり、眼には怒りが。

 が こうとなっては少女は動けず、当然刃を突きつけられる七乃を怯えた顔で見上げてへたり込むしかできない美羽は論外。

 「っぅ オラ 早く消えろ!」

 鳩尾へのダメージが未だ消えていない腹巻は消えろとほざくが少女に消える気など毛頭無い。 さりとて強硬に強行するなどという馬鹿でもないから動きようも無い。

 

 場が、わずかに停止する。

 

 

 と ここで七乃が大胆な行動に出た。

 ダメージの影響か競り合いの動揺か、喉に当てられていたのは刃ではなく片刃の峰側。

 それを目の端に見て取った七乃はまずい状況に表情がこわばる少女に目配せをすると、

 

  ガシッ

 「 ! てっめ放せ!」

 「っく うぅ!」

 腕布の短刀を持つ手を両手でがっちり掴んで隙を作るべく全力で抵抗、

 

 その二・三瞬が思惑通りの功を奏した。

 七乃の耳の数ミリ横を黒い鞘が矢のように走り、その後ろの腕布の喉を穿つ。

 目配せからの七乃の行動を理解した少女が数瞬の隙を逃さず、走り寄っての勢いを加味した刺突を見舞ったのだった。

 「ご ぉあ゛ぁ…!」

 いきなりのことに手は短刀を取り落とし、力が抜けたことで七乃は腕を突っぱねて離脱、すぐさま美羽へとしゃがみ寄り抱き寄せてその場から離れ、少女は再び二人の壁となるべく前に立つ。

 「怪我は!?」

 「ぇ  ぁ ありませんよ!」

 そして七乃に意識を払いつつ、刀と それを持つ腕を真っ直ぐ、地面と平行になるように前方に突き出した構えを取った。

 某明治剣客浪漫譚の作中では『信剣』として出たこの構え、剣を物理的な障壁として用いるだけではなく 剣という距離を視覚に入れることで自分の間合いの意識を広くし、より速く反応できるようになる効果がある。 そこから防御のために通常の正眼等の構えに戻せば差分の余裕が生まれる。 察知と間合いを一番に考えている点が、防御一辺倒とされた点なのであろう。

 つっても上記のは作者の私的見解に過ぎないんだけど。

 

 「ぐ くっそがぁ… 」「げぉっ ごほぁっ」

 膝を付いて唾液を覗かせ痛みに咳き込む そんな状態になっても未だに害意を収めない二人。

 「駄目だ 逃げる。」

 それをマスクが腕を横に伸ばして止めに入った。

 「 ガほっ ざ ゲんな! ここまでこけにされて ぐ っぅう」

 「あの女 刃をまだ抜いてない。 これ以上やって 剣で来られたら 殺される。

  刃だったら もうおまえ達死んでる。 二人共 まともに動けないから 絶対に逃げられない。 おれも 絶対勝てない。」

 頭が沸ききっている二人を制止するマスク。 このマスクとしても仲間である二人と 未だに気絶している黄色い布を鉢巻にしている男に死んでほしくは無い。 剣を抜かないのは少女の手加減だと思っているが、このままでは手加減が無くなって殺されてしまうことを恐れていた。 自分達は日が浅くとも旅の人間数人にカツアゲした無法者、いつ殺されても文句は無いがそれでも死ぬのは恐ろしいのだ。

 

 いつ飛びかかってもおかしくない腹巻と腕布、それを制止するマスクと迎撃体勢の少女。

 

 場は鉄の弦が何本も張り巡らされたような緊張状態だった。

 

 

 

 「待って下さい。」

 

 そこへ七乃は美羽から離れて少女の横に歩み出た。 一同の注目が七乃に集まる。

 

 「 私達を見逃してあなた達がすぐに立ち去ってくれるなら、これ以上危害を加えません。 いいですか?」

 七乃が目線だけ向けて話を振ると、

 「…… そちらが良しとするのであれば某に異存は無い。 かかってこなければ の話でもあるが。」

 考えを察したのか七乃の話に合わせつつも臨戦態勢を解きはせずに少女。 鞘先は常に男共に向けられている。 彼女の内の臨戦状態のせいか、歩み出た七乃すら彼女の周りにピリピリとした硬く冷たい雰囲気を覚え、横の少女の いわゆる剣気を感じていた。

 

 「辺りに転がってる品物も持って行って構いません。 命と お金になるかは分かりませんがそこらの品と引き換えに居なくなってください。

  でもこの人と私達の荷物を持って行こうなんて考えないで下さいね? 他は構いませんけどもしそんなことしたら どうなっても知りません  ので。 因みに私達のはそこの白っぽい袋二つですから。」

 少女は七乃の言に合わせるように、男達に鋭い目を向けつつ刀を腰に移し、鍔を親指で押してハバキを鞘から外す。

 カキッ と小さく金属音がする。 それは刃を抜くぞとの予備動作に他ならず、男達もそのことが分かったのか、尻込みした心理が一歩後ろに下がるという行動に分かりやすく現れる。

 

 七乃は早々にこの状況を終わらせることを選択したのだ。

 横の少女に全員始末してもらうことも考えられる手ではある。 美羽がいる状況だが、今に際しては殺しを見せられないと言っている状況でもない。

 しかし。 このまま続けて 先のようにもしまた自分に 最悪美羽に危害が加わってしまえば元も子もない。 ならば少しでも早くに今の状況を終わらせるほうが賢明と判断したのだ。 ありがたい事にマスクがほじくり出してくれた『少女が刃をもって殺しに掛かってくる可能性』の土台もある。

 

 屠れれば ではない。 無事に終わればそこで七乃達の『勝ち』なのだ。

 

 

 そのまま十数秒。

 

 美羽・七乃・少女の側と 男達の側の間を 静かに一筋風が横切って、

 

 少女の黒髪がそよいだところで。

 

 

 「 くっそ  死んでろっ!!」

 頭の程度が知れる捨て台詞を腹巻が吐くと、腹巻と腕布は手近な物品を掴むと斜面を下って行った。

 七乃に殴られて未だ気を失っている鉢巻は置いてけぼりになっているが、黄マスクはめぼしいものを拾うと鉢巻の懐に放り込んで、当人を引き上げて肩を貸す形で支えた。

 そして、

 「…… この辺りには 他には居ない たぶん。 ……すまなかった。 せめて気をつけて。」

 七乃達に短く言い残して、鉢巻と共によろよろと去っていった。

 

 

 

 

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 ・ W h o …… ?

 

 

 

 「ぁ……?」

 途端に七乃はすとんと膝を折って座り込んだ。 緊張の糸が切れたことによる。

 「なな の   七乃  ぅ ぅあ えぅ   うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

 美羽も安心したのか涙腺と感情が決壊、ほとんど地を張って七乃に寄ってすがりつくと同時に顔を七乃の胸に埋めて泣き出した。

 

 そして少女は

 「 っ  はぁっ はぁっ ゼ はぁっ 」

 ガクッと片膝を付きそうになったところを持ち直しはしたが、刀を杖代わりに肩を上下させる荒く早い呼吸を吐き出す。

 先程までの様子とは打って変わって汗が顔ににじみ、頭の中の処理に表情がこわばる。

 

 

 

  首筋後ろを殴って 喉を突いて 相手の得物が真剣 自分の手で相手が地に伏せて 苦痛を与えて

  

 

  自分が先程までしていた競り合いの全て それが今になって頭の中に改めて思い起こされる

 

  打突の際に手に伝わる感触 他者を殴りつけ その相手が痛みに苦悶したこと

 

  真剣を相手取った事実 

 

 

 

 色々な思考の奔流がおしよせ、いまさらのように恐れがフラッシュバックした。 むしろなぜ今まで恐れを感じなかったのか。 謎である。

 

 

 

 

 

 

  『 それじゃ 頑張ってね? 』

 

 

 

 

 

 そこへ またもや頭に声が割り込んで表情が止まるがそれもわずか、

 

 「は ぁ……  大事 御座らんか?」

 美羽の頭を柔らかく抱きしめる七乃に寄って膝を付き、目線を合わせると声をかけた。 少女の頭に、謎の声への疑問は そもそも声があった記憶はもう無かった。

 「えぇ なんとか… ほっぺた叩かれたのはまだ痛みますけど ね。

  もぅ美羽様、そんなに泣かなくても大丈夫ですよ。 悪い人達は行っちゃいましたから。」

 二人共に無事危機を脱したせいか七乃の目も潤みを帯びていて、美羽の頭を撫でる手も小刻みに震える。

 

 「とりあえず ありがとうございました。 あなたが来ていなかったらたぶんもうだめだったでしょうね。

  私達はいいですけど あなたも大丈夫ですか? いきなり肩で息してますけど……」

 「 ぁあ ハァ 心配は 無用だ。 其の言葉、有難く頂戴仕る。 、 こちらとて救いとなれて本望だ。

  助けを叫んだは其方であろう。 もう泣くことは無い。 な。」

 「ぅっ ぐしゅっ  誉めてつかわす のじゃ……?」

 呼吸を整えて美羽にも声をかけると、動揺のせいかよりにもよってこんな言い回しになった美羽。 でも少女は『?』となったものの、

 「そう か。 ともかく無事でなによりだ。」

 てんぱってるからと納得したのか、スルーして美羽の頭に手を添えて撫でた。 先の戦闘の様子を見ていたため美羽は少女に対しては若干引っ込んでいるものの、優しいその手を警戒はしていないらしい。

 

 そして少女は美羽の頭から手を離し、息も整ったところで改めて先の一件を思い返して七乃に問う。

 

 「しかし 先程の者達は…… 如何なる故有ってあのような真似を? 抜身の刃物を持ち、あまつさえ女子供に向けるなどと常軌を逸するにも程がある…… 何事かしでかしたのか?」

 これに七乃は自分達に非があると思われては心外との気持ちを込めて答えた。

 「故もなにも、野盗なら当然でしょう。 なにもしてませんよ私達は。 当然って言ってもこっちからすれば迷惑なだけですけど。」

 そう。 こんな言い方もどうかとは思うが、野盗が野盗たる行動をするのは当然と言うか自然なことと言うか。

 国が乱れればこういった輩が出てくるのも必然。 故があるとすれば貧困か、ともすれば真面目に生きるのが面倒になったから といったところが往々の理由だろう。

 

 この常識レベルの応えに 

 

 

 「野 盗?  ……待て、何の冗談だ?」

 

 

 少女はぽかんとした表情を浮かべて返した。 なんの含みもその声に無い、純然たる疑問の視線が七乃に向けられる。

 

 「? 事実でしょう? それに剣を持ってるのはあなたもじゃないですか。」

 少女の『何を言っている?』との顔に、『何を言っているんですか?』との顔で七乃も応じる。

 「それは……そうだが、 第一 ここは何処だ? そもそも何故自分がこれを持っているのかが皆目   …?」

 「分からない って、  ……何を言ってるんですか? 剣を持ってこんなところに居て、分からないも何もないでしょう?

  ……もしかして迷ってたってことですか?」

 

 何を疑問に思っているのかが理解できない七乃の前で、

 

 「いや、  ?   ……?   某 は、  何故  此処に これは …… 」

 

 少女は当惑を露にして自分の状況を改めて確認する。

 

 

  先の戦闘がきっかけとなったのか  明瞭になった頭がようやくまともに動き出す

 

 

 「どう なって……  何故某は 此処に    

 

  昨日は    昨日……?    」

 

 「……?  どうかしました?」

 

 少女は記憶を探っているのか、右手を側頭に当てて真顔になっていた。

 

 ただ事ではなさそうなことを美羽と七乃も察して、少女に合わせて十秒ほど沈黙した。

 

 

 真顔のまま十秒の後、少女は口を開く。

 

 

 

 「 分から ない……   」 

 

 

 

 

 

 続いてその口からは妙な言葉が独白として漏れ出た。

 

 

 

 

 

 

  思い出そうとする思考の網に記憶が掛からないのではない。

 

 

  手で掬ったにも関わらず指の間から記憶が零れ落ちて何も残らないのでもない。

 

 

 

  あるはずなのに掴めない そんな感覚ではなく。

 

 

 

 

 

 「……………………   誰 だ ?   」 

 

 「……………………、  は ?」「………?」

 

 

 美羽も七乃も、少女の妙な しかし素の言葉のせいで反応に困る。

 

 

 

  無 だった 

 

  白く靄が掛かって見通せないのではない 掴もうとする記憶が霞で出来ているのでもない

 

 

  頭の中 記憶の中には 何も無かった 

 

  あるとすれば先の森の中で目を覚ました際に見た繁る葉から光が漏れてくる光景 それが一番古い記憶だった

 

  それ以前には 目を覚ます前の記憶は無く 虚無という感覚が 真っ白な記憶がそこにはあった  

 

 

  昨日 先週 去年どころか 幼いころの記憶すら無い

 

  親の顔 そもそも親がいるのか 兄弟姉妹は 友は

 

  どこに住んでいたのか どう育ったのか

 

  自分の居た環境がどういったものだったのか

 

 

  自分はどういう人間なのか

 

 

  そして

 

 

 

 「  某 は    誰 だ ……?」

 

 

 

  自分の名前すらも  分からなかった

 

 

 

 ぽかんとして見る七乃と 嗚咽の残ったしゃくりあげるような呼吸音を漏らしながら見上げてくる美羽の前で、

 

 

 空っぽの どういった感情を乗せればいいか分からない

 

 

 呆然とした 否、呆然とするための己すら見つけられない

 

 

 

 

 そんな声音を、不動 如耶は漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-4ページ-

 

 

 ・ smile in the forest

 

 

 

 

 

 

 

 

   ――――――――――――― 、

 

 

 彼女は目を開け、徐々に意識を得た。

 

 目の前には葉が茂り、葉の間からは陽の光が木漏れ日となって顔に差し込んでいた。 眩しい。

 もとい上空に であった。 得た意識は重力を感知して、自分の体勢が仰向けに寝ている状態であることを告げる。 

 

 ( 何処だ  此処は )

 

 むくりと上体をあげると頭がぼやけていた。 いや 寝起きの時とは違い、クリアではあるが 根元の辺りがぼやけたような感覚がある。 思考がすぐに霧散する。

 

 そんな頭ではあるが周囲を見渡すと、どうやら自分は森か林の中に居るらしいことが分かった。 長い黒髪には枯れた植物の葉の破片がいくつかくっ付く。

 周囲は木々の群れに背の低い草の類、深い緑に若い緑と植物が繁茂していた。 一方向の木々の間からは空と黛の遠景が見える。 

 

 ( 何処だ此処は……  森?  何故斯様な所に  ? )

 

 頭の中に疑問がぽこぽこ浮き上がる中、彼女は傍らに何かが落ちているのを目の端に捉えた。 複数だった。

 

 ( 鞄 と これは…… )

 

 自分の荷物であることを認識した彼女は立ち上がってそれらを携え、衣服や髪にくっ付いていた落ち葉のかけらを払うと とりあえず先に描写した空と黛の遠景が見える一方向へと歩みを進めた。 人を見つけるべく だ。

 

 すると数歩歩いたところで、向かおうとした先から怒声のような音が木に散ったのか微かにではあるが聞こえてきた。

 

 ( 人か? )

 

 そう思った矢先に、今度は小さな女の子の声が。

 

 「!?」

 声は言っていた。

 木々に散ってはいても声は彼女の耳に入ってきた。

 悲哀の感情から必死に出したのであろうことを察せる声で叫んでいた。

 

 

 誰か助けて と。

 

 

 すると彼女はその声を認識した途端、なにやら一瞬停止して変な間を空けたかと思えばはたと我に返って即座に声のほうへと走った。 木々の間を駆け抜け、若草を風圧で揺らし、

黒髪をなびかせながら彼女は林の終わりまで到着した。

 

 そこは土肌のむき出しになった急な斜面の上だった。 林がガクンと途切れていて、下には山道に続く広い緩やかな坂道が。

 その坂道の上にはおかしな格好の人間が複数居、一斉に彼女へ視線を向けていた。 面子は地に膝をついている地味な服の少女が二人と、同じような格好の男達。 内一人はうつ伏せに倒れているが。

 

 救難信号発信者はすぐに見て取れた。 地味な服装の金髪ロングの小さな女の子。 小さいが整った顔を悲哀と涙で汚した少女。

 原因は同じような格好の男達であることは明白だった。 男達は手に手に武器を持っていて、

 

 ( この状況はなんだ? )

 

 思うが早いか動くが速いか、彼女は異常な事態に警戒を表情に出して通る声で吼えた。

 

 「そこッ! 何をしている!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして如耶が斜面を滑り降りて行くと。 木々の群れの奥の木に背を預けて如耶の一連を見ていた『そいつ』は、

 

 

   フフ  じゃあね。

 

 

 小さく笑って、消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

-5ページ-

 

 

 

 ・Side Somebodies 〜調律師〜・

 

 

 「ク ハハハハッ ま、こんなところ かな?」

 

 ここは『とある場所』 そして声の主は『誰か』先の表現を借りれば『そいつ』 性別は男。

 

 彼は空中に展開した四角い光の膜に映る映像を見ていた。 数は左右に二枚。

 一方は『彼女』が『彼女達』と合流した地点の映像を映していて、

 

 もう一方は 自分と同じ部類の存在、此度の『原因』が呆然としている映像だった。

 何が起こっているのか分かっていても、どこかでしくじったことを認めたくは無い しかし現に最悪に近いことが展開しているのを目の当たりにしていることで頭の中に現実が突きつけられる。 

 その現実と否定に思考が板ばさみとなっているのだ。

 

 「本当にキミは愚かしい。 だからこそ愛らしい。 故に愛おしい。」

 男はそう、少し馬鹿 もとい少しばかり歪んでいる。 光の膜の映像の中で呆然としている『原因』のその反応、それが見れたことで そして呆然としている理由、心の中で何を考えているかが分かっていることでこの上ない愉悦を感じているからだ。

 

 「愛しいキミ。 だからこそ僕は味方するよ。 愚かしいキミを愛しく想うが為に。」

 

 線の細い色白の美形男は画面越しの『彼女』に、たちの悪い心の底からの親愛を込めた視線を向けて、

 

 「さぁ、キミが引き起こして僕が整えた『彼女』のシナリオはどう転がるのか。 二人で作ったシナリオはどんなエンディングを迎えるのか。

 

  見ていこうよ、二人で。 ッ ハハハハ…」

 

 手を顔に当て。 男は楽しそうに、悦しそうに、笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

-6ページ-

 

 

 

 ・そして名前がまた増える

 

 

 

 

 

 

 さて 時と場所は移って数時間後。

 

 

 七乃達が目指す場所に三人の人物が到着した。

 

 

 

  その三人、自分達の姓を 『紀』『雷』『陳』と名乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-7ページ-

 

 

 

 ・あとがき・

 

 

 

 才色兼備の文武両道な幼馴染で、秘めて主人公のことを一途に想っていて、黒髪ロングの大和撫子で むしろ秋水乙女(侍少女)で、

 主人公が行った世界へ追うように飛ばされて、

 なのにそれらの記憶無くしてしまって、

 且つ主人公強いから武の面も強いとは言っても主人公を上回ることは無い って、 これって、

 

 いよいよ完璧超人系正統派ヒロインじゃないですかやだ―――!

 

 

 ……と はい そんなわけで皆様。

 不動 如耶をやっと出せてまたも達成感を得られてはいるけど、情報を整理したら正統派ヒロインになってて「……あれ〜?」ってなってる華狼です。

 

 

 まぁその前に。 前回のことを抜粋してちょっと。

 

 まず。 七乃が無双してましたねほんとに。 もう七乃はこの路線でいいんじゃないかな。 ってか原作でもこんなかんじでしょたぶん。

 

 あと美羽。 書いててちょっと可哀相になってました。 でも可愛い。 なにこのジレンマ。

 金髪少女がへたりこんでべしょべしょに泣いて助けてって叫ぶところ想像したらなんか変な感覚が腹の奥底から。

 うん そう、これこそが、愛ってやつな のでしょうと信じたい。 愛ですよ。 可哀相って思うこともまた愛の情けってやつと信じたい。 私にそんな趣味なんてある筈無いじゃありませんかはっはっは。

 まぁアホな言はこのあたりで。

 冷静に分析すれば、要はあの後に救いがあるってことを知ってることによる 文学で言うカタルシスに連なる感覚なんでしょう。 だからこそ美羽を この後の伏線でもありますがどん底にぶち込んだ訳です。

 

 そして焔耶はどうなっているのやら。 かなり前にも美羽に七乃と不動先輩の描写を出しちゃったし、文の流れからも今回のラストで出るのは焔耶ではないと分かってたんじゃないでしょうか。

 焔耶と見せかけて実は って展開だったのに。 見事に失敗ですよあぁもう。 自棄で東雲に関しての描写も入れてるし。

 もう少し先の先まで考えないと ですね。 ガアアアアァァァァァァァァちくしょぉぉぉぉぉぉぉ!!!

 

 

 さてでは不動先輩に関してですが、

 

 ……いや真実なにこの正統派ヒロイン? どうしてこうなった。 別に不動先輩メインってわけじゃ無いんだけど。

 

 なにより最初に記憶喪失です。 今まで居た世界・社会・日常の一切の記憶を無くしています。

 でも倫理道徳常識知識に類する事柄は残っているというなんともご都合なことになってます。

 例えば持っている刀は『日本刀』という名称であることは知っていますが、どこで誰から知ったのか、また『にほん』が人名形容詞地名のいずれなのかは忘れている、こんなところですね。

 いや 言ってしまえば上流階級のお嬢様がいきなりあんなとこに行っても適応させるのは難しいこと限り無し です。 なら風俗文化を忘れてるほうがすんなり適応出来るだろうってな考えです。

 

 それと不動先輩は まぁ強いですよ。 恋姫の武将クラスには流石に及びませんが、作中でもあったように一般程度の相手ならわけはありません。

 近年流行の主人公よりも強いヒロインになり得るスペックですが、しかし知ってのとおりうちの一刀、強いです。

 ですから守ることの出来る強いヒロインであり、守られる古典的なヒロインの要素も備わっています。

 まぁそれを言ったら愛紗でも一刀のほうが一段上ですから条件は同じですが、より身近な強さと言うのか。 武将ヒロインよりも弱いヒロイン、目指すのはそんなところですね。

 

 しかもなにやら妙な輩が暗躍して付きまとってます。 今のところ全体では三人ですが、その内の二人が と言うか、一人が不動先輩に何かしたらしく そしてその一人に何らかの干渉をしているのがもう一人。

 さて、そいつらは何なんでしょうか。 それもまたこれからですね。

 

 不動先輩がいきなり戦闘出来たのは『奴』の干渉のせいです。 ちょっと頭を戦闘状態にシフトさせたことに因ります。

 真剣だと認識してしまった一般人がいきなりまともに立ち回れるわけも無いですからね。

 

 って嬉しそうに語ってるけどほんとにどうすんの。

 こんなの放り込んで色々面倒にならないか なるだろうねそれはもう。

 他のキャラにどう言い訳すればいいのか。今のところは真実未定です…… 設定としての言い訳は着々と書き進んでますが。

 

 まぁなにはともあれ。 とりあえずは To Be Continued ですね。 人はそれを先送りと言うとか何とか。 

 

 

 さぁ次回は また また名前が増えるっていう。 もういくつ主要な名前を増やすのか私はって状況ですよ。

 

 誰ってそりゃあ袁術ってことでの三武将の名前ですよ。

 ただいかんせん字が三人とも不明ってんですからまったくもう厄介なんだから。 でも私からすれば御褒美ってなもんです。 また名前を考えられるんですからね。

 

 ではまたいつか。 今度もまた長いんだろうな。

 

 

 

 

 PS

 

 

 さんざん書いてきたけど不動先輩の客観的表現が『少女』ってのはどうなんだろ。 なんか違和感。 でも『女性』ってのはもう少し歳行った人に使う感じだし。

 

 文字通り微妙なお年頃です。

 

 

 

 

 

 もう一個PS

 

 

 作品説明で書いてあった謎の技名に加えて

 

 ((天奔閃迅甲脚|セレストジンナー)) (てんほんせんじんこうきゃく Celestezinner )

 

 も どうぞ。 これがなにかってそれは まぁまたいつか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明

 『絶屠御御爆雷』 ぜっとおみばくらい
 必殺の爆雷 の意。 呼んで字の如く。 『御御御付け』『御々脚』って言うでしょ。


 やぁ のっけからの意味不明な必殺技に定評は無い華狼です。 でも『必殺』の意味で『ゼット』って音の単語はかっこいいという自造語自讃は自重しない。

 今回でようやく ようやく放置から解放できました彼女を。 ようやく動き回らせることが出来ますよ。
 初登場の記念ってわけでもないけど初登場から戦闘で飛ばしていくぜ。

 ただ短くていかん。 戦闘描写に時間かけたせいで あと他のに寄り道してたら余裕無くなった。 浮気いくない。

 近々東方のSS出すかもしれないよ。 あれの続きか 新しいやつか。 少なくともこれの続きよりは早く出るかも。

 
 なにはともあれ Here we go。



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