IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第34話
[全1ページ]

出し物が決まり一夏とシャルロットは千冬に報告しに職員室に向かった。

千冬に報告した際、千冬は発案者が誰か聞いてきた。

二人は発案者がラウラだと伝えると千冬は壮大に笑った。

ラウラの過去を知っている千冬にとってラウラの変わりように可笑しくて仕方なかった。

一夏、シャルロット、そして職員室に居た教師達は千冬の意外な姿にきょとんと眺めていた。

キラ達が執事服を着ることを伝えたら何人か鼻血を流したり気絶する教師が居たのは言うまでもない。

報告し終わった一夏とシャルロットは職員室を出た。

すると職員室を出た二人の前に簪の姉であり生徒会長である楯無が待っていた。

 

「あなたは!」

「生徒会長の更識 楯無さん」

「やあ、一夏君、シャルロットちゃん、あなた達を待っていたわよ!」

「俺達を待っていた?」

「まあね、ちょっと話をしたかったのよね、まあ、此処じゃなんだし生徒会室で、そこで待っている人と一緒に話すわ」

「待っている人?」

 

一夏とシャルロットは首を傾げるが楯無は気にせず生徒会室に向かった。

 

 

生徒会室に案内された一夏とシャルロット。

楯無がドアを開けるとそこには本音の姉である虚が立っており、そして箒、セシリア、鈴、ラウラが椅子に座っていた。

 

「皆!?」

「どうして、此処に!?」

 

生徒会室に箒達が居るとは思わなかったシャルロットと一夏は驚きを露にする。

 

「いや、私達も生徒会長に呼ばれて……」

「そうだったのか」

 

一夏とシャルロットも椅子に座ると楯無が今回集めた訳を話し始めた。

 

「さて、あなた達に話したい事何だけど……まずはこれを見て」

 

楯無は一枚の書類を一夏に渡し、一夏とシャルロット達はその書類を読んだ。

 

「な、何だこれは!?」

 

その内容は一夏を部活に参加して欲しいという内容であった。

 

「IS学園の生徒は部活に入るのが決まりなんだけど、君の場合は特殊なケースだから学校側から何も言わなかったけどね」

 

だが、それを知らない生徒達は一夏と一緒に部活に参加して欲しいと思っているのである。

 

「一夏君と仲が良いシャルロットちゃん達も部活の人達に一夏君が部活に入るように言われているようだけどね」

「そうなのか?」

 

一夏の問いにシャルロット達は答えにくそうな顔していた。

 

「う、うん……」

「そ、そうだ……」

「部活の友達や先輩達に……」

「一夏さんが部活に入ってもらうように……」

「言われている」

 

そんな事があったのかと初めて知った一夏。

そして、その事を黙ってくれていたシャルロット達に感謝する一夏である。

 

「これも含め似たような苦情が多数寄せられてるんだけどね」

 

楯無がそう言うと虚がダンボールの中は書類がぎっしり詰め込まれていた。

 

「まあ、生徒の願いを叶えてあげたいけど、一夏君の場合は少しでも多くISの特訓に時間を割きたいだろうし、それに女の子だらけの中一人放り込まれるのも何かとしんどいでしょう?」

「……はい」

「そこで一夏君には生徒会に入ってもらった方が、生徒の皆も納得すると思うのよね!」

「だけど、それでも納得しない人は居ると思うんですが?」

 

シャルロットの言う事も理解できる。

いくら一夏が生徒会に入ろうがそれに納得しない生徒だっている。

 

「それは大丈夫よ、確実に、かつ皆が納得出来る様にしてあるわ」

「それが、今朝のあれですか?」

「そうよ、生徒会で出し物を出して皆の票を生徒会に投票させるわ!」

「その出し物は、何ですか?」

 

その出し物について尋ねると楯無は話し始めた。

それは観客も参加出来る劇『シンデレラ』という内容であった。

そして、王冠を手にした物は何でも一つだけ願いを叶えられるというものであった。

一夏はその内容に頭痛を覚えるのだった。

だが、他に方法がないので承諾するしかなかった。

これで話が終わったかと思えばラウラが口を開く。

 

「それで、私達を呼んだ本当の目的は何だ?」

 

ラウラは楯無を睨みつけながら言うが、楯無は笑顔崩さずに答える。

 

「どうして、そう思うのかしら?」

「一夏を生徒会に入れる為なら、一夏とシャルロットだけに話せば済む話だ、何故、私達まで呼ぶ必要がある? 貴様が他に目的があるから私達を呼んだ、違うか?」

 

ラウラの言葉に楯無はいつもの笑みはなくなり真剣な表情に変わった。

 

「……あなた達を呼んだのは、ヤマト先生達について話したいことがあるの」

 

 

2週間後、遂に学園の生徒たちが待ち望んだ学園祭が開催された。

一年一組は朝から出し物であるご奉仕喫茶の準備が慌しく行われていた。

そして、執事服に着替えた一夏の目の前にはメイド服に身を包んだシャルロットの姿があった。

 

「ねえ、一夏、この服どうかな?」

「あ、ああ、ばっちり似合っているぞ」

 

シャルロットに呼びかけられても何処か上の空であった。

 

「ねえ、一夏、生徒会長さんの話、気にしているの……」

「………」

 

 

 

『キラ達が存在しない人間!?』

 

楯無が告げられた言葉に驚愕した。

 

『存在しないとはどういうことですか!?』

『そうよ、キラ達は実際に存在しているじゃない!!』

 

語られた楯無の言葉に箒、鈴が声を荒らげる。

 

『存在しないとは言っていないわ、ただ存在しない可能性があるのよ』

『どうしてそんな事が言えるのですか!』

 

セシリアも明らかに不快感を露にしながら聞いてきた。

 

『……まず、ヤマト先生、アスカ先生がIS操縦者として公表された時に、私達、暗部は直ぐにヤマト先生達の調査を開始したわ、だけど、いくつか不自然な点があった』

『不自然な点?』

『まず一つ目は、戸籍……私の実家は各国のデータが保存されていてるデータベースがあるんだけど』

『そのデータベースを使ってキラ達を調べたのか?』

『ええ、データベースにヤマト先生達のデータは存在していた』

『なら、不自然な点はないじゃないですか!』

 

一夏がそう答えるが楯無は険しい表情になる。

 

『問題はこれからよ、家のデータベースは過去一年間のデータも保存されているの、そこに保存されていた過去データを調べたらヤマト先生達のデータは存在していなかったわ』

『データが存在していなかった!?』

『何かの間違いじゃ……』

『事実よ、私達も何度も調べなおしたけど、ヤマト先生達のデータは存在していなかったわ』

 

告げられた事実に一夏達は驚きを露にした。

 

『それと、もう一つ、ヤマト先生達のデータが確認できた日付と同じ日付でIS学園に異常が起こっていたわ』

『どういうことですか?』

『巧妙に隠されていたけど、その日付に先生達がISで出撃した記録が残っていたわ、しかも学園が所持している全てのISが出撃している』

『っ!?』

『まさか、敵襲があったのか!?』

『その可能性は高いわ、学園で所持している全てのISに先生達が乗って出撃したって事はそれだけの事態だし』

 

楯無の言うとおり教師がISで出撃はそれだけの事態が起こったことになる。

 

『だけど、それだけでキラ達を疑うのは……』

『IS学園が異常が起こった日とヤマト先生達のデータが確認できた日付が一緒なのは偶然にしては出来すぎているわ、もし、異常が起こった時にヤマト先生達が関係しているんだとすれば、データが無かった事も辻褄が合う、疑うには十分すぎるわ』

『………』

『とにかく、あなた達もヤマト先生達には気をつけなさい』

 

 

 

「楯無さんの言う通りキラ達には不自然な点はあるけど……でも、やっぱりキラ達が疑われるのは辛い」

「それは僕も同じだよ、一夏……」

「シャル……」

「それは私達も同じだ!」

 

声がした方に一夏とシャルロットが振り向くとそこには箒が居た。

そして、その後ろにはセシリア、鈴、ラウラが居た。

 

「確かに生徒会長さんの言う通りキラさん達は隠し事をしているかもしれませんわ」

「だけど、いくら生徒会長だからって、キラ達が疑うのは、許せないわよ!」

「セシリア、鈴」

「キラ達を疑われるのは私も我慢出来ん」

「((楯無|あの女))にキラ達の疑いを解くには私達でキラ達の秘密を解く必要がある」

「だけど、どうやって?」

 

するとラウラは腕を部分展開させ一つの映像を映し出した。

そこに映っていたのは生徒会室で楯無と虚の会話が映っていた。

 

「生徒会室に盗聴器とカメラを仕掛けておいた」

「と、盗聴器!?」

「ああ、((楯無|あの女))がキラ達を疑っているのが気に入らなくてな、向こうの情報を手に入れる為に仕掛けた」

 

犯罪行為を平然とやっておけるラウラに呆気にとられる一夏達であったが、キラ達の事を思っての行動であるのでラウラを責めようとしなかった。

 

「それで収穫はあったの?」

「ああ、キラ達は定期的に第六アリーナに訪れているという事が分かった」

「第六アリーナか……」

「だけど、私達、何度も第六アリーナに行っているわよ」

「うん、そうだけど」

 

第六アリーナは訪れる事は少ないが、実戦練習や特訓などで一夏達も利用している。

 

「いや、私達がまだ行っていない場所がある」

「何処だ?」

「地下だ」

「地下?」

「そうだ、第六アリーナはフィールドを変える事で各競技を行えるように設計されたアリーナだ、そして使われていないフィールドは地下深くに格納されている」

「もしかして、そこに?」

「キラ達の秘密が……」

 

キラ達に秘密を暴くのは一夏達は悪いと思っているが、キラ達の疑いを解くには秘密を解く必要がある。

たとえ、それがキラ達の触れてはいけない秘密だとしても。

 

「それで、地下に行くにはどうしたら良いのよ?」

「それが問題だ、((楯無|あの女))の話では地下に行くエレベーターがあるのだが、エレベーターは分からない様に隠されている」

「まずはその隠されたエレベーターを探す必要がありますわね」

「ああ、後で皆で……」

「待って!」

 

一夏達の後ろから声が聞こえ、そこに振り向くとそこには簪がいた。

 

「簪!?」

「どうして、此処に!」

「本音から聞いた……お姉ちゃん達がキラさん達を調べている事を……」

「……そうか」

 

生徒会のメンバーの一人である本音も一夏達と同じくキラ達が疑われるのは嫌だった。

そこで本音は楯無がキラ達の事を調べている事、簪に伝えたのである。

 

「お前はどうするのだ?」

「私達は第六アリーナに向かいますが……」

「私も行く、お姉ちゃんにキラさん達を疑いを解きたい!」

 

簪はキラに恋心を抱いている。

身内であり姉である楯無がキラを疑っている事に心を痛める。

 

「分かった……一緒に行こう」

「うん!」

 

 

生徒会の出し物を終え、一夏達は第六アリーナに来ていた。

 

「やはり、そう簡単に見つからないですわね……」

 

隠されたエレベーターを探していたが、エレベーターは見付からずにいた。

 

「予想はしてたけど、見つからないわね……」

「ああ……」

「隠してあるんだから、やはりあまり生徒が訪れない場所に隠されている可能性が高いだろ」

「そうなると生徒が訪れない場所は……」

 

生徒が訪れない場所を考える一夏達。

すると、簪がある事気付いた。

 

「あ! 管制室!」

「なるほど、確かに管制室なら生徒はおろか教師すら普段は利用する事は少ない、隠す場所は十分だな」

「なら、決まりだな、管制室に向かおうぜ!」

 

一夏達は駆け足で管制室のあるゲートに向かう為、一度、第六アリーナから外に出た。

すると、目の前にスーツを着た女の人が立っていた。

 

「ちょっといいですか?」

「あの貴女は?」

「失礼しました。私、IS装備開発企業『みつるぎ』歩外担当の巻紙礼子と申します」

 

一夏はまたかという顔をしていた。

何故、一夏はまたかという顔したのか、それは一夏とシャルが自宅に戻っていた頃である。

一夏に会社の装備を使って欲しいという企業が自宅を尋ねてきたのである、一夏はまた勧誘してきたんだろうと思っていた。

しかし、ラウラは女に違和感を感じていた。

女から僅かであるが血の匂いを感じた。

 

「それで俺に何か?」

「はい、この機会に白式をいただきたいと思いまして」

「っ!? 一夏! この女から離れろ!!」

 

シュヴァルツェア・レーゲンを展開し大型レール砲を女に向かって放つ。

だが、女はISを展開して軽々と避けた。

 

「随分と荒い事するじぇねぇか、小娘っ!」

 

先ほどの笑みは無く、口元を愉悦に満ちた表情に歪める。

一夏達は慌ててISを展開する。

 

「そのIS、何者かに強奪された、アメリカの第二世代”アラクネ”」

「へぇ、知っているか」

「貴様、亡国機業か!」

「良いぜ、名乗ってやるよ! 私は秘密結社『亡国機業』の一人、オータム様だ!」

 

オータムの高らかに名乗りを上げるが一夏は”亡国機業”という言葉に違和感を感じた。

 

(亡国機業……何だ、初めて聞くのに、何処かで聞いたような……)

 

一夏は初めて聞く組織名なのに何処か聞くのが初めてではないと感じていた。

だが、次にオータムの発した言葉で一気に違和感は吹き飛んだ。

 

「ついでに、教えてやんよ! 第二回モンド・グロッソでお前を拉致したのは私だ! 感動のご対面だなぁ、ハハハハ!」

『っ!?』

 

衝撃の事実に一夏達は驚愕するが、ラウラが静かに口を開く。

 

「そうか、一夏をさらい……教官の経歴に傷をつけたのは……お前だったのか!」

 

尊敬していた千冬の経歴に傷をつけた張本人を前にラウラは怒りを露にする、だが、それは一夏も同じである。

自分が誘拐されなければ千冬の経歴を傷をつける事はなかった。

誘拐した張本人を前にして一夏は冷静でいられずに叫んだ。

 

「あの時の借りを返してやらぁ!!」

 

怒りで我を忘れた一夏は((瞬時加速|イグニッションブースト))でオータムに接近するが、オータムは愉悦に満ちていた。

 

「クク、やっぱりガキだな、てめえ」

 

オータムは右手にエネルギーワイヤーを形成しそれを一夏達に投げた。

すると、エネルギーワイヤーは網と変化し一夏達の全身に絡みつく。

 

「くっ、これは!?」

「エネルギーの網だと!?」

「こんな物、雪羅で!」

「だからガキだって言っているんだろ」

 

もがく一夏にオータムは近づき、四本脚の装置を一夏に取り付けた。

 

「何だよこれは!?」

「その装置はなぁ、((剥離剤|リムーバー))っつうんだよ! ISを強制解除出来るっつー秘密兵器だぜ!!」

「何っ!?」

 

刹那、一夏に取り付かれていた装置から電流に似たエネルギーが流される。

 

「があああっ!!」

『一夏(さん)!?』

 

身が引き裂かれるような痛みが一夏を襲った。

そして、一夏を襲ったエネルギーが収まり、一夏に体に装備されていた白式は消え、菱形立体のクリスタルと形となり、オータムの手に収まった。

 

「白式が……」

「コアに!?」

「どうだ、てめえの大事なISを奪われる気分は?」

 

愉悦に満ちた表情で一夏を見下すオータム。

一夏はゆっくりと立ち上がり静かに口を開く。

 

「………返せ……」

「聞こえねーよ」

「白式を返せぇぇ!!」

 

一夏はオータムに殴りかかったが、オータムは一夏の拳をかわすと一夏の腹を蹴り飛ばし、壁に叩きつけた。

 

「がはっ!?」

「一夏!?」

 

シャルロット達は直ぐに一夏を助けようと網から抜けようと武器を呼び出し網を切り裂こうとしたが、網は切れなかった。

 

「馬鹿なっ!? 雨月で斬れないだと!?」

「甘いんだよ! その網はISの武器を使っても斬れない代物でな!」

 

箒達がもがく姿をあざ笑いながら一夏に近づきオータムは一夏の首を締め付け始めた。

 

「ぐっ!!」

「お前が居ると後々面倒なんでな殺してやるよ!」

 

必至に抵抗する一夏だが、オータムは更に強く締め付けた。

白式がコアとなった事により、絶対防御は無くなっている、つまり、一夏を守る物は何もない、このままでは一夏は殺されてしまう。

 

「一夏っ!!?」

 

シャルロットが叫ぶがオータムは更に強めに締め付ける。

目の前で一夏が殺されてしまうのに只見ることしか出来ない事にシャルロットは己の無力さに襲われる。

 

「それは困るわ、IS学園で死人を出すわけにはいかないのよ」

 

影を落とすものに気付いたオータムは上を見るとそこにはISを展開した楯無の姿であった。

 

「お姉ちゃん!?」

「なんだテメェはっ!」

「私はIS学園、生徒会長の更識 楯無よ、あなたの好きにはさせないわ、亡国機業!!」

 

楯無は((瞬時加速|イグニッションブースト))でオータムの懐に飛び込んだ。

 

「なぁ、はやっ!?」

「遅い!!」

 

一夏の首を締め付けていた手に"蒼流旋"を振り下ろし、一夏を解放し、更にオータムに"蒼流旋"を横一線に振るいオータムを吹き飛ばした。

 

「くそっ、ガキが、舐めた真似しやがって!!」

 

8本の装甲脚が楯無に伸びて先端が開き、実弾が発射されたが、楯無は水を操り水のヴェールを作り実弾を防いだ。

 

「ただの水じゃねぇなぁ!?」

「その通りよ、この水はナノマシンによって制御できる、だから、こういう事も出来るのよ!」

 

そう言った瞬間オータムの周り霧が発生し、湿度が上昇していた。

 

「し、しまっ」

「もう遅いわ! ((清き熱情|クリア・パッション))!!」

 

楯無が指を鳴らすと、ナノマシンを発熱させた事で水を瞬時に気化させ、その衝撃と熱がオータムに襲った。

 

「クソがっ!!」

 

((清き熱情|クリア・パッション))を受けて膝を着き動きを止めたオータム。

楯無はこれを狙っていた。

 

「一夏君、今よ! 願って! 白式は貴方に必ず応えてくれるわ!」

「来い! 白式!!」

 

右手を押さえて白式を呼んだ一夏、するとオータムが奪った白式のコアが消え、一夏の右手の中に再構築される。

そして、そのまま白式は展開された。

 

「なぁっ!? てめぇどうやって!」

「知るか! くらえ!!」

 

零落白夜を発動させ、アラクネに零落白夜の斬撃を与えた。

 

「くそっ!!」

 

零落白夜の斬撃により大幅にシールドエネルギーが削られ、残りのシールドエネルギーが少ない、さらに白式を取り戻され、楯無までいる状況。

不利状況に追い込まれ、オータムはこの状況をどうするか考えていた、その時であった、オータムの後ろにある壁が爆発した。

 

「今度は何だ!?」

「くらえ!!」

 

壁が爆発した煙の中からシンのデスティニーがアラクネに向っていき、アロンダイトを振り下ろした。

オータムは咄嗟に両腕で防ごうとするが、アロンダイトの一撃に腕の装甲が耐え切れずに破壊されてしまった。

 

「くっ!?」

 

距離を離そうとシンから離れるオータムであったが、オータムが離れた先にはISを展開しているキラの姿があった。

 

「お前はっ!?」

『キラ(さん)!!』

 

目の前に居るキラにオータム、そして一夏達は背筋が凍った。

それは普段のキラからは想像できないほどの殺気に満ちていた。

 

「僕達の生徒に手を出したんだ、只では済みませんよ!」

 

刹那、オータムの視界からキラの姿が消え、その瞬間に8本の装甲脚も一瞬で破壊されてしまう。

姿が見えないキラに恐怖を感じるオータムであるが、カタールを構え身構える。

そして、キラの気配が後ろから感じたオータムはカタールを振り回したが、そこにはキラの姿なかった。

影を落とすものに気付いたオータムは上を見るとそこにはドラグーンがキラの周り停滞して全武装が展開されていた。

危険を感じたオータムは回避行動にはいるが遅かった。

ドラグーン・フルバーストが放たれたビームによって全ての武装と手足が破壊された。

それと同時にアラクネのシールドエネルギーが0になる、キラはさらに追い討ちをかけオータムを蹴り飛ばした。

 

「がはっ!?」

 

壁に激突したアラクネは完全に大破し、オータムは気絶した、それと同時にオータムが気絶した事により、アラクネは強制解除された。

 

「キラ……」

 

普段温厚なキラが洩れ出る殺気を出し、敵だとはいえ完膚なきまでにオータムを倒した。

下手をすればオータムが死でいたかもしれない。

普段のキラとの変わりように一夏達は言葉が出なかった。

エネルギーの網に囚われていた箒達は遅れてきた、ルナマリアに助けてもらい、網から抜け出すことが出来た。

そして、キラとシンは気絶しているオータムの元に寄る。

 

「この女、どうします?」

「拘束する、この人から亡国機業の情報を聞き出す」

「分かりました」

 

拘束しようとシンがオータムに近づいた、その時だった。

 

「あの時に比べ、随分と強くなったものだ……キラ・ヤマト」

 

キラは背筋が凍る様なゾクッとした殺気を感じ、声がした方に向き部分展開しビームライフルを向けた。

そこに居たのはサングラスを掛け右半分の顔に傷があり薄く妖しげな笑みを浮かべる男が立っていた。

そして、その男を見たキラは信じられないという表情であった。

 

「ラウ・ル……クルーゼ……」

 

そこに居たのは第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦でキラと激闘を繰り広げた男、ラウ・ル・クルーゼであった。

説明
第34話です。

プロローグ
http://www.tinami.com/view/463196

設定集(ネタバレあり)
http://www.tinami.com/view/502954
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
10206 9821 4
コメント
更識相手に盗聴器は無理でしょう。わざと泳がされてたって解釈でいいのかなあ?(紅蓮のアーティスト)
タグ
インフィニット・ストラトス IS ガンダムSEEDDESTINY クロスオーバー 設定改変あり シン×ルナマリア 一夏×シャルロット 

Lさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com