超次元ゲイム学園 4次元目
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「………」

 

朝、起床時間。

今日は特に夢も見なかったし、面白みのない朝だ。とか思いながら目を開き、ゆっくりを身体を起こしてベッドから出る。

同室で暮らすルームメイトはまだ眠ってる様子。起こさない様に気を付けながら寝室を出て洗面所へ。

いつも通りに洗顔、歯磨きを手早く終わらせ、自分やルームメイトの朝食でも作ろうか、とキッチンに向かう。

すると、丁度寝室の方から居間に出てきた少女の姿が。

 

「……おはよう、フウ」

「ふぁ…おねーちゃん、おはよー…」

 

まだ完全に目が覚めてないようで、眠たそうに目をこすりながら私の妹でもある少女――フウは答える。

 

「……随分早いな、眠いならまだ寝てても良いと思うけど」

 

チラっと壁の時計を見てみると、時計の針はまだ6時を指している。

私は元々早い時間に目が覚めてしまうので特に問題はないがフウの場合過去一緒に暮らしてた時、いつも私が起こしていたのであまり早起きのイメージは無い。

 

「んみゅ…寝起きはいつもこんなだよー…。顔洗ったら目、覚めるから…」

「……そう、なら行ってきなさい」

「はーい…」

 

道を開けると、フウはとてとてと洗面所へと向かっていく。

それを見送ってから、軽い朝食を作る為にキッチンへと向かう。

 

何を作ろうか、そんな事を考えながら冷蔵庫の中身を確認してみる。

が、丁度食材を切らしてたようで、使えそうなものは見当たらなかった。

 

「……近い内に買い出しに行かないとな…」

 

なんて呟きながら冷蔵庫を閉め、食パンを取った所でフウがキッチンへとやって来た。

 

「……目は覚めた?」

「ん、うん。…今日はトースト?」

 

フウの言葉に頷きながら、パンが焼けるまでの間にジャムやらバターの用意をする。

そんな私の横で、フウも何かを用意している。

 

「……それは?」

「んとね、あっちで一人暮らししてた時にハーブとかお茶の葉を育てたんだ。それを持ってきたの」

 

便利な時代になったから色んな季節のが育てられて楽しいんだよねー、と楽しそうにフウは語る。

…一人暮らしの寂しさを、楽しみを見つけて紛らわしていたのだろうな。

 

「…? どうかしたの?」

「……いや、なんでもない。…それじゃ、そっちの方は任せても良い?」

「うん、任せといて」

 

そう言うと、フウは手慣れた手つきで用意を始める。

さて、もう一人のルームメイトが起きる前にさっさと朝食の準備をしないとな。

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――Area 超次元ゲイム学園/通学路――

 

 

「……そういえば、昨日の校内見学…どうだった?」

 

朝食を終えて、妹ともう一人のルームメイト・アリスの二人と学園へと向かう。

その途中、昨日あった一年の校内見学について、二人に聞いてみることにした。

 

「あ…えっと…」

「……?」

 

が、なんだか歯切れの悪いフウ。

…もしかして。

 

「あー…あのですね…レーレさんのご察しの通りの出来事がありましてね…」

「……そうか、やっぱり…」

 

多分、私の考えてる通り……昨日の見学中に、恐らく危険地帯である学園ダンジョンに好奇心で入ってしまい、運悪く命を落としてしまった、ということだろう。

 

「……入学の時にも見学中も散々言われてたというのに…バカな奴らだ」

「…ねぇ、その…危険地帯って、そんなに危ない所なの…?」

 

入学したばかりで危険地帯にについてまだ殆ど知らないフウが、その場所について聞いてきた。

…この子は

 

「危ないも何も、名前の通りの危険な場所ですよ。私は中等部にいた時に、一度だけエージェント科の先輩と一緒に行ったことがあるんですが…入った瞬間エンカウントして死に掛けましたもん」

 

どうやらアリスはあの場所の危険度を理解しているようだ。

アリスの遭遇したパターンは稀なもので、運悪く学園とダンジョンを繋ぐゲート付近にモンスターがいたりするとそういう事が起こりうるらしい。

不意を突かれないように注意していれば良い話らしいが、それでも高等部二年、三年レベルの実力がなければかなり危険。

かといって二、三年は平気なのかというとそんなことはなく、やはり油断したりした者が救援依頼を出すような事態が起こったりする。

とにかく、なにか重要な用事でもない限り、あのエリアに足を踏み入れるのは自殺行為と言えるだろう。

 

「そう、なんだ…」

「……貴女達の行った場所以外にも色々な場所にそのダンジョンは存在してる。その他にもとある生徒達が利用してる秘密の場所とかがあるらしいけれど…どの道そこに向かうにも危険地帯を抜けなければならない。…そんな場所だからこそ、あそこには不用意に近づいてはダメ。わかった?」

「…うん」

「よっ! なに朝っぱらから辛気くさい顔してんのよ、貴女達は」

 

なんて話をしていると、突然横からフウカが現れ私達にそう言ってきた。

 

「あ、フウカ先輩…ですっけ? おはようございます!」

「……おはよう、フウカ」

「ええ、おはよう。…フウもおはよう」

「…!(びくっ)」

 

フウカと挨拶を交わし、フウにも声をかけるフウカだったが、フウはびくりとして私にしがみつくようにして隠れてしまう。

 

「…私、そんなに怖いのかしら…」

「……年上や先輩にはまだ慣れてないだけだ、気にするな。…フウ、ちゃんと挨拶」

「お、おはよう…ございます…っ」

 

少し凹んでしまったフウカを励ましつつ、フウに挨拶をさせる。

…同学年の子達にはそんなに人見知りしないはず…いや、アリスやロム、ラム達と運良く相性が良かっただけか、 アリスが前に「フウちゃんてば、私やあの双子さん以外の子に話しかけられてもすぐ隠れちゃうんですよー」とか言ってたし。

 

「…おはよう。まぁ、これから慣れてくれればいいわ。それで、ブランは?」

「……学校で読む本を忘れた、とかいって寮に。…妹二人は先に行った」

「ふぅん…ブラン、本当に本好きよねー」

「………げっ」

 

と、フウカとそんな雑談をしていると、突然アリスが嫌なものでも見たような声を上げる。

 

「アリスちゃん? どうかしたの?」

 

珍しく動揺しているアリスにフウがそう聞くと、アリスは、

 

「す、すみません! 私、ちょーっと用事を思い出したので、先行ってますね!」

 

とだけ言い残し、あっと言う間に走り去ってしまった。

 

「あのー、すみません。先程こちらに赤い瞳で黒い髪の女生徒がいませんでしたか?」

 

一体どうしたのだろうと疑問に思っていると、背後から誰かがそう聞いてきた。

声をかけてきたのは真っ白な髪に白い肌の少女だ。身長はアリスと同じくらいだろうか。

 

「………」

「……貴女は?」

 

見知らぬ少女の登場に、怯え気味に私の影に隠れるフウを見て小さく溜め息を吐きながら少女に問う。

 

「と、申し訳ありませんでした。((私|わたくし))は高等部一年B組、エージェント科所属のティリア・リヒトウィッティと申します。以後、お見知りおきを」

 

ぺこり、と丁寧にお辞儀をする少女ティリア。

B組って事は、二人とは別のクラスか。

で、とりあえずこちらも自己紹介をすることになったのだけど。

 

「……ほら、フウ」

「ぅ、ぅぅ……ぇ、と…フウ・シュトゥース・ヴァイスシスター、です…」

「フウちゃん、ですか。よろしくお願いしますね♪」

 

もじもじしながら自己紹介するフウの手を取り、笑顔でそう言うティリア。

勿論、人見知りの激しいフウが慣れていない子にそんな事をされれば…

 

「〜〜ッ!!」

「わ、え、ふ、フウちゃん?!」

 

ご覧の有様。顔を真っ赤にしながらティリアの手を振りほどき、校舎の方へと走り去ってしまった。

 

「ごめんなさいね。彼女、人見知りが激しいらしいのよ」

「あ、あぁ、そうなのですか。何か気に障る事をしてしまったのかと…」

「……ごめんなさい。あの子には後で言っておく…」

 

そんな些細な騒動を挟みつつ、私はティリアに先程聞いてきた人――恐らくアリスの事だろうと思い、聞いてみる。

 

「……それで、アリスに何か用?」

「あっ、いえ、ちょっとした知り合いなので挨拶だけでもしておこうかな、と思っていただけなので、特に用って事でも…それにもうどこか行ってしまったようですしね」

 

ちょっとした知り合い、ね。

…エージェント科の友人かなにかだろうか。

 

「…あ、そうでした。レーレ先輩とフウカ先輩って二年なんですよね?」

 

と、ティリアが突然思い出したかのようにそんな事を聞いてきた。

 

「え? まぁ、そうだけど」

「……それが、どうかした?」

「はい。…まぁもし知ってたら、なので知らなかったらそれで良いんですけど。この前二年にも私の様な異質な見た目の方がいらっしゃると聞きましたので、ちょっとそのお方が気になってまして」

 

異質な見た目…全身が白いって事だろうか?

うーん…

 

「……異質な見た目、ねぇ…」

「………あ、レーレ。もしかしてあの子の事じゃない? ほら、不良って呼ばれてる…」

 

フウカの言葉で「あぁ…」と一人だけそんな感じのがいたな、と思い出す。

 

「ご存じなのですか?」

「まぁ、ね。一応、それなりに有名な子だから。えっと、確か…」

「……一年前の入学式の時に、この学園の不良を潰し、今では学園内の不良を一人残らず従えていて、もし彼女に逆らったり従おうとしない者には血で血を洗う制裁が待ち受けている……そう、噂されている、貴女に似て髪も肌も白い不良と呼ばれている女生徒」

 

いつだったか、ブランに聞かされたような話を思い出しながら言葉にしていく。

……あれ、ブランからだっけ?

 

「そうそう、名前は確か……イヴ、だったかしら?」

「イヴ…ですか? なんだか美術館に閉じ込められそうな名前ですね」

「え、そっち? 普通イヴって聞いたらアダムとイヴのイヴを連想するもんじゃないの?」

「あ、それもそうですね。すみません、最近そんな名前のキャラクターが登場するゲームをやっていたもので。まぁそれはどうでも良い事です。…ふむ、イヴ先輩、ですか」

「……ま、今のはあくまで"噂"だけど」

 

冗談を交えながらふむふむと言うティリアに、先程の自分の言葉を否定するような口調で言う。

 

「…と、言いますと?」

「……噂なんて所詮は噂でしかない。事実は実際に本人と話してみないと分からない。本当に噂通りの不良かもしれないし、心優しい人かもしれない。…だから、私はこの噂、あまり信用はしてないという事だ」

「ふむ、鵜呑みにするな、と?」

「そういう事じゃない? ま、実際どんな奴なのか少し気になるし、機会があったら話してみようかしらね」

「……そうね」

 

と、ティリアとフウカの二人とそんな話をしながら校舎へと向かってる途中だった。

 

「い、や…やめて…!」

「やめて、じゃあねぇだろぉ? ぶつかって来たのはそっちなんだからよぉ」

 

聞きなれた声と不快な声が同時に聞こえてきて、声の聞こえてきた方を見てみると、フウが三人の男に絡まれていた。

 

「へっへっへ…ちゃーんと、詫び入れてもらわねぇとなぁ?」

「っ…」

 

状況から察するに、さっきティリアから逃げ出してから前を見ずに走っていた所、あの三人の誰かにぶつかってしまった、といった所だろうか。

フウくらいの子にぶつかられたところで痛くもかゆくもないだろうが、あの三人、明らかにチンピラです的な雰囲気だ。

 

「ちょ、ちょっと、あれ…フウじゃないの…?!」

「うわ、明らかチンピラっぽい方達に絡まれてますね…」

 

二人も絡まれているのがフウという事に気が付くと、少し慌てだす。

対して、私はこの状況を目の当たりにしても冷静だった。

…あの子の((能力|ちから))を知っている、私だけは。

 

「ご…ご、ごめ、ん…なさい…っ」

「あぁ? 聞こえねぇなぁ?」

 

嘘だ。確かにフウは声の大きい子ではないが、少し距離のある私達にだって今の謝罪の言葉は聞こえた。

恐らくどう言おうと「聞こえない」の一点張りで、対価として彼女に何かする気なのだろう。対価と言うには明らかにおかしいが。

…仕方ない。一応、忠告してやるか。

そう思い、四人に近付いて声を掛ける。

 

「……そこの三人。もうその辺にしておいた方が良いぞ」

「あぁ? 誰だよテメェは」

「関係ねぇ奴は引っ込んでろ!」

「……いいんだな?」

「はぁ? いいからさっさとどっか行けよ! うぜぇな!」

 

私の事は眼中に無い、とでもいうのか、脅すように怒鳴りながら私を追い払おうとする。

そんな彼らに私は溜め息を一つ吐き「……もう知らないよ」と小さく言い残してその場から少し離れる。

 

「ちょ、ちょっとレーレ! なんで助けないのよ!」

「……見てれば分かる」

「見てれば分かると言われましても…」

 

フウカとティリアの二人に咎められるが、気にせず事の成り行きを見守る。

……そろそろ、か。

 

「さ、てと…じゃあお嬢ちゃん、素直に謝れねぇんじゃ仕方ねぇ。ちょっと俺達と――」

 

 

男の一人が言いかけた、その時だった。

 

――プツン、と、何かが切れるような音がしたのは。

 

 

「…っ!」

「っ!?」

 

異変に気付いたのか、フウカとティリアはびくりとして冷や汗を浮かべている。

異変とは何か? それは簡単な事。

 

フウから強い殺気が放たれているからだ。

 

 

「……………」

「――――」

「――――」

「――――」

 

そしてそれとほぼ同時に、フウに絡んでいた男達三人の動きがピタリと止まる。

まるで、彼らだけ時が止まってしまったかのように。

 

「……だから言ったのに」

「…一体、何が起こってるのよ?」

「……この子は、目を合わせた対象を石に変える能力を持ってるのよ」

 

言いながら、フウの傍に歩み寄って手を握る。

男達を見据えるフウの瞳は、いつもの透き通った青色をしてなくて、真っ赤な赤い瞳だ。

 

「い、石…!? た、確かに全く動かなくなりましたけど…それって、大丈夫なんですか…?」

「……大丈夫よ。石にするといっても効果は一瞬…少しすれば動き出す」

 

石化の力を持つ、と知らされて少し慌てていた二人も、戻ると言うと少し安心した様子。

まぁ、私達の事を話すには丁度良い機会かもしれないな。

…その前に…妹に嫌な思いをさせたこいつらに少しお仕置きをしないと、ね。

 

「……お姉ちゃん…あれ、棄てちゃダメなの…?」

「ダメ。…あんなのに関わるだけ時間の無駄だ。ほら、また絡まれる前に行くよ」

 

物騒な事を言う妹に目を合わせながら言い、他の人と目を合わせない様に配慮しながら歩き出す。

と、そこに丁度良く学園の先生の姿を見つけ、心の中でニヤリと笑みを浮かべる。

 

「……マジェコンヌ先生」

「ん、なんだ。何かあったのか」

 

名前を呼ぶと、あまり興味なさそうな感じで足を止める先生。

 

「いえ…あそこにいる三人が先生に話があるそうで…」

「私に話…だと? …本人が直接来ればいいものを、面倒な…」

 

適当な嘘を吐いて先生を石化した男達の所へ誘導する。

……前に見た時と同じ効果時間だったら、そろそろか…?

 

「――ちょっとそこまで付き合っ…ぎゃあああっ!? ち、チビが一瞬でババァになりやがったあああっ!!」

「うわっ!マジだぁっ!!?」

「………ほう?」

 

驚愕する男達、その言葉を聞いてひくひくと眉をひくつかせるマジェコンヌ先生。

ああ、よりにもよってあの先生をババァ呼ばわり…この後大変だろうな、アイツら。

っと、呑気に観戦してる場合でもないか。

 

「……今の内。早く行くよ」

「…ふふっ、いい気味…」

「え、えぇ…」

「は、はい…!」

 

いつもの彼女からは想像できないような黒い台詞を呟く妹と、それを見て驚きを隠せない様子のフウカ、ティリアを連れ、私は足早に学園へと向かった…。

 

「キサマら、教師である私をババァ呼ばわりとは…いい度胸だな…?」

「お、俺は言ってないぞ!俺は悪くねぇ!」

「あ、テメっ! 一人だけ逃れようってのか!」

「卑怯だぞ!」

「安心しろ…三人共同罪だ…!」

「「「ひいぃぃ…っ!!」」」

 

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「はぁ…それで、アレは何なのよ?」

 

あれから昇降口で一年の二人と別れ、自分達のクラスへとやってきた私とフウカ。

席に着いたところで、フウカがため息を吐きながらさっきの事を聞いてきた。

 

「……ん…まぁ、別に隠してた訳でもないけど…この際だから言っておくべきか…」

「隠し事ねぇ…あまり長い話なら遠慮するわよ」

「……単刀直入って事?」

「よくわかってんじゃない」

 

机に肘を付きながらそう言うフウカ。

……予想。単刀直入に言ったら絶対「はぁ?」って言う。

 

「……私とフウにはメデューサの血が流れている」

「……はぁ?」

「よし…当たった。…なんか頂戴」

「いや、当たったとか頂戴とか意味わかんないわよ…何より意味わからないのはメデューサがどうのって方だけど」

 

…ちっ…やっぱりダメか。

まぁ、そんなおふざけは置いといてだ。本題に入るとしよう。

 

「……言葉通りよ。……私達の親は父様が人間、母様がメデューサ。……だからわたしとフウは人間とメデューサのハーフ、ということだ」

「いや、まぁ…うん。…まず、メデューサってのが存在してたことに驚きよ」

「……案外人型の異種族は人間達の生活に紛れ込んでるものだぞ。……とはいえ私達は家族以外のメデューサを見た事はないんだけど」

 

まぁ、そう簡単に正体を明かしたら碌な目に遭わないからな。と付け足すように言いながら、片手間に小説を取り出し読み始める。

 

「…それで、さっきのアレはその…メデューサの能力って事?」

「……そんなとこ。……素質が無いのか母様の血が薄いのか、私は無理だけど」

「へぇ…。それにしてもメデューサなんて、空想の存在だとばかり思ってたわ」

 

いや、この世界も十分((空想|ファンタジー))だと思うが、とか思ったところで教師がやってきて、会話は中断。

 

それからHR、授業を終えて昼休みの時間。飛ばし過ぎとか言うな。

どうせもう話してしまった事だ、という事でブランにもこの事を話す事に。

話をしている間のブランは相変わらずなにかの小説を読みながら、興味があるのかないのかわからないような様子だった。

 

「…ふぅん…あなたとあの子がねぇ…」

「……ごめんなさいね、今まで黙ってて」

「…別に、誰にだって隠し事の一つや二つはあるもの。気にしないわ。…それに」

 

半分人間じゃないからという理由で嫌うんだったら、長い時間友人なんてやってないわ。とブランは言う。

……それもそうか。

 

「……今まで黙ってた私がバカみたいに思えてきた」

「まぁでも、実際にあれを見てなかったら信じなかったかもしれないし、いいんじゃない?」

「…私は見てないけど」

「……そう、か」

 

まぁ、異種族なんてそうそうわからないし、当然か。

 

「さて、と。じゃあそろそろお昼にする?」

「……ん…」

「…それじゃ、移動ね」

 

わたしが頷くのを合図にしたかのように、ブランは本に栞を挟んで鞄にしまい、席を立つ。

そんなブランに続くように、私とフウカも席を立ち後を追うように教室を後にする。

 

「……聞くまでもないだろうけど、どこでお昼にする?」

 

廊下を歩きなから二人に聞く。

今自分で言ったように、別に聞くまでもない質問だけれどね。

 

「私達が昼休みに行く所なんて大体決まってんでしょ」

「…中庭」

 

さも当然、といった様子で答える二人。

この学園の敷地内にはレストランやら喫茶店やらが存在し、私達が向かおうとしている中庭のカフェテリアも学生用の施設の一つだ。

ただでさえバカみたいに広いから、そういった施設も多数存在する、ということ。

 

「……そうだろうと思った」

「わかってんなら聞く必要ないじゃない」

「……私達には日常でも、見てる人からしたらそうじゃないだろ?」

「あなたは何を言ってるの…?」

 

二人に変な目で見られた、酷い。

 

「まぁいいけど。あぁ、そうそう――」

 

フウカが歩きながら話を始める。

妹たちも入学してきて、この生活が以前よりも騒がしくなるのは目に見えてるけれど。

それでも、そんな日常をどこか楽しみにしている私がいる。

…これからどんな出来事が待っているのか、楽しみだ。

説明
相当時間掛けておきながらクオリティは酷い物です。
後、相当なスランプ状態なので今後頻度がかなり酷い事になると思われます…
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コメント
更新、お疲れ様です!&お久です。チータ「メデューサねぇ……まさかの神族が母親とはな…って事は元々半分神様って事か…」ユウザ「どゆこと?」チ「メデューサは神話じゃ化け物で有名だが、元々はキレたアテナによって化け物にされた女神様らしいぜ。しかも美人らしい。」ユ「何で化け物に?」チ「『自分の髪はアテナのより美しい』って自慢したからだとさ。」 (ヒノ)
byZ お久しぶりでーす!こっちもゲイムギョウ町2期の学園物語を投稿してますが、こちらの方が駄文です・・・。 byH お久しぶりです!フウカちゃん達も!!( Z ハデス)
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