語られし者たちとIS 世界樹大戦 第28話 表と裏で始まる出来事 |
臨海学校が終わってから数日後、学生にとって重要かつ嫌なイベントが始まる
定期試験だ
IS学園では中間試験がないため、夏休み前の定期試験で学業の成績が決まると言ってもよい
学園に通う生徒たちはISを学ぶ以外の事では高校生として扱われている
つまり勉強もしなければいけないということだ。喜んで行う人は少ないだろう
テストまで残り1週間
それぞれ対策をしている人、最初から諦めている人、様々な人がいる
IS学園唯一の男子生徒、織斑一夏はテスト対策をしている
成績が悪いと夏休みは補習になってしまう
さすがにそれは避けたいと思っている
「……このくらいでいいかな?」
今、彼は食堂で勉強をしている
少し前まで自分の部屋でもやっていたのだが、気分を変えて別の場所で勉強をしていた
きりのいいところまで終わらせ、時計を見ると夕食を食べるにはちょうどいい時間
ちょうどいいと思い、そのまま食堂で食事を取ろうと立ち上がる
「あれ、織斑君? 早いね」
「ホントだ、ヤッホーおりむ〜」
すると簪と本音がやってきた
「ああ、さっきまでここで試験勉強をしていたからな、それより一緒に食べるか?」
一夏の誘いに二人は頷いた
それぞれ自分が食べたいものを注文し、すぐに食事を始めた
「簪さん、テスト勉強は順調?」
「……うん、お姉ちゃんにも教えてもらっているから……」
「私は〜ほとんどやってないよ〜」
本音の答えに対して心配そうな視線を送る二人
それを感じてかはわからないが本音は笑顔のまま、大丈夫と答える
一夜漬けとかで赤点を取らなければいいと
しかしその答えに不満を持つ人が、本音の背後に立っていた
「本音、そういうことを考えていたの……ちょうどいいわ。夕食が終わったら、私の部屋に来なさい。それと明日から放課後、生徒会室に顔を出しなさいね。勉強を見てあげるから」
彼女の姉である虚だ。笑顔で話していたが、それが逆に怖い
「え〜でも……今日は……」
(確かこの後、着ぐるみの補修だったか?)
リオンが先に彼女の予定を説明してしまう
(それなら私が補修をやります。本音さん、お勉強を頑張りましょう)
虚のパートナーのメルが優しく諭した
自分よりも年下の子に言われては断りにくい。だが、それでも抵抗しようとする本音
その抵抗は意外な方向から崩された
「……ダメ、ちゃんと勉強して……留年したら……恥ずかしいと思う」
簪だ
ちょっと意外だと思いながらも、自分が仕える人に心配させるのは良くない
そう思ったのか、彼女は姉の提案に頷いた
「じゃあ、待っているわね。食事の邪魔をしてすみませんでした、織斑君、簪お嬢様」
虚は一夏と簪に軽くお辞儀をする
「気にしないでください。それよりも虚さん、夕食は?」
「いえ、今日は部屋で済まそうと思っています。では、私はこれで。二人とも試験頑張ってください」
そのまま彼女は部屋に戻っていった。一夏は優しく虚を見送った
彼は虚を少し羨ましそうかつ寂しそうに見ている、簪にはそう感じた
彼女の頭にふと浮かんだ言葉が正しいかわからなかったけど、話してみることにした
「……織斑君、これから簪って呼び捨てで呼んでもらえないかな? ……その、私達……友達だし」
少し恥ずかしそうに簪は話す。いきなり言われてどういう意味だろうと考える一夏だったが、すぐに考えるのをやめて返事をする
「じゃあ、俺のことも一夏でいいよ。簪……だけ呼び捨てだと何だかずるいし」
一夏の言葉に二人とも笑顔になっていた。先ほどのさびしそうな表情はなかった
それから数日後のとある場所
人気のない路地裏で一人の男子高校生が高笑いをしていた。その男の鼻には果実の模様があった
彼の目の前には鎧と獣の顔のような兜をつけた男性が立っていた
どうやら男子高校生は世界樹大戦に選ばれたようだ。そのため、鎧を着た男性が説明を行う
「……ははは、それはすごい! サブノックって言ったっけ? 俺、やるよ! 世界樹大戦ってやつ」
「感謝する。貴様の理想のためにしばらく私に従ってもらおう」
サブノックの言葉に頷く
(何だかよくわからないけど、最高の気分だ! 俺の夢であるハーレムを作ってやる!)
そのまま男子高校生は笑っていた。ただ、その笑い声はすぐに静まることになる
彼らの目の前に中年の男性が一人。その男性も顎に果実の模様が付いている
男性は黙ったまま、刃渡り15センチほどのナイフを持った
それを見たサブノックはすぐに自分のパートナーにブローチをつけて、異世界に連れて行き、逃げるように指示をした
世界が変わったことに驚いた青年だったが、相手が持っているナイフが危険であることはすぐに理解できた
サブノックを置いて必死に逃げることにした。それを見ていた男性は不敵に笑う
「いいのか? パートナーを逃がして?」
「ふん、一応あんな馬鹿でも私のパートナーなのでな、あいつには私が信じている神の信仰の手伝いをしてもらわなければいけないからな」
サブノックは抜刀し、構える。それに合わせて男性も構えを変える
お互いに一気に距離を詰め、切りかかる
男性の方ははじかれると思ったのか、すぐに距離を開けて構えなおす
「我が剣を受け止めるとは、相当な腕の持ち主と見た。本気でかからなければ……」
「……馬鹿め、俺とて本気でお前に勝てると考えていない。本当の目的は……」
そう呟くと、男のパートナーが参戦者であった青年を気絶させて、捕えていた。少しでも動いたら殺すという雰囲気を持っている
「俺達に大人しく従ってもらう……俺の依頼者が貴様に用事があるらしい。抵抗しても構わないが、その場合は死んでもらうことを覚悟してもらう。○○○、そういうことだ。悪いが、付き合ってくれ。こんなところでお前の楽しみを失いたくないだろう?」
男性のパートナーは捕えていた男子を投げ捨て、ダルそうに歩いて行った
興味ないという感じなのだろう
サブノックは仕方がないという感じで自分のパートナーを背負い、彼らに従うことにした
4人の行方は誰も知らない……
それから数日後、IS学園の定期試験が終了した
ほとんどの生徒は解放されたという感じでテンションが上がっている
もちろん、一夏もその一人である
ホームルームが終わり、彼は急いで自分の部屋に戻る
すぐに特訓をしようと考え、異世界に行こうとした時、目の前に小さな動物が現れた
少し大きな青い耳を持ち、その小さな体にすっぽりはまるリングを持った小さな獣だ
何者なのだろうと一夏が考えていたが、参加者であるジュディスは分かっているみたい
「初めまして〜世界樹大戦、ナビゲーターのナビミュウですの〜今、この瞬間、16名の大会参加者が決定したですの〜」
「では、第1回戦のテーマを発表するですの〜それは……ギガントモンスターを5体以上討伐する! ですの、期限は50日後の夜ですの〜」
50日後というのはちょうどIS学園の文化祭の日、そして世界樹大戦の参加者は全員、この報告を聞いていた
こうして世界樹大戦が開催された
目標
「それにしても虚さん、うらやましいです。何でもできて」
本音と虚がテスト勉強をしている様子を見てメルが呟いていた
「私も双子の弟がいるのですが、なかなか言うことを聞いてくれなくて……」
そんな彼女を見た虚は本音に休憩をとらせて、メルの頭を優しく撫でた
「そんなことないわよ。私にできることなんて限られているもの」
「それにね、こう見えて結構不安なのよ。ちゃんと本音と向き合えているのか」
メルにだけ聞こえるように話す
「見て分かると思うけど、私と違ってあの子、のんびり屋なのよ。弾にどうやって接していいかわからない時があるの」
「でもね、それでもあの子のことを信じているから。だからね、まず信じるところから」
「これは兄弟でも友達でも一緒だと思うわ……って本に書いてあったことを言っただけですけどね」
「大丈夫、あなたにならできるわ。心が優しい子って知ってるから」
虚は優しく彼女にさとした
(虚さんは、エトともロディとも違うタイプのお姉さんって感じだな。私も虚さんみたいになりたいな)
心の中でこっそりと思うメルだった
ちょっと虚さんとメルの関係を書きました
本格的に大戦が始まります。次回は夏休み編です。
出てきたオリキャラのパートナーはぼかしました。ちょっとでもヒントを出してしまうとすぐにわかってしまうため……
感想・指摘等あればよろしくお願いします。
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