真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第114話「山へ(前編)」 |
真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第114話「山へ(前編)」
小蓮「おはようございま〜す♪ なんちゃって」
まだ日も上がりきらない早朝、赤斗の部屋に小蓮がやってきた。
小蓮「赤斗、寝てる? ね・た・ふ・り、とかじゃないですよね〜?」
小蓮が寝台に近づくが寝台の人影は動かない。
小蓮「まだ起きない。赤斗。シャオが布団にもぐり込みますよ〜?」
そう言うと小蓮は布団に入り込んだ。
小蓮「あれ? 赤斗の身体に柔らかいものがある? それにスゴいお酒臭い…」
?「んっ、んン……あっ」
妙に色っぽい声が漏れる。
小蓮「えっ!? ええーーーっ、お、お姉ちゃんっ!?」
小蓮はベッドから飛び起きた。
雪蓮「んん、なぁに? …シャオ?」
寝ぼけ眼で雪蓮が起きあがる。
小蓮「何で雪蓮お姉ちゃんが、赤斗の布団の中にいるの?」
雪蓮「あれ? ここ…赤斗の部屋?」
小蓮「そうだよ。雪蓮お姉ちゃんはここで何してたの!? 赤斗はどこ?」
雪蓮「赤斗なら始めからいなかったわよ」
小蓮「本当に?」
雪蓮「……多分ね」
小蓮「じゃあ赤斗はどこに行っちゃったの?」
雪蓮「さあね。もしかして、蓮華や他の娘の部屋にいるのかもね」
小蓮「むぅ……赤斗ってば、お姉ちゃんたちばかり構って、全然シャオに構ってくれないよね。シャオの魅力が足りないのかな……」
雪蓮「シャオの魅力なら赤斗にも伝わってるわよ」
小蓮「お姉さま、本当?」
雪蓮「本当よ。だから、自信持ちなさい♪」
小蓮「うん♪」
冥琳「こんなに朝早くから、雪蓮も小蓮様も何をしているんです」
雪蓮「あら冥琳♪」
冥琳「まったく、いったい何をしているんだ」
雪蓮「うーーん。確か、祭と一緒に飲んでたはずなんだけど……」
冥琳「はぁー。それで酔っ払って風見の部屋に迷い込んだか」
小蓮「それよりも冥琳。赤斗がどこに行ったか知らない?」
冥琳「風見なら夜明け前に出掛けましたよ」
小蓮「出掛けたって、どこに?」
冥琳「何でも山に薬草を採りに行くとか」
小蓮「赤斗一人で?」
冥琳「いえ。明命と思春も一緒に行きました」
小蓮「えぇ〜、何でシャオを誘ってくれなかったの〜!」
冥琳「きっと朝早くの出発だったので、小蓮様に気を使ったのでしょう」
小蓮「もう赤斗ったら、そんな事、気にしなくていいのに〜」
赤斗「クッシュン!」
明命「赤斗様、もしかして風邪ですか?」
赤斗「いや。多分違うと思うよ。誰かが噂してんのかな?」
思春「どうせ、ろくな噂ではないだろうな」
赤斗「あはは……。それにしても、思春も一緒に来てくれるなんて思わなかったよ。山に詳しい二人が一緒に来てくれたから本当に助かったよ♪」
赤斗が背中に背負った篭の中には、薬草や野草が入っていた。
思春「一人で山に行って怪我でもされたら、蓮華様が心配するからな」
明命「赤斗様ー! これは摘んでもいい草でしょうか?」
赤斗「どれどれ…。おっ! これはオオバコだね。咳止めや下痢止めになるから摘んでいいよ」
明命「はい。わかりました」
思春「おい。これはどうだ?」
赤斗「それも摘んでいいよ。それは解熱や止血に使えるから」
明命「赤斗様はお詳しいですね。さすがです」
赤斗「あはは…、自分で言うのもなんだけど、勉強はしたからね。でも免許や資格を持っているわけじゃないから、今は黒いお医者さんの気分だよ」
明命「黒いお医者さん?」
赤斗「ごめん。こっちの話だから気にしないで。それにしても、こっちのの世界は向こうの世界と比べて、さすがに自然が豊かだね」
思春「天界には、このような場所がないのか?」
赤斗「もちろん、あるにはあるよ。だけど豊かさは全然敵わないね。便利な世界だけど、その分自然が少ないんだ」
少し寂しそうに赤斗は話す。
思春「そうか」
赤斗「よーし。そろそろ帰ろうか」
時刻は昼を回り、背負った篭の中は薬草や野草でいっぱいになっていた。
明命「はい」
思春「そうだな」
赤斗「二人とも今日は付き合ってくれてありがとう。助かったよ」
明命「いえ気になさらないで下さい。それよりも今度行かれる時も是非お供させて下さいね」
思春「これで借りはなくなったからな」
赤斗「借り?」
思春「…ここの事だ」
思春は少し恥かしそうに小声で話しながら、右肩を指差した。
赤斗「もしかして、この前の怪我の治療の事?」
思春「……そうだ」
赤斗「あれぐらい別に貸しだなんて思ってなかったから、気にする事もなかったのに」
思春「と、とにかく、借りは返したぞ」
そう言うと思春は先に山を下りていった。
赤斗「ふふ…。明命、僕たちも帰ろう」
明命「はい」
二人も思春に続いて山を下りていった。
冥琳「お、帰ってきたか」
城に帰ると冥琳が出迎えてくれた。
赤斗「ただいま」
冥琳「これは随分と摘んで帰ってきたのだな」
赤斗が背負っている篭を見て冥琳は言う。
赤斗「まあね♪」
冥琳「そんな薬草を摘んできてどうするつもりだ?」
赤斗「まあ色々と…」
冥琳「まあいい。それよりも今朝は大変だったんだぞ」
赤斗「何、どうしたの?」
冥琳「雪蓮と小蓮様が、お前の部屋に忍び込んで鉢合わせしたのさ」
赤斗「…はい?」
冥琳「何とかその場は収めておいたが、雪蓮はともかく、小蓮様はお前が山に誘ってくれなかった事にご立腹だったぞ」
赤斗「そ、そうだったんだ。」
冥琳「次に出掛ける時は、小蓮様も誘って差し上げる事だな」
赤斗「うん、わかった。そうするよ」
冥琳「ではな」
赤斗「ありがとう冥琳」
礼を言って冥琳と別れると、赤斗は自分の部屋へ戻った。
蓮華「ごめんなさい赤斗。ちょっと良い?」
部屋で薬草の整理をしていると、蓮華がやって来た。
赤斗「蓮華どうしたの?」
蓮華「小蓮は来てないかしら?」
赤斗「シャオ? いや、来てないよ」
蓮華「そう。…まったく、あの子ったら、どこに行ったのかしら」
赤斗「シャオがいなくなったの?」
蓮華「昼頃から姿を見ないのよ」
赤斗「……もしかして」
蓮華「何か心当たりがあるの?」
赤斗「えっと…今日、山に薬草採りに行ったんだけど、シャオが誘われなかったから、怒っていたって冥琳が言っていたんだけど……」
蓮華「まさか、赤斗を追って一人で山に!」
赤斗「……探しに行ってくる」
蓮華「私も!」
赤斗「いや。蓮華は待ってて」
蓮華「でも…」
赤斗「大丈夫。シャオは必ず見つけて帰ってくるから」
蓮華「……わかったわ。シャオをお願いね赤斗」
赤斗「ああ、任せといて」
赤斗が城を出た頃には、既に空は鮮やかな橙色に染まり、夕方であることを告げていた。
赤斗「これは早く見つけないとヤバイな」
祭「赤斗っ!」
赤斗「祭さん、どうしたんですか?」
祭「どうしたではない。権殿から聞いたのじゃ。尚香殿を探しに行くのじゃろ。儂も一緒にいくぞ! 早く見つけないと堅殿が飛び出して行きかねん」
赤斗「そうか、火蓮さん。シャオのこと大事にしてるから、心配するよね」
祭「そうじゃ。今はまだ尚香殿が行方不明だとは知らせてはおらんが、尚香殿が行方不明だと分かったら、すぐにでも飛び出して行くからのう」
赤斗「じゃあ、早くしないといけませんね。なら、もっと人手があった方が良いですね。祭さん。僕は先に行きます。祭さんはもっと人を集めてからきて下さい」
祭「うむ。心得た」
赤斗「では、お先に」
そう言うと赤斗は、奥義‘疾風’を使い山へと向かって駆けて出していった。
つづく
説明 | ||
拠点フェイズ?的なお話です。 主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきます。 未熟なため文章や設定などにおかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。 |
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続き待っています、頑張ってください(*´∀`*)(ラナン) | ||
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