真・恋姫無双 刀蜀・三国統一伝 第六節:怒涛の喧嘩武将! |
まえがき コメントありがとうございます。最近は暖かくなって創作意欲も活発になってきたsyukaです。そろそろ履歴書がきにも飽きてきました・・・。まぁそれは置いておきましょう。今回は喧嘩武将二名の登場です。個人的にはどちらも好きですね。桃香が苦労する日々が始まる予感が!それではごゆっくりお楽しみください。
私だ。誰だって?鈴だ。まったく、一刀は私が先ほどから何回悪戯しても起きない。実につまらん。・・・キスでもすれば起きるか?
「んーー・・・ちゅっ。」
口づけしたまま十数秒、一刀の瞼が開いた。・・・と同時に部屋の扉も開いた。
「ご主人様、おは・・・よ・・・う。」
「桃香様、なにごと・・・。・・・。」
突然入ってきたと思えば固まってしまった桃香と愛紗。私は唇を離すと二人の方へ顔を向けた。
「二人とも、おはよう。なんだ、お前たちも一刀におはようのキスでもしにきたのか?」
「ご主人様!何をなされているのですか!!!///」
「ん〜・・・愛紗、おはよー。」
「おはようございます。ご主人様、何故このようなことになっているのか説明していただけるでしょうか。」
「ん〜〜〜?」
「私の独断だ。一刀のせいではない。」
「むむむ・・・。」
「ご主人様・・・。」
「桃香?何をワナワナと震えているのだ?」
「私もする〜〜!!ちゅーーーーー。」
「むぐっ・・・。・・・!?」
え?目が覚めたと思えば桃香にされている俺。無言でにやにやとしている鈴に立ったまま何故か拳を握っている愛紗。何この状況。
「ぷはっ。えへへ♪」
「ふうっ、とりあえずおはよう、桃香。」
「おはよう、ご主人様♪」
「何でこんなことになったのか説明・・・」
「ご主人様!」
「はいっ!?」
凄い剣幕で俺ににじり寄ってくる愛紗。ちょっと怖いんだけど・・・。
「ふむ、私はそろそろお暇するか。ではな、一刀。」
すぅーっと消えていった鈴。絶対危険を察して逃げたな。
「ご主人様・・・。」
目の前にまで近づいてきた。額どうしがくっつきそうだ。はわわ・・・何をされるんだろうか。
「・・・失礼します。んっ。」
「んっ・・・。」
軽く触れるだけでキス。それだけで愛紗の顔が真っ赤になり俯いてしまった。俺の顔も真っ赤だろうけど・・・。
「え〜い!♪」
「え、桃香!?」
「桃香様!?きゃっ!」
桃香に寝台に押し倒される俺と愛紗。案の定川の字になるわけで。
「桃香、危ないでしょ!」
「えへへ〜、ごめんなさい。」
「桃香様、私たちはご主人様を起こしに来たのですよ。」
「ちょっとだけ・・・いいでしょ?」
「む〜・・・分かりました。少しだけですよ。」
「は〜い♪」
俺の腕を枕にして寝に入る桃香。その表情がどこか嬉しそうなのは気のせいじゃないと信じたい。
「ご主人様、申し訳ありません。起こしに来たはずの私たちがこうでは本末転倒です・・・。」
「愛紗のせいじゃないから謝らなくてもいいんだよ。というか、俺もこの状況はちょっと嬉しいからね。最近はこうやってまったりする時間を取れなかったからね。たまにはこういうのもいいんじゃない?」
「・・・そうですね。では私も少しだけ眠らせていただきます。」
「うん。俺ももう少しだけ寝ようかな。」
俺と愛紗はもう一眠りすることにした。その頃には桃香は既に寝息を立てて眠っていた。
・・・
庭に朝食を並べ終わり後はご主人様と桃香様たちを待つだけなのですが・・・
「ご主人様たち、遅いですね。」
「愛紗たちが向かってから結構経つよな。何やってるんだ?」
「ご主人様も桃香様たちもお年頃ですからきっと・・・、ふふっ。」
「鈴々お腹空いたのだ!」
「鈴々ちゃん、もう少し待ちましょう。」
「私のメンマならあるぞ。」
「今更ですけど星さんっていつも当たり前と言わんばかりにメンマを食べてますよね。」
「勿論だ。一日一善一メンマだからな。」
「星の味覚には共感できないのです。何故そんなにバリボリ食べて飽きないのですか?」
「ねねのようなお子様にはまだ早いのだろう。いずれ分かる日が来るさ。」
「それは分かりたくないのです・・・。」
「とりあえず、私がご主人様のお部屋に行ってきますね。」
私は急ぎ足でご主人様のお部屋へと向かいました。
「月ちゃんも桃香様たちもご主人様のこと好きなんですね。」
「紫苑ちゃん、私たちの中でご主人様のことを好きじゃない子なんていないわよん。」
「ええ、そうね。」
「璃々もご主人様のこと好き〜。」
「お母さんもご主人様のこと好きよ。けど、子持ちの私でも愛してくださるかしら・・・。」
「大丈夫よん、ご主人様は絶倫だから♪」
「それなら安心だわ♪」
「ぶっ!」
「うわっ!お姉様きたなーい!」
貂蝉の爆弾発言に思わずお茶を吹き出してしまった翠、白蓮、詠、それに三軍師。何のことか分かっていない鈴々、恋、璃々。思わず赤面してしまった胡花とねね。
「貂蝉!なんてことを言い出すのよ!ビックリしたじゃない!」
「あらん、私は本当のことを言ったまでよ。」
「腰をくねらせながら言うな!気持ち悪い!」
「詠、落ち着け。ただ主が絶倫だと分かっただけではないか。何を狼狽えている?」
「べ、別に!//」
「ねえお母さん。」
「なあに?璃々。」
「ぜつりんってなーに?」
「とっても良いことよ♪」
「そうなんだ〜。」
「それは璃々ちゃんに言う言葉じゃないだろうに・・・。」
兄貴、明日辺り色々と枯渇して死んでないことを祈るぜ・・・。
・・・
「ご主人様、失礼します。」
とりあえず、お部屋に入らせてもらいました。ご主人様は発見できたのですが、桃香様たちのお姿が見え・・・。
「へぅ・・・//」
見つけてしまいました。ご主人様の両脇にお二人がくっついています。
「いいなぁ・・・。ではなく、早く起こさないといけませんね。ご主人様、桃香様、愛紗さん、起きてください。」
「ん・・・。」
「愛紗さん、おはようございます。」
「ああ、月か。おはよ・・・。これは違うんだ、ご主人様の隣が気持ちよくて思わず寝てしまったというわけでなくだな・・・。//」
「いえいえ、それはいいんですよ。ご主人様の隣が気持ち良いのは私も知っていますから。」
「うぅ〜、申し訳ない。私も二人を起こすのを手伝おう。今まで寝ていた私が言う台詞ではないが・・・。」
「はい。」
愛紗さんとご主人様たちを起こすと朝食が並べている庭に向かいました。
・・・
今日はよく寝たな〜。まぁ二度寝なんだけど。少しだけのつもりだったんだけど思わず爆睡してしまった。月が起こしに来てくれなかったら絶対お昼すぎまで寝てたよ・・・。
「桃香、また寝癖ついてるよ。ちょっとこっちおいで。」
「うん、おねが〜い。」
最近は桃香の寝癖を直すのが日課になってきてるな。全然嫌じゃないから構わないんだけどね。
「ふふっ、ご主人様と桃香様は仲が良いですね。」
「えへへ〜♪」
「おっと、あんまり動くと髪型が変になっちゃうよ。」
「それは嫌だから大人しくしとく。」
「うん。」
「兄妹みたいですね。」
「そう言う胡花さんもいつも兄様に起こしてもらっているじゃないですか。」
「朝弱いのはどうしても治らないんだよ・・・。ちょっと役得だなぁって思うところもあるけどね。」
「俺からしてみれば手が掛かるくらいが可愛いけどね。」
「では手の掛からない者は可愛くないと?」
「そんなことないかな。皆可愛いし。手が掛かるくらいが可愛いっていうのは俺も飽きないっていうか俺の世話好きな部分が刺激されるっていうのかな。」
「卑弥呼、可愛いって言われちゃったわん。これは脈アリと考えていいのかしら♪」
「ご主人様の寵愛を受ける時がついに・・・。」
「ごめん。それは一生ないわ。頼むなら蒼にしてくれ。」
「兄貴!こんなもん任されても対処に困るぜ!?」
「・・・蒼なら大丈夫だよ。」
「どこからそんな根拠が出てくるか是非聞かせて欲しいと思うんだが。」
「ご主人様と蒼さんならアリだよね。」
「(こくこくっ)」
「・・・兄貴、朱里たちの話の方が危なくなってきたぞ。」
「そうだな。」
俺はこっそり朱里と雛里の背後に回った。
「なぁ、朱里、雛里。」
「うひゃっ!」
「な、なんでしゅか!?」
おお、めっちゃ緊張してるぞ。ちょっと面白い。
「何の話をしていたのかな?俺と蒼がなんとかって聞こえてきたんだけど。」
「あ、あの・・・その〜。」
「あわわ・・・。」
「はぁ。ご主人様、お耳をお貸しください。」
「ん?」
明里が俺を手招きしてくる。なんだろう?
「朱里ちゃんたちは八百一好きなのでご主人様と蒼さんが相思相愛関係だと嬉しいと考えているんです。」
「・・・。もしかして明里も?」
「め、滅相もありません!私は、その・・・ご主人様一筋ですから・・・//」
明里の顔が真っ赤になっていく。あぁ、可愛いなぁ。
「そっか、ありがとうね。俺も明里のこと大好きだよ。」
明里の頭をぽんぽんと撫でる。銀髪がふさふさしていて気持ちいい。
「にゃわわ・・・//ご主人様・・・。」
明里がぽふっと俺の胸の中に飛び込んできた。
「すみません、今はお顔を見れそうにないので少しの間このままにしておいてください//」
「あはは、そんなに耳まで真っ赤にしなくてもいいのに。」
「はにゃ〜〜〜///」
「明里ちゃん、嬉しそう。」
「いいなぁ・・・。」
「蒼もあれくらい言えたら女性にモテるかもしれませんよ。」
「姐さん、無理言わなねえでくれ・・・。ありゃあ無自覚だからこそ出来るのであって狙って言えるもんじゃねえからな。」
「ええ、分かっています。」
「・・・姐さん、たまに意地が悪いよな。前から知っていたけど。」
「蒼はからかい甲斐がありますから♪」
「ったく・・・。ん?翠、なんだ?」
「いや、清羅と蒼兄様は仲良いんだなって思ってさ。」
「はっ?俺と姐さんが?」
「大丈夫よ、翠ちゃん。翠ちゃんから蒼は取らないわ。だって・・・、」
「だって?」
「私・・・ご主人様一筋だもん!♪」
「・・・。」
ああ、やっちまった・・・。翠のやつ、ぽかーんとしてやがるし。
「な、なぁ兄貴・・・清羅のやつどうしちまったんだ?」
「気にするな。姐さんの一種の病気みてえなもんだ。」
「蒼酷い!私がご主人様を想うのが病気なんて!だってご主人様可愛いじゃない!上目遣いされたときはついお持ち帰りしたくなるもん!」
「主よ、紫苑より先に清羅に注意したほうが良いと思いますぞ。」
「清羅は襲ってきたりしないから大丈夫だよ。」
「あら、私はご主人様を襲う前提なのですか?」
紫苑が妖艶な笑みを浮かべながら俺の方を見つめてくる。ちょっとぞくっとしたぞ・・・。
「いや、そんなつもりは・・・。」
「ふふっ、冗談ですよ♪」
ここにいるほとんどの者の思ったことは一つだった。あれは冗談ではなかった・・・と。
・・・
朝食を摂り終え、俺たちは謁見の間に集まった。これからの行動方針についてだ。
「これからどうするか、紫苑さんに参考程度に聞きたいことがあるのですが良いですか?」
「ええ、私でよければなんなりと。」
「ここから成都までのお城の数を教えてほしいのですが、分かりますか?」
「ここから進むのでしたら巴郡、江陽、巴東県あたりでしょうか。与しやすいのは江陽と巴東県ですね。」
「それなら与しやすい方を・・・。」
「いえ。」
白蓮の発言を紫苑は遮った。
「ですが、巴郡を抑えないことには本当に益州制圧とは言えないでしょう。」
「巴郡には相当な猛者がいる・・・ということか。」
「ええ。酒と喧嘩をこよなく愛する生粋の武将、巴郡太守の厳顔とその部の魏延が。この二人を仲間に引き入れることができれば、成都以外の城は桃香様のものになると考えてもおかしくないでしょう。」
「その二人は仲間になってくれるという保証はあるのか?」
「話し合いだけではまず無理でしょうね。ですがこちらの力を示せば仲間にできるのは時間の問題ではないかと。」
「うへぇ、なんか熱血体育会系の予感〜。そんな人たちと戦いたくないよ〜。」
「だが、気持ちは分からないでもないな。言葉では伝わらずとも槍を交えることで分かり合えることもある。」
「蒲公英、その理屈全然分からないんだけど・・・。」
「蒲公英のことはとりあえず置いておいて、巴郡に向かうってことで決まったのか?」
「そうだね。じゃあその厳顔さんと魏延さんをやっつけに行こ〜。」
「お〜〜〜。」
桃香の掛け声に乗っかったのは璃々ちゃんだけだった。
・・・
巴郡、城壁にて。
「桔梗様、劉備軍のものと思われる砂塵を確認しました。」
「でかした!焔耶、隊の準備はどうなっておる?」
「既に整っております!」
「よし!それではわしらも出陣するか!紫苑が降ったほどの英傑なのだ、久しぶりに武将としての血が騒ぐわい!」
「同感です!私もひと暴れしないと気が済みませんので。」
「よう言った!さて、儂の最後の徒花咲かせて見せようじゃあないか。」
「はい!」
・・・
「敵軍見えました!報告によるとあちらの兵数は八万とのことです。」
「明里、ありがとう。とりあえず向こうの兵数を削がないとね。」
「うちと翠、鈴々で先鋒行ってもええか?」
「うん、お願い。」
「やったー、先鋒なのだ!張飛隊、突撃なのだーーー!」
「張遼隊も行くでーーー!!」
「あ、おい!もう行っちまった・・・。ご主人様、行ってくるな!」
「行ってらっしゃい。気をつけてね。」
「おっしゃ!馬超隊、霞たちに遅れを取るなよ!!」
それぞれの隊が雄叫びと共に突撃していく。
「では左翼に星さん、貂蝉さん、蒲公英ちゃん、白蓮さん、蒼さん、詠さん。右翼にご主人様、愛紗さん、恋さん、胡花ちゃん、紫苑さん、ねねちゃん。お願いできますか?」
「御意。」
「それでは皆さん、ご武運を。」
俺たちは左右に別れ突撃していった。
・・・
「皆、ちょっと聞いてくれ。」
「何でしょうか?」
「最初は俺と紫苑で敵右翼に奇襲をかけたいと思うんだけど、どうだろう?」
「? 私には矢がありますから可能ですが、ご主人様は何か持ち合わせているのですか?」
「ちょっと試したいことがあるんだ。」
「・・・ご主人様、くれぐれもやり過ぎないようにお願いしますね。」
「・・・善処します。」
「こいつの善処します。は、宛にならないのです。」
「酷い言われようだ・・・。」
少しだけ思い当たる節があるから反論できないけどね。
『あれを試すのか?』
「うん。今大丈夫?」
『勿論だ。すぐ行く。』
言葉が途切れた瞬間に俺の隣に現れた鈴。本当にすぐ来たな。
「・・・ご主人様、先ほど私が言った意味、分かっていますよね?」
「大丈夫だよ。今はまだ試作段階だから。」
「私が制御できるか分からんがな。」
「・・・不安だ。」
「ご主人様、何をするんですか?」
「面白いこと♪」
「??」
「胡花、今はあまりご主人様たちに近づかないほうがいい。何が出てくるか分からないからな。」
「? 分かりました。」
胡花が愛紗たちの側に行ったことを確認すると鈴が俺の背中に手を翳した。直に触れられると鈴の竜としての気が俺に流れてくる。いつもみたいに気だけが高まっていくのとは訳が違うからな。
「・・・よし、このくらいで十分だろう。」
「ありがと。下がってていいよ。」
「うむ。じっくり拝見させてもらおう。」
鈴が一歩だけ下がった。さて、目の前に見えるは敵兵二万。どのくらい減るかな?
「・・・ふぅ。」
俺は一呼吸置くと聖桜に俺と鈴の気を流し込んでいく。すると聖桜独特の桃と鈴の金が混ざり合った、まるでピンクゴールドのような色の気が淡く光りだした。俺は聖桜を上段に構え、瞳を閉じ全神経を集中させる。
「・・・行くぞ。北郷流剣術が奥義、天剣滅臥衝!」
天にかざした剣を全力で振り下ろした。振り下ろした衝撃だけで巻き起こる暴風、地鳴りのような轟音。しかし、それは放った奥義の副作用でしかない。
「あ・・・。やべ。」
俺の放った奥義はドデカイ光の刃となって敵右翼を飲み込んでしまった。気の塊、奔流が駆け抜けた後は塵一つ残ってはいなかった。残ったのはクレーター並みに抉られた地のみ。
その頃の劉備軍左翼。
「あらん、あれはかげっちの奥義の一つじゃない。久しぶりに見たわん。」
「あのような技をひと振りの剣で繰り出せるのか・・・。」
「ご主人様の家系の者にしか無理よん。」
「・・・主は一体何者なのだ?」
「そうね、強いて言えば慈愛と戦の神に愛されて生まれてきた強者。と言ったところかしら。」
「相変わらず兄貴の技は遠慮と限度っつう言葉を知らねえよな。」
「いやいやいや!兄様、何を達観したような瞳で眺めてるの!?何あれ!?人間業じゃないよね!?」
「俺は兄貴が何をしても驚かねえからな。何が出てきても何を連れてきてもどんな技が出てきてもおかしくねえし。」
「どこにそんな根拠が!?」
「兄貴だからな。」
「いやだから!」
「兄貴だからな。この一言で俺の中じゃ全て解決。」
「・・・。」
「ちょ、ちょっと白蓮!立ったまま気絶しないでよ!今戦中だからね!?」
「・・・はっ!?」
「あの馬鹿・・・少しは考えて技使いなさいよ・・・。」
白蓮が復活した頃の先鋒側では・・・
「流石お兄ちゃんなのだ!」
「流石は一刀やなぁ。」
「な、なぁ、お前たちは何でそんなに落ち着いてられるんだよ? あんな技が出てきたんだぞ?」
「お兄ちゃんのことだから無問題なのだ。」
「せやな。一刀のことは深く考えるだけ時間の無駄っちゅうやつやで。」
「んな馬鹿な・・・。」
翠が頭を抱えている頃の中軍では・・・
「ご主人様すご〜い!」
「はわわ・・・」
「あわわ・・・」
「にゃわわ・・・」
「へぅ・・・」
「流石ご主人様ですね♪」
「うむ、惚れ惚れするまでの膨大な量の気の奔流。あの様子じゃと、本気の影刀に並ぶのもあと少しといったところじゃな。」
呆然とする桃香、月、三軍師を他所に感想を述べる卑弥呼であった。
・・・
「焔耶よ、見たか?」
「はい。まるで光の柱のようなものが右翼を襲ったと思ったら容赦なく兵を消されてしまいました。」
「敵はわしらよりも圧倒的なほどに強いだろうな。だが、わしは行くぞ。たとえ敵がどれだけ強大であろうと・・・な。焔耶はどうだ?」
「何を言っているのですか、行くに決まっているでしょう。それに、敵が強ければ強いほど喧嘩のしがいがあるというものです。」
「よう言った!誰かある!」
「はっ!」
「わしと焔耶以外の兵は前線を離れるよう通達しろ。わしらはこれから修羅道へと入る。これ以上わしらの喧嘩に付き合わせるわけにはいかんからの。」
「厳顔様・・・分かりました。ご武運を。」
「ああ。」
わしは兵を見送るともう一度敵の部隊へと視線を向けた。
「これからが本当の喧嘩だ。最後に大暴れしてやるわい。」
・・・
「この魏文長に適う者はいないのか!?」
全く手応えのない雑魚ばかりだ。雑兵の相手をいくらしても私の闘志が満足することはない。
「ここにいるぞー!てりゃーーー!!」
「うおっ!?」
奇襲してきた槍を鈍砕骨でどうにか防いだが危なかった。
「ちぇ、外したかー。」
「ちぇ。じゃない!奇襲など武人として恥ずかしくないのか!?」
「勝てばいいだけのことだもん。それに、あなたって頭悪そうだし、一騎打ちに付き合ってると面倒くさくなりそうだしー。」
「お前のようなチビの相手をする暇はないからな。とっとと帰りな。」
「隙有りーーー!!」
「うおっ!一度だけでなく二度までも・・・もう許さん。この鈍砕骨で叩き潰してくれる!でえええええい!!」
「おわっ!」
紙一重で避けたけど、私のいたところには大きな穴が・・・これは一発でも当たったら死ぬよ。まぁ、脳筋っぽそうだから悪戯のしがいがあるけどね♪
「ええい!ちょこまかと逃げるな!」
「だってえ、そんな馬鹿力で殴られたら死んじゃうもん。鍔迫り合いなんて以ての外だし。」
「誰が馬鹿力だ!!」
「馬鹿力というか・・・アホ力?」
「(ブチッ)・・・コロス!」
「あ・・・キレた。」
「待てーーーーー!!」
「悔しかったらここまでおいで〜〜〜♪」
「いいだろう、そこから動くなよ。」
ズボッ。
「アッーーーーーーー!!」
「にしし♪大成功だね。」
蒲公英の思惑通り、魏延は落とし穴へと落下していった。
「蜀将馬岱!魏文長を召し捕ったりーーー!!」
蒲公英が勝鬨を上げているとき、魏延はというと落とし穴の中で気絶していた。
・・・
わしの目の前には一人の童が立っておる。
「童、名は何という?」
「鈴々は張翼徳なのだ!おばさんはなんなのだ?」
「おば・・・お前は目上の者への礼儀というものを知らんのか!」
「今は敵どうしだから関係ないのだ。」
「礼儀を知らぬ者は人の中でも下品の下品。我が豪天砲で直々に性根を叩き直してくれる。」
「かかってくるのだ!」
「巴郡城主厳顔、参る!」
厳顔は豪天砲を構え、鈴々目掛けて攻撃を仕掛けた。轟音と共に繰り出される大型の杭。この大きさだと小型の槍と例えた方が良いか。かなりの速さで迫り来る槍を鈴々は軽々と避けてみせた。
「このくらい余裕なのだ。」
「ほほう、なかなかやるのう。では、これはどうだ!」
「ひょい、ほっ、たぁ!」
三連?でもなんなく躱す鈴々。
「これで終わりか!?」
「まだまだーーー!!」
次々に繰り出される砲撃も躱し続ける。そして、ついに残弾も空となったのか、厳顔は構えていた豪天砲を下ろした。
「なんだ、降参するのか?」
「何をこれしき、弾が無ければ鈍器として使えば良い。喧嘩はこれからが本番だ。」
「受けて立つのだ!うりゃーーーーー!!!」
次は鈴々の番と言わんばかりに丈八蛇矛の三連突きを繰り出す。
「くっ、重い。童と侮っておったがこれほどとはな。」
「重くて当然なのだ。鈴々はみんなの想いを背負っているのだ。それに、難しいことは分からないけど、おばさんたちを倒さないと益州の皆も幸せになれないのだ。みんなの幸せは桃香お姉ちゃんやお兄ちゃんの願い。そのためなら鈴々は戦うのだ!みんなが幸せになるまでずっと、ずーっと戦うのだ!!」
「それは重いな・・・。」
この童、良い瞳をしておるな。
「鈴々ちゃんはいつも頑張っているのよ。」
「紫苑、この裏切り者がのこのこと!・・・とでも言わんとやってられんわい。」
「それで、降参してくれるのかしら?」
「喧嘩を負けたとは思えんが、童の心が見えた気がしたからな。」
「これでようやく安心したわ。まぁ、焔耶が降るとは限らんが。」
「とりあえず、私は桃香様たちを呼んできますわ。」
・・・
「はじめまして、厳顔さん。劉玄徳です。」
「あ、あなたが劉玄徳か・・・!?」
「? どうかされたんですか?」
「い、いや、予想以上に若くて元気な方だなと思ってな。わしが巴郡城主、厳顔です。うちにもう一人いるのですが・・・。」
「そういえば見当たりませんね。」
「桃香様、ただいま〜。」
「おかえり〜。そういえばもう一人の方に行ってたよね?」
「うん。蒲公英の天幕に縄でぐるぐる巻きにして放り込んであるよ。」
「ここに連れてきてもらっていいかな?あ、縄は解いてきてね。」
「その必要はないよ。」
「ご主人様!・・・なんか疲れてない?」
「ちょっと・・・ね。」
正座したまま愛紗にお説教されていたとは言うまい。俺は蒲公英の天幕に放り込まれていた魏延さんを桃香たちのトコに連れてきた。
「桔梗様が降るとは限らないと言っている・・・。」
「わしは降ることに決めたぞ。」
「桔梗様!?何故ですか!」
「江東の虎と言われる孫策や覇王を名乗る曹操がいるが、知らぬ者より野望を知り実際に会い話したやつの方が信頼出来るからな。」
「魏延さん、ダメですか?」
「そんなの・・・。・・・・・・」
「?」
魏延さんは桃香の顔を見つめたまま固まってしまった。
「劉備様!私をあなたの下僕にしてください!!!」
「え、えと〜、下僕じゃなくて仲間になって欲しいんです。」
「はっ!分かりました!この魏文長、この身を盾にして劉備様をお守りします!私の真名の焔耶、劉備様にお預けします。」
「私の真名は桃香だよ。よろしくね、焔耶ちゃん♪」
「・・・!真名を預けてくださるのですか・・・光栄です。」
「ねえ、魏延さんってそっちの毛があるの?」
「さあ。これまではこのようなことは無かったのですが、桃香様の美貌に惚れ込んだのでしょう。それはそうと、さっきの光の気はお館様のものですかな?」
「お館様・・・俺のこと?」
「ええ。纏っている気が他と違いますので。私の真名、桔梗をお館様にお預けしますぞ。」
「ありがとう。俺は北郷一刀。真名と字は持ってなくて、天の御使いって言われてるんだ。まぁ、これはおまけ程度に覚えてくれてればいいから。これからよろしくね、桔梗。」
「よろしくお願いしますぞ、お館様。」
二人が仲間に加わったことで俺たちは巴郡入りに成功した。成都入りまで後少しだ!
「ご主人様、城でまだお説教ですからね。」
「はい・・・。」
今夜のことは俺のトラウマとして半永久的に心に残ることだろう。
『愛紗もよく飽きないな。』
しれっと他人事のようにぼやく鈴だったとさ。
あとがき 読んでいただきありがとうございます。焔耶と桔梗を仲間に加わりましたね。次は成都入城。こってり愛紗に絞られた一刀くんなのでやりすぎる事はないでしょう。恐らく・・・。それでは次回 成都入城、衝撃のゲスト でお会いしましょう。
説明 | ||
何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。 | ||
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コメント | ||
そろそろ愛紗の説教から一刀さんを解放してあげて!一刀さんのライフはもうゼロよ!(自動回復有り) 鈴々あたりが「お兄ちゃんといつも二人っきりでズルイのだ!」とか言ってくれんかのぉ(牛乳魔人) 一刀やり過ぎwww 焔耶が落とし穴にはまるのはお約束になってきてるな~~ 右翼側全滅させてもまだまだ普通とかさすがチート一家ww(将軍) DB並のインフレしないと単騎で魏を圧倒したり神仙組を倒せないから一刀さんには10倍界王拳を取得してもらおう(`・ω・´)(yosi) これでやっと爺ちゃんに並べる程度?www婆ちゃんどんだけっすか?wwww(らっしぃ) 一撃であんなにされたら大概の人はそこで戦意を無くしそうですね。そして今度は次の日の朝には紫苑と桔梗が干からびた一刀の両脇に寝ている映像が見えた気がする…。(mokiti1976-2010) え?何?あのいじめ技・・・・(前原 悠) あ〜あ一刀の奴、やっちまったよwww さて、これである程度は陥落(ヒロインを落とした)したから、あとは南蛮と袁家ですかね?(本郷 刃) 右翼を一撃で全滅てwww(アルヤ) |
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