末終之界世・章序
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 ここはどこ、私は誰。

 よくある漫画の一節を私は口ずさむ。

 決してふざけているわけではない。本当にわからないのだ。

 俗にいう記憶喪失というやつだろう。困ったものだ。

 私の目の前に広がる大地はどこまでも大地。緑ではない、赤い、大地だ。

 視界に人間も動物も映らない。

 ここはどこだろう。

 私は自分の両手を眺める。

 私は何者なのだろう。

 答えてくれる者はいない。

 当然といえば当然だ。

 これは終わってしまった物語なのだから。

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 いつも通りの日常。俺はそんな言葉が大好きだ。

 普段と同じ部屋で目覚め、両親におはようと言い、学校へ行くために朝食を取り、出掛ける。

 電車は満員でうんざりしながら携帯をいじる。学校の友人とメールをしているのだ。

 そして目的の駅に着くとなにも変わっていない友人に出会い、校門へとゆっくり歩く。

 ホームルームでは大した話もされずに一時限目の授業に入る。昨日はテレビを見ていた故に眠くなるが、ここは我慢しなければならない。

 そうして昼食の時間。クラスの友人のところで弁当を広げ、他愛もないくだらない話で盛り上がる、

 午後の授業は睡魔に敗れ、気づけば放課後。友人と談笑をしながら遊びに出掛ける。

「やっべー。まじやっべー。今日は金が十二円しかねーわー」

 隣を歩く工藤雄介がそう呟く。

 彼は小遣いがないのでいつも金銭不足なのだ。たまにいろんな奴の宿題を受けおる代わりに雀の涙ほどの小銭をもらっている。

「今日はパンダを見たい気分だ……」

 先頭を歩いている山田康が空に向けて言葉を放つ。

 彼は少し電波を受けやすい性格で、周りの人間は面白がってよってくる。教師たちはそれを山田ワールドと呼ぶ。

「俺は漫画でも買って帰るかな」

 俺、秋葉御徒町は小遣いはあるし電波を受けない。この中ではまともな人間だ。

「ボクは昨日買った小説を買おうかな」

 そしてもう一人のまともな人間、八咫烏雪乃は至って普通の台詞を言う。

 こうして、俺たちは放課後の時間を潰し、いつも通りの高校生活を満喫するのだ。

 そして、このいつも通りが今日で終わってしまうなんて思いもしていなかった……

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我ハ何故ココニ居ル?
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