拠点：江里香、理奈

　　　「歌披露」

　今、ある一室で歌が聞こえていた。

　歌っているのは、理奈であった。そして彼女の歌を聴いているのは一刀、江里香、張三姉妹である。

　何故こうなっているのかと言うと、まず張三姉妹が自分達の歌唱力がどの程度か評価してほしいと一刀に頼ん

だのだ。そして一刀が彼女達を歌を聴いている最中に理奈と江里香がやって来た。二人も評価査定に参加する事

になり、引き続き三人の歌を聴いた。評価査定が終わった後、理奈が突如、姉妹三人に自分も歌うから聞いてほ

しいという話になり、今に至る。

「はい、以上です」

　歌い終わり、彼女に拍手が送られる。

「すごーい！」

「やるじゃない！　ちぃ達ほどじゃないけど」

「素晴らしかったです」

　理奈の歌唱力はそれを仕事としている三姉妹も認めるほどだった。

「相変わらず理奈様の芸能はかなりのものだな」

「一刀様？　芸能ということはひょっとして」

「ああ、そうだよ。理奈様は歌だけじゃなく、舞とかもできるんだ。あの人が歌いたいって言い出したのは三人

の歌を聴いているうちに芸能好きの血が騒いだと言ったところかな」

「なるほど……」

　その時、理奈達が一刀に声を掛ける。

「一刀、あなたもどう？　歌ってみない？」

「え？　俺もですか！？」

「ああ！　聞きたーい！」

「そうね、聞かせてよ」

「興味があります」

　四人の押され、歌うことになった一刀。

　――その結果は……。

「あら？　思ったよりできるじゃない」

「うん、中々素敵だったよ」

「まぁ、素人にちゃやるわね」

「及第点、というところかしら」

　まずまずと言ったところだった。

「それじゃ、次は江里香といきましょうか」

「わ、私ですか？」

「そうだな、俺も聞いてみたいな」

「わ、わかりました。初めてですが……」

　そして江里香が歌う。

　――そして歌い終わった後には……。

「……う……」

「……あー……」

「……」

　三姉妹は気絶していた。一刀と理奈は辛うじて立っている状態である。

「え？　あの……どうしたんですか！」

　江里香は何故こうなったのか分からず戸惑っている。

「江里香さん……」

「何でしょう？　一刀様」

　一刀は申し訳なさそうに、それでいて振り絞るように言った。

「……歌うのやめてね……」