魔法少女リリカルなのは 四天王始めました
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9月になり、残暑の残る中、後期が始まった。

 

教室には日焼けして、肌が小麦色になっているクラスメイト達をちらほらと見かける。皆、夏休みの思い出を話しているようだ。

 

「おはよう」

 

教室に入り、クラスメイト達に挨拶する。

 

「おは……よ…………う」

 

俺の姿を見ると男子生徒は顔を青ざめさせて、女子生徒は、あーー!と驚いたような声を上げる。

 

俺……何かした?

 

心当たりは…………うん………………すごくあるね。多分、強盗犯の男の象徴《シンボル》をハンマー《アイゼン》で叩き潰したことに対してだろう。

 

俺がこうなっている原因を考察していると聞き覚えのある元気な声が聞こえた。

 

「やっほー!皆!久しぶりー!!」

 

片手を上げて元気よく挨拶しながら教室に入ってきたのはアリシアだった。

 

本当、元気そうだね。

 

久しぶりー!とクラスメイト達が次々と返事を返していく。

 

「レインも久しぶりー!」

 

「久しぶり」

 

教室に入って来たときと同じテンションのアリシアに俺は苦笑しながら返事を返すと鞄から本を取り出して読み始める。

 

「何読んでるの?」

 

「ああ、ミステリー小説だよ」

 

「ふーん……面白い?」

 

「人によるかな……俺は面白いけど」

 

「じゃあさ、今度貸してくれない?読んでみたくなっちゃった

 

「良いよ。今度持ってくるから」

 

「おーい……久しぶりに会って嬉しいのも分かるがそろそろ時間だ席につけ」

 

パンパンと手を叩きながら教室に入ってきたのは入ってきた担任はそう言うと教壇に立つ。

 

担任が来たので俺とアリシアはお互いに、また後で、と言って話を切り上げアリシアは自分の席に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、担任が新学期の挨拶をしてからクラスの係決めをした。俺はクラスメイト竹沢からの推薦によってクラス委員長に任命された。竹沢は俺の補佐にと俺がクラス委員に引き込んだ。

 

俺がクラス委員長になった時に言った言葉はただ一言。

 

「面倒事を起こすな」

 

ただそれだけである。だってねぇ……何か問題が起こったら俺にも責任があるように言われそうだし先に釘を刺しておかないと安心できない。

 

まったく……面倒なことになったものだ。

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後は特にこれと言った用事もないのですぐに帰宅した。

 

それから十月に入るまでこれと言った学級委員長としての仕事がなかったので学級委員長と言う肩書きになっている。

 

運動会?今年は無いよ。三学年の生徒の半分がいなくなったから《俺達が原因で》。なんでも、転生者の大半が神によるバックアップを受けて身元保証をしているため、死んだ場合は突然の転校として処理しているらしい。

 

何でこんなことを知っているかと言うと、夏休みの終わり頃に転生者全員が神による召集を受けて説明されたからである。リゼットが……。

俺は正確には転生者擬きらしい。俺は複数の転生者《転生した世界で死亡した》の魂の欠片を元に作成されたとか。

 

この世界に来る前に渡された死亡証書は他の神を欺くための手段であったらしく、俺をこの世界に送り出した邪神は他の神によって粛清され別の存在になったそうだ。

 

いや〜今更ながらだけど俺ってどうなるのだろうか?このまま転生者達と殺し合いし続けるのか、それとも、関わらないようにすべきなのか?答えは未だに出ていない。

 

そして、現在。

 

「……本当…………どうしようかしら?」

 

「……そうだね」

 

俺とリゼットは今後について話し合っている。

ヴァルド、レオン、シアの三人がこの場にいない理由は彼等はリゼットの意思をすべて肯定するからである。

 

俺はパートナーとして存在しているのである程度自由である。実際にやる気はないが裏切る事も出来る。

 

そんな俺だからこそこうしてリゼットと今後について話し合っているのだ。

 

「私達を転生させた邪神がいなくなったことにより、私達は転生者を殺そうが殺すまいがどっちでも良くなった」

 

「確かに……前と違って転生者達に対する関心が希薄になった。少なくとも無条件に殺そうと思わないぐらいにだけどね」

 

本の少しづつではあるが変化が訪れている。

 

「私達は与えられていた目的をする必要がなくなった。……どうすれば良いのかしら……」

 

「………………俺達が退場するのではなく邪神だったからね……」

 

ハァ、と俺達は同時に溜め息を吐く。

 

「仕方ないからこんなので時間を稼ぐのはどう?」

 

俺はリゼットにある計画を伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「確かにそれだったら時間も安全も確実に取れるでしょうけど……」

 

「ま……決めるのはリゼットに任せるよ。俺達はリゼットの判断に従うし文句は言わないさ。現に俺の格好がいい例だろ」

 

俺は肩をすくめながら茶化すように言う。

 

「そうね」

 

クスッ、と微笑を浮かべるリゼット。

「ならその方法でやりましょう。仕込みの方はレインに任せるから、舞台演出は私がやるわね」

 

「了解。じゃあ早速始めさせてもらうよ」

 

「ええ、お願いね」

 

「行ってくる」

俺はそう言うと家から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、とある管理世界において管理局の支部壊滅の報と実行犯の死亡がニュースとなって全管理世界に報じられた。

 

ニュースには犯人の名前とデバイスの破片、そして刃の砕けた大剣と割れた般若の面が画面に写された。

 

「……上手くいったわね」

 

リゼットがテレビを消して、深く息を吐くと椅子に深く腰かける。

 

「まあ、これもリゼットの能力のお陰なんだけどね……ただ……」

 

「ただ?」

 

「……自分でやっておきながら大剣は勿体無かったなぁ〜と思ってね 」

 

「でも、代わりのが手に入ったじゃない」

 

「まあね」

そう言いながらネックレスをスカートのポッケから取り出す。

「大剣の代わりにデバイスだし」

 

デバイスを起動させる。

 

「でも、良かったじゃない……同じ大剣なんだし」

 

「……だよね」

 

ちゃんと片刃ではなく両刃だ。前と変わって魔力刃を飛ばせるようになったのはいい誤算ではあったが

。一応、アームドデバイスで名称は無い。偶々、俺が使っても壊れなかったから使っているだけなのでこれよりも頑丈なのがあったらそれに変えるつもりだ。元々他の転生者が使っていたのを奪ったやつなので。

 

デバイスを待機状態に戻すとそれをポケットに戻す。

 

「さて……この後はどうする。どっかの管理外世界に引っ越すか、いっそのこと管理局にパイプを作っておくか」

 

「そうよね…………。下手したら闇の書事件はジュエルシードの時よりもあっさりと終わるかもしれないし」

 

「ああ〜〜そうだったね。……確か……梳弥御影だっけ? ヴォルケンズに接触して信頼を得た転生者達のリーダーは」

 

梳弥御影……現存する転生者の中で五指に入る実力者。と言っても経験が少ないためそこまで強くはない。

 

この時点でヴォルケンズは既に闇の書がどう言う物なのか知っていると仮定して良いだろう。

 

「まあ、俺としては闇の書の暴走体と戦えれば良いんだけどさ」

 

「あら? えらく好戦的じゃない? どうしたの」

 

疑問符を浮かべながら首を傾げるリゼット。そんなリゼットに俺はニヤリと口元を歪めながら答える。

 

「たまには本気を出したいんだよ」

 

 

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A's開始前 4話 偽装
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