魔法先生ネギま 〜疾風物語〜 第二十一話
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セラスさんに剣闘大会出場の旨を相談したら、大会までの期間みっちりと指導をしてもらえる事となった

しかし魔法の指導に関しては、自分よりも適任者がいると言う事でセラスさんは剣術と体術を担当するらしい

 

 

今は魔法の師を紹介すると言うことで、魔法騎士団の鍛錬所に来ている

セラスさんはその師を呼びに行ってしまい今いるのは僕一人だ

周りを見渡して誰も周囲にいないことを確認して、懐から((仮契約|パクティオー))カードを((二枚|・・))取り出す

 

ついこの前テオドラさまとの((仮契約|パクティオー))で出てきたカードには手甲と脚甲を装備した僕が描かれている

そしてカードの裏には『((THEODORA|テオドラ))・((BASILEIA|バシレイア))・((HELLADIS|ヘラス))・((DE|デ))・((VESPERISSZIMIA|ヴェスペリスジミア))』と

テオドラさまのフルネームが刻まれている

 

つまりパクティオーカードの裏には仮契約の主の名前が刻まれるという事だ

そしてテオドラさまとのカードをしまい、もう一枚の黒衣の剣士が描かれているカードを手に取り、裏返す

其処に書かれていた名前は今まで誰にも言っていないし、見ないようにしていた

何故ならば刻まれている名前は魔法世界、そして旧世界において最強最悪の伝説の賞金首の一人の名前だったからだ

 

 

 

 

 

((EVANGELINE|エヴァンジェリン))・((ATHANASIA|アタナシア))・((KITTY|キティ))・((MCDOWELL|マクダウェル))

 

 

 

 

 

 

600万ドルの賞金額の魔法使いにして((真祖の吸血鬼|ハイ・ディライトウォーカー))

その悪名は『((闇の福音|ダーク・エヴァンジェル))』、『((不死の魔法使い|マガ・ノスフェラトゥ))』、『((禍音の使徒|かいんのしと))』と呼ばれ語り継がれている

通説では歴代最高額の賞金首『((漆黒の焔神|フラム・オブ・ノワール))』と主従契約を結んでいたらしい

最も漆黒の焔神はもう何百年も前に旧世界で討伐されたと聞く

 

しかしこの二人が何を行い、何故賞金首に設定されたのかは不透明な部分がある

漆黒の焔神は町一つを焼き払い壊滅させ、数十人の町民を攫い魔法の実験をしたと言う

その実験の産物として吸血鬼化したのが闇の福音だ、と歴史書には書かれている

 

だが吸血鬼化の実験が成功したのなら、何故自分にもその魔法を施さなかったのか?

真祖の吸血鬼に、伝承にある吸血鬼らしい弱点は無い

全てを克服した吸血鬼が真祖と呼ばれるからだ

少なくとも吸血鬼化していれば、旧世界で討伐されることは無かったのではないだろうか?

 

そう考えると彼ら二人が賞金首になった経緯はとても疑わしい

マイナーな説になってしまうが彼らは旧世界に迫害を受けた人々の集落を作っていたらしい

この説が本当であれば二人が賞金首になるような人物とは思えない

せめてその集落の子孫が生き残っていれば説の証明になるのだが―――

 

「ハヤテさん、すいません。遅くなりました。貴方の師匠を勤めてくださる方をお連れしましたよ」

 

突然聞こえてきた声に反応し、俯けていた頭を上げる

そこにはセラスさんが。黒いローブを纏い顔さえ隠した人物を引き連れて立っていた

ローブに隠され顔は見えないが、身長は自分よりもずいぶん低いようだ

 

「いえ、自分も先ほど来たところです。そちらの方が?」

「ええ。もうローブを外してもいいですよ。ここには私と彼以外はおりませんので」

 

セラスさんがローブを纏った人物に話しかける

しかしその中から聞こえてきた声は甲高く、およそ魔法の師匠と思えないような少女の声だった

 

 

 

 

 

「全く。確かにわたしは賞金首だが、この扱いは無いのではないか?」

 

 

 

 

 

ローブを勢い良くバサァッと投げ捨て、その姿が晒される

 

 

 

 

風に靡く金色の美しく長い髪

 

見た目に反してその体からは老獪な雰囲気が滲み出ている

 

そしてその鋭い双眸が眼光鋭く僕を睨みつけた―――

 

「な、んだ、と?」

 

 

―――かと思いきや、思い切り見開かれる

彼女は口を大きく開け、唖然として僕を見続けている

僕の方も彼女を見た瞬間、頭の中である単語が思い浮かび、口をついて出てしまう

 

 

「キ、ティ?」

 

 

思わず出た言葉を押さえようとして、口を塞ごうとする

しかし突然頭を強い衝撃が襲い、口を押さえようとした手は頭を押さえる

頭が割れる程の痛みが襲い来る

まるでハンマーで頭を殴られるような、もしくは脳を手で掻き回されるような酷く不快な感覚

知らないうちに頭を掻き毟り、髪の毛はぼさぼさになる

 

「な、んだこれ。あったことない、のに。みたこと、もないの、に。頭に勝手、に浮かんでく、る…!」

 

 

金色の髪の優しそうな女性が頭に浮かぶ

メアリー?誰だそれは

 

僕はこんな人にあった覚えはない

 

 

 

緑色の髪の毛のナイフを持った人形が浮かぶ

チャチャゼロ?

 

こんな人形を買った覚えも見たことも無い

 

 

 

木造の建物に住んでいる人達

村の広場らしき場所を駆け回る子供達

 

僕はこんな所に行った覚えは無い

 

 

 

 

 

 

まるで脳がショートしてしまう程の情報の奔流

今見えているのは現実なのか、幻覚なのか

既にその判別さえ出来なくなった

セラスさんの声も((キティ|・・・))の声も、もう聞こえない

 

 

 

『また会う日まで。ハヤテ』

 

 

以前にも聞こえた、あの声だけはやけに鮮明に聞こえた

 

 

 

 

僕の意識は、そこで途絶した

 

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今回でエヴァと疾風が再会したわけですが、疾風の方はしょっぱなから気絶してしまいました

エヴァの方は…台詞が二つじゃ分かりませんね。エヴァファンの方々申し訳ありません

 

さて疾風は失った記憶を取り戻せるのか?

そして公式でチート(と言うか最早バグ)と名高いジャック・ラカンに勝てるのか?

 

 

それでは次回の投稿をお楽しみに

説明
第二十一話です。お楽しみいただければ幸いです
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コメント
人格を壊すようなことはしませんが、疾風には少しばかり混乱してもらうつもりですよ(ディアーリーズ)
記憶が戻るか・・それとも戻らないか・・。最悪混乱して人格が壊れるかもしれんな・・(ガルム)
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