仮面ライダー Rainbow of the oblivion―忘却の虹― 9話 |
「シモン…コザァート……ですって…!?」
シモン=コザァート…その名を聞いて九代目は信じられない顔をした。
「シモン=コザァート?」
「…誰なんだ、九代目?」
「……ボンゴレT世がまだボスだった時に存在していたファミリー…シモンファミリーのボスだよ。ただ…」
「ただ?」
「ボンゴレの歴史ではすでに死んでいるはず…!」
「!?」
「なっ!?」
『……そうだな…全てを話すにはまず俺の過去から話さなければならないな…』
T世はそういうとフウ…、と一息した。
『俺がまだファミリーを創立していなかった時…バオロの納屋で俺とGはシモンと出会った。そしてアイツと親しくなってな…とある事件でシモンは俺にボンゴレファミリーを作るように提案した』
まぁまだ自警団だったがな…、とT世はどこか遠い目をしていた。
『シモンもファミリーを作り、規模も大きくなったある日…突然あれが降ってきた…』
「あれ?」
『その日、イタリアのとある山奥に流星が落ちたと報告があり、俺とシモン…そしてそれぞれの守護者でそれを見に行った。…そこにあったのは拳ほどの大きさの光る石だった…』
「…石?」
『その石は俺とシモンが触れると三つに分かれた。…同じ大きさの石が二つ、そして小さな石に。その後調べるとその石は莫大な死ぬ気の炎を宿しているとわかった。その力をファミリーの拡大に使うと言う意見が出たが俺はその石を使わないことにした。俺達は後にその石をアマダムと名付けた。』
『そして、ある日…それが悪夢の始まりだった』
「一体…何が起きたんですか…?」
『別のファミリーとの抗争でシモンファミリーが危機に陥った時…初代霧の守護者、デイモン・スペードが自らの計画のためにシモンを消そうとした』
「何!?」
『だが俺と残りの守護者が気づいていたからな…誰にも悟られることなくシモン達を救出した……その後だった、ヤツが表れたのは』
「…ヤツ…?」
『名をバミューダ・フォン・ヴェッケンシュタイン…復讐者を従えていたヤツは宇宙を管理する者と言っていた』
「宇宙!?」
『バミューダは疲れきっていたシモンにある物を埋め込んだ…それはシモンファミリーが管理しているはずのアマダムだった。シモンは埋め込まれた瞬間白い怪物になっていた…正気がなくただバミューダに従うだけの存在になってしまった…バミューダはシモンを連れ、一月後に俺と俺の持っているアマダムを壊しにくると言って消えてしまった』
「一体なんのために……」
『それはわからない…俺はヤツと戦うことにした、だが超直感で今の俺ではアイツに勝てないと直感し、対抗するためにヤツと同じことをすることにした』
「…まさか……」
『そう…俺もアマダムを埋め込むことにした…そのときにアマダムを別の形にし、さらにアマダムが三つに分かれた時に出た石を作り替えた…それがお前に埋め込まれているアークルとそのリングだ』
「!これが!?」
『だがこの事は秘密にするべきだと考え、シモンファミリーには何も言わず人がいない孤島に住まわせ、ボンゴレからも記録を残さないようにした』
信じられないことを次々と言っていくT世にとうとう三人は口が開かなくなってしまった。
『そしてアークルを着けた俺は姿を変えて力を得た……バミューダが俺を狙うのならと周りに被害が出ないように俺はファミリーを引退して日本の富士という山に向かった』
「それが日本に渡った理由…」
『そして一月後……バミューダはシモンと…200体余りの怪人達を連れてやって来た。その怪人の正体は一般人を怪人にしたものだった』
「何!?」
『俺はその怪人達を相手に十日間戦い続け、ようやく勝った…だがバミューダはシモンを含めた怪人…グロンギは数百年経つと甦るといった…その戦いの後、バミューダは姿を消した。俺は寿命を迎えた時に最後の力を使い自らの体を大きなクワガタ…ゴウラムにし、俺が死んだ後数百年経つのを待って眠りについた』
「あの時のクワガタは…お前だったのか…」
その頃球体の外では…
「クッソ!!びくともしねぇ!!」
「落ち着けって獄寺!!」
「沢田達なら無事だろう、だから爆発させるのはやめろ!!」
ツナ達が球体に入ってから数分…獄寺はツナ救出のためにダイナマイトを使い、球体を壊そうとしていた。
「ツナ達何やってんの〜?楽しいこと〜?」
「…………………」
「ボス………」
「沢田殿…」
「……………」
「……………」
再び球体内…
『他に聞きたいことはあるか?』
「…T世……何で俺のことをクウガと呼ぶ?そもそもクウガってなんだ?」
『クウガとは俺の残した暗号のことでアークルを着けた戦士を意味する。』
「じゃあ何でリトをクウガにしたんだ?」
『それはお前が俺の子孫でグロンギ達が完全に復活する時期に生まれたからだ』
「それでは近いうちにグロンギが復活するのですね?」
『ああ……後26日といったところだな』
「そんな、早すぎる!!」
「…止めることはできないのか…」
『ああ……こればかりはお前達がグロンギを倒すしかない』
「だがまともに戦えるのはリトしかいないんだ!!どうすれば…………」
『心配するな、この時に備えてお前達にも力をやろう』
T世は手を広げるとそこから七つの光を放った。
その内の六つは光は球の外へ出ていき、残りの一つはツナの指についた。
ツナについた光は徐々におさまりライオンの形をしたリングとなった。
「今のは!?」
『今の光は]世の守護者に届いたはずだ……あの光は]世と同じようにリングとなり、そのリングからは獣が生まれるだろう』
「…獣?」
『その獣は形態変化しクウガのように変身する道具にも、俺達初代ファミリーの武器にもなる。だが]世のだけは変身する能力はない』
「!?なぜだ!?」
『お前達全員の力までは作れなかった。だからクウガ……お前が作れ』
「!?」
『お前が持つリングを使えばできる。ただ求める力を想像すればいい』
「…わかった」
『それとクウガ……お前の寿命はグロンギが完全復活する日の夜までしかない』
「何!?」
「!!」
「……………」
「T世!!なぜ梨斗君の寿命がその日なのです!?」
『それは………………クウガがアークルを着けた時にはもう生きている状態とは言えなかったからだ』
「「「!?」」」
『それにその時にもう記憶は失われていた…もう思い出すことはできん』
「そんな……」
「何で………!」
「……………………………」
『だがお前にも支えてやる家族が必要だ………だから』
「?」
そう言ったとたん、いままで黙っていた歴代ボンゴレボス達が死ぬ気の炎となり、リトの体に入っていった。
「!?うあっ…………!!?」
「リト!?」
「梨斗君!!……T世!!一体何を!?」
『時間が立てばわかる……それしか罪滅ぼしにならないからな…』
「罪滅ぼし…?」
『……さて、もうお前達と話していられる時間は少なくなってきた…]世』
「ん?」
『お前達の持つそのリング…自分達のものに昇華できれば今以上の力を発揮できるだろう』
「自分達のものに?」
『ああ……]世、クウガと守護者を連れ、マーレの小僧の所に行け』
「マーレ?」
『そいつが最後に力を貸す仲間となろう…』
「仲間にしろっていってんのか」
『まぁそういうことだ。……じゃあな]世、\世 そしてクウガ…どんな困難にたっても勝利しろ、俺達はリングから見守っているぞ』
そう言い終わった後、T世は透けていく。
それと同時に空間も消えていく。
そして空間が完全になくなり、元の広場に戻っていた。
「ツナ!!」
「十代目!!ご無事で!?」
「沢田!!平沢!!」
「ああ、大丈夫だ……それより…」
「うう…ぁぁ……」
さっき中に死ぬ気の炎が入った時から苦しんでいるリト。
そして、
「ぬっ、あああああぁぁあっぁぁぁぁあぁ!!!」
リトの体から再び炎が出てきた。
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