魔法少女リリカルなのは 四天王始めました |
フェイトが蒐集されてから一週間、守護騎士達と転生者達はひたすら魔力の蒐集を続けていた。
そんな殺伐とした外の世界ではあるが闇の書の内部は至って平和であった。それはもうお正月に炬燵でミカンを食べながらテレビを見ているかのごとく。
「ねえねえ! レインはオリジナルとボクどっちが強いと思う?」
「どうしてまたそんなことを?」
「だってさぁ……オリジナルと戦ったこと無いんだもん」
俺も戦ったこと無いから分からないんだが……。
「レヴィ……オリジナルと言っても姿だけしか私達と似てないんですよ。まあ、でも私も私の姿の元となった彼女と私どちらが強いのか気にならない訳じゃありませんが……」
シュテルもか……。シュテルの場合は比較対象が魔王だしなぁ……。
「レヴィは分からんがシュテルなら多分分かるぞ」
「本当ですか!」
「ええ〜良いな〜シュテるんは」
「これを越えられれば」
俺は魔王の写真を取り出す。勿論、被害者がかなり写っている写真をチョイスしてある。
「………………いえ、私は越えなくて良いです」
懸命な判断だ。
「どんな写真ですか? 見せてください」
すっかりと定位置となった俺の膝の上にいるユーにシュテルが写真を渡す。
「あ、ボクも見る」
俺の背中側から身を乗り出してユーと一緒にレヴィが写真を見る。
「これは……」
「シュテるん……ボクもシュテるんの意見に賛成するよ」
流石の破壊力……魔王の名は伊達じゃない。まあ、それは置いといてだ。
「ほら、ディアーチェ……そんなところで不貞腐れてないでこっちに来たら?」
「……誰のせいでこうなっていると思う」
「俺だけど」
そう、ディアーチェは体育座りしてこっちに背を向けてウジウジしているのだ。
何でこうなっているか、理由としては簡単だ……ただ単にこの場所で魔法が使えなく俺に歯が立たずにいるから不貞腐れているのだ。
「分かっているではないか……我ばかり除け者しおって」
最後の方は声が小さく俺以外に聞こえてないようだ。……相手にしてもらえなくて拗ねていると仕方ない子だなぁ。
俺は尻尾を生やしてディアーチェを捕まえて、俺の隣に引っ張る。
「なっ! 何をする!? 離せ、離さんか!」
尻尾の、拘束から抜けようとディアーチェが暴れるが抜け出せずそのまま俺の隣まで引っ張られてくる。
「……除け者にされてると思って拗ねてたんじゃないの?」
俺がニヤニヤとしながらディアーチェにしか聞こえないように耳元に囁く。
するとディアーチェは驚いた表情を浮かべて固まる。
「っ! ……何の事だ」
視線を泳がせて下手な口笛を吹くディアーチェ。
「全く誤魔化せてないけど……まあ良いや」
俺はディアーチェを降ろして虚空に視線を向けて外の様子を眺める。
「平和だね〜〜」
そこに映っていたのは防寒着に身を包みながらも楽しそうに買い物をする恋人達や子連れの家族達だ。
もうすぐでクリスマスだっけかな? 此所……闇の書の深部に囚われてから時間の感覚がおかしくなって正確な日時が分かんないだよね。
それにこのままだと俺は闇の書の防衛プログラムと一緒に消える運命なんだよね……自力で脱出出来ないし。
出る方法はあるにはあるが使ってほしくないし、そうなると俺が消えることになるけど……それはしょうがないと受け入れるしかないだろう。
本当に……生きるのって難しい。
その頃……棺型の水晶に封じられていたリゼットが目を覚ました。
そして……。
水晶を内側から破壊して外に出た。
その時に発生した音を聞き、近くにいた管理局員二名が其処に走って来た。
「お「ちょっと待て」いって……どうしたんだ?」
早速一人の局員がリゼットに話しかけようとしたがもう一人の局員が止めた。
「様子がおかしい」
「そりゃあ……今まで眠っていたんだ、だからまだ寝ぼけているんだろう」
あくまで寝ぼけていると思っている局員は再びリゼットに話しかけようとするがそれより先にリゼットはデバイスを取り出す。
「setup」
BJを纏うとリゼットは転移魔法を使いこの場所から去っていった。僅か数秒の出来事である。
この事はすぐさまアースラに伝えられ、リゼットと、少なからず親交のあった人達に少なからずの影響を与えた。
それから様々な世界で何者かを襲撃するリゼットが目撃されるようになり、同時に管理局がリゼットのSSランクの魔力に目をつけ、リゼットを管理局に入れようと動き出す者が現れた。
「……見つけた」
そう呟くリゼットの表情は能面のように無表情であり、感情を感じさせないが、その視線の先にいる四人の人物のうちの一人に明らかなる殺意を向けていた。
「……今度こそ此所で潰す」
リゼットは転移魔法で一瞬の内に距離を詰めると一人の何処にでもいそうなこれと言って目立たないような少年に零近距離で殺傷設定の魔法を放った。
「エクスプロージョン」
自身すら巻き込む巨大な爆発が発生した。
これを関知した管理局員が現場に向かうが其処には巨大なクレーターしか存在していなかった。
「もう蒐集も終わりのようですね。大分ページが埋ってます。後は守護騎士全員と少しの蒐集だけのようです」
「蒐集が終わるとどうなるの?」
「ふん、そんなのも知らんのか」
馬鹿にしたように笑うディアーチェ。
拗ねたままにした方が良かったのではないか? とふと思ってしまった。
「外じゃなくて此所がなんだけど」
「此処はこのまま変わらないよ〜。そうだよねシュテるん?」
「ええ、そうですよレヴィ。闇の書の暴走が始まっても此処は影響を受けません」
なるほど……でも、防衛プログラムは切り離されるからそれと一緒に切り離されたら俺はどの道消える運命なんだよね。
「はい、だからレインは心配しなくて良いですよ」
微笑みながら俺の腕を抱き締めるユー。
かなりなつかれてます。シュテル、レヴィ、ディアーチェは現在。俺の尻尾を椅子代わりにして座ってる。
本当……悪役みたいだ。俺はもう悪役以前に悪で決定だろ。もう既に何人も殺してるし、少なくとも善ではない。
「ありがと。それにしてもさ、色々な世界を行くのは良いけど……殆どが戦闘シーンしか見れないのって飽きない?」
俺はそう皆に訊く。実際に飽き飽きしているのだ。新しい世界につく度に戦闘、戦闘、戦闘、戦闘、と蒐集と言う目的があるのだからしょうがないかもしれないが…たまには観光みたいなことをしても良いんじゃないの?
「それはしょうがないことです。闇の書は蒐集が目的ですから」
「ボクは飽きないかな〜希にカッコイイのが見れるし」
「飽きたのならば寝てればよかろう? 我はそんなもんなど気にせん」
「戦闘シーンが多いのはしょうがないので私は殆ど寝てましたよ」
ユーは初めて会った時は寝てたしね。
「仕方ないか……ディアーチェの言う通り少し寝るよ。何かあったら起こしてね」
俺は目を瞑り眠気に身を任せた。
「お休みなさい……レイン」
眠りに落ちる最中にユーの声が聞こえた気がした。
「寝ましたか。……シュテル、レインの正体は分かりましたか?」
「いいえ……残念ながら。過去の記憶を遡れるだけ遡りましたが一つも掠りませんでした」
「そうですか」
「コヤツの正体などどうでもよい。問題なのは何故コヤツが此所に来れたかだ」
「王さま〜それなら最初にレインが言ってなかったけ?」
「ふん、信じられるか」
寝ているレインが起きないよう最小限の声でやり取りするUーD、シュテル、レヴィ、ディアーチェの四人。
「大丈夫ですよ、ディアーチェ。レインは嘘なんかついてませんから」
「何故わかるのだ? 」
「だってペラペラと情報喋ってくれますし」
「……確かにそうですね」
シュテルがUーDの意見に同意する。
「しかしな……」
それでもなお納得いかないディアーチェは寝ているレインに視線を向ける。
「そんなに気にしなくても良いと思うよ王さま〜。何かあればシュテるんが気づくだろうし」
「…………任せるぞシュテル」
「ええ、お任せください」
とある管理外世界。
「ハァ……ハァ……っく…………おのれ、やってくれる」
片腕を無くし足を引き摺りながら移動をする少年の姿があった。
時折掠れる意識を必死に繋ぎ止め歩き続ける少年。遂に体力の限界が来たのか地面に倒れ込む。
其処に一人の青年が現れた。
「おい! しっかりしろ! ……ひどい怪我じゃないか早く病院に!!」
青年が少年を背負う。すると、少年は一言ぼそりと呟いた。
「……質は悪いが致し方ない」
「ん? 何を言っ……て……ゲフッ……え?」
青年が何かを呟いた少年に何を言っていたのかを聞こうとするがそれは青年の胸元を貫く腕によって遮られ、青年は自分に何が起きたのかを理解するまもなく息絶えた。
「肉体の修復を開始する」
少年が青年の死体に手を翳すと青年の死体が粒子とかし少年の体に取り込まれていく。
それらが全て吸い込まれると先程の青年と同じ位まで成長した元少年の姿があった。
そして元少年は黒い靄を発生させるとこの世界からいなくなった。
説明 | ||
A's編 3話 目覚め | ||
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