超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編
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凄く意識がすっきりしている。

いつもは、相手の動作や行動で弱点を探す様に常に頭を動かしている俺だが、今日だけは、この場だけは、どうでもいい。

デペアの禍禍しさが内側からも外側からも肉体と精神を、浸食するように広がっている不愉快も全く気にならない。

いや、それどころか逆にそれすらも飲み込んでしまいそうだ。

それぐらいに俺の感情は雨嵐に荒れていた。

 

 

『……お、おっぱいパワーすげぇぇ……今のニヒル、僕の力をいつもの1.5倍は引き出しているぅ……』

 

 

『((漆黒の皇神鎧|アーリマン・ディメイザスケイルメイル))』にある九つの宝玉の漆黒の輝きは、収まることを知らず、巨大な力は顕現させ時の爆発によりクレーターを作ってなお、今でも余波として、地面に罅を作っていく。速く制御しないと近くのブラックハートに危害が及ぶな。

 

「…………」

 

微かに視線を横に動かせば、変身を解除して俺の被せたコートを握っているブラックハートーーいや、ノワールと言うべきか。

状況が状況の所為で、犯罪行為と言ってもいいほどの行為を彼女にしてしまった。

これがベールやケイブ先輩の耳を届けば、俺の命日は確定したと言ってもいいだろう。冷静に考えればリーンボックスとラステイションの間に国際問題として発展しかねない。

 

『いや、それはちょっと考えすぎかと……』

「デペア、何か言ったか?」

『なんでもありません!サー!!』

 

さて、相棒の戯言の耳に貸す必要はない。

周囲を見れば、あの廃棄工場から少し離れた森林だ。

奴は炎を吐くことが出来るドラゴンだ。下手にブレスを吐かれた場合、大災害となる。

 

 

「−−−ハッ」

 

己の手に握られているもう一つの相棒を握りしめる。

ドラゴンの力から形状が著しく変化した黒曜日の剣先を槍と円状の盾を持った紅のドラゴンに向ける。

やっぱり、色々と俺は考えてしまうな。一種の癖だと思っていい。

 

とりあえずと俺は自分の思考に終着点を作る。

ようは、相手に抵抗らしい抵抗も許さず倒してしまえばいいんだ。それがベスト。

 

「グルゥゥ………」

 

おい、おい、おい、おい!

何を後ずさりしているんだよ。

全長10mのとんでもないほどの威圧感を出して俺達を襲っていたドラゴンの威厳はどこに行ったんだよ。

 

「まさか、俺に恐れるなんてねェよなァーー?」

『始まってまだ十話くらいにこのキャラ崩壊には危機感を覚えるよ……』

 

 

クケケケケケケケケ。

今日の黒曜日は血に飢えているZE。

 

 

「−−−ギャァアァァァァァ!!!!」

 

自棄な咆哮を上げ、ドラゴンは突っ込んでくる。

俺も後ろの翼の様な突起物に魔力を噴きだして、突っ込み。

 

 

ガキッーーーン!!!

 

互いの鋼鉄の武器が鈍い音を立てる。

それだけでは終わらない。

まずは、ドラゴンがランスを薙ぎ払った。俺は脚部のブーストでそれを躱し、腕部のブーストで体を回転しながら斬撃を当てるが盾に防がれた。

弾き飛ばされた俺に向かって火炎のブレスを吐くが、そんな遅い攻撃には当たらない。直ぐにブーストが火を吹いて安全圏内に移動する。

 

 

「ギャアアアァァァァァァア!!!」

 

ドラゴンの体が更に紅く、紅が血を浴びたかのような深い赤色をへと変わっていく。

あぁ、昨日見たトラ○ザムもどきか、こいつとあのモンスターには何か関連性があるようだな。

 

 

「−−−まぁ、どうでもいいがなぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

俺はテメェをとにかくぶっ潰したいんだよ!!!

 

 

「おおぉぉぉぉっぉぉ!!!」

「ギャアアァァアアァ!!!」

 

漆黒の閃光と紅蓮の閃光が空を駆け廻る。

昨日のようにはいかない!ステータス的にはほぼ互角だ!ーーーいつもの俺なら、苦戦していたかもしれない。だけどな今日の俺は違うぞぉぉぉぉ!!!

 

 

「六爪瞬迅ッ!!!」

 

黒曜日を双剣にして光速の六連撃!ドラゴンはそれを盾で防ぎ、攻撃が終わった瞬間、ランスによる刺衝攻撃を仕掛けてくるが、俺はそれを待っていた!

またブーストで体を回転させ、それを躱す!

微かに掠って鎧が?げたが、そんなことは気にしない!そのままの加速のまま突っ込み奴の腕を切り落とす!

 

「ギャァァァァアアァ!?」

『フィーーー♪やるぅ☆』

 

鮮血が噴水の如く吹き出しドラゴンは絶叫する。

重力に従い、奴の太い腕は地面へと落下する。

今がチャンス、痛みで動きが止まっている奴に止めを!

 

「−−−デペア!!」

『術式解放『((黒竜撃|ドラグーン・デストラクション))!!!』』

 

漆黒の宝玉が一斉に声を上げ、ドラゴンの力と俺の魔力を螺旋状に回転させていく。

大気を轟かせながら爆音を奏でながら、俺の必殺の一撃が完成する!

 

「−−−ギャァアアァァァァ!!!」

 

モンスターも最後の足掻きとばかりにいつの間にか口に集めていた炎が一点に集中している。

その眼から、暴怒が溢れていた。屈辱なんだろうお前の得意そうな空中戦でこうも手を取られることがーーーだがな

 

 

「お前の怒りよりーーー」

 

双剣の黒曜日を刺す様に構えて下げる。

ドリルのように超高速に回転する螺旋の一撃を俺は真っ直ぐ、ドラゴンの方に向けた。

 

 

「俺の怒りの方が、お前を凌駕しているんだァァァァ!!!!」

 

放たれる破壊の嵐と焼滅の熱線。

嵐は熱線を抉るように削りながら、ドラゴンを飲み込んだ。

 

 

「ギャアアァァァーーーーーーー………」

 

遥か天空を目指して進む漆黒の双嵐に?まれながら断末魔は消えていく。

そして、完全に見えなくなったころにはドラゴンは跡形もなく消滅していた。

 

 

 

『………勝っちゃたね』

「……………こんなに、虚しい勝利は始めてだ」

 

地面に降りて、『((漆黒の皇神鎧|アーリマン・ディメイザスケイルメイル))』を解除する。

周囲を見渡すが、ノワールの姿はなかった。……俺のコートない。

 

『女神だろうと、やっぱり女の子だね』

「なぁ、デペア……」

『うん…?』

「やっぱり、ここは大人しく自首しようかな」

『………はっ?』

 

いや、こっちこそはっ?だよ。

状況が状況だったが、俺がしたことは間違いなく犯罪行為だよ?セクハラだよ?しかも相手は女神さまだよ?打ち首クラスだよ?

 

『はぁ、なんていうか…クソ真面目だね』

 

デペアがため息を付いている。俺にはその意味が分からない。

 

『とりあえず、君も疲れたでしょ?そんな疲労しきった体と精神で、何を考えてもいいことは思いつかないと思うよ?』

「いや……でも……」

 

仮に休む選択をすれば、明日いきなり部屋にブラックハートの信者たちが……ブルブル。

 

『君もそうだけど、あの黒ッ子もすごい真面目だから誰かに陰口を言うなんてことをはしないだろうし、悪を行ったらまず償う……ではなく、まずは相手に謝罪することから始めようよ。そのあとの君の処罰は黒ッ子が決めればいいし』

「………分かった」

 

確かに今の俺はフラフラだし、まともな思考も動いていないかもしれない。

デペアに上手く丸め込まれた気がするが、俺は黒曜日を量子に変えて嵐でも通り過ぎたかのような俺とモンスターの戦闘での破壊痕に罪悪感を感じながらその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜天 空side

 

 

「……おっぱいパワー、すげぇ…」

 

遠く5qほど離れたの崖の上に座り、僕は紅夜たちの戦いを見終えていた。

全く、奇想天外もいいところだよ。

ゼクスには、精々半殺しと指示していたし、僕から見ても今の紅夜の実力ではギリギリ勝てないかなぁと思っていたんだけど、まさか勝っちゃうとはね……。

僕の傍にいたころのデペアと紅夜の関係でいえば、契約を結ぶ時点で((紅夜の方が圧倒的に強かった|・・・・・・・・・・・・・))から、デペアの力を借りるなんてことは、ほとんど無かったから僕もデペアのパワーをあまり見たことないないんだよね。いつも下ネタばっか言っている面白い奴ぐらいしか思って無かったけど、認識を改めないと。

 

「んー………っと」

 

空中に指をスライドすると、ディスプレイが投影される。

そこに映っていたのは、自分の部屋に戻ったノワールの姿だった。

恥ずかしそうにベットの上で、枕をぎゅっと抱きしめている。ふむっ、可愛い。

 

まぁ、厨二病みたいな容姿だけどイケメンに真正面から”傍にいてやる”とか”可愛い”とか彼女の世界では言われることは少ないだろうね。

同じようなことを言う人はいるだろうが、それは心からではなく社交辞令からだろう。

 

彼女の((教育係|・・・))だったころのことを思い出せば、あの性格だ。

自分から拒絶する癖にとても寂しがり屋で、憧れ願望が強い彼女と仲良くするには、ネプテューヌの様な相手のことを考えずガンガン突っ込み奴か、元から比較的に近い場所で彼女と共に生活を共にした存在くらいしかノワールの本質を垣間見ることしかできない。

 

しかし、まぁ……、紅夜のことを少なからず異性として意識している中で、あの手段は彼女の真面目な性格を考えれば”ない”とは言いづらいが、それでも凄い変化だ。

紅夜も複雑な感情で一杯だろうし、ノワールも初めての想いに正直になる様な度胸があるか怪しいしか、どっちも進まずどっちも退かずの関係になりそうだ。

少なくても、意識したのか無意識なのか、ノワールは紅夜の戦闘が終わった直後、紅夜と顔を合わすのが恥ずかしいくて逃げている時、ずっと紅夜のコートを握りしめていたよね。

 

 

「女神と人間を同じ存在として……ふふっ」

 

紅夜にとって女神とは、そんな認識なんだろう。

あながち間違っていない。ただ人は、自分より力がある存在に憧れ、嫉妬し、崇拝する特性があるからね。

紅夜以外にも、そんな認識の持ち主は指で数えれるくらいしかいないかな。

零崎 紅夜の存在が、女神達を変える力が秘められている。

それが、いい方向に行くか、悪い方向に行くか……どっちなんだろう?

 

 

「……まぁ、どっちでもいいか」

 

その時は、その時でやり直せば問題なんてない。

かつての親友の処理は、後先に置いといて、僕はとりあえず紅夜の活躍に計算のズレを修正するためにモンスターの量を調整しないとダメだよね。

 

「さて、お仕事お仕事っと」

 

そして、僕は移動する。

 

 

 

((この世界の裏側へ|・・・・・・・・))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
その10
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コメント
デバッカ「大丈夫だ紅夜…お互い合意の上だし、この状況においてお前に罪はない。だから…な?(あせあせ)」チータ「おっぱいパワー…すげぇぇぇ……と言うか先生、その枕をぎゅっと抱きしめているノワールの写真をオr〈ガスッ〉――ブベラァァッ!!」デ「本当にすみません。今さっきのこいつの戯言は聞かなかった事にしてくださいお願いします。」(ヒノ)
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