十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出! 第10話 試練の番犬、そして、最後の守護者
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(ボカロ界ロビー)

 

 海斗達は、ボカロ界のロビーに集合していた。

 

海斗:残りは、“戌(犬)”と“亥(猪)”だけだな

ミク:ミク〜、紆余曲折あったけど、あと2つミク

めぐみ:とにかく、この2つのうち、どちらかにメイコさんがいるはずピョン

ルカ:いなかったら、面倒でもこれまでクリアーしてきた部屋を調べないといけませんね

海斗:いや、間違いなく、この2つ・・おそらく最後の“亥”で待っているはずだ。でもその前に“犬”を解決しないといかん。とにかく先に進もう!

リン:そうだよね。進まなくちゃ

 

 こうして海斗達は、犬の顔をかたどった扉を開けて、中に入っていった。

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(犬の部屋)

 

 そこは、出入り口の扉が1つあるだけの、夜の平原だった。灯りは“月明かり”だけ・・・。

 

海斗:・・・つまり“ガチ生身の決闘”ってわけか

???:その通りよ

 

 いつのまにか、5m先に、3人の“犬の宝玉の守護者達”が現れていた。女性一人、男性二人。

 

アル:オレはアル。そして守護者にして、“強力(ごうりき)”を司る番犬「ガルム」

レオン:私はレオン。守護者にして、“俊敏(しゅんびん)”を司る番犬「オルトロス」

ソニカ:そして最後は、私、ソニカ。守護者にして、“総合力”を司る番犬「ケルベロス」

 

海斗:・・・つまり、召還獣決戦、そういうわけか?

ソニカ:いや、我々が“変身”するのが、ケルベロス等、というわけだ。お前の言うとおり、ここは“ガチ戦闘”。これまでの“シミュレーションRPG式”ではなく、お前自身が消滅を賭けて闘うのだ

アル:オレ、“ガルム”は、お前の“力強さ”を試す番犬

レオン:私、“オルトロス”は、お前の“素早さと器用さ”を試す番犬

ソニカ:そして、最後の私、“ケルベロス”は、今まで試された数々の“ステータス”、全てを試す番犬

海斗:消滅を賭けるわけだから、ここで負けたら、本当に終わり、なわけだな

ソニカ:我々を倒す事ができないような存在は、最後の“亥”の試練を受けるに値しないとし、ここで人生の終焉を迎える事になる

アル:そうそう、ここは“お前自身”を試す場所。他の仲間はこうなって貰う

 

 ガシャン!

 

 めぐみ達の上から、大きな鋼鉄製のオリが下りてきて、海斗以外の全員を閉じこめてしまった!

 

めぐみ:うわ! これ何ピョン!

ミク:ミク! 凄い丈夫なオリみたいミク!!

リン:この!!!!

 

 リンは魔法攻撃で破ろうとしたが、全く通じなかった。

 

ソニカ:お前達は、ここでは生身で、今までのシミュレーションRPG対戦のスキルを使える。しかし、そのオリは決して壊せず、更にそこから海斗を補助回復するスキルを海斗へ届かせる事は出来ない。ここでは、海斗だけが、我々と対戦する資格を有する

 

 トゥルルルル・・・

 

レオン:ん? 携帯か? おい、ソニカ、亥の部屋から電話だ

 

 ソニカはレオンから携帯を受け取ると、通話スイッチを押した。

 

 ピッ

 

ソニカ:はい・・・・あのオリですか?・・・・わかりました。では送りますので

 

 ピッ

 

海斗:今度は何だ!

ソニカ:今、最後の亥の部屋の守護者から電話があった。あの“仲間の入ったオリ”は、最後の試練で使うそうだ。準備があるので、先に亥の部屋に送ってくれ、との事だから、いつもと違う状況だが、そうさせて貰う

海斗:ちょっと待て! オレだけが闘うのは良いとしても、仲間をどうするつもりだ!

ソニカ:お前が勝った場合、最後で何らかしかのシチュエーションで、また会える事になる。お前が負けて消滅した後は、規定により、亥の部屋の守護者が、オリから出して、元の部屋に帰すことになっている。安心しろ

海斗:終盤の守護者だけに、やることがメチャクチャだ・・・

レオン:我々もこれはイレギュラーなのだぞ? いつもはこうではないのだ

アル:いつもはどうするかは言えない。いずれにしても、お前は勝たないと仲間に会えないことになる

 

ソニカ:あ! そうそう。そう言えば、先ほどの亥の部屋からの電話の声だが、いつもの女性とは違う声だったな。確かに女性の声だったのだが、もっと、年齢が上のような気がしたぞ。全く知らない声ではないのだが、誰なのかは失礼ながら思い出せない

海斗:そんなの、お前達を倒して、亥の部屋に行けばわかることだ。どうでもいい!

ソニカ:そうか。なら早速、転送させて貰う

 

海斗:みんな! 勝って助けに行くから、先に亥の部屋で待っていてくれ!

めぐみ:わかったピョン!

ミク:ミク! 絶対に勝ってミク!

ルカ:信じてますよ

 

 シュン!!!!!

 

 仲間を閉じこめたオリは、その場から消えてしまった。“犬の部屋“に残ったのは、アル、レオン、ソニカ、海斗だけだった。

 

海斗:時間もない! さっさと闘うぞ!

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アル:では、私から行かせて貰う。試す内容は、“力強さ”だ!

 

 シュンシュンシュンシューーーーーン!!!!

 

 アルは、赤と黒のまだら模様の、大きな戦闘犬に変身した。

 

ガルム:グルルルル・・・・・

 

 海斗もいつもシミュレーションRPG対戦で使っていた姿、そのままに変身した。服の布の感触、杖の質感、どれもが“本物”そのものだった。

 

海斗:なるほど、本当に“ガチ戦闘”なんだな・・・。HPとかMPとかの概念がないがスキルを本当に使うことが出来る。戦闘不能状態は、即、“消滅”を意味する・・・

 

ガルム:ガルル・・・ガゥ!!!!

 

 ガルムは全身の筋肉のバネを使って、海斗に飛び込んできた! 海斗は咄嗟に杖の両端を両手で持って、中央をガルムの口に噛ませて、噛みつき攻撃を防御した!

 

ガルム:グルゥウウウウウウ・・・・・

海斗:グヌヌ・・・な、なんて馬鹿力だ! さ、さすが“強力”の番犬、グヌヌ・・・

ガルム:ガルゥ!!!!!

 

 ガルムは一端口を開けてからバックステップし、海斗と距離を取ってから、体勢を立て直して攻める準備をした。

 

ガルム:グルル・・・・

海斗:はぁはぁ・・・。さすがにラス2の部屋・・・。本気で行かないと・・一瞬で噛み殺される・・・本気・・・殺される・・・!

 

 海斗は何かに気づいたようだ。

 

海斗:スキルは全部使えるんだった! おい! 青い宝石!

 

 青い宝石が光って合図してから、語りだした。

 

青い宝石:なんだ、まだレベルアップしてないぞ?

 

海斗:封印した“アウト・ロー”を引き出してくれ!

青い宝石:ああ? あれはお前、暴走したじゃないか・・・。いいのか? 仲間全員いない状態じゃ、今度こそ助けはこないぞ?

海斗:ここではアレはふさわしいスキルだ。まさに“生死をかけた闘い”。「相手を殺すつもりの本気(マジ)モード」でないと、勝てん!

青い宝石:わかったが、今のお前で“スキルを制御”できるか、正直わからん。おまけで“セーフティ”スキルを入れて置いてやる。“アウト・ロー専用スキル”を使えるのは6回だけだ。6回使用終了すると、強制的にスキルを再封印する。あとは、自分の能力でなんとか勝て

海斗:わかった。頼む

 

青い宝石:では・・・。スキル“アウト・ロー”を再発動! 及び新規スキル“セーフティ”同時発動!

 

 ギューーーーーーーーーン!!!!!!

 

海斗:おおおおおおお!!!!!!!!!・・・・・・ガ・・・ガルム・・・コ・・・コロス・・・

ガルム:グルル・・・ガゥ!!!!!

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 ガルムは体躯を後ろに移動させて力を溜めた状態から、一気に全力で海斗に飛びかかった!! 大きな牙のある開かれた獣の口が、海斗に襲いかかる!

海斗:笑止千万! 1回目スキル発動!! 「ジェノサイド」!!!!

 

 ブンッ!!!!

 

 海斗は杖を左手に持って、右手をあの“手刀”に切り替え、三日月の軌跡で、手刀をガルムを縦に斬るように移動させた!

 

ガルム:ガルゥ・・・・・・ガゥォオオオ!!!!

 

 ガルムの体は手刀の軌跡の通りに真っ二つに斬り裂かれ、四散して消えていった。

 

海斗:フッハッハッ・・・ハーーーーーッハッハッハッ!

 

 海斗は狂喜の笑い声を上げて、月を見つめた。

 

海斗:ツギ、コイヨ・・・・

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レオン:アルがやられたか。「力強さ」は合格。では、次は私だ。お前の「素早さ・器用さ」を試す!

 

 ギューーーーン!!!!

 

 レオンは虹色の細身で小型の番犬に変身した! いかにも俊敏そうだ

 

オルトロス:グルルル・・・・ガゥ!!!!

 

 ビューーーーン!!!!

 

 オルトロスは海斗を中心にして、半径5m程度の円周を作って高速で走っていた。

 

 ビュン!!!・・・スパッ!!

 

 どこかの地点でオルトロスは海斗に向けて牙の欠片を射出してきた。それは正確に海斗の右頬をかすり、反対側に抜けて消えていった。海斗の右頬の切り口からは、血が流れていた。海斗はその血を親指でさらい取って、舌で舐めた。

 

海斗:ペロッ・・・ホホォ・・・今度は、移動の速さと俊敏で器用な攻撃を要求しているわけか。しかし、ここは戦場、“いかなる手段を持ってしても、勝てばいい”、それが鉄則だ。だから、要求しているのとは、かなり違う方法で片づけさせて貰う

 

 海斗は今度は杖を右手に持ち、杖を高々と上げて、“アウト・ロー状態の専用スキル”の2つ目を繰り出した。

 

海斗:2回目! 「ニヴルヘイム」!!!!!

 

 海斗の回り360度全てに、どんどん広がる円状に、絶対零度の“氷の場”が出来ていった。オルトロスは相変わらず円周を高速でグルグル回っていて、牙も飛ばしてきていたのだが、その“氷の場”がオルトロスの軌跡にクロスすると、オルトロスの動きがどんどん落ちていき、牙も飛ばせなくなっていった。

 

 どんどんオルトロスのスピードがもったりしていき、そして、とうとう動けなくなって、氷漬けにされてしまった。

 

海斗:ハッ! 止まれば一瞬で氷漬けになると判断して、止まれなくなった。だが、無駄なあがきだったな。この場合、要するに動きを止めりゃいいのよ。でもって、最後にこうすればいい

 

 ガンッ! バラバラバラ・・・・

 

 海斗は左手で握り拳を作り、氷漬けのオルトロスを思いっきりぶん殴った! 衝撃でバラバラに崩壊するオルトロス。そして粉々になって、消えてしまった。

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ソニカ:・・・・我々が要求する能力として、“器用さ”は、スキルを使う事で満足した。“素早さ”はスキルを使う事を早期に閃いた事で満足した故、合格だ。では、これまでの全ての能力を試す、私、“ケルベロス”が、最後に相手をしてやろう。我を倒せば、エリアが消えて、扉の前に宝玉が現れるから、それを持っていくがいい!

 

 ギューーーーーン!!!!!!

 

ケルベロス:まずは、「知恵」を試すか・・・・・

 

 ケルベロスはこれまでと違い、海斗と距離を保って、攻撃態勢で待機していた。

 

海斗:ホォ、今度は今までとは違うわけか。だが、こちらのスキルには、そういう対峙関係を壊すのも用意されているのだ!

 

 海斗はケルベロスを睨み付け、頭部をうつむかせて、その前で腕をクロスさせ、3番目のスキルを発動させた!

 

海斗:3回目! 「イフリート」!!!!

 

 ゴォォオオオオ!!!!!

 

 なんと海斗は、自分とケルベロスを両方囲むように、半径7mの炎のサークルを作った。しかしそれだけではなかった。

 

海斗:ケルベロスさんよ、この炎のサークルは時間でどんどん半径を狭めていき、どちらかがここから消えないと、オレもお前も例外なく、消し炭になる。つまり、“待機”など、していられないのだよ。さっさと攻撃してきやがれ!

 

ケルベロス:・・・「知恵」、合格。トラップ消去、「大氷結」

 

 ごぉお・・・・・・・カキン、バリバリ・・・シューーーン

 

 なんとケルベロスは、ステータスを確認した時点で、炎のトラップを消去するため、炎そのものを冷気で凍り付かせて、解除してしまった。

 

海斗:!!!・・・面白えじゃねぇか

 

ケルベロス:次、「勇気」の試練。分身!

 

 ビューーーーーーン!!!!!

 

 なんとケルベロスは、海斗の周囲に、自分の分身を8体出現させ、同時に襲わせる準備をした。

 

海斗:くっ! なるほど、今度は恐怖に負けない「勇気」を試すってわけかい! いいだろう、こい!

 

ケルベロス達:ガウゥゥ!!!!

海斗:4回目! 「ガトリングガン」!!!!

 

 海斗は臆することなく、グルグル自転しながら、杖からエネルギー弾をガトリングのように連続発射させて、同時に牙を剥きだして襲ってきた8体のケルベロスに叩き込んだ!

 

ケルベロス達:グォオオオ!!!!

 

 8体のケルベロス達は後ろに転がっていき、倒れて全て消滅してしまった。

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ケルベロス:・・・「勇気」、合格。次、「決意」の試練。変身!

 

 ケルベロスは、とある女性に変身した。元に戻ったのではなかった。

 

ケルベロスが変身したメイコ:・・・海斗・・・この姿でも・・・・殺せる?

海斗:・・・・・・い、いや、あれは確実にケルベロスだ。間違いない事実・・・・。その“決意”を試すってわけか

ケルベロスが変身したメイコ:・・・例え違っても、この姿の存在に、刃を立てることが出来るの?

海斗:・・・・・・5回目、「無心剣」

 

 スパッ

 

 海斗は見えない程の一瞬で、右手の手刀を横に動かし、ケルベロスが変身したメイコを真っ二つに斬り裂いてしまった。

 

海斗:今のオレは羅刹。ヒトの“無駄な”感情で躊躇はしない

 

 2つになったケルベロスが変身したメイコは、煙に包まれ、そして元のケルベロス1つに戻った。

 

ケルベロス:・・・「決意」、合格。これで最後だ。「生存欲求」の試練。出てこい、死霊ども!

 

 ボコ・・・ボコ・・・ボコ・・・

 

 海斗の回りのあちこちから、海斗の仲間達の姿をした“死霊”が現れ、這いずりながら、ぞろぞろと襲ってきた。

 

海斗:一撃で全てを仕留めることができないか・・・つまり持久戦でもくじけない“生きる心”を試すってことかい。いいだろう!!!

 

 バシュ! ズバ! ジャキ!・・・・

 

 海斗は姿に惑わされず、戸惑うことなく、杖をビームセーバーに変えて、死霊達を斬りまくった! 斬られた死霊は次々消滅していった。

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 ・・・しかし、この最後の試練は、そんな甘いモノではなかった。出てくる死霊の数が半端ではなかった。

 

海斗:はぁ・・・・はぁ・・・・

死霊:ばぁぁぁあああああ

 

ケルベロス:最初の元気はどうした? “冥界の門番“とも言われたケルベロスの十八番を使った最後の試練、ジワジワ効いてきたのではないか?

海斗:はぁ・・・・はぁ・・・・ま、まだ・・・まだだ! まだ終わらんよ!

ケルベロス:その威勢が大事だ。ほら、どんどん出て来るぞ

 

死霊:ばぁああああ

 

海斗:し・・・しかしこのままでは、いくらこのモードになっているとはいえ、いつかは死霊の餌食にされる・・・。“決戦兵器スキル”を選んで一撃で葬らないと、モードが解除されたオレでは、この持久戦はムリだ・・・

 

死霊:ばぁああああ

 

海斗:数ある“専用スキル”の中で、この場を勝つためのスキル・・・・

 

死霊:ああああ

 

海斗:地面から死霊が出る・・・死霊は亡者・・・ケルベロスは“冥界の門番”・・・冥界は死地・・・・・・!

 

死霊:あああああああああああ

 

海斗:わかったぞ!!!!!! 最終スキル、「エデン」!!!!!!

 

 海斗は杖の先を土に突っ込んで、“生命が生まれてくる生きる力”が自動でどんどん生まれる能力を、地面全てに叩き込んだ!

 

死霊達:うぉおぉぉおおぉおぉおおおお・・・・ん・・・・・

 

 “死んでいること”が前提で生まれてくる死霊達は、“生命が生きる力”を与えられた地面からは生まれてこない。死霊は光る地面から、全く出てこなくなった。そして、冥界の存在であるケルベロスも、地面に付けていた足を通じて、この影響を多大に受けていた。

 

ケルベロス:み・・・・見事だ・・・・・・。約束通り、犬の宝玉を与える。残りは最後の“亥の部屋”だけだ・・・。私を倒したのだ・・・どんな事が待っていても、必ずうち破って行け・・・・・あの電話越しの声が・・・気になるが・・・・

 

 シューーーーーン・・・・・・・・

 

ケルベロス、三日月、草原、全てが消えて、扉と、光る犬の宝玉1個だけが残った。海斗も通常に戻っており、宝玉を掴むと扉を開けて、ロビーに戻った。

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(ボカロ界ロビー)

 

 カチッ・・・・カチッ・・・・

 

 地面の大時計が時を刻む音だけが、気になるくらいに聞こえてきた。

 

海斗:はぁ・・・はぁ・・・・の、残り30分・・・・。これで最後の扉をクリアーしないと・・・“死亡確定”・・か。いや! そうなるわけにはいかん! 仲間を助けないと!

 

 海斗は11:00の位置にある、猪の顔をかたどった扉の前に立っていた。

 

海斗:これで最後。仲間を助けて、オレは現世に帰るんだ!!!!

 

 バタン!!!

 

 海斗は扉を開けて、中に入った。

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(亥の部屋)

 

 部屋は薄暗かった。しかし、はっきりわかる“モノ”が、海斗の視界に入ってきた。

 

 巨大で高い天秤、右側には“猪の形をした宝玉”と“金色の鍵”が乗っかっており、左側には、あの“仲間が閉じこめられた金属のオリ”が乗っかっていた。中央は“白い支持部分”。そして、目の前には、“爆弾が先についたボウガンの矢”と“ボウガン”。

 

海斗:・・・・・どちらか選べ・・・・・そういうことかい・・・・

???:その通りです。挑戦者よ

 

 海斗の後ろから、金色と黒色の衣装を着た長髪の女性が現れた。

 

海斗:・・・・おまえが、最後の守護者か

リリィ:そう。私はリリィ。ボカロ界における最後の守護者、つまり、11:00の亥(猪)の宝玉の守護者

海斗:・・・・姿は綺麗な女性でも、やることは随分残酷だな、おい。究極の選択ってか?

リリィ:・・・いや、今回は特例でこれになった。私が発案者ではない。これを発案したのは、“彼女”だ

 

 すっ

 

 そこに現れた女性は、海斗が良く知っている、“今、最も会いたい人物”だった。

 

海斗:な・・・・・・・・・なぜ・・・・・・・・・・

 

メイコ:お久しぶりね、海斗。ご存じの、“メイコ”よ

 

(続く)

 

CAST

 

工藤海斗:KAITO

0:00の子の宝玉の守護者&案内天使・ミク:初音ミク

1:00の丑(牛)の宝玉の守護者・ルカ:巡音ルカ

2:00の寅(虎)の宝玉の守護者(兼、最後の守護者)・メイコ:MEIKO

3:00のうさぎ(兎)の宝玉の守護者・めぐみ:GUMI

4:00の辰(龍)の宝玉の双子の守護者・リン:鏡音リン

4:00の辰(龍)の宝玉の双子の守護者・レン:鏡音レン

5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・ハク:弱音ハク

5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・ネル:亞北ネル

5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・テト:重音テト

6:00の午(馬)の宝玉の守護者・学歩:神威がくぽ

7:00の未(羊)の宝玉の守護者達・従者・ユキ:歌愛ユキ

7:00の未(羊)の宝玉の守護者達・従者・テル:氷山キヨテル

7:00の未(羊)の宝玉の守護者達・主・ミキ:miki

8:00の申(猿)の宝玉の守護者達・アン:SWEET・ANN

8:00の申(猿)の宝玉の守護者達・ローラ:LOLA

8:00の申(猿)の宝玉の守護者達・ミリアム:MIRIAM

9:00の酉(鳥)の宝玉の守護者達・プリマ:Prima

9:00の酉(鳥)の宝玉の守護者達・トニオ:Tonio

10:00の戌(犬)の宝玉の守護者達・ソニカ:SONIKA

10:00の戌(犬)の宝玉の守護者達・アル:BIG-AL

10:00の戌(犬)の宝玉の守護者達・レオン:LEON

11:00の亥(猪)の宝玉の守護者(最後の守護者)・リリィ:Lily

 

その他:エキストラ

説明
○ボーカロイド小説シリーズ第11作目の” 十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出!“シリーズの第10話です。
○私の小説シリーズでは、“KAITOにーさん”が初の“主役”を勝ち取った作品です。
○内容は、まぁ、にーさんの代表曲のように、卑怯というか、何というか…。久々に脱出物です。
○なにやら不思議な空間に飛ばされたKAITOにーさん、どうなるのでしょうか?

☆今回は一転して、ガチ戦闘です。そして、最後の部屋へ・・・・。
☆残酷な最後の仕掛け、そして、それを発案したのは・・・・。
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タグ
Vocaloid KAITO 初音ミク 巡音ルカ MEIKO GUMI 鏡音リン 鏡音レン 亜種 海外組 

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