IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode153 悲劇と破壊
前書き
中盤と終盤グロ注意。
『っ!』
リインフォースは隼人の状態に気付いてハッとする。
『これは・・・まさか!?』
「どうやら・・・事がうまく行きそうですわね」
刃を交えていたシスターは何かに気付いていた
『貴様!一体何をした!』
「別に何もしておりませんわ。それに、あなたは私が何かしたと言う行動を見ているのですか?」
『ぐっ・・・!』
シスターと戦っている最中怪しい行動を見てない為にリインフォースは何も言えなかった。
「ですが、花が咲く所をもしかしたら見れるかもしれませんわね」
顔の上半分はバイザーで隠れているも、口角は邪悪に吊り上がっていた。
隼人はネェル・アーガマのカタパルトに着地する。
「しっかりしろ、鈴!もう少しの辛抱だ!」
「・・・は、隼人・・・」
鈴はゆっくりと隼人の方を見る。
「喋るな!傷に障ってしまう!」
「別に・・・それはいいから」
するとGモードが解除されて、甲龍の状態になる。
それによって、胸部と腹部、その間の三箇所を貫かれて、大量に出血していた。
「何でだよ・・・何で・・・」
隼人は震え出す。
「何でって?・・・・・・そりゃ・・・隼人を・・・助けたかっただけよ」
「だからと言って・・・こんな事をして・・・いいわけないだろ」
「まぁ、そうよね・・・。普通じゃ・・・考えられないわね」
「だったら、何で!」
「・・・何となく、かな」
「・・・・?」
「あぁでもしないと・・・隼人を救えない気がして・・・」
「・・・・」
「でも、これで借りはチャラよ」
「何を・・・?」
「・・・あたしのせいで・・・隼人は左目を失ってしまった。その借りよ」
「お前・・・まだそれを・・・」
「当然でしょ。あたしがヘマしなければ、あんたは目を失わずに済んだ。あたしを助けて・・・左目を失ってしまった」
「・・・・」
「だから・・・命を掛けて・・・あんたを守ったのよ」
「何だよ・・・それ。あまりにも釣り合いが合わないだろ!」
「かもね・・・」
「・・・・」
「でも、あたしは別に後悔して無い。それでよかったと思ってる」
「な、何で・・・」
「・・・でも、一つだけ後悔してる」
「・・・・?」
「こうなるんだったら・・・ユニコーンの忠告を聞き入れておけば良かった」
「あいつの・・・?」
「後悔する前に・・・本当の事を言う・・・」
「・・・・」
「ずっと言えなかった。それはあたしの臆病や恥ずかしさからそうなって、言う時を先延ばしにしてしまった」
「・・・・」
「でも、今なら言える。本当の気持ちを」
「本当の・・・気持ち・・・」
「隼人・・・」
鈴は虚ろになりだしている目で隼人を見る。
「あたしは・・・・・・隼人の事が・・・・・・好き・・・」
「・・・俺の・・・事を・・・?」
「うん。この世界の誰よりも・・・ずっと・・・ずっと」
「・・・・」
「国に帰る前に・・・言うつもりだったの。でも、そんな時にあんな事が起きてしまって、言いそびれた」
「・・・・」
「その後・・・母さんから話を聞いて・・・ショックを受けた。IS学園に入ってから・・・それを引きずって言えなかった」
「・・・・」
「こんな場面でしか言えないなんて・・・あたしって卑怯な女よね」
「・・・鈴」
「でも、隼人は・・・簪の事が・・・・・・好きなんでしょ」
「・・・・」
「ま、まぁ・・・あんたの表現じゃ・・・大切な人、かな。誰よりも・・・大切な・・・って、感じでしょ」
「・・・・」
隼人はゆっくりと頷く。
「だ、だろうね・・・」
「・・・」
「・・・あたしね・・・・・・隼人と簪が一緒に居て、楽しそうにしているのを見ていたら、胸が痛かった。同時に・・・憎かった」
鈴は拳を握り締める。
「隼人はあたしの事を見てくれない。簪しか見てくれなかった・・・ずっと嫉妬していた・・・。だから・・・苛立って隼人に怒鳴ってしまったのよ」
「・・・だから・・・あの時」
「そうよ。馬鹿馬鹿しい理由よね。・・・たったそれだけの理由で八つ当たりなんて・・・」
「・・・・」
「・・・所詮女って言うのは・・・そういう・・・ものよ」
「・・・・」
「どう思ったっていい。軽蔑しても、嫌ってもいい。でも、それでもあたしは・・・・・・隼人への好意は・・・変わらない」
「・・・・」
「っ!」
鈴は咳き込み血を吐き出す。
「鈴!」
「だ、大丈夫よ。こ、このくらい・・・」
「もう喋るな。お前の気持ちは分かった。理解した・・・。・・・・・・すまなかった」
「隼人・・・」
「お前は今更って思うだろうな・・・」
「・・・・」
「・・・もう少し・・・もう少し早く・・・気付くべきだった」
「・・・・」
「俺も・・・こんな事になるんだったら・・・謝るべきだった」
「お互い様ね・・・・・・後悔しているのって」
「・・・・」
「ねぇ・・・・・・隼人」
「何だ?」
「・・・顔を・・・見せて」
「な、何で?」
「は、早く・・・」
鈴はバンシィ・ノルンの肩に手を置く。
「あの世に行ってまで・・・後悔・・・したくないから・・・」
「・・・・」
「お、お願・・・い」
鈴は涙を流す。
「・・・・」
隼人はすぐに内部構造を以前の様に組み替え、マスクを収納して顔を見せる。
「・・・何で・・・だろうね」
鈴はゆっくりと手を顔の横に添える。
「いつも見ているはずなのに・・・・・・なんだか・・・いつもより・・・隼人がかっこよく見える」
「・・・・」
「隼人・・・・・・」
鈴は激痛を堪えて身体を起こし顔を隼人の顔に近づける。
少し見てから、鈴は一気に近づけて隼人の唇と自分の唇を重ねる。
「っ!?」
隼人は驚くも、鈴はゆっくりと唇を離す。
「コレで・・・あたしの気持ちは・・・・・・本物だって分かったでしょ」
「・・・・」
「・・・これなら・・・思う残すことは・・・無い・・・・・・っ!?」
すると鈴は多くの血を吐き出す。
「鈴!?」
「・・・隼人」
もうほとんど目は見えて無いが、鈴は隼人の方を向く。
「世界を・・・守ってね・・・あいつら・・・から」
「・・・・」
隼人はゆっくりと頷く。
「約束、よ・・・・・・すっぽかしたら・・・・・・許さないんだから・・・ね」
「・・・約束は・・・必ず守る」
「そう・・・・・・それで…こそね」
鈴は笑みを浮かべる。
「・・・・・・隼人」
「・・・・」
「・・・あたし・・・隼人に・・・会えて・・・・・・よかった・・・」
「・・・鈴」
「それが・・・・・・あたしにとっても・・・・・・一番の・・・幸せだった」
「・・・・」
「隼人・・・・・・はや・・・・・・と・・・・・・」
涙を流し、鈴はゆっくりと目を閉じて深く息を吐き、首が垂れる・・・・・・
「・・・・」
隼人は涙を流し、俯く。
鈴の生体反応は・・・・・・もう無い・・・
しかし、鈴の表情は死んでも・・・笑顔のままだった。後悔など微塵を感じさせない・・・純粋な笑みだ。
後ろには隼人より救急要請を受けた束とくーがやって来ていたが、到着した時は既に遅く、静かに立っていた。
「凰・・・」
「う、うそ・・・だろ?」
千冬と輝春も合流し、呆然としていた。
(・・・私は・・・また・・・守れなかったのか・・・)
脳裏にある光景が過ぎり、千冬は無意識に拳を握り締める。
「・・・う、うぅ・・・」
隼人はカタパルトに手を付く。
「ウア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
身が裂けんばかりに隼人は天に向かって咆え、カタパルトに両手を握り締めて叩き付ける。
「何で!!何で!!何で何だよっ!!」
更にカタパルトを叩き付けると装甲が深く凹む。
「何で!!・・・俺は!!・・・俺は・・・」
拳を握り締め、涙を落とす。
「また・・・俺は・・・守れな――――」
その瞬間・・・・・・隼人の中で何かが・・・・・・壊れた・・・
「でぇぇぇぇぇい!!」
颯は高速移動しながら右腕のエネルギー刃を振るって蜘蛛の脚を切り裂く。
「くそがっ!」
オータムはファングを颯に飛ばすも、全身のエネルギー刃でファングを切り裂く。
「あなたは・・・あなただけは!!」
一気に飛び出して右脚を振り上げてビームキャノンを切り裂く。
「人形風情がっ!!」
オータムはバスターソードを振るうも、颯は右腕を振るいエネルギー刃と交える。
「はぁっ!!」
颯は左拳を突き出してオータムを殴りつける。
「ぐっ!」
それによってバランスを崩す。
更に右拳を突き出してオータムを殴りつける。
「これで!」
颯は左脚を振り上げようとする。
「っ!?」
しかしその瞬間全身のエネルギー刃が消え、青い輝きが消える。
オータムはその瞬間に左腕を突き出して颯を殴りつける。
「ぐっ!」
更にバスターソードの腹で殴られ、吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。
「調子にのんなよ・・・」
オータムはバスターソードを肩に担ぐ。
「う、ぐぅ」
颯は何とか動こうとするが、FXバーストモードを使ってしまった為にうまく動きが取れない。
それにCファンネルのコントロールが低下している為にうまく動かせない。
「テメェは前から気に入らなかったんだよ。あの野郎と同じ顔していやがってよ」
「・・・・」
「せめてもの情けだ。一思いに殺してやる!!」
オータムはバスターソードを振り上げる。
「っ!」
颯は何とか両腕を交差する。
「っ!?」
しかし、オータムは一向にバスターソードを振り下ろさなかった。
「・・・?」
するとAGE-FXに何かが付着する。
「え・・・?」
颯は一瞬何かと思うが、それを見てすぐに恐怖に変わる。
それは・・・・・・赤い血で、しかも肉片が混じっていた。
もちろん自分のものじゃない。
「あ・・・が・・・」
「・・・・」
オータムの呻き声に気づいて颯は前を見ると、一瞬で青ざめる。
オータムの胸から・・・腕が突き出ていた。と言うより、背後から貫かれていた。
「え・・・?」
颯は背後にいる者を見て唖然とする。
「・・・・」
オータムの背後に立っていたのは・・・・・・バンシィ・ノルンであった。
しかもデストロイモードになり、サイコフレームはいつもの金色ではなく、ましても最大稼動時のエメラルドグリーンでもない。
まるで血の様に赤黒い色に発光しており、ツインアイは通常よりも濁りがあり、まるで瞳の様な模様が浮かんでいた。
「て、て・・・め・・・」
オータムは血の泡を吹きながらも後ろを見るが、隼人はオータムの背中から胸を貫いていた腕を引き抜く。
更に隼人はオータムの頭を掴むと勢いよく後ろの方へと振るって地面に叩き付ける。
左腕にアームドアーマーVNを展開して装着し、少し跳び上がってオータムの腹部を容赦無く殴りつける。
「――――」
オータムは声を発する事なく、口から大量の血を吐き出す。
超振動によって、全身の骨を粉砕し、更に内蔵を破壊した為であった。
隼人はアームドアーマーVNを展開し、獅子の牙のようになったそれを躊躇い無くオータムに突き出す。
「・・・あ・・・あぁ・・・」
颯は目の前の光景が信じられなかった。いや、信じたく無かった。
既に屍となったオータムに容赦なくクローを振るって切り裂くと腕を掴んで引き千切り、脚を踏み潰すとアームドアーマーVNを振るって切り裂き、直後に閉じて屍に殴りつけると右拳も突き出して殴りつける。
その後は返り血を諸共せず貪るように屍の肉や内蔵を引き千切り、辺りに散らかしていく。
それが目の前で自分の兄がやっている。今までこんな隼人を見たことが無かった。
(あの時のように・・・バンシィが。でも、それよりも・・・)
学園祭の時にもあの様なバンシィを見たが、やっている事があまりにも違いすぎる。
「・・・・」
隼人が動きを止めた時には、足元はもはや人と言う原型など微塵も残っておらず、肉と骨、血、更にはISの鉄屑や内部機器、回路、オイルによって地面とその周囲を覆い尽くし、バンシィ・ノルンは返り血を大量に浴び、特に両手は真っ赤に染まり、金色であった首元と角は完全に赤く染まっていた。
「・・・・」
そしてバンシィ・ノルンの足元に転がってきた物を見ると、それを躊躇い無く踏み潰すと生々しく音を立て、色んなものが辺りに飛び散る。
「に、兄・・・さん・・・」
AGE-FXの機能が回復して颯は立ち上がり、恐る恐る声を掛けるが、隼人は振り向きもせずに飛び出した。
「・・・嘘・・・でしょ。こ、こんなのって・・・」
颯は声を震わせて言葉を漏らす。
この時初めて・・・夢であって欲しいと・・・颯は思った。
セシリアとディードは激しく撃ち合いを続けていた。
「っ!」
シスクードのビームランチャーから放たれるビームをかわし、ロングライフルを放つもビームランチャーから出ているフィールドによってビームを弾かれる。
直後にドラグーンを周囲より放つも、ディードはそれをフィールドを駆使してかわす。
(予想以上にやりますわね・・・!)
背中のビームキャノンを放つも、ディードはフィールドで弾いてビームライフルを放つもセシリアは左腕のリフレクターで弾く。
「さすがですわね。隼人さんと対等に戦っていただけはありますわね」
「それほどでも。あなたのビット捌きもさすがのものです」
「口が達者な事で・・・!」
セシリアはビット制御をツヴァイに任せてロングライフルを放つも、ディードはランチャーのフィールドで弾く。
すぐに両腰のレールキャノンを放つもディードは上に飛んでかわし、その瞬間に腹部のビーム砲を放ったが、ディードは横に動いてかわす。
セシリアはかわされたビームを偏向射撃で迂回させて再度ディードの方へと向けた。
ディードは気付くととっさにかわそうとするも、ビームは右肩の先端を焼いて掠る。
「ちいっ!」
とっさにビームランチャーを放つも、セシリアは宙返りをするようにかわす。
「気を抜かない事ですわね」
「えぇ。次からはそうしましょう」
と、ビームランチャーを構える。
「っ?」
するとディードは後ろを向く。
(こんな時に何を)
セシリアもその方向を見ると・・・
「おやおや、彼から来てくれるとは驚きだ」
そこには接近してくるバンシィ・ノルンがいた。
ディードはビームランチャーを構えて銃口を隼人に向ける。
「・・・・」
しかしこの時セシリアは感じていた。
何かが違う、と・・・そして尋常ではない殺気を感じていた。
ディードはバンシィ・ノルンに向けてビームランチャーを放った。
「っ!そこから早くお逃げなさい!!」
「は?」
セシリアは尋常じゃない事だと思い、ディードに警告した。
しかしビームはバンシィ・ノルンの前でサイコフィールドで湾曲して弾かれ、直後にバンシィ・ノルンは飛び出す。
「な――――」
ディードはそれに気付いてかわそうとしたが・・・・・・その瞬間彼は二度と光を見ることは無くなった。
「え・・・?」
セシリアはその光景を見て呆然とする。中に居たツヴァイはその光景に目を見開いて青ざめる。
気づいた時にはシスクードの首は宙を舞っていた。装甲だけじゃなく・・・中に居たパイロットの首ごと・・・・・・
バンシィ・ノルンはアームドアーマーVNを突き出して首をすっ飛ばした後一回転しながらアームドアーマーVNを展開してシスクードの上半身を掴み、更に右手で左太股を掴むとそのまま上の上げてシスクードを真っ二つに引き裂いた。
「っ!?」
その光景を見てセシリアは絶句し、同時に吐き気が襲う。
周囲にはラウラもいたが、全身装甲なので表情は分からないが、軍人でもその光景に顔を青ざめていた。
引き裂いた事で中から大量の血が降り注ぎ、バンシィ・ノルンは血の雨を浴びながらも両手に持つ屍を海へと捨てた。
「・・・嘘・・・だろ?」
マドカもその光景に目を見開いていた。
「あいつが・・・こんな・・・」
「・・・・」
スコールは目を背ける。
「貴様・・・部下がこんな事をされて何も感じないのか!!」
「・・・・」
「だんまりと言う事は肯定と見て取っていいな」
「どうとでも見なさい。私は利用できるものは・・・何でも利用する。それが命でも」
「・・・・?」
マドカはスコールの言う事に引っ掛かりを感じる。
「貴様・・・何を隠している」
「・・・・」
「まさか・・・こうなると分かっていてやつらを捨て駒にしたのか!?」
「・・・・」
スコールはマドカを押し返すと至近距離でビームライフルを放つも、マドカはとっさに左腕の複合シールドで防ぐ。
その間にスコールは瞬間加速の如くそこから飛び出して撤退する。
「ちっ・・・」
マドカは右から接近してくる無人機を大型ビームライフルを向けて撃ち抜く。
(何を考えている。メンバーを捨ててまで何を・・・)
その瞬間脳裏に電気の様な衝撃が走る。
(この感覚は・・・・・・まさか!?)
『なんだ・・・あれは・・・』
その光景にリインフォースは目を見開いて呆然としていた。
「どうやら・・・思った以上にやってますわね」
『っ!!貴様っ!!』
リインフォースはバスターライフルを展開して放つも、シスターはビームをかわし、直後に閃光弾を放って炸裂させる。
『っ!』
それによって視界を奪われしまい、その間にシスターは他のナンバーズとスコールと共に無人機を残して撤退する。
「・・・なんて事を」
「・・・・」
ユニコーンとバンシィはそんな隼人を見て悔しがる。
「私が目を離したが為に・・・こんな・・・」
「ユニコーン・・・」
「・・・私のミスだ。これじゃ・・・隼人君は――――」
「な、何ですの・・・あれは・・・」
セシリアは呆然として宙を浮いて静止している隼人を見る。
『あんな残酷な事を・・・隼人さんが・・・?』
ツヴァイも到底信じられなかった。
「一体・・・何が起きているのだ!?」
箒と一夏も合流し、その後にラウラとシノン、リインフォースとユニコーン、バンシィが来る。
「わ、わたくしにも・・・何も・・・」
震えた声でセシリアは言う。
「・・・・」
あの光景を見てラウラも言葉が無かった。
「何が起きているんだ。それより、何でバンシィがあんなに血まみれなんだよ!?」
一夏は今のバンシィ・ノルンの状態に驚いていた。
一夏と箒は離れていた所で無人機を撃破していたためにその光景を見てない。
「そ、そんなの、わくしが一番知りたいですわ!!こっちにやって来たと思えばいきなり亡国機業のメンバーを殺害して、更には・・・・・・」
セシリアはあの光景を思い出して言葉を詰まらせる。
「・・・もう、手遅れだよ」
「え?」
と、ユニコーンが言う。
「手遅れって・・・どういうことだ?」
ラウラはユニコーンに聞き返す。
「・・・もう・・・隼人君は・・・いない」
「え・・・?」
「隼人が・・・い、いない?」
『全員に・・・伝える事がある』
と、千冬が震える声で通信をして来た。
「千冬姉?」
そんな状態の姉にただ事では無いことを一夏は悟った。
『覚悟して聞け・・・。戦闘中に言うべきではないのだが・・・』
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
『・・・・』
『先ほど・・・凰の死亡が・・・・・・確認された』
「「「「!?」」」」」
「・・・・」
「・・・・」
『・・・・』
それを聞いてユニコーンとバンシィ、リインフォース以外が絶句する。
「な、何だって!?」
「り、鈴が・・・し、死んだ・・・?」
「そ、そんな・・・」
「馬鹿な!?」
「・・・・」
「・・・隼人君は・・・鈴ちゃんの死を目の当たりにした」
「じゃ、じゃぁ・・・隼人さんは・・・」
「怒りと悲しみで・・・理性を失って・・・暴走している」
と、ふらつきながらも颯が全員と合流する。
「どういう事なんだ、颯」
「私・・・見たんです。兄さんが・・・・・・鈴さんを殺した亡国機業のメンバーを原形留めないほど惨殺する所を・・・」
「「「「!?!?」」」」
AGE-FXに血が付着している所からその激しさを物語る。
「・・・・」
『隼人が・・・そんな事を・・・』
(・・・ゼロ・・・何が起きて・・・)
「『・・・不要だ』」
「っ!」
するとバンシィ・ノルンより声が発せられる。しかし隼人の声の他に誰かの声が混じっていた。
「『この世界など・・・不要だ』」
するとバンシィ・ノルンよりどす黒いオーラが出てくる
「『全てを・・・破壊・・・する』」
そしてサイコフレームよりどす黒い何かが出てきた。
「『何もかも・・・全部を・・・破壊する・・・』」
「な、何が・・・起きているんだ」
「・・・・」
「・・・・」
「「「「っ!!」」」」
すると一夏、セシリア、ラウラ、颯が突然頭を抱えて苦しむ。
「ど、どうしたんだ、一夏!?」
箒は驚くも一夏に寄る。
「わ、わからねぇ!!だ、だけど!!」
「ど、どす黒い何かが・・・うぅ!?」
「私の中に入ってくる・・・!」
「き、気持ち・・・悪い!!」
「これって・・・」
「まさか・・・『感応現象』?」
バンシィとユニコーンは四人の苦しみが何かに気付いていた。
「念が通常の人間より強いと言うことなの?」
「分からない。・・・けど――――」
ユニコーンはどす黒い何かに完全に包まれていくバンシィ・ノルンを見る。
「・・・約束を・・・守れなかった」
「・・・・」
「こんな事にならないようにするって・・・そう言ったのに・・・」
ユニコーンは俯く。
その間にもどす黒い何かは球体になるとすぐに形が変わりだす。
「結局・・・止める事すら出来なかった・・・」
「・・・・」
次第に人型へと形成されていくと、表面が変化していく。
「・・・こうなる・・・運命だったのかな」
バンシィはポツリと呟く。
「・・・・」
「彼が・・・破壊の王へと覚醒するのは・・・必然だったのかな」
「・・・・」
両手の甲と両足、胸部の円形のパーツが紫に発光し、ツインアイが目を開くように赤くゆっくりと発光する。
「もし・・・そうだったら・・・あんまりだよ!」
「・・・・」
「こんなのって・・・!」
そしてそれは背中より漆黒の翼を六枚広げると周囲に漆黒の羽が飛び散る。
全身黒系のカラーリングで、額には途中で曲がった銀色の角を持ち、血の様に赤いツインアイを持ち、そのマスクに血の涙の様なラインが入っており、両側頭部には後ろに伸びる耳の様なパーツがあった。背中には漆黒の翼が六枚あり、両肩に持ち手の様なパーツを持ち、右側にはかなりでかい大剣がマウントされ、左側には複雑に収納された武装がマウントされていた。胸部、篭手の様な形状の両手の甲、両足には禍々しく紫色に輝いており、太股や右腕、左二の腕に赤いラインが入っており、左腕には何らかのユニットが装備されていた。
『時が来た・・・』
と、隼人と重なっていた声で、それは喋り出した。
『我が名は「ナハトヴァール」。全てを破壊する・・・破壊の王・・・』
ナハトヴァールはゆっくりと顔を上げる。
見ればマスクの血の涙の様なラインが赤く発光していた。
『我は破壊を誘う者。そして・・・破壊そのもの』
すると右手を上げると、右手の甲のパーツが発光すると、掌にエネルギーが収束される。
『全てを破壊する。それが我が使命。我が快楽』
『そして・・・我が身の願い・・・』
「っ!いけない!」
ユニコーンはハッとする。
「みんな!!この場から出来るだけ遠くに逃げて!!」
「え?ど、どうしてですか?」
状況が飲み込めないメンバーは唖然としていた。
「いいから早く!!手遅れになる前に!!」
ユニコーンの必死さに、メンバー全員はとっさにその場を離れる。
「間に合えばいいけど!」
「・・・・」
ユニコーンとバンシィもその場から離れながらナハトヴァールの様子を見る。
『・・・滅せよ』
その瞬間掌のエネルギーは一気に解放され、全てが真っ白に包まれた・・・
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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鈴が死んだ…なかなか無い展開ですね。(mokiti1976-2010) | ||
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