仮面ライダー Rainbow of the oblivion―忘却の虹― 11話 |
「俺が…狼男……!?」
獄寺はザクロの言葉にひどく驚いていた。
それもそのはずだ……初対面の男から急に狼男と言われたのだから
「馬鹿いってんじゃねえ!!俺が狼男だ!?そんなの聞いたことねえ!!」
『なんだ気付いてねーのか……白蘭様、アイツ呼んでもらえますか?』
「うん♪いいよ………キバット!」
『ほいよ〜呼んだか白蘭……………って部外者多数だぞおい!?』
「何このコウモリっぽいの!?」
白蘭がキバットと呼ぶとそこにコウモリのような生き物が飛んできた。しかもしゃべっている…
「いいのいいの♪今から話すから……実はね、綱吉君……僕と後ろにいるのは君たちが怪物と呼ぶ存在なんだ」
「へっ怪物?」
「僕達は魔族と読んでるけどね……ちなみに彼はキバットバットV世だよ♪」
『まあ、自己紹介すんだところでよ白蘭…なんの用で呼んだんだ?』
「うん………キバット、あの子を噛んでくれない?」
『お安いご用だ!!』
「なっ!?こっちくんじゃねえ!!」
「びゃ、白蘭!?何するつもり!?」
「ん〜?ちょっと自覚して貰おうと思ってね♪」
白蘭に言われた通りにキバットは獄寺に噛みつこうとする。
獄寺はキバットを追い払おうとしたがその追い払おうとした手にキバットは噛みついた。
「いてっ!!」
「キバットに噛まれた人はその血の中の本能が現れる、つまり…」
『……!!?』
「ああいうことだね」
噛まれた後、獄寺の姿がだんだん変わっていく……
その姿はまるで…灰色の狼
「獄寺君……なの……?」
『やっとわかったか?もう一度言うぜ……お前と俺は同類だバーロー』
ザクロがその言葉をいい終えた瞬間、獄寺は別荘を飛び出していった。
「獄寺君!?」
「…ツナ!行こう!」
「うん!!皆はここにいて!!」
「だけどよ…!」
「………………」
「………………」
「わかったよ…必ず獄寺連れて戻ってこいよ」
しばらくツナと山本が見つめあい、ツナの根負けて山本達は別荘に残ることにした。
「山本…ありがとう」
「とは言ったものの……獄寺君どこ行ったんだろ……」
別荘を出て数分……ツナとリトは獄寺が走っていった森の中にいた。
最初は獄寺の後が言えたのだが姿が狼になったからなのか動きが速くて見失ってしまったのだ。
「…ツナ、こっちから声がする」
「声?聞こえないけど……」
「…こっち」
「ちょ、ちょっと待って!」
リトが声がするという方向に走って行ったのでツナもそのあとを追った。
そしてそこには…木に寄りかかっている灰色の狼がいた。全力で走ったのか息が上がっている。
「獄寺君!!」
『十代目……』
「どこ行ったの?探していたよ?」
『すみません……十代目………俺、もう十代目のそばに居られません…」
「な、なんで!?」
『俺は人間じゃなかったんです……化け物だったんです…だから俺はもう十代目のそばに居られないんです…』
「獄寺君……」
「…獄寺」
『リトさん……』
「…俺だって人間じゃない姿になる」
『そんな!あれはベルトを着けているわけで…』
「…それでもだよ……でも俺はツナ達といたいと思うんだ…獄寺もツナ達といたいだろ?」
『そうですが俺は……』
「…少なくともツナは獄寺といたいと思ってる…」
「そうだよ!!俺は獄寺君にいて欲しいんだ!!」
『………………』
「人間とか狼男じゃなくて………いっしょに授業を受けて、いっしょに弁当を食べて、いっしょに遊んで、いっしょにいると楽しい……『獄寺君』にいて欲しい」
『十代、目…』
「だからさ……いっしょに帰ろう?」
「うっ……はい!!十代目」
ツナの言葉に獄寺は涙を流しながら人間の姿に戻っていく。
―――――人間とか狼男ではなく自分にいて欲しい…
そのことに獄寺はひどく心に響いた。
―――――――。
「そういえばさっきどうやって俺を探しだせたんですか?」
「ああ…それはね……」
「……聞こえたから」
「へっ!?」
「リトが聞き当てたんだよね…」
「へぇ〜〜リトさん耳いいんですね」
「思うんだけどさリト……俺と初めてあった日でさ、グロンギ見つけたのって…」
「…グロンギの声が聞こえたから」
「もう耳いいってレベルじゃないよね!?」
別荘に戻る時、ツナ達はそんな会話をしていた。
確かにリトの異常とも言える聴力は気になる。
これもアークルの力なのかと思っているといつの間にか別荘が見えてきた。
「おーい!ツナ〜!」
「タコ頭ー!」
「平沢殿!!」
「みんな!!」
別荘のそとにはツナの残りの守護者とバジル、リボーンがいた。
「どこ行ってたんだよ獄寺?」
「急に出ていくから心配したのだぞ?」
「……悪かったな…」
「な!?獄寺が素直に謝った!?」
「どうしたのだタコ頭!!頭をぶったのか!?なぜか…気持ち悪いぞ!!」
「てめえ芝頭どういうこった!!」
「素直な感想を言ったまでだ!!」
「やんのかコラ!?」
「望むところだ!!」
「ちょっと二人とも止めて!?」
「もうちょっと静かにできないの?君たち…」
「フフ…」
「むにゃ……あれ〜獄寺帰ってんの〜」
「これが沢田殿のファミリーなんですね…」
「ああ…まあ賑やか過ぎだけどな」
「…よかったな、獄寺」
獄寺が帰ってきて、いつも通りの雰囲気になったツナ達……もう獄寺は自分のことにけりをつけたのだろう。
そんな獄寺の前に人間の姿のザクロがきた。
「よお…ケジメ…ついたようだな」
「たりめーだ!!俺はボンゴレファミリー十代目ボスの右腕、『人間』獄寺隼人だ!!」
「へっいい面になったじゃねーかバーロー」
「はいはい…感動的なシーンもいいけど綱吉君の用も聞きたいんだけど」
「あ、そうだった!」
そうツナは驚きの連発で本来の目的をすっかり忘れていたのだ。
「ふーん…初代がね…」
「信じてもらえないだろうけど…」
「ううん…信じるよ……僕達の存在の方がありえないからね♪」
ツナ達は獄寺が飛び出す前の状態に戻っていた。
その際ツナは自分がきた理由を、そして別荘にくる前の話をした。
「でもそこの……リト君だっけ?彼みたいに変身する事はできるよ?」
「ホント!?」
「うん♪じゃあ一回やって見ようか……キバット」
『おうよ!……がぶっ!!」
「変身」
白蘭はキバットを呼び、彼をつかんで自分の手を噛ませる……それと同時に腰に何本かの鎖が現れそれらは止まり木がついた赤いベルトとなる。それにキバットをとまらせると白蘭の姿が変化していく。
その姿は吸血鬼のようだった
「ホントだ……どこかリトみたいな感じがする……」
「でしょ♪」
「ねえ、白蘭……その姿って何?」
「ああこれ?これはね…「キバの鎧」って言って魔族の王様が着る鎧なんだ♪」
「へぇ〜…って白蘭王様だったの!?」
「うん♪そうだよ♪」
「すごいでしょ!!0∀0ドヤア」
「えっそうだね…」
「こらこら、ブルーベル…邪魔しちゃダメでしょ」
「にゅ〜〜ーmー」
ツナと白蘭の会話に少女…ブルーベルが入ってきた。
こんな子供がマフィアかと一瞬思ったが魔族だというのを思いだしたのでなっとくしていた。
「そういえばこのコウモリさっきまでどこにいたのだ?」
『おいおい、兄ちゃん俺はキバットっていう名前があんだぜ?』
「まあそれはさておき、キバットはミルフィオーネの本部にいたんだよ♪」
「本部って………ここのことか?」
「んーん…違うよ?」
「じゃあどこに………」
「それはね……トリカブト」
「御意…」
「ここにあるんだ♪」
白蘭がトリカブトと呼ばれる長身の男に声をかけた瞬間、別荘の外に西洋の城に竜の手足がついた生き物がいた。
「うえええええええええ!?」
「なっなんだこりゃあ……もしかして新種のUMA!?」
「いや違うから!!」
「この子はキャッスルドラン……ミルフィオーネの本部兼僕のペットさ♪」
「それにしても幻覚で隠してたのか?」
「うん♪そうだよ♪トリカブトは術士だからね♪」
「でもあそこまで大きいのは隠しきれない……」
「そうなの、クローム?」
「大丈夫だよ?リングを使えばね♪」
「リングを使う?」
「あれ?知らないの?こうするんだよ♪」
リングを使うという意味がわからず困惑していると白蘭は指にはめているマーレリングに炎を灯した。
「これって………!?」
「前にリトがやったやつじゃ…!?」
「…………………」
そう…山本のいう通り…以前リトはボンゴレリングに炎を灯したことがあったのだ。
「これはね…マフィアのなかで使われているリングでできることなんだ♪これを使えば幻覚を強化したり、武器に炎を纏わせるともできるんだ♪」
「はっ!?十代目!!もしかするとこの初代からねいただいたリングはその炎を灯すことと同じようにすればいいのでは!?」
「あ、そうか!!」
獄寺は白蘭が炎を灯した光景を見て閃いた。
リングに炎を灯すやり方で使えるかも……
そう仮定したのだ。
「白蘭!!それのやり方教えてくれないか!?」
「いいけど……今日は遅いから明日ね♪」
「えっ……もうこんなに暗いの!?」
白蘭がいうように外は暗くなっていた。
「どうせなら泊まっていきなよ♪これも何かの縁だし♪」
「どうしよ、リボーン?」
「ボスであるお前が決めろ…個人的にはもう眠いから泊まりたいけどな…」
「それじゃあお言葉に甘えて…」
こうしてツナ達はミルフィオーネファミリーの別荘に泊まることになった……明日には戦力になるかもしれないリングの使い方に期待しながらツナは眠りについていた。
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