リリカルなのはSFIA |
第十六話 あんまり変わってねえよ
すずか視点。
ホテル内をなのはちゃんと共に監視・警備をしていたら突然の爆発音が響くと共に外との連絡が取れなくなった。
今いる場所は人が最もいる会場。
会場の照明も落ちてあたりは暗くなり視界は悪くなった。同時に私は胸元に隠していたスノーホワイトの一部を起動させる。
私の周りに赤い宝石が六つ展開される。
自動追尾型レーザービット『ティアーズ』を人目につかないように低空飛行させた後、大きな声で叫んだ。
「管理局が突入してきたぞぉおおおおおお!!」
「ふぇ?!す、すずかちゃん?なにを・・・」
隣にいたなのはちゃんは私の言葉に驚いて目を丸くする。
その行動は無視。今はティアーズを通して流れ込んでくる情報を整理。
・・・見つけた!容疑者BとRを捕縛!
この二人はもとからマークをつけていた密輸の容疑者。その懐には古物展に出品されていたペンダント型のロストロギア。
「な、なんだ?!この鉄線は!」
「は、はずれない!いや、凍っていく?!」
私のティアーズはその宝石からその気軌道を描くかのように赤い光の線がティアーズから吐き出されながらも容疑者の二人を確保する。
その赤い紐を中心に氷漬けにしていく様子に誰もが驚いていた。
「動かないでください。貴方方二人を遺失文化横領の現行犯で逮捕します」
私は一気に走り出して彼等を追い詰める。
後ろからは魔力強化で私の後を追って来るなのはちゃん。
「なっ!デバイス?!」
「会場には持ち込みが禁止されているはずなのに!法の番人がそれを破るのか!」
「おあいにく様ですけど、これはデバイスじゃありません。それに動力は魔力ではありません」
「…質量兵器か!」
「なら、なおのこむお?!」
これ以上喋らせても無駄だ。
口元を凍らせて護送車に搬送させるまでは凍らせておこう。一応呼吸が出来るように鼻の部分は凍らせないでおく。
「特別捜査部隊ゼクシスの一人。月村すずか。文句があるなら法廷で」
少しやりすぎたかな?でも、非常事態だから仕方ない。
本来の目的密輸人の拿捕は達成した。残るはホテルの外で起こっている出来事だ。
アリサちゃんからガジェットの襲撃の連絡を高志君にも転送した後、なのはちゃんにこの場を任せることにした。
彼女は自分もガジェット掃討に行きたがっていたがデバイス。レイジングハートが上手く起動しない。
外でガジェットが魔力を無効化するAMFという機能を働かせている。それをある程度破壊しないと・・・。
「なのはちゃん。ここは任せるね」
「うん。フォワード陣の皆をよろしくね!レイジングハートが起動出来たらすぐに援護に行くから!」
と、私が駆け出した瞬間。
ギィイイイイイイイインッッ。
まるで金属同士を擦り合わせたかのような音が鳴り響く。
そして、スノーホワイトからも警告音が鳴り響く。
―パターンレッド!『知りたがる山羊』アサキムを感知!―
アリサ視点。
まったく、いきなりガジェットが現れたかと思えばいきなりラスボスが登場だなんてね・・・。
森の中で対峙している奴から目を離せないでいた。
「まったく山羊という言うよりは狼なんじゃないの」
「…少なからず当たりだ」
ホテルの周辺の森を警戒していたらフレイム・アイズから警戒するように言われて警戒していたら、空に黒い太陽が現れた。
その中から這い出るように出てきたアサキム。そして、森の奥から百体近いカプセル型のガジェット。球みたいなU型もちらほら見えた。
フォワード陣にガジェットは任せた。手が空いたらなのはとすずかと合流するように言いつけた。
「それで。君は援軍が来るまで僕の相手をするという事か…」
「足止めよ。相手なんてできるはずがないじゃない。あんたみたいな化け物」
正直言って足止めすらも出来そうにない。
あのシグナムさんやフェイトすらも片手で屠れる。そんな奴を相手に私が出来ることは…。
「…セカンドフォーム。…我慢してね、フレイム・アイズ」
『…気にすんな』
私は軽装備の剣士然としていたバリアジャケットを変形させた。
重厚な紅の鎧。そして、持っていたフレイム・アイズは四本の刃に分かれて腕を包む籠手のようになる。
防御と攻撃に特化したその姿。高志の持つガンレオンとどこか似ている。
「君は凄いね。圧倒的な戦力さにもかかわらず、無理をせずに出来ることをする。冷静さを失わないのは、あの金色の魔導師より優秀なのかもしれないね」
「お褒めに預かり光栄だわ。出来る事なら投降。それか手加減してほしいわね」
重厚な鎧を纏いながらも冷や汗が止まらない。恐怖もある。だけど、背中を見せるわけにもいかない。私がこの場を離れればフォワードにアサキムを任せることになる。
せめて、なのは。出来るのなら高志かリニスさんが来るまで耐えるしかない。
「そこまで緊張しなくてもいいよ。それに…。僕がその気になったら君は殺されたことにも気付けぬまま死ぬんだから」
ぞくっ。と、背筋を走る悪寒に震えが止まらない。
言葉通りに出来る。それを体に走る悪寒で理解した。
ガタガタと振るえる体に連動して鎧から音が零れる。それ以上に耳元でドッドッドッと鳴り響く自分の心臓の音がうるさい。
「…来たか」
「え?」
ドオオオオオオオオオオオオオンッ!
轟音を鳴り響かせながら私とアサキムの前に高速で落ちてきた黄色と黒の塊。
獅子の鎧を纏った高志が空から現れた。
「アリサ無事か!て、ガルムレイド・ブレイズ?!」
『違うぜ、旦那。フレイム・アイズのセカンドフォームだ』
ブラスタを解除してからガンレオンを装着した高志は私の今の姿をみて少し驚きを見せた。だけど、すぐにアサキムに視線を移す。
「…俺のスフィアを狩りに来たのか。アサキム」
「…まさか。確かに君のスフィアは欲しい。だけど、ね。君にはもう一つのスフィアを引きずり出す餌になってもらう」
リニスさんやリインフォースさんの事?
そんなことを考えていた私に気が付いたのかアサキムは言葉をつなげる。
「まあ、そのうちにわかるさ。それより…」
ゴウッ。と、魔力の暴風がアサキムから吹き付けてくる。
それを感じ取った私は思わず腰が抜けそうになったけど高志が私の前に立つ。そして、獅子の鎧から炎が吹き上がる。
「君の実力を見ておきたい」
「あんまり変わってねえよ。お前と同じで、な!」
先に動いたのは高志だった。そして、アサキムも漆黒の鎧を纏って高志の攻撃を受け止めながら空へと躍り上った。
それをしばらくの間、呆然としていた。
アサキムがいなくなったことに安心したのか、それともあいつが助けに来てくれたことが嬉しかったのか。どちらかと、判断しかねていたらフレイム・アイズから声がかかる。
『姉御。旦那からメッセージだ。フォワード陣の援護に回ってくれだそうだ』
「わ、わかったわ」
フォワード陣を援護して、なのは達と合流。
ホテルの一般人を助けて、高志の援護をする。その流れはわかる。
だけど…。
私に出来るだろうか。あのアサキムを相手に戦う高志の援護なんて…。
『…姉御?』
「大丈夫よフレイム・アイズ。私は私に出来ることをするわ」
一度、鎧を解いてファーストフォーム。元のバリアジャケットに戻してからフォワード陣の元へと向かう。
あの重厚な鎧はガンレオン並の装甲に設定しているとプレシアさんから聞いていたけど、アサキムを目の前にするとその装甲も紙以下に感じてしまった。
スフィアリアクターからの本気の殺気。
訓練ではリニスさんを相手に何度も相手をしてもらったけど、初めて受けた殺気に私は動けないでいた。
「…すぐに。すぐに助けを呼びに行くから」
私はフォワード陣が奮闘しているホテル周辺に急行する。
そして、アサキムを目の前にして何も出来なかった自分自身に誓う。
もっと強くなって高志の援護が出来るぐらいに強くなると。
そんな悔しさを感じながら私はホテル・アグスタへと足を進めた。
???視点。
旦那は今、ルーの相棒のガリューと一緒にこの古物展で密輸されるというレリックを探しに行った。
本当は私も探しに行きたかったけど、それよりも先に『傷だらけの獅子』の実力を見ておきたかった。そして、見た。
旦那の槍の攻撃を片手で受け止めるアサキム。そんな相手を力任せに戦う姿を。
『傷だらけの獅子』の戦い方は単純すぎる。
ただ殴る。力任せに殴る。そこに戦いの技術は無かった。本当にそれだけだった。
だけど、その稚拙さで戦える。
技量。才能。経験。それらを力だけで抑え込んでいる。
あのアサキムと戦える。
そんな力強さに私は目を奪われた。
あの力強さなら、あの力が治す力になるのなら絶対に旦那を救える。そう思った。だから…。
「…恨んでも構わない。だけど、絶対に私は旦那を助けるんだ」
誰にも気付かれないように。それでいながら慎重に。だけど、力強く私は魔力を高める。
この小さな体は旦那の手の平に乗る程だけど、それでもできることはある!
一瞬だ。一瞬でケリが付く。
アサキムは目の前の相手を殺そうとしない。それは好都合。
『傷だらけの獅子』。悪いけどあんたの体を頂くよ!
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第十六話 あんまり変わってねえよ | ||
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コメント | ||
誤字修正しました。ありがとうございます(たかB) 誤字報告その2 会場の床をの上を→会場の床の上を をがいりません 細かく突っ込んでしまって申し訳ありません。こういうのが気になってしまうたちでm(_ _)m (雷光) 誤字報告 視界が悪くなった。よ、→悪くなったよ 間の。がいりません(雷光) |
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