超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編
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「ギャアアァァァァァァァ!!!!」

 

咆哮と共に灼熱のブレスが吐かれる。

ブラックハートは機械的な六枚の翼からブーストを吹かして、飛翔することで躱し、全速力で疾走してブレスの範囲から逃げている。

魔法を使える俺だが、アニメやゲームの様な空を自由に飛ぶことなんて出来ない。

風の魔法の応用で((跳ぶ|・・))ことは出来ても((飛ぶ|・・))ことが無理なんだ。

相手は武器持ちで、跳べば着陸するまでほぼ無防備になってしまう。

ブレスを避けたとしても、次のランスの攻撃は回避が難しい。

 

「っーーー!!!」

 

迫ってきた鋼の閃光。

黒曜日を地面に突き刺し、刃を飛び台にして一気にその場から低空跳躍する。

その刹那にドラゴンの刺突が地面を抉りこんだ。

昨日のモンスターといい、俺は真面に当れば即死レベルの攻撃を放つモンスターと縁があるのか?……いらねぇ、どんだけハード人生を歩まないといけないんだよ。

 

「はぁぁっ!!」

 

黒曜日を量子に戻して、再度手に出現させる。

空を仰げば、ブラックハートが紅いドラゴンに突っ込んでいるが分厚い盾に全て攻撃を防がれる。

全長10mはある巨体とは思えない、体の捌き方でノワールの攻撃は、躱され防がれる。

サポートしようするが、空中戦闘出来ない俺はブレスで足を簡単に止められる。

 

やっぱり、昨日の鬼のようなモンスターと倒したような作戦が一番いいだろう。

一瞬、今からでも携帯電話でネプテューヌ達に救援を求む手を思いついたが、あんな強敵を相手にした昨日の今日だ。

アイエフは普通に起きていたが、恐らく一番働いたネプテューヌは未だ疲れが体に取れていない状態でいまごろベットの上でゴロンとしていることは容易に想像がつく。

 

だとすれば、やはりこのドラゴンをブラックハートと俺とデペアで倒さなければならないことになる。

そして、俺の切り札である鎧ーーー『((漆黒の皇神鎧|アーリマン・ディメイザスケイルメイル))』は一度展開してしまうとチャージ時間が必要になる。

何時もなら大体30分ぐらいなんだが……こんな戦闘中に30分も逃げられている自信がない!

 

 

「ぐっ……魔斬閃!!」

 

黒曜日に魔力を纏わせ、それを振るうと同時に飛ばす。

魔法を使えばいいが、魔法には当然のように詠唱が必要であり勿論の如く詠唱中は無防備になってしまう。

真面に食らってしまえば一発ゲームオーバーの戦闘下にこの手はあまりに危険すぎる。

 

更に、もっと言えばブラックハートは俺を眼中に入れていない。

彼女自身の戦いをしている。女神としての使命に燃えている彼女の性格は真面目なんだろうけど、それが逆に困る!

もう少し協力的になってくれないとサポートどころが、互いを阻害して戦いにくくしてしまう!

 

「ガァアアアァァァァア!!!」

 

限界まで広げた紅の翼をドラゴンは残像が見える程に羽ばたき始める!

そして、生み出される暴風に俺達は軽く吹き飛ばされた。

 

 

「ぐっーーー!?」

 

意識が何重に回転する中で、先ほど焼滅させられた廃棄工場の一部に掴まり、目も開けれない程の暴風に耐える!ーーー冷や汗が何故か流れた。

もし、この風の中で、炎のブレスを吐かれたらーーーどうなる?と、体中を痛みつける暴風から薄らと瞳を空けるとドラゴンの口から焔の粉塵を溢れていた。

 

ーーー間違いない、いままでのブレスとは違う。

一点に集中、圧縮された高熱の熱線が来るとーーーその目標は、空中に体制を取ることが出来ぬまま宙を舞っているブラックハートに向けられていた。

 

『間に合わないね』

 

手の甲からデペアの非情な言葉が呟かれる。

今の俺は、女神以下人間以下の力がいいところだ。

俺もただ一つの存在だーーー出来ることは限られている。伸ばせる手の距離には限界がある。

 

 

 

ーーーだから、仕方ない?

 

 

無理だ。諦めよう。

 

 

ーーー何もしてないのに?

 

 

自分の限界ぐらいは理解している。

 

 

ーーーお前、言っただろう

 

 

誰かが、俺の頭を触れたような感触がした。

 

 

ーーー何もしないで後悔するよりはマシだ。ってな

 

 

 

「ーーー畜生!」

 

俺は掴んでいた物を離した。

同時に宙に飛ぶ、俺の体。

 

「【我が意思の元に集結せよ、従え】!!」

 

言霊を吐いて、自分の周囲の風向きを変える魔法を使う。

しかし周囲の風が激しくて効果は本当に少しだけしか発揮できなかった。

黒曜日の柄頭と両足からありったけの魔力を放出しながら、微かに風を向けれた方向ーーーブラックハートを目指して

 

「スゥゥ……ガァァアァァァァァ!!!!!」

 

ドラゴンから熱線が放たれた。

ムカつくほど正確にブラックハートを目掛けて撃たれた熱線の射線上は空間を焼き消しながら空を駆けた。

 

 

 

 

ーーー間に合え

 

 

心の中で叫ぶ。

 

 

ーーー間に合え!

 

 

体が悲鳴を上げても、限界を叫んでも、それでも俺は魔力の放出を辞めない。

 

 

「間に合えぇぇぇ!!!!」

 

 

傍観するだけが恐ろしいから、自分を失うことが恐ろしいから。

 

 

「えっ……?」

 

届いた。強く握ってしまえば壊れてしまいそうな可憐な体に触れれた。

肌が暑さを感じる。熱線は直ぐそこまで来ている。

 

「ーーーっ!!!」

 

ドラゴンの奴もさすがにこの技を放つ時は、暴風を起こせないようだ。

あれほど、忙しく鳴っていた風は既にない。

魔法による加速したままで、俺はブラックハートを抱えたまま、真面に速さを落せないまま地面に衝突した。

 

 

「がはッーーーーぁ」

 

人間なら、脊髄がぽっきり折れてしまいそうな高度から落ちた。

この人外スペックでも、背後から凄まじい激痛が襲ってきた。

意識が、不規則に震えて消えかかる。けど、それでも意識が消えなかったのは、手に抱いているブラックハートの温かみのおかげだった。

 

「だ、……大丈…夫…か?」

「なんで、私を助けたの…?」

 

質問を……質問で返すなよ。

 

「そ…こに、お前…がいた…からだ…。文句、あるか…!?」

「…………!」

 

掴んでいた手を離して、ブラックハートは立ち上がる。

稲妻のように激痛が体を駆け巡るが、千鳥足ながら俺も立ち上がった。

 

「なんで……私は女神よ」

「女…神だろう…が!人間だ…ろう…が!、((傷つくことに恐れる奴なんているか|・・・・・・・・・・・・・・・・))!?」

 

生きることは常に死と隣接している。

傷を負えば、誰だって痛いと思うことは当たり前だ……!。

 

「俺は、目の前のお前が傷つくことが恐かった。……だから、助けた」

 

呼吸が落ち着き始めた。

未だに激痛が体中を埋め尽くすが、さすが人外のスペックだ。既に回復が始まっている。

 

 

「お前が女神だろうが、人間だろうが、俺にとっては関係ない。俺には、お前を助けれるだけの力が合った。ーーーただ、それだけだ」

 

燃えるような殺意を放ち、こちらを向くドラゴン。

足が腕が震えてやがる。まだ『((漆黒の皇神鎧|アーリマン・ディメイザスケイルメイル))』を展開可能になるまで時間が立っていない。どうやって時間を稼ごうか……かな。

 

「……初めてよ」

「……?」

 

ぽつり、ブラックハートが呟いた。

 

「女神とか人間とか関係ないって……言われたの」

「そりゃ、お前はこの大陸のトップだからな」

 

当然だ。女神が挫けば大陸そのものが挫けると同威儀だからな。だから、常に期待される、常にプレッシャーを受ける。

その((苦しさ|・・・))は、女神であるベール本人を見ていれば痛いほど分かる。

 

 

「人は女神を想わないと、明日に進めない」

 

 

この世界の人間は明らかに、女神と言う存在に依存している。

 

 

「だけど、女神は道具じゃない、プログラムじゃない、象徴じゃない、ちゃんと生きているんだ」

「…………」

 

ブラックハートは、黙っている。

目の前のモンスターなんて、見えていない様に

 

 

「真面目でいい。熱心でいい。女神の使命を果たすことはいい。だけど、疲れるだろう?」

 

 

そんなずっと肩に力を入れていると、身と精神を削っていくような苦行だと俺は思っている。

 

 

「そんな時に、ちょっとでもいい。傍で居られるような奴に俺は、なると決めたんだ」

「………羨ましいわね」

「アホが」

 

なに、他人事の様に言っているんだよ。

 

 

「お前が今を辛いと言えば、俺はいくらでもお前の傍にいてやる」

「…………!」

 

驚いた表情から徐々に顔が真っ赤になっていく。俺は続いて口を開く。

 

「望めば一緒に遊んでやるし、話し相手にやってやる。友達にもなってやる。ウチの大陸は、ゲーム好きの女神さまが勝手に権力を使ってゲーセンを増加しているし、何より自然が多い。遊び場は飽きる程あるんだぜ」

 

まぁ、迷惑じゃなかったらの話だけどな。

因みにベールとはお互い暇を見つけたらよく遊びに行くな。ブラックハートは声を出さず、パクパクと口を何度か開いて、消えそうな声で呟いた。

 

「本当に……一緒に……いてくれる…?」

「勿論だ」

 

俺は力強く頷いた。

それに、ブラックハートは今まで硬い表情を柔らかくして、笑った。

 

「うん、やっぱり笑顔は一番だな。可愛いぞ」

「なっ!? バ……バカっ」

 

いきなりバカとはなんだバカとは、

 

 

「ーーーギャァアアァァァァ!!!!」

「「!?」」

 

あ、ちょっと忘れていた。

紅いドラゴンは周囲の地面に罅が入るほどの咆哮を上げ、翼を大きく広げた。

不味いな……まだ『((漆黒の皇神鎧|アーリマン・ディメイザスケイルメイル))』を使えるのは時間が必要なのに……!

 

『一つだけ、直ぐに鎧を顕現させる方法がある』

「宝玉が喋った!?」

 

左手に浮き出た宝玉からデペアの声がした。

30分はかかるチャージ時間を一瞬で……?一体どんな手なんだ?

 

 

『お……』

 

 

 

お?

 

 

 

『おっぱいを揉めば、おっぱいパワーが補給できるよぉぉぉ……』

 

 

 

…………。

 

 

…………。

 

 

…………お前に一瞬でも期待した俺がバカだった!!!!

 

 

『なんだよぉ!!おっぱいパワーは無限大の可能性を秘めているんだよ!基先輩ドラゴンのDさんは相棒と共にどんな苦境でも、おっぱいと共に乗り越えて来たんだぞ!!!』

「そんなこと、知るか!!!」

 

何だよおっぱいパワーって!意味が分からないねぇよ!!っていうかその先輩ドラゴンDさんってどんだけ凄いんだ!?

ブラックハートもドラゴンも突然のことに唖然としている。それがいい、それが正常なリアクションだ!!!

 

『でも、ぶっちゃけそれぐらいしか手がないよ?』

「うぐっ!?」

 

デペアの姿を一度見た俺には確信があった。

あいつの醜悪で禍々しい姿の力を俺は何割かだが、使えるんだ。本来の力はこの紅いドラゴンなんて目じゃないだろう。

そして、デペアの言っていることは正論だろうーーーあぁ、正論だろうが、それを受け入れない自分がいる!!

勝機が見えた。だが、それを掴むために多大な犠牲が…あまりに大きい代償が……!

 

『あっ、自己紹介に((天壌の邪悪龍|デスペリア・ベーゼ・ドラゴン))だよ。よろしくねー黒っ子♪』

「え、えぇ………」

 

敵が目の前にいるのに呑気にあいさつするな!大体都合よくお前の求める物が………。

そこで俺は視線が止まった。女神ことノワールがそこいたのだから。

 

「いや、冷静に考え直せ零崎 紅夜!!」

 

頭を抱えた。

まだ会って、一時間も立っていないような女性の胸を揉むなんてどんな犯罪者だ!?

俺は、そんなに餓えていないし!そんなことをすれば間違いなく警察のお世話になること確実だぞ!?

今すぐ考えろ零崎 紅夜!!『((漆黒の皇神鎧|アーリマン・ディメイザスケイルメイル))無しで奴を倒す方法がどこかにあるはずだ!!!。

 

『人はその反応を現実逃避と言う』

 

お前は黙ってろ!!

あれでもダメ、これでもダメと思考がオーバーヒートする勢いで計算を重ねるが出てくる答えは同じで、俺は世界に絶望した。

 

「……それしか、ないのね…」

 

そんな言葉を聞くまでは

 

『はい、了承を得たよ』

「えっ?はっ?」

 

ブラックハートはこれでもかと言うほど顔を真っ赤にして、腕を広げた。形のいい胸が揺れる。

 

「ギャァアァァァァァア!!!」

「はっ、速くしなさいよ!……それしか、手がないんでしょ……」

 

きゅ、とタコの様な真っ赤な顔に瞳には今にでも雫が落ちてきそうだ。

ドラゴンの口には焔の粉塵が舞っている。またあの熱線を放つつもりだ。

 

『ほら、ほら!ハリーハリー!!』

 

自分の両手を見た。

ブラックハートの胸を見た

 

「……どっちを揉めばいいんだ」

 

俺は思わず言葉を零した。

右?左?なんだか、何も分からない。思考が動かない。

 

『ふむっ!?確かにそれは重要なことだね!ニヒルにとってはファーストタッチだから……んーと』

「んもぅ!!迷うなら両方でいいでしょ!!」

 

そして、ノワールは俺の両手を掴んで胸に当てた。

 

 

むにゃ

 

 

そんな効果音と共に、俺の手は柔らかくて温かい物に沈んだ。思わず手が動いた。

 

 

「ぅん……ッ!」

 

ブラックハートの僅かに声を漏らす。鼻から大量に熱い液体が流れた。

今まで築いてきた物が、粉々に破壊されるーーー。

何とも形容しがたい感覚が脳裏を支配していくーーー。

 

 

そして、見えたのはどこまで荘厳に広がる宇宙だった。

 

 

 

 

 

『ヤッハォォォーーー!!!!!フルパワーだZE☆』

 

役目を終えて手を離す。

ブラックハートは地面に腰を落す、その表情は見えない。

俺は無言で漆黒のコートを脱ぎ、彼女に被せた。

 

 

「−−−なぁ」

『どうしたの二ーーーヒィ!?』

 

いい声で鳴くじゃないかデペア。

手の甲を確認すると今まだにないほど漆黒のオーラが満ち溢れていた。

 

「この胸に溢れる激情をどうすればいい?」

『えっーと……ニヒル?』

 

あぁ、柔らかった温かった。

極上の触り心地だった。

だけど、同時に俺は自分を壊してしまった気がするんだ。いつも守っていた一線を越えてしまったんだ。

 

「俺は、無性に、誰かを、ボコボコにしたい」

『め、目の前にいい獲物いますぜ!』

 

自分じゃ制御できない。

言葉じゃ説明できない複雑な感情が拳に宿る。

瞳からしょっぱい涙が溢れだす。

別にこんなことに興味が無かったと言えば、嘘になる。だが、俺の中ではあんな状況になったことに、会って一時間の相手にこんなことをしてしまった自分の不甲斐なさが、とてつもなくムカついて、その元凶であるドラゴンーーーお前と、あの見た目は天使のお面を被ったような笑みを浮かべた夜天 空が許せない。

 

『((Armageddon|アルマゲドン)) ((Dragon|ドラゴン)) ((ovre|オーバー)) ((booster|ブースト))!!!!!!!!』

 

手の甲に浮き出ていた漆黒のオーラが爆発して刹那に俺と黒曜日を包み込む。

漆黒の鎧が全身に装着される。いつもはない衝撃波が放たれ、俺を中心にクレーターが出来る。不思議とブラックハートに危害がないように制御が出来た。

 

 

「グルゥゥゥ……」(滝汗)

 

 

目の前の((敵|発散相手))を見つめる。

自分でも、凄い勝手だと分かる。けど、もう止まない。

 

 

 

 

「ーーーハハッハハッハッハハッハハ」

 

 

さぁ、存分に破壊しよう。

 

 

 

 

 

 

説明
その9
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コメント
チータ「紅夜が………吹っ切れた!!!」デバッカ「ああ………反転したか……(同情の目)」チ「あれなら先生とも渡り合えるんじゃね?」デ「いや、無理だろ…一国が宇宙に挑むようなもんだぞ、それ……」(ヒノ)
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