B★RIS――ブラック★ロックインフィニット・ストラトス――転生して一夏の兄になった一人の男の娘の物語 |
第20話 知
ら
な
い、天井
ラウラside
・・・知らない、天井だ。
知らないというものの、現在位置が分からない訳ではない。学園の保健室だ。
右目の眼帯が外れている。何があったか思い出そうとしても頭が痛くなるだけで何も思い出せなかった。
今横になっているベッドのすぐ横に教官が座っていた。
「・・・何が、起きたのですか?」
「一応重要案件である上に、機密事項なのだがな・・・。VTシステムは知っているな?」
「はい。正式名称はヴァルキリー・トレース・システム。過去のモンド・グロッソの戦闘方法をデータ化し、そのまま再現・実行するシステムで、そのモンド・グロッソの優勝者は・・・」
「あー・・・。そこまででいい。IS条約で、その研究は愚か、開発、使用。全てが禁止されている。それがお前のISに搭載されていた。精神状態、蓄積ダメージ、そして何より、操縦者の意思・・・いや、願望か。それらが揃うと自動的に発動するようになっていたらしい。」
「私が、望んだからですね・・・。」
私が教官になることを望んだからVTシステムが起動してしまった・・・。何という失態だ・・・私は万死に値する・・・。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」
「は、はい!?」
突然教官に呼ばれた。
「お前は誰だ?」
・・・教官の言っている意味が分からない。まさか教官は私がドイツのIS配備特殊部隊「シュヴァルツァ・ハーゼ」の隊長であることの説明を要求しているわけではあるまい・・・。
「誰でもないならちょうど良い。お前はこれから、ラウラ・ボーデヴィッヒだ。お前は私になれないぞ。」
・・・。
数秒考えた後、思わず笑いが込み上げてくる。私が必死に笑いをこらえていると教官は立ち上がり
「さて、盗み聞きとは良い趣味だな、千夏。」
隣のベッドとココのベッドを仕切っていたカーテンを唐突に開けた。その隣のベッドには、あの時私と戦っていた織斑千夏の姿があった。
千夏side
「盗み聞きとは良い趣味だな、千夏。」
あれ、やっぱりバレてた?まぁ、このまま寝たフリをしてたらやり過ごせるかな・・・。
「・・・教官?私は寝ているように見えますが・・・。」
「へんし゛か゛ない、ただのしかは゛ねのようた゛」
「勝手に僕を殺さないで下さい!」
まさか千冬姉さんがネタ発言をするとは思ってもいなかったからついいつものノリで突っ込んでしまった。ていうかこの世界にドラクエあるんだ・・・。
「下らんことをしているなら安静にしていろ。」
「は、はい・・・。」
「さて、私は職に戻る。後は二人で仲良くやってろ。」
そういって千冬姉さんは保健室から出て行った。いや、二人で仲良くって言っても・・・。
「一つ、聞いてもいいか?」
ふと、隣のベッドで横になっているボーデヴィッヒが口を開いた。
「何?」
「VTシステムが起動した私のISを鎮圧したのは誰だ?」
「僕の思念体。」
「・・・思念体?」
あぁ、そういえばこの世界の人にはまだ虚の世界やそこにいる思念体のことについて話したことは無かったなぁ・・・。いや、前世でも空想の産物だったし、まさかこの世界では存在するとは思ってなかったけど。
「ちょっと話は難しいけど、順を追って説明するね。ボーデヴィッヒさんは「ラウラで良い。」・・・ラウラはこの世界とは違う世界・・・『虚』の世界を信じる?」
「パラレルワールドということか?」
「ううん。微妙に違う。簡単に言うと、コインの表と裏のような世界。」
「・・・信じるも何も、そのような世界の存在すら知らないな。」
「普通はそうだよね・・・。その『虚』の世界は今僕達がいる世界の少女たちの悩みや苦しみが具現化された世界。とある偉い人によると、『虚』の世界の住人は、現実世界の人間の心の傷を代わりに受け止めてくれる、もう一人の自分。そのもう一人の自分を思念体って言うんだけど、もう一人の自分は感情を持っておらず、現実世界の自分の感情を本能として戦っている。もう一つの世界の住人が死ぬことで、その住人と繋がりのある現実世界の住人は悩みやトラウマから解放される代わりに、それにまつわる記憶の一部を失ってしまう。」
「・・・つまり、その『虚』の世界とやらの自分の思念体が、他の人物の思念体に出会い次第殺しあっていると?」
「そう。悩みや苦しみが強い人ほど思念体も強くなるんだ・・・。でも僕の場合は例外。基本『虚』の世界には女性の思念体しか存在しない。でも、突然変異か何かで男性である僕の思念体が出現。僕の思念体は『虚』の世界を破壊する者として敵視されてた。何らかの方法で虚の世界を垣間見、それを見かねたISの開発者で天才で天災の篠ノ之束博士が僕の思念体を『虚』の世界から連れ出し、その魂を保管してたんだ。」
「・・・恐ろしい人だな。篠ノ之束博士は・・・。」
「僕もそう思う。僕の思念体の魂を保管した数年後、男性である僕と一夏がISを起動させたのが世界的に有名になった。篠ノ之束博士はこの事実を知って『こりゃもうあれをこうするっきゃ無いよね!』とか言って僕の思念体をISとして開発したんだ。」
「もうこの際篠ノ之束については何も突っ込まん・・・。じゃぁ、VTシステムのようにお前の思念体が表に出てくる条件でもあるのか?」
「僕のISにはIシステム・・・。正式名称『インセイン・システム』っていうのが搭載されていて、そのシステムが起動すると僕の意識が消え、思念体が表に出てくるんだ・・・。Iシステムの起動条件は二つあって、一つは僕の意思。僕が起動したいときにいつでも起動できるようになってる。もう一つはIS展開時におけるISの半径1km以内の状況。危険レベルがSを超えると自動で起動するようになってる。」
「そうか・・・。」
「ものすごく分かりやすく言うと、ISを展開中の僕は二重人格ってことだね。」
あー・・・今度コレと同じことを千冬姉さんにも報告しないといけないのか・・・。結構めんどくさいなぁ・・・。
それと、大分眠くなってきた。ラウラが目覚める前に飲まされた薬に睡眠作用でもあったのかな・・・。
「その・・・すまなかった。」
「え?」
唐突にラウラが謝罪してきた。一体何のこと?
「私が編入した初日、お前を殴ろうとしただろう。その謝罪だ・・・。」
あぁ・・・。ちゃんと気にしてたんだ・・・。ちゃんと返事したいけどもう眠気が限界だ・・・。
「僕は良いから、今度一夏にちゃんと謝っておいて・・・。僕は・・・気にして・・・な・・・い・・・。」
ラウラside
「僕は良いから、今度一夏にちゃんと謝っておいて・・・。僕は・・・気にして・・・な・・・い・・・。」
何やら言葉が繋がってない。具合でも悪いのか?
「どうした?大丈夫か?」
今起き上がろうとすると全身に痛みが走るので頭だけ織斑千夏のほうに向ける。
「すー・・・。」
「・・・寝ているのか。」
さて、隣の人物が寝てしまったので暇になってしまった。
今隣で寝ている織斑千夏は私が謝ったことに対し、「自分はいいから弟にしっかり謝ってくれ」と言っていた。優しいのだな・・・。
と思った瞬間、胸が苦しくなる。織斑千夏の寝顔を見ていると私の顔が熱くなっていくような感覚を覚えた。
それがどういうことを意味するのか知らないわけではない。そう、私は軍人でも、歴とした思春期の女子高生なのだ。こういう感情を持つのも無理は無い。
「コレが・・・恋、か・・・・。」
自分でそう呟くとかなり恥ずかしくなり、思わずシーツで顔を隠してしまった。誰にも聞かれていないというのに。
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実はこの後パソコンの試験があるんです・・・。 | ||
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更新はもう無いのですか?(インセイン) | ||
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