緋弾のアリア 白銀の夜叉 |
第九話 もう一人の双剣双銃(カドラ)と解放されし力
「頭と体で人と戦う才能ってさ、結構遺伝するんだよね。 武偵高にも、お前達みたいな遺伝系の天才が結構いる。 でも・・・お前の一族は特別だよ、オルメス」
オルメス・・・・? 一体何なんだ?アリアの『H家』の名前か?
「あんた・・・いったい何者・・・?」
眉を寄せるアリアに対し理子はニヤリと笑って答える。
「峰・理子・リュパン四世――――それが理子の本当の名前」
リュパンって、あのフランスの怪盗じゃねえか。 アニメではルパン三世がいたからあいつが実在したとしたらこいつは苗字からしてルパンを金づるとして見ていた峰不二子とあいつの子なのか?
「だからって何でこんな事をする!」
キンジが叫ぶ。
「それはねぇ、理子が理子だから・・・・けど、家のみんなは私を『理子』とは呼んでくれない。 みんな四世。 四世。 四世様ぁーってどいつもこいつも呼ぶの。 ひっどいよね〜」
「そ、それがどうしたってのよ・・・四世の何が悪いってのよ!」
何故かはっきりと言うアリアに、理子は目を大きく開けた。
「悪いに決まってんだろ!! あたしは数字か!? あたしはDNAか!? 違う!! あたしは理子だ!!」
突然キレた理子は俺達じゃない誰かに対して叫んでいた。
「曾お爺様を超えないと、あたしは一生あたしじゃない! 『リュパンの曾孫』として扱われる。 だからイ・ウーに入ってこの力を得た! この力であたしはもぎ取るんだ! あたしを!」
何を言っているのか分からない話をアリアは真剣な顔で聞いていた。
「待て、待ってくれ。 お前は一体何を言っているんだ・・・!? オルメスって、イ・ウーって何だ、『武偵殺し』は・・・本当にお前の仕業なのかよ!?」
「『武偵殺し』? ああ、あんなのプロローグを兼ねたお遊びよ。 本当の目的はオルメス四世・・・アリア、お前だ」
キンジの問いに俺達が知らない、獲物を狙う獣のような目をした理子が答えた。 これがこいつの本性って訳か・・・・
「百年前、曾お爺様同士の対決は引き分けだった。 オルメス四世を倒せば、理子は曾お爺様を超えたことを証明できる。 キンジ・・・お前もしっかり役割を果たせよ」
獣の目を今度はキンジに向ける。
「オルメスの一族にはパートナーが必要なんだ。 曾お爺様と戦った初代オルメスには、優秀なパートナーがいた。 だから条件を合わせるために、お前とアリアをくっつけようとしたんだよ」
「俺とアリアを・・・お前が?」
「そっ」
理子は教室で見せていた俺の大嫌いな軽い調子で言った。
「キンジのチャリに爆弾を仕掛けてわっかりやすーい電波を出してあげたの」
「あたしが『武偵殺し』の電波を追ってることに気付いていたのね・・・!」
「そりゃ気づくよー。 あんなに堂々と通信科(コネクト)に出入りしていればねぇー。 でも、キンジがあんまり乗り気じゃないみたいだったから・・・バスジャックで協力させてあげたんだ」
「バスジャックも・・・!?」
やはりか。
「キンジぃー。 武偵はどんな理由があっても人に腕時計を預けちゃ駄目だよ? 狂った時間を見たら、バスに遅刻しちゃうぞー?」
人に腕時計を預けてたのかよ。 来年武偵辞めるとはいえ、抜けてるにも程があるぞ。
「何もかもお前の思い通りだったって訳かよ・・・!」
「んー? そうでもないよ? バスジャックの後も二人がくっつききらなかったのと、たっ君が参加してきたのは計算外だったの。 理子がやったお兄さんの話を出すまで動かなかったのは意外だった」
そりゃ武偵を辞めたいキンジとアリアがくっつくなんてあり得ないだろ。 キンジとアリアは誰から見ても分かるように水と油だ。
「兄さんを・・・お前が・・・!?」
「キンジ、いいこと教えてあげる。 キンジのお兄さんは今・・・理子の恋人なの」
「いい加減にしろ!」
「キンジ! 理子はあたし達を挑発してるわ! 落ち着きなさい!」
「これが落ち着いていられるかよ!」
キンジが拳銃を握る右手に力を入れた瞬間・・・
「!?」
飛行機が突然傾きキンジは銃を落として理子に小柄な拳銃・・・ワルサ―P99を突き付けられていた。 チッ、だから戦闘には出てくるなと言ったのに・・・
「ノンノン、駄目だよキンジ。 今のお前じゃ戦闘の役には立たない。 そもそもオルメスの相棒は戦う相棒じゃないの。 パンピーの視点からヒントを与えてオルメスの能力を引き出す活躍をしなきゃ」
これが本当ならアリアは実に厄介な家に生まれたもんだな。 あいつはとにかく直接的な力を重視するタイプだ。
その隙にアリアは理子に詰め寄りながら銃撃をする。 理子はさらにもう一つのワルサ―P99を取り出して銃撃をする。
武偵法9条『武偵は如何なる状況においても、武偵活動中に人を殺害してはならない』
それを守るためにアリアは理子の頭部を狙えず、理子も合わせているのかアリアの頭部を狙わない。 武偵同士の戦いでは拳銃の弾は一撃必殺の武器にはならない。 言うなればパンチやキックのような打撃武器だ。 弾切れの一瞬の隙をついてアリアが理子の両腕を抱える。 そこに合図が入ったためキンジはバタフライ・ナイフを、俺は刀を突き付ける。
「奇遇よね、アリア。 理子とアリアは色んな所が似てる。 家系、キュートな姿、そして・・・二つ名」
「どういう事だ?」
「あたしも同じ二つ名を持ってるの。 『双剣双銃の理子』。 でもね、アリアの『双剣双銃』は本物じゃない!!」
「なっ!?」
突然理子のツーサイドアップのテールが神話のメデューサのように動き恐らく背中に隠していたナイフを握ってアリアに襲い掛かった。
「!・・きゃっ!」
一発目はかわせたが二発目はかわせず側頭部を斬られた。
「あは・・・あはは、百八年もの歳月はこうも子孫に差を作っちゃうもんだね。 勝負にならない。 こいつ、パートナーどころか、自分の力すら使えてない! 勝てる! 勝てるよ! 理子は今日、理子になる! あは、あはははは!」
アリアの心臓付近に理子が放った銃弾が直撃し、髪でアリアを突き飛ばした。
「アリア! アリア!」
「チッ、キンジ! お前はアリアを連れて一旦退け!」
俺はキンジを逃がして理子と向き合い、そして刀を振るって俺と理子を風で取り囲んだ。
「何するの? 竜也。 あたしはさっさとあいつらを倒したいんだけど。 それとも今度はたっ君が理子と遊んでくれるの?」
「猫被ってんじゃねえよ、ムカつく」
俺は右手に刀を、左手にロッドを持って突進した。 ロッドは伸ばすのはやめた。 これからやるのは零距離戦。 攻撃範囲が広い武器は逆に面倒なのだ。 理子は髪にナイフを、両手にワルサ―を持って襲い掛かった。 ナイフの攻撃は刀で、銃弾はロッドで弾く。 ん? あいつが髪をこっちに向けているとき、波動を感じたような気がするが・・・
「くふふ。 楽しいね、たっ君!」
何度かの斬り合い、撃ち合いの間に俺は理解する。 やはりこいつの髪を操る力は超能力(ステルス)だ! ならば・・・ 俺は刀に風を纏わせ、理子との距離を詰める。 そして銃弾を何発か喰らいながらも拳銃を一丁破壊した。 すると理子は弾切れした銃をしまって髪を伸ばしてきた。 俺は理子の波動と俺の波動がぶつかってできる裂け目を見つけ、その裂け目に沿って刀を振り下ろした。
「風の傷!!」
ビューン!! ガガガガガ!!
地を這う衝撃波が理子の髪を切り裂く。 そして風の傷が当たった理子は吹っ飛ばされた。 威力は抑えていたので当たっても少し血が出たりする程度だったが。
「やるねぇ、たっ君。 たっ君にもいいことを教えてあげるよ」
「何だよ」
「たっ君の恋人もね、イ・ウーにいるの」
俺はあいつがイ・ウーにいるという事を聞いて一瞬動きが止まるがすぐに気を取り直す。
「馬鹿言うなよ。 あいつはキンジの兄貴と違って死体が見つかってちゃんと確認している」
「あれは偽物だよ。 じゃあそろそろアリアたちのところに行かなきゃ。 バイバーイ」
理子がガス缶を投げる。 ヤバい、吸っちまった。 ちくしょう、目がかゆい。 催涙ガスかよ。 それに強い匂いがする。 意識が・・・
説明 | ||
恋人を失い、誰も信じられなくなった主人公が芯の強さと絆に目覚める物語 | ||
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コメント | ||
分かりました。 就職活動と仕事で書けなくなるかもしれませんが社会人になっても続けていこうと思います。(赤井修也) 続き見たい♪(グリザイア) |
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