カーニバル 17話目
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 黒猫が、あくびをして今にも眠りにつきそうな、その先で。

 

 ウオッカは顔を上げて

「グランジ、貴方 一人帰っても城を取れなかった事で、ある程度のペナルティが

あるんじゃ……」

 

 グランジと呼ばれた騎士は

「今、ここで戦ったとしても結果は分かる。お前は、ここに残れば助かる、オレも

一人では太刀打ちできないと本国の連中も、わかってくれるだろう、命は取られんさ」

 

 

 グランジがボクを見て「お前、名前は?」

 

「オーダー」

 

「オーダーか、次は本隊が、この国を本気でつぶしに来る」

そう言って、この場を後にした。

 

 紫の花に蝶が止まり、蜜を吸っている。

レッドサン城がボクらの元に無事にかえってきた。

 

 

 そして人質だった、タマさんも無事に。

「大丈夫だったか」ワンロックが心配そうな表情で聞いている。

 

 彼女は、ゆっくり頷き、身振り手振りで伝えている。

 

 ボクはある事に気付いた、と同時に

「彼女は、しゃべることができないんだ。ワンロックが鳴けない猫団と

名乗っていたのも、そういうことからなんだよ」

ブラッドさんが隣でそう言う。

 

 

 ワンロックがブラッドさんへ詰め寄ろうとするところを両手を使って

必死で止めて

 

(ブラッドさんの事、許してあげて)

タマさんは、手話で伝える。

 

(ずっとずっと、あなたの気持ちを知りたかったけど……なかなか伝えて

くれなかった。ブラッドさんが代わりに伝えてくれたの)

 

「むぐぐ、そうだが、あいつは広場に集まった大勢の人々に向けて言ったんだぞ」

 

(うふふ、あの時は顔が真っ赤だったわね、でね、私まだ、その気持ちに

答えてないんだけど……)

 

「……」

 

(私の事、大切にしてね)

 

「ああ、もちろん」

少し、くすぐったい空気が辺りを覆う。

 

「ワンロック君、こうなるだろうと思って行動していた私に感謝したまえ」

 

 

 どや顔のブラッドさんが、二人の間に入っていった。

 

「面白半分だったくせに」

シアさんがポロッと本当の事を言う。

慌ててブラッドさんは人差し指を口元に当て、しーッとポーズ。

 

青い空、気まぐれに飛ぶ風船がレッドサン城を見下ろして、その後、姿を消した。

 

ちょっとした揉めごとが、大きなお祝いムードに変わって幸せなひとときに、

ボクもほっこりとさせられる。

 

ふと、オリンズを見ると、なにやらワンロックのところで何かしている。

 

「オオオォォォー、大事な鎧に何しとんじゃー!」

重低音が響く。

 

 ボクはオリンズが何かしていた所を見てみる。すると、ワンロックとタマさんの

あいあい傘のデコレーションがされていた。

 

「エエエェェェー」眉をハの字にして、どうしてワンロックが怒っているのかと困惑している。

 大声で皆、笑った。

 

「わあ、すごい」

オリンズが何かを見つけたみたいだ。

 

それに気付いたブラッドさんが

「オリンズ、その孔雀に触っちゃ……」

言いかけたが、時すでに遅し。

 

オリンズは孔雀に抱きついていた。

 

すると、ボンっと煙に包まれ孔雀は豪華な手紙に変わった。

 

 

「うふふ、これは世界政府からの手紙よ。十騎士に召集命令ね。ブラッドは、

いっつも居留守をしていたけど、手紙を受け取ったら必ず出席しなければいけないのよ」

 

「まぁ、しょうがない。私は、これから出かけるがシアは城に居てくれ。

オーダーくん達は休暇を与える。まずは城内で空いている部屋の中から好きな所を

選んで、そこに住みなさい」

 

「ガリズが来たら、どうすれば?」

ボクは心配になり聞いた。

 

 

「大丈夫だ、世界政府から停戦命令がでるはずだ」

 

説明
剣と魔法のファンタジー小説です。
続きものです。
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