真・恋姫†無双〜始まりの外史〜3 |
「・・・・・・・はっ!」
気付いたら寝てた・・・だ・・と?
とか、やってる場合じゃねぇよ。
俺、なんでこんな荒野の真ん中で寝てたんだっけ?
えっと、確か昨日・・・・・あぁ、思い出した。
女の子を救って恋してチャチャチャだっけ?
いや、これはさすがに色々と混ざりすぎだけど・・・
というか、待てよ?
翌々考えたら、俺、この世界でどうやって生活してくんだろ。
中国語とか喋れないしお金もないし、ここ中国ってこと以外なんにも分からないし?!
やばい・・・これ、餓死パターン?
とか、生命の危機について考えていたら背後から男に話しかけられた。
ふりかえってみると男三人組、簡単に言うとちび、でぶ、がりの3人だ。
リーダーぽいのが、がり、小物感があるのがちび、おっとりしてそうなのがでぶ
見た目だけで判断したからほとんど悪口だな。
「おい、そこの兄ちゃん、身ぐるみ全部ここにおいてきな」
「おいてきなー」
「おいてくんだなぁ」
「・・・・・・・・」
いや、もう言葉が出ないよ。
なにこの人達、ていうか俺、かつあげされてる?
「おい、黙ってんじゃねぇぞ!」
なんか、がりがキレて剣を抜いたぞ。
まったく怒りぽいなぁ
・・・・えっ、あれ、本物かよ!?
やばい、ぼけてた、ここ三国志の世界だった・・・真剣とか当たり前だったわ・・・
マジ普通の喧嘩とかなら余裕だわとかまじ調子乗ってたよ俺。
「兄貴!こいつもうやっちまいましょうよ!」
「おらもそう思うんだなぁ」
「そうだな、ちび、でぶ」
まじで、ちびとでぶって名前なのかよ・・・いじめだろ
とか、思ってたらがりが襲いかかってきた。
間一髪右にローリングして、当たらなかったけど、あぶな!
俺まだ地面に座ってるのに剣振りかざしたよこいつ。
地面に座ってたからローリングメッチャきつかったよ!
とりあえず、俺はたってから文句を言った。
一樹「お前ら、あぶねぇだろうが!」
言った後に思ったけど日本語通じるのこの人達?
ていうか、俺真剣持ってる相手に喧嘩売るとか阿呆なんじゃね?
「だったら、全部置いてきな!」
あ、通じたみたいですね。
「あほか、お前!」
阿呆は俺だっつーの。ていうか、考えてることと口から出る言葉が間逆すぎてヤバイ。
「てめぇ・・・ふざけんなよ!」
やっべ、怒らせちった。
がりがキレて俺の方に突っ込んで来たと思ったら横に・・・飛んだ?
「大丈夫ですか?」
「へっ?」
横に飛んだなぁと思ってたらなんか美人なお姉さんに話しかけられてる、やったね!
あっちではなんか、大変なことになってるみたいだけど。
「兄貴!」
「大丈夫、兄貴?」
「大丈夫だ・・・・なんだ、この怪力女」
「・・・・誰が・・・・誰が、怪力女だ!」
どうやら、彼女の怒りに触れてしまったらしい。
まぁ、怪力とか言われたくないよね。
そういうと、美人さんは薙刀をおおきく振りかぶって一閃した。
「がはっ」
あれ、痛そう・・・・
しかも、気絶しちゃったよ。
「兄貴!」
「よくもやったなぁ」
そういうと、でぶって呼ばれてた奴は美人なお姉さんに向かっていって見事にやられていた。
そんなことをしてたら、さっきのがりが起きたようだ。
「ちっ、ちび、でぶ、引くぞ!」
「いくぞ、でぶ」
「う〜ん、まってー」
どうやら、分が悪いと思ったらしい。
物凄い速さで奴らは去ってた。
逃げ足だけは天下一だな、あいつら。
「お怪我はありませんか?」
「えっ、あぁ、大丈夫です」
美人さん心配されたと思ったら後ろの方から、走ってくる人影が見えた。
「愛紗ちゃ〜ん!」
「愛紗待つのだ〜」
「桃香様、鈴々!」
「はぁはぁ、愛紗ちゃんたら、先に行っちゃうから追いかけるの大変だったよ〜」
「も、申し訳ありません、桃香様」
「全くなのだ、いつもは鈴々のことを猪突猛進とかいうに」
「なっ、それは、鈴々お前が」
とか、なんとか、やってるけどさ
さっぱり状況が読み込めない・・・
いや、助けてもらったとこまではいいんだけど
この子たち誰だろ。
みんな、可愛いけどね。
というか、着てる服がコスプレだよなぁ
でも、さっきの奴らもコスプレぽいしこっちでは普通なのか。
というか、俺、どうしたらいいの?
とりあえず、話しかけてみるか?
「あの?」
「鈴々!お前はいつもどうして、そういう態度なのだ!」
「愛紗だって、意地はってばかりなのだ!」
「落ち着いて2人共」
「・・・・はぁ」
もう、無視したほうがいいんかな?
「あの、すみません。2人を止めてくれませんか?」
「えっ、俺?」
「このままだと、2人とも喧嘩しちゃうから、私、2人にそんなコトしてほしくないから!」
喧嘩はすでにしてね?とか思いながらも、これまた、美人さんなので引き受けますよね。
「は、はぁ、頑張ってみます」
「ありがとうございます」
そう言うと丁寧にお辞儀してくれた。
胸でかいな・・・・
じゃなくて、どうやって止めよ。
たしかに今にも武器をとりそうだよな〜
とりあえず・・・地面殴ってみようかな
強くなったのか確かめたいし。
これで、2人の喧嘩止まるかわからないけど。
全力でやろう。
「せいっ!」
「「「!」」」
「わ〜お」
地面がわれるとは・・・・恐ろしい。
しかも、何気自分が一番びっくりしたよ。
そして、腕が猛烈に痛い。
もう二度とやらねぇはこれ。
「今のすごいのだ、お兄ちゃん!」
「いったい今のはどうやられたのですか?」
「お兄さん、すごーい!」
なんか、スゴイ注目されてる。
でも、まぁ、喧嘩はとまったかな?
よし、今のうちに質問だ。
「あの、すみません?」
「はいはい、なにかな?」
「ここって何処ですかね?」
とりあえず、場所確認。
聞いた所で中国の地理とかそんなわからないけどね。
「ここは幽州?郡、五台山の麓だよ」
「ゆ、ゆうしゅうたくぐん?」
「うん、そうだよ」
「そうですか、ありがとうございます」
やばい、最初からわかんねぇ・・・・
ゆうしゅうたくぐんってどこだよ、中国だよ!
自分でノリツッコミしちゃったよ!
まず、場所聞いた所でどうしようもないことに気づけよ俺。
いや、そもそも、この人達誰なの?
とか、思ってたらなんだか、ほんわかしたきょny・・・・ほわんわかしたリーダーぽい人が喋りかけてきた
。
「あのね、私からも質問してもいい?」
「えっ、あっ、どうぞ」
「お兄さん、見慣れない服を着ているけど何処から来た人なのかな?」
見慣れない服って何処にでもある制服だぞこれ?
・・・・あぁ、今、ここ三国志でした。
そりゃ見慣れないわ、そもそも、ポリエステルとかもないしな。
てか、何処からって日本だけど・・・日本って通じるのかな?
「えっと、日本の東京都台東区浅草かな」
「にほん?」
「とうきょうと?」
「たいとうく?」
「「「あさくさ?」」」
「あさくさー?そんな邑あったけー?」
「いや、聞いたことがないな。何処の州だ?」
やっぱり日本とか通じませんよねー知ってました、わかってました、予測出来ましたァああああああああああ
おっと、少し取り乱しちゃったぜ。
ていうか、州ってケンタッキー州?
いや、テキサス州かもしれない・・・
じゃなくて、州ってなんだ?
「州?」
「さっき、言った幽州とか、荊州とか、冀州とか・・・・もしかして洛陽出身とか?」
「えっとね、本州かな」
「ほ、ほんしゅう?聞けば聞くほど何処だかわからない」
「ほんとなのだー」
俺も分からない。
というか、この人達誰なの?!
聞きそびれてたよ!
さっきから、鈴々とかい愛紗とか言ってるけど勝手に呼んだら失礼だろうし、ちゃんと聞こう。
「あの、俺、桐生一樹っていうんだけどさ、君たちは誰なのかな?」
「そういえば名乗るのを忘れてたね。私は劉備。字は玄徳!」
「鈴々は張飛なのだ!」
「関雲長とは私のことだ」
「・・・・・・・・・・」
名前を聞いて血の気が引いていったよ。
いや、嘘だろ。マジかよ。
えっ、関羽とか劉備とか張飛とかすっげー有名な人じゃね?
どうしよ、いや、目標に一歩近づいたけど、やばい、頭が混乱してまともに頭が働かない。
「えっと、大丈夫?」
「あぁ、ちょっと受け入れがたい現実を目にして混乱してただけだから問題はないよ」
「受け入れがたい現実?」
「まぁ、タイムスリップほんとうにしちゃったんだなぁってね」
あと最初にあったのが君たちっていう驚きは心の中にしまっておこう。
「たいむすりっぷ?」
「たいむすりっぷ?とやらはなんなのだ?」
「お兄ちゃん、鈴々達にも分かるように喋って欲しいのだ」
「わ、分かるようにか・・・う〜ん?」
まず、どこから説明するんだよ。
俺の目的から?
いや、そこじゃなくてタイムスリップのところだよな。
タイムスリップってどうやって説明すれば・・・
などと、俺の頭をフル回転させているところだった。
「やっぱり・・・・思ったとおりだよ、愛紗ちゃん、鈴々ちゃん!」
「思った通り?」
「この国のこと全然知らないし、私達の知らない言葉も使ってるし、それにとっても服がキラキラしてて変だよ!」
「・・・・・」
笑顔で元気よく変って言われると悪意はなくても少し傷付くよね!
そもそも、あなた方に言われたくないけどね!
「この人、きっと天の御遣いだよ!この乱世の大陸を平和にするために舞い降りた、愛の天使様なんだよきっと!」
愛の天使様(笑)だろ。
ていうか、この時代の中国にも天使っていたのな。
「管輅が言っていた天の御遣い・・・・あれはエセ占い師の戯言では?」
「鈴々もそう思うのだー」
「でも、管輅ちゃん言ってたよ?東方より飛来する流星は、乱世を治める使者の乗り物だーって」
「ふむ、確かに管輅の占いが本当ならば、このお方が天の御遣いということになりますが・・・・」
「でも、このお兄ちゃん、全然頼りなさそうなのだ」
「うむ。現に今、襲われていたところを助けたばかりだしな」
「う〜ん、でも、今、地面を割ったばっかだよ?」
「お姉ちゃんの言うことも一理あるのだ」
とか、みんなで悩んでるところ悪いんだけどさ、俺、御遣い様とやらじゃないんだが?
あっ、でも、みんなを助けに来たっていう意味ではあってるのかな?
いや、そもそも天の御遣いってなにするひとなのよ。
てか、今、管輅って出てきたけど、たしかあの人メッチャすごいひとじゃね?
この世界ではエセ占い師扱いなのか・・・かわいそうに。
「あのー天の御遣いってなにかな?」
「この乱世に平和を誘う天の使者。あくまでも、自称大陸一の占い師、管輅の言葉です」
「乱世って?」
乱世って俗にいう戦国時代てきなことなんかな?
張飛「今の世の中のことなのだ。漢王朝が腐敗して弱い人からたくさんの税金をとって、好き勝手しているのだ。それに盗賊たちも一杯一杯いて、弱い人を苛めているのだ!」
「そんな力ない人達を守ろうって立ち上がったのが、私達三人なんだよ。だけど・・私達三人の力だけじゃ何にもできなくて・・・」
「どうすればいいのか、考えていた時に管輅と出会い」
「その占いを信じて、鈴々達がここに来たってことなのだ」
「なるほどねぇ、その場所に来たら盗賊に襲われている俺が居たのか」
俺も運がいいのか悪いのかよく分かんないとこに飛ばされたな。
それにしても弱い人を助けるために立ち上がったって言っても、この張飛って子幼くないか?
こんな小さい子すらも、戦に巻き込まれる時代ってことか。
悲しいな。
「でも、俺、君たちが言っている天の御遣いじゃないとおもうよ?別に強くないし、魔法・・・仙術、い
や、妖術?、よく分かんないけどそういうのは使えないしさ」
まぁ、武器を思い浮かべただけで創り出せるのは十分魔法かな?
「えー仙術使えないのかーお兄ちゃんダメダメなのだ」
「うっ、ごめん・・・」
そんな残念そうに言われるとなんだか俺が悪い気がしてきたけど使えない物は使えないし・・・なぁ?
「でもでも、あなたがこの国の人間じゃないっていうのは、隠しようもないはずです!」
「まぁ、それは確かに、てか、そもそもこの国の人間って言ってないし」
「だ、だからあなたは天の御遣いってことに確定です!」
「う、うーん?」
なんだか、ちょっと違うきがするのは俺だけか?
でも、まぁ、なぁ?
などと、考えていたら俺の腹の虫が盛大になってくれたわけでして、皆さんこっちをガン見ですよ。
ちゃんと朝飯食ったのにとか思ってたら一晩ここで寝たのを忘れてたよね、うん。
「そういえば、私達もおなか減ったね」
「朝ごはん食べてないせいなのだー」
「近くの街に移動しますか」
「賛成なのだー!」
「じゃあ、そこで天の御遣い様にも色々とお話を聞いてもらおう!」
あっ、天の御遣い様で貫くのね。
「それが良いでしょう。では善は急げ。早速移動しましょう」
なんだかんだ、そのまんま俺は三人について行った。
俺もお腹空いてるし、目標を達成するためにも一緒に行動したほうがお得だもんね!
とか、考えながら俺らは街に入っていった。
改めて見て思ったが・・・昔やなぁ。
今じゃ、滅多にお目にかかれない光景だろうな。
などと、考えてたら張飛さん?に呼ばれた。
「お兄ちゃん、何やってるのだ?鈴々は腹ぺこなのだから早く来るのだ!」
どうやら考え事をして足が止まっていたようだ。
そんな俺に張飛さん
は駆け寄ると俺の手を引っ張りながら店の中に連れて行った。
すんごい、お腹へってたんだろうなぁなどと思いながら俺は引っ張られていくのであった。
店の中に入って、注文をして、少し経ったら料理が届いた。
やっぱ、本場の中華は違うねメッチャうまいわ。
と、お腹いっぱいまで食べたところで劉備さんが話しかけてきた。
「それでね、桐生様」
さっきまでの呼び方ではなく桐生様と呼んできた彼女の顔は真剣そのものだ。
どうやら、俺もこのこに対して真剣に話を聞かねばいけないようだ。
「さっきも説明したとおり、私たちは弱い人が傷つき、無念をいだいて倒れることが我慢できなくて、少
しでも力になれるならって、そう思って今まで旅を続けてきたの・・・でも、三人だけじゃ、何の力にもなれ
ない。そんな時代になってきてる」
「官匪の横行、太守の暴政・・・そして、弱い人間が群れをなし、更に弱い人間を叩く。そういった負の
連鎖が強大なうねりをおびて、この大陸を覆っている」
「三人だけじゃ、もう、何もできなくなってるのだ」
「でもね、そんなことで挫けたくない。無力な私にだって、何かできることはあるはず。・・・だから、桐生様!」
「お、おう?」
「私達に力を貸してください!」
「えっ!?」
「天の御遣いであるあなたが力を貸してくだされば、きっともっと弱い人達を守れるって、そう思うんです!」
「うん」
「戦えない人を・・・力なき人達を守るために。力があるからって好き放題暴れて、人のことを考えない
ケダモノみたいな奴らをこらしめるために!」
真っ直ぐに俺を見つめる瞳。
その瞳を少し潤ませながら、劉備は俺の手を両手で強く握り締める。
そこから伝わってくるのは、所謂、真心って言うやつだろうか。
本当に心から誰かの力になりたいって考えている劉備の言葉には、逆らえないぐらいの迫力があって、それで
いて、人を惹きつけるような魅力があった。
「だけどさ、俺はさっきも言ったように何の力もない普通の人間だ。君たちの言っている天の御遣いなん
ていうだいそれたものじゃない。そんな人間が人を助けることはできるのかな?」
「確かに、あなたの言うとおりです。ですが、別にあなたが本当に天の御遣いである必要はないのです」
「そうそう、天の御遣いかもしれないっていうのが大事なことなのだ」
「えっと、つまり?」
「我ら三人、憚りながらそれなりの力はある。しかし、我らに足りないものがある。・・・それは」
「名声、風評、知名度、そういった、人を惹きつけるにたる実績がないの」
「山賊や賞金首を捕まえたりしても、それは一部の地域での評判しか得ることが出来ないのだ」
「そう、本来ならば、その評判は積み重ねていかなければならない。しかし、今の状況は私達にその時間
をくれそうにもないのです」
「一つの村を救えても、その間に他の村の人達が泣いている。もう、私達三人だけの力じゃ限界が来てい
るんです」
「つまり、天の御遣いという評判を利用して大きか乱世に羽ばたくってことか」
まぁ、この子たちの考えは間違っちゃいない。
こんな時代、自らの評判を上げるためにはなんだって利用しなくちゃいけない。
こんな言い方をするとアレだけどな。
この子たちの信念とやらは伝わった。
だから、俺はもうひとつこのこに聞かなきゃいけないことがある。
「なぁ、劉備さんとやら、一つ聞きたいんだ」
「なんですか」
「劉備さんは、力を使って何をしたいんだ」
「この世から争いをなくすことです。もう誰も戦で悲しむことがない世の中にしたいんです」
「その、争いをなくすために争い事をしてもか?平和にするために人の命を奪ってまでもか?その争いで大勢の人が泣いてもか?それが、本当にあんたのやりたいことなのか?」
「そ、それは・・・・」
「俺はな、劉備さんの考えはとても甘い考えだと思うんだ」
「なっ、桃香様を侮辱するのか!」
「侮辱はしてない、ただ甘いって言ってるんだ」
俺は人を殺したり、重い責任を背負ったことがないから、正直言って力になってくれなんて言われたって現実感がわかない。
でも、人を救うために人を殺すっていうのは俺が思ってるよりも物凄く重いことだと思う。
だって、殺すってことはその人のすべてを背負うってことと同じきがする。
恨まれて憎まれもするだろう。
だから、俺はひとつ返事に力になることはきっとできない。
「甘いだと?桃香様がどれだけ心を痛めているかもわからない奴g『愛紗ちゃん、やめて』・・・桃香様
」
「愛紗ちゃんありがとう、でも、桐生様が言ってることも間違ってないと思う。私の考えは甘いし、矛盾
してるかもしれない・・・・だけど、行動起こさないと何も変わらないのも事実、それに、私一人では絶対にできっこない、だから、私は鈴々ちゃんや愛紗ちゃん達の力を借りてみんなを助けたいと思ってる。その力を借りたい一人の中に桐生様が入ってるの」
「そっか、劉備さんの気持ちは伝わったし、力も貸したいと思った」
「なら、仲間になってくれるんですね?」
「いや、仲間にはなれない」
「なっ、桐生殿どういうつもりですか、桃香様の話を聞いて納得されたのではなかったのですか?」
「もちろん、劉備さんの気持ちは伝わりました。それに劉備さんや関羽さん張飛さんになら力を貸したい
と思いました」
「なら、何故!?」
「すまない、俺、自身の問題なんだ」
「お兄ちゃんの問題?」
「そう、俺の問題。俺にはまだ覚悟ができていないんだ。どんな形であろうと人の命を奪う側に行く覚悟
が」
「桐生殿の気持ちは分かります、けれど私達にも時間がないのです!」
「そっちの事情もわかる。だけど、どうしても無理なんだ!!」
「・・・・・っ!」
関羽さんがとてつもない形相で俺を睨んでいる。
でこ、こればかりは俺も譲れない。
そうやって二人してにらめっこしているときだった。
「・・・・・・・・分かりました」
俺は思わぬ返事に少し驚いた。
「桃香様・・・?」
「桐生様に仲間になってもらうのは今は諦めます。でも、1つだけお願いがあるんです」
「なにかな?」
今は?なにかひっかかる言い方だな。
「人の命を奪う・・・・いや、人を守るために人を殺す覚悟ができたら私達のところに戻ってきて欲しい
んです」
「・・・・分かった、約束する」
「ありがとうございます」
「いや、こちらこそ・・・ありがとう」
俺なんかに戻ってくる猶予を与えてくれるなんて本当にありがたい。
「あとあと、もう一つだけお願いがあるんです」
「何かな?」
「えっと、その、ここの食事の代金を支払って欲しいんです!」
一樹「・・・・・えっ?」
「実は私達無一文なんです」
関羽さんが遠い目をしていた。
「じゃあ、なんでここに来たの!?」
「お兄ちゃんがお金を持ってると思って」
「いや、俺も金なんか、ないから!」
食堂のおばちゃん「ほぉ、あんた達このご時世に無銭飲食とはいい度胸だね」
後ろで話しを聞いてたらしい食堂のおばちゃんが俺達の前にぬっと出てきた。
「い、いえ、これにはわけがありまして」
「言語道断、やっちまいなあんたら」
「「「「うぉおおおおおおおお」」」」
「うわぁああああ」
という感じで、こってり絞られてお金の代わりにみんなで皿洗いをしました。
皿洗いですんだだけましだよな、うん。
「戦場ではこんな疲れでないというのに」
「ここも、私にとっては((台所|センジョウ))さ」
「うぅ、否定出来ないのだ〜」
「さっき話を少し聞いてたけど、あんたら、この世から戦をなくすそうだね」
「はい、悲しむ人をもう、見たくないから」
「そうかい、応援してるよ。あと、これ」
そういうと、食堂のおばちゃんはお酒を劉備さんに手渡した。
「これ、いいんですか?」
「あんた達へのお祝いだよ、必ず平和にしておくれよ」
「「「はい!」」」
「良い返事だね、本当にあんた達ならできそうな気がするよ」
そう言って食堂のおばちゃんは台所へ戻っていった。
そして俺達も食堂を出て少し歩いていたところだった。
「これから、お兄ちゃんはどうするのだ?」
「これから・・・か」
張飛さんの質問に少し戸惑った。
なぜなら、俺は劉備さん達の仲間には今はならないとは言ったものの行くあてなど全く決めていなかったからだ。
計画性ないのな俺、なんてこと思っていると劉備さんが話しかけてきた。
「もし、すぐにどこか行くわけではないのなら少し付き合ってもらえませんか?」
「理由を聞いても?」
「そんな、理由なんて大層なことではないんですけど、せっかくもらったお酒ですしみんなで飲もうかと
思ったんです」
「賛成なのだぁー」
「鈴々、お前はお酒が飲みたいだけだろう、まったく」
「どうですか、桐生様?」
「えっと、ごめん。それはできない」
「そうですか」
「えっと、本当にごめんね?」
「いや、大丈夫ですから、桐生様。あっ、じゃあ、一つだけお願いが」
今日だけで結構お願いされたな俺・・・・
「えっと、なにかな?」
「私の真名を預かって欲しいんです」
「うん?」
「桃香様!いくら御遣い殿とはいえ、真名を預けるのは!」
なんかわからないけど関羽さんが怒りはじめたぞ!
「愛紗ちゃん、今じゃないけど、いつか必ず私達の仲間になってくれる人なんだよ?」
「そ、それはそうですが」
「それでも、愛紗ちゃんは真名を預けるなっていうの?」
「うぐっ・・・・・」
なんかよくわからないけど、関雲長が押されてるぞ!
てか、真名ってなによ?
俺は、よくわからなかったので張飛さんに聞いてみることにした。
「なぁなぁ、張飛さん。真名ってなにかな?」(小声)
「お、お兄ちゃん、真名も知らないのかー?!鈴々だって真名ぐらいは知ってるのだ」
「いや、だから、君達の言う天の国から来たからわかんないんです!」
張飛さん、めっちゃ大きな声でリアクションしてくれたよ!!
そのおかげで二人共言い争いやめてこっちをポカーンとした顔で見てるよ!
「天の国には真名はないのですか?」
「真名?よくわからないけど、こっち風に言うと姓と名だけだよ」
「左様でしたか、こちらの世界では真名というものがあるのです」
「へぇ〜なにそれ?」
劉備「簡単に言うと、信頼した人や大事な人にしか呼ぶことを許さない名かな」
「因みに許されてないのに呼ぶとどうなるの?」
「頭と体が一緒にいられなくなっちゃうのだ」
張飛さん笑顔で怖いこと言ってるよ!?
つまり、首がはねられるってことね・・・・
俺、こ劉備さん達に会った時に安易に真名とやらを呼ばなくて正解だったのか。
知らぬうちに命拾いしたな俺。
「いや、でも、ちょっと、待って」
「なにかな?」
「二人が争ってたのってその真名とやらを許すか許さないかだよね?」
「左様ですが」
「いや、ダメでしょ!許しちゃ」
「どうして?私は桐生様なら預けてもいいって思ってるよ。覚悟を決めて戻ってくるって言ってくれた人
だから」
「桃香様・・・・・」
劉備さんの台詞メッチャ恥ずかしい////
あんな、まっすぐに言われると照れるよ、さすがに。
「う〜ん、鈴々は難しいことはよくわからないのだ。でも、お兄ちゃんになら鈴々の真名を預けていいっ
て思えるのだ」
「えっ、おっ、おう?」
「お兄ちゃんに鈴々の真名を預けるのだ。これからは鈴々でいいのだ」
「えっ、いいの?本当に?」
「ほんとなのだ!」
「そっか、ありがとな、えーっと、鈴々!」
「別にお礼はいらないのだ!」
「ははっ、そっか、そっか」
俺はそう言いながら、鈴々の頭を撫でた。
「くすぐったいのだー」
「えっと、いいかな、桐生様」
「うん?なんですか劉備さん?」
俺は一旦、鈴々を撫でるのをやめて劉備さんの方を向いた。
「私の真名は桃香、よろしくね、桐生様!」
「劉備さんも預けてくれるの?」
「もちろんだよ!だって、私達のご主人様だし!」
「そっか、ありがとねって・・・・・はい?ご主人様?」
「桃香様・・・・・?」
関羽さんと俺は同じ反応していたようだった。
「だって、いずれ私たちの仲間になってくれる人だし、それに、それに、天の御遣いだよ!」
超うれしいそうに話してるけど意味わからん。
なに、天の御遣いだとこの国はご主人様になるんですかね?
「は、はぁ・・・・・?」
「だから、桐生様はご主人様なの!」
「そ、そうですか」
もう、つっこまないほうが楽な気がするからいいか。
「愛紗ちゃんはご主人様に真名を預けるのは嫌?」
「い、嫌ではないです、むしろ預けてもいいと思っています」
「なら、なんで?」
「本当に覚悟を決めて桃香様の元に戻ってきてくれるのかが、心配なのです」
「・・・・愛紗ちゃん」
「えーっと、それならさ、俺が帰ってきて、信用できる人物だと思ったら預けてほしいな」
「よろしいのですか?」
「関羽さんはおかしな人だな、よろしいもなにも真名っていうのはそういうものなんでしょ?」
「・・・・そうでしたね。ではそうさせていただきます」
「あぁ、そうしてくれると俺も嬉しいよ」
「ごめんね、愛紗ちゃん。なんだか、無理やり真名を預けさせるようなことを言って」
「いえ、桃香様が謝る必要はありません。私も預けたいと思っていたことには違いありませんから」
「そっか、ありがとね、愛紗ちゃん」
「これでこれは一件落着なのだー」
「ははっ、そうだな」
「そういえば、ご主人様はこれからどうするの?」
「う〜ん、すこし行きたい場所があってね」
まぁ、俺の行きたい場所っていうのは黄巾党と董卓って言う奴のとこなんだけどね。
たしか、張角は病死で董卓は呂布に殺されたのかな?
まぁ、これはあくまでも史実だから、この世界ではどうなるかわからないしな。
この三人は俺の知ってる話だとまだ、死なないはずだから放っておくけどね。
とりあえず、張角と董卓は見に行くだけ、見に行ったほうが一応いいもんな。
「そっか、それじゃあ、ここでお別れだね」
「あぁ、そうだな。でも、必ず桃香達のところに帰ってくるよ」
「うん、待ってる」
「それじゃあな、鈴々、桃香、関羽さん」
「また会う日までなのだー」
「いつか会う日まで」
「待ってるからー」
俺は桃香達とそこで別れた。
どうやらあの三人は俺の背中が見えなくなるまで手を振っててくれたみたい・・・・勘だけどね?
てか、思ったけど多分あのあとって桃園の誓いだよなぁ・・・・
もし、一緒に行ってたら歴史的瞬間に出会えたのかもなんて思ったり。
とか、くだらない事を思ってたら大問題が発生。
俺、今気づいたけど、金ない、地図ない、食べ物ない、あれ、死ぬんじゃなね?←今ここ
とりあえず、歩いてるけどここどこよ?
風景が殆ど変わらないし、てか、気づいたら森だし?夜だし?
食べ物あるんじゃないかという安易な考えで入ったあのときの俺を叱りたい気分です。
とか、そんなこと言ってる場合じゃないよ、ほんとに。
とりあえず、進むか・・・・
〜三日後〜
森で彷徨い、三日目です。
そろそろ、死ぬんじゃないかと思っております。
父ちゃん、母ちゃん、ごめん、俺の冒険はここで終わりのようだ。
そんなこと思っていたら、急激な眠気に襲われた。
これが、寝るな、寝たら死ぬぞ!かと思いながら俺は重いまぶたを閉じた。
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ある2人の主人公が別々の神様に出会い力を得る。 1人は復讐のため、1人は救うため ※ハーメルンの方にも掲載しています。 |
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