一刀の晋王転生録 第三章九話 |
姓:司馬 名:昭 性別:男
字:子上
真名:一刀(カズト)
北郷一刀が転生した者。
姓:司馬 名:懿 性別:女
字:仲達
真名:理鎖(リサ)
一刀と瑠理の偉大なる母。
姓:司馬 名:師 性別:女
字:子元
真名:瑠理(ルリ)
母を目標にする一刀の姉。一刀を溺愛している(?)。
姓:張 名:春華 性別:男
真名:解刀(カイト)
一刀と瑠理の父にして、一刀の師。
姓:王 名:元姫 性別:女
真名:美華(ミカ)
一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。
姓:ケ 名:艾 性別:女
字:士載
真名:江里香(エリカ)
後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。
姓:賈 名:充 性別:女
字:公閭
真名:闇那(アンナ)
司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。
姓:王 名:濬 性別:女
字:士治
真名:澪羅(レイラ)
後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。
姓:司馬 名:望 性別:女
字:子初
真名:理奈(リナ)
一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。
姓:杜 名:預 性別:女
字:元凱
真名:綺羅(キラ)
一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。
第九話
「天水の姜維」
帰還の準備が終わり、一刀と瑠璃は司馬家軍は馬騰の居る天幕を尋ねた。
「一時はどうなるかと思ったけど、おかげで助かったよ」
うれしそうに言う馬騰に対して、一刀は浮かない顔をしている。
「いえ、大きな犠牲が出てしまいました。申し訳ございません」
今回の戦果を考えると、素直にどういたしましてとは言えなかった。
「何言ってるんだ、確かにそうだったけど、お前達が来てくれなかったら俺達は全滅していたはずだ。特に司馬
昭は娘達を助けてくれた、謝罪する必要は無い」
「ですが……」
「こっちが良いと言っているんだ。まぁ、お前達のこれからを考えると気にするなとは言えんが、元はと言えば
此方の力不足が原因なんだ。俺達がこれから強くなるためにも謝罪はしないでほしい」
「……分かりました……そう言うことならもう言いません」
この戦を糧に強くなりたいと言われては、一刀は引き下がるしか無かった。
一刀は瑠理の後ろまで下がり、今度は瑠理が前に出る。
「そういう事ならば、これからも五胡に対して備えて欲しい」
「ああ、任せろ! 助けられっぱなしって言うのは性に合わないからな。お前達も早く洛陽に戻りな」
「では、お願いする」
一刀と瑠理は退室の礼をとり、二人は天幕から出て行く。
こうして司馬家軍と馬騰軍はひとまず連合を解散させるのだった。
洛陽への帰還中に一刀達は今回の戦いについて話し合っていた。
「敵の指令官は姜維というの?」
「ああ、奴はそう名乗っていた。そして漢を憎み滅ぼすとも言っていたよ、姉上」
その内容が敵指令官、姜維の事になるのは自然であろう。
「直接見てどうだった?」
「はっきり言って強すぎる。江里香さんが来てくれなかったら……今頃俺は確実に死んでいた」
「……無事で良かった」
瑠理は心からの安堵の溜息を吐く。一刀の死など想像にもしたくなかった。
「そういえば江里香さん、礼を言うのが遅れたね……ありがとう」
「い、いえ! 私は当然の事をしただけで……もったいない言葉です」
「澪羅も中央では頑張ったようだね、お疲れ様」
「お頭もね」
「月達も、よく頑張ってくれたね」
恋、音々、華雄は笑みを浮かべる。
しかし月は何か考えごとをしていたのか浮かない顔をしている。
「? 月、どうしたの」
「姜維って……やっぱりあの……」
「!? 知っているのか!」
一刀だけでなく、この場に居る全員が驚いた。
「はい、聞いたことがある程度ですが……」
「それで良い、聞かせてくれ」
「分かりました」
月は静かに語る。己の知る姜維について。
月が彼の噂を聞いたのは天水の太守になってすぐであった。
その者、天水の地で生まれた最高の麒麟児である、と。
それを聞いた月達は是非とも我が軍に入ってもらいたいと思ったがそれは出来なかった。
噂には続きがあった。彼はすでに天水の地から……漢の領土から去ったのだと。
麒麟児と呼ばれるほどの人間がなぜ去ったのか当然気になり、彼を調べ始める。
それはすぐに分かった。何と数年前に治めていた太守の政のせいで彼の母が死んでしまったと言うのだ。
詳細はこうである。ある日彼の母が病気になった。しかしどうすることも出来なかったという。
何故か? それは過度な徴収のせいであった。目的は十常侍への賄賂のためである。そのため暮らすだけで精一
杯で薬を買える金すらなかった。
結果何も出来ず母は亡くなってしまった。姜維は憤怒した。漢の在り方に、その在り方を変える気すらない人々
を、そして変えることが出来ないでいる人々も、全てを憎んだ。
彼は憎しみを抱えながら漢の地を去ったのだ。月達は諦めたことにする。彼を探し当てたとしても漢に仕える自
分のところに仕えてくれることはないだろうから。
「これが私の知っていることです」
話が終わった後、皆はなんとも言えない表情になる。
ちなみに恋、音々、華雄も初めて聞くことだった。何故なら月がこの事を知ったのはまだ賈?と二人で政をして
いた頃だったからである。
「まさか、ここでも十常侍とは……本当に奴らはろくな事をしない」
一刀は無意識に溜息を吐く。彼らのせいで姜維という敵を作られたのだからたまったものではなかった。
「ほぼ間違いない、か……和解はできるだろうか……」
彼の境遇への同情と、危険とも言える強さから戦い以外の選択をしたかった一刀だったが瑠理は首を振る。
「ほぼ不可能、聞く耳すら持たないと思う」
「……やっぱりそうか……」
一刀は後ろを振り向いた。
「姜維か……奴とはまた戦うことになりそうだな……」
一刀は心に深く刻み付けることにした……自分達の宿敵となるであろう男の名前を……
あとがき
ほんとに録でもない十常侍であった。
次はいよいよあの迷家。
説明 | ||
姜維の出自と五胡にいる経緯について。そして何故漢を憎むのか…… | ||
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コメント | ||
h995様、コメントありがとうございます。姜維はこの物語においてかなり重要な位置にいます。(k3) ……どうやら現時点での最強かつ不倶戴天の敵は三国の英雄達ではなく姜維である模様。泰平の世はまだまだ先の様です。(h995) |
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