その前兆はただ陳腐に
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さして珍しくも無い売り口上に引っ掛かった と思った。

 

「貴方、変わった相をお持ちなのね?」

 

何時もの溜まり場への入り口でジプシー女に声を掛けられた

気分が乗れば手を出すし、乗らなけりゃ無視

今回は珍しくそのどちらでもなかった

 

「んで?俺に何か起きるのかい?」

「さぁ?貴方には知らないわね」

 

目の高さまで屈んでやって、淡い色の髪を弄ぶがやんわりと笑って手を解かれた

どうやら気分が乗らないのはお互い様らしい

 

「起きるのは貴方の身内」

「ふーん」

 

脳裏に浮かぶのは何時もの溜まり場に居る仲間達

馬鹿ばっかりしかやらねぇが実力は信用してるんだがな

熊を一撃で倒すような奴等ばっかだし

っつーか奴等がどうにか出来ねーモンを俺が何とか出来る訳がねぇ

メンバー中じゃ俺が一番弱いしな

俺の表情を見て取ったのか女が笑って付け加えた

 

「今の、じゃ無くてこれからの ね」

「はぁ?」

 

何が起きるんだコレから俺に

 

「私も知らない訳だけど。 これからの身内を大事に為さいな?何しろ世界が掛かって居るのだし」

 

ますます訳が判らねぇ

っつーか素面じゃ聞いてられねぇ

 

「あら何処行くの?」

「酒」

 

約束してる訳で無し、分からん話は呑んで忘れるに限る。

酒場に向かって歩く刹那で女の姿が消えてたりとか

そーいや女に影が無かったりとか

女の居た場所に見た事もねぇ白い羽があったりとか

 

気のせいっつーかアレだ、昨日の酒が残ってるとしか思えねぇ

さっさと酔って酒で流しちまおう。

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サルベージ2弾
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