古田くんの残念すぎる青春【四之瀬編】 3.ミステイク謁見
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 その次の日から四之瀬一ニ三の告白大作戦が始まった。命名は僕。とは言っても僕が出来る事と言ったら少ない物である。

 それは三上上成へのアピールである。上成はかなりモテる。モテて、モテて仕方がない。要するに上成の周りには女性が溢れている。そんな中で一ニ三さんのようなドジっ娘が彼と結ばれるのはかなり難しい。

 

 

 上成の性格で告白され待ちの女性の気持ちを理解するのは難しいと思う。一ニ三さんに聞いたら今回の件が酷くトラウマになってしまったらしく、しばらくは告白に踏み切れそうにないとの事。まぁ、正直トラウマになっても可笑しくはないからな。告白する相手を間違えるだなんて。聞いた話によれば、世の中の女性は告白する時、たくさんのエネルギーが居るらしからな。それがどんなエネルギーかは知らないけれども。ともかくそう言う事らしいので、一ニ三さんを告白に踏み入るのはしばらく無理そうである。

そう言う訳で別の方法を取る事にした。要するに彼女の顔を覚えてもらうと言う方法である。僕の紹介と言う事で上成には一ニ三さんとあってもらい、彼女の顔や性格を知ってもらって仲良くなってもらい、最終的にそれが恋に結び付けばいいと思っている。

 

 

「と言う訳で、四之瀬一ニ三三さんです」

 

 

「は、はじめまちて! よのせひつみです! よ、よろりくおねがいします!」

 

 

「……あぁ、うん。お願いします?」

 

 

 それに対しての上成の対応はと言うと、どうも乗り気ではないらしい。まぁ、それも仕方がないと言えば仕方がないだろうし。

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「へぇ、一ニ三さんはピアノが得意なんだ」

 

 

「う、うん。ピアノは昔から妹と一緒にやってて……」

 

 

「ピアノかー……。ピアノが出来る女性って、何気にポイント高いと思うね。俺は」

 

 

「そ、そうですか? それは嬉しい……」

 

 

 数分後。一ニ三さんと上成はかなり仲良くなっていた。流石、上成。自然(ナチュナル)に女性を口説いている。あれはもはや体質と言っても過言ではないと思えるほどである。どうやったら出会って数分の女子の趣味を聞き出すことが出来るのだろう。僕には出来そうにない。

 

 

「はむっです。美味しいです。日本食は最高です」

 

 

「サラさん、サンドウィッチは日本食だと思うんだけど」

 

 

 今、サラが食べているのは食堂で売られている『お手製サンドウィッチ』。誰のお手製かは分からないけど、1個160円である。確かサンドウィッチはイギリスの貴族、ジョン・モンターギュ・サンドイッチ伯が大の賭博好きで、賭博中でも片手間で食事出来るようにと開発された料理じゃなかったっけ? 少なくともサンドウィッチは日本食ではないと思うんだけど。

 

 

「何を言うのです、シン。日本で作られたから日本食なのですから、このサンドウィッチは日本で調理されたので日本食なのです」

 

 

「何その滅茶苦茶な論法……」

 

 

 それだと日本で作られるすべての外国料理が日本食に早変わりだ。どれだけ凄いんだよ、日本食は。

 

 

 とまぁ、僕はサラと喋って出来る限り上成と一ニ三さんとの2人の時間を延ばそうとした。長く居れば、それだけ愛は深く育っていく。こうして2人はいつしか恋人同士になれば、引き受けた僕としても上出来な出来になると思っていた。

説明
 ――――――――これは告白から始まる物語。屋上で美少女に告白される僕。けれどもその美少女が告白は間違っていた。これは古田くんの歪んで、間違った、異質な学園青春物語。
 第1回、四之瀬一二三編第3話。
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美少女 学園 告白 古田新 四之瀬一二三 

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