IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode163 自分との別れ
(はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・)
隼人は息を荒げるも、何とか整えて地面に着地して右膝を着ける。
(な、何とか・・・倒しましたね)
(あ、あぁ・・・。何とかな・・・)
隼人は大剣を振るいエクセリオン・ゼロの各部排熱口より排熱する。
(本当に・・・お前ってやつは大したもんだ)
と、闇隼人が近付いてくる。
(あの破壊の王ナハトヴァールを倒したんだからな。前代未聞の快挙だよ)
(そりゃどうも)
(これなら、もう心配する種は残って無いな)
(心配って、お前に心配されることは無いはずだが・・・)
(あるんだよ。重大で問題の心配事がな。だが、お前は破壊の王の力無しでナハトヴァールを打ち破った。それでもう心配の種が無い。だから俺もようやく楽になるってもんだ)
(・・・どういう事だ?)
隼人は闇隼人の言い方に引っ掛かる点があった。
(これで俺は休めれる。永遠にな)
(なに?)
(お前・・・まさか・・・!)
(一足先に・・・あの世に行っているぜ)
(ちょ、待て!?どういう事だ!?)
隼人は驚き闇隼人に問い返す。
(そのままの意味だ。俺はこのまま完全にここから消える。永遠にな)
(・・・・)
(なぜだ・・・なぜそんな・・・)
(元はと言えばな、ナハトヴァールを生み出した最もの要因は俺なんだ。俺が居続けるとナハトヴァールはまた再生してお前を蝕む)
(何だと?)
(何てしつこいやつだ・・・あれでもまだ残っているのか・・・)
(だから俺が消えることで、やつは一つのピースを失う。それで二度と再生は出来なくなる。永遠にな)
(・・・・)
(その代償に、お前は力の一部を失い、悲しみの感情も無くしてしまう)
(悲しみの感情を・・・)
(少し前の隼人の状態になるのか・・・)
(そういう事だ。お前はもう二度と悲しむことは無くなる。それが仲間の死であってもな)
(・・・・)
(それをもってして、お前は悲しみを感じなくなって、ナハトヴァールを呼び覚ます要因が無くなる。失う力もその一内のつだ)
(・・・・)
(・・・・)
(そんな重々しい雰囲気になるな。所詮俺はお前になり損ねた分身さ。消えるのは決められた運命さ)
重い空気を打開しようと闇隼人は口を開く。
(運命、か)
(・・・・)
(恐らくそれが・・・最後の悲しむと言う感情になるだろうな)
(・・・・)
(しっかり身に刻んでおけよ。もう二度と悲しみを感じ無くなるんだからな)
(・・・そうだな)
(さてと、そろそろ行くか)
と、闇隼人は左手を左胸に当てると、左手より光を出す。
(今度こそ、さよならだな)
(・・・・)
(そうかもしれんな。だが、俺はずっと覚えているぞ。例え形は無くても、心は一緒だとな)
と、隼人は左手の親指を立ててエクセリオン・ゼロの胸に当てる。
(そうだな。俺も・・・そう思いたいね)
(・・・お前には・・・感謝している。お前が協力してくれたお陰で、こうしてまた隼人と共に居られる)
(それはどういたしまして。俺も感謝するぜ)
(・・・私も絶対忘れはしないぞ。お前の事を・・・)
(そうか。そりゃ光栄なこった。まぁ頑張れよ、お二人さん)
(あぁ)
(それと、最初で最後のユニゾン・・・よかったぜ。貴重な体験だった)
(・・・・)
(言っておくが、別に変な意味じゃないぞ)
(わ、分かっている・・・)
(・・・・?)
(・・・・・・ありがとう)
(へっ・・・何か照れくさいな)
闇隼人は指で鼻の下を擦る。
すると闇隼人の身体が光りだす。
(もう時間か・・・)
(・・・・)
(・・・いざこうなると、寂しいものだな)
(そうですね)
(そりゃそうだろうな。お前は俺で、俺はお前なんだ。前世の頃からずっと一緒だったからな)
(そうだったな)
隼人は鼻で笑う。
(・・・楽しかったぜ、オリジナル、リインフォース)
(俺もだ)
(・・・あばよ。オリジナル・・・いや、神風隼人)
(さらばだ、もう一人の・・・俺)
闇隼人は笑みを浮かべて目を閉じると、足元から風に吹かれるように光の粒子となって消えていき、そして完全に消滅した。
(・・・・)
(逝ってしまいましたね)
(・・・あぁ)
隼人は顔を上げる。
(・・・・!)
そして隼人は少しハッと驚く。
少し離れた所にある木の前に、少し透けてはいるが、鈴が立っていた。
鈴は笑みを浮かべると隼人に向けて右手の親指を立てると、そのまま姿を消した。
(・・・鈴)
隼人はボソッと呟いた。
(隼人?)
リインフォースは呟きに気づくが、隼人は「何でもない」と言って後ろを振り向く。
(さてと、みんなが待っている。ここから出るぞ、リインフォース)
(はい、隼人)
隼人は大剣を元のディバイドライフルに戻し、そのまま一気に真上に飛び上がった。
「っ!」
一方外ではある事が起きていた。
ナハトヴァールが突然動きを鈍らせていた。
「一体何が!?」
「・・・・」
『どうやらお前達しか残ってないようだな』
「「「っ!?」」」
と、ナハトヴァールより聞き覚えのある声がして三人は驚く。
「「「隼人(君)!?」」」
『あぁ、俺だ。しかし、よく耐えたな』
「お、お前・・・大丈夫なのか!?」
『大丈夫だ。だからこうしていられるんだろ』
「・・・・」
『しかし、少し見ないうちに変わったな、一夏。中々かっこいいじゃないか。それにユニコーンとバンシィもスッキリした感じに変わったな』
「ま、間違いない。隼人だ」
「にゃははは・・・かもね」
「うん・・・そうだね」
(で、でも、ありえない・・・。ナハトヴァールが覚醒してそのベースになった人間の意志が目を覚ましてナハトヴァールを押し退けるなんて・・・こんなの前例が・・・)
ユニコーンは心底驚いていたが、ふと一夏の言葉を思い出す。
『僅かでも可能性が残っているのなら、それに賭ける』
(僅かでも可能性が残っているのなら、か・・・)
複雑な心境になって俯く。
(・・・一夏君達の諦めない心で、賭けに勝つなんて・・・・・・やっぱり人間は・・・侮れない)
「そうだね。心から信頼し、決して諦めない心が・・・奇跡を呼んだんだと、私は思うよ」
と、バンシィがユニコーンの隣になって言う。
「バンシィ・・・」
「私の計算でも成功するとは思ってなかった。でも、一夏君達には机上の計算は無意味みたいだね」
「・・・・」
「だから、神も可能性を思って居たんだと思う」
「・・・そうかもね」
ユニコーンは顔を上げる。
『だが、困ったことがあるんだよな』
「困ったことって?」
ユニコーンは隼人に問い返す。
『ナハトヴァールのやつが最後の悪足掻きをしたらしく、内部から出ることが出来ない』
「出ることが出来ないって・・・」
『だから、三人に頼みたいことがある』
「俺達に?」
『あぁ。簡単に説明するぞ。三人が持つ最大の攻撃を与えろ。全力全開、手加減なしで、こいつをぶっ飛ばせ!!』
「・・・なるほどな!!」
「さっすが隼人君!!わっかりやすい!!」
「全くだね!」
三人はすぐに身構える。
ナハトヴァールの意思は残ってないが、怨念の最後の悪足掻きか、ギクシャクした動きで左手を前に向け、周囲よりエネルギー刃を出す。
「いくぞ、インフィニティー!!あいつの絶対運命を断ち切る為に!!」
一夏は背中の翼を広げて光の翼を出すと零落白夜を発動させてオーラを纏いアロンダイトを両手に持って光の翼を羽ばたかせて残像を出すほどの速度で飛び出す。
ナハトヴァールは一夏に向けてエネルギー刃を飛ばそうとするが、ユニコーンがブラスタービットを一斉発射してエネルギー刃を全て撃ち落す。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
一夏はナハトヴァールの目の前まで来るとアロンダイトを振り被って勢いよく斜めに振り下ろして切り付け、すぐに斜め上に振り上げてV字にナハトヴァールを切り裂き、とっさに離れる。
「エクサランスカノン・・・フォースバースト!!」
ユニコーンはカートリッジを五発リロードし、バレルを前のほうに伸ばしてエネルギーを充填する。
「雷光一閃!!プラズマザンバー!!」
隣にいたバンシィはライオットザンバーを振り被りカートリッジを五発リロードし、上空より雷が刀身に落ちて強力な雷撃が纏う。
「いくよ、バンシィ!」
「いつでも!」
二人はエクサランスカノンとライオットザンバーをナハトヴァールに向ける。
「ブラスト!!」
「カラミティー!!」
「「シュゥゥゥゥゥゥトッ!!!」」
そして同時にエクサランスカノンとライオットザンバーより無数の強力なエネルギーが放たれてナハトヴァールを飲み込み、大爆発を起こした。
「どうだ・・・」
「隼人君・・・」
「隼人・・・
三人は爆煙を見続ける。
すると煙の中で薄っすらと光が現れると、中から上空に向かって何かが飛び出てきた。
「「「っ!」」」
三人はとっさに上空を見ると、一回転して背中の四枚のウイングを広げて静止するエクセリオン・ゼロがいた。
「「「隼人(君)!!」」」
「待たせたな、みんな」
隼人はそのままゆっくりと高度を落としながら三人の元に近付く。
「隼人・・・お前・・・」
「中々無茶をするようになったな、一夏」
「あ、いや・・・それは・・・」
「まぁいいや。今のその姿については後で聞こう」
「あ、あぁ」
「隼人君も・・・リインフォースも無事・・・なんだよね」
「あぁ。このとおりだ」
『私も無事だ』
「そう・・・。でも、本当に無茶するよね。下手すればナハトヴァールに取り込まれるかもしれないって言うのに」
『リスクを恐れては何も出来ない。分の悪い賭けは嫌いでは無い』
「分の悪い賭け・・・ねぇ」
「それはさすがに分が悪すぎると思うけど・・・」
「かもな」
『隼人さん!お姉ちゃん!』
と、ツヴァイが四人の元に近付いてきた。
「無事だったか、ツヴァイ」
『それよりも、隼人さん大丈夫なんですか!?』
「あぁ。リインフォースも無事だ」
『心配を掛けたな、ツヴァイ』
隼人は右手をツヴァイの頭に優しく置く。
『ほ、本当に・・・良かった・・・です』
ツヴァイは涙を流す。
『お帰りなさい!!隼人さん、お姉ちゃん!!』
そしてツヴァイは隼人に抱き付いた。
「さぁ、帰ろう。みんなの元へな」
「あぁ」
「うん」
「そうだね」
『はい』
『はいです!』
そうして五人は遠くにて待機しているネェル・アーガマへと向かおうとした―――――
しかしその瞬間、事態が一変する。
『っ!』
突然後ろから光が放たれて、五人はとっさに後ろを振り向く。
光が放たれていたのはナハトヴァールを撃破したところで、禍々しい黒紫の光が放たれてた。
「い、一体何が!?」
一夏は目を見開いて驚く。
「・・・この感覚は――――」
隼人は光の中から感じた事のある感覚を覚える。
すると光は勢いよく海に落ちると、そこから更に光を放った。
「・・・何て膨大なエネルギーなの!?」
バンシィは検知したエネルギー反応に目を見開いて驚く。
「・・・・」
ユニコーンは眉を顰めて光を見る。
「・・・あの野郎。どこまでしぶといんだ・・・」
『全くです。呆れ返るほどですね・・・』
「・・・・」
すると光が収まると、海中より巨大なものが水飛沫を上げて出現した。
「っ!?な、何だよあれ!?」
一夏は目を見開いて驚く。
「・・・・」
「・・・・」
ユニコーンとバンシィもそれを見て息を呑む。
それはまさしく怪獣とも言える姿をしていた。しかし同時に・・・・・・ガンダムの形状もしている。
隼人達の何倍もの大きさを持ち、上半身の腹部から腰にかけて細長いアームで繋がれ腰がガンダムの頭部をしており、それが図太い脚部になっており、その両脇に後部ユニットより蟹の鋏の様なクローを持ち、両肩より四本の爪を持つクローを出したかなり異質な姿をしていた。
すると更に各部より弦の様なウネウネした物を出し、背中のそれが束になって鋭く尖った巨大な杭を二本を形成し、その両脇に赤や黄色の翅を持つ巨大な翼を出し、長いアームの先端にクローを持つ両肩の両側に巨大な口径を持つキャノンを二門ずつ計四門を形成し、頭部のマスクが収納されて下より数本の鋭い牙を持つ口が現れ上半身と下半身のツインアイが発光する。
「な、何だよ・・・あれは・・・」
その圧倒的な姿に一夏はたじろぐ。
『まるで・・・悪魔です・・・』
「そんなの生易しい方だ。悪魔以上の化け物だ」
「・・・・」
(ナハトヴァール・・・これほどの力を解放するなんて・・・)
(・・・デビルガンダム・・・しかも第一と最終形態までの形状を持って、更にヘブンズソードとグランドの形状も取り入れていやがる・・・。もはや化け物以上も存在になっているな・・・)
(隼人・・・やっぱりあれは・・・)
(あいつだな)
(ですが、ナハトヴァールは先ほど消滅させたはずでは・・・)
(あいつは消滅しただろうが、その怨念だけは残っていたようだな)
(怨念・・・?まさか、あれ全部が・・・?)
(そうなれば、相当なものだな。怨念って言うのは・・・)
(・・・・)
(面倒な事になったな・・・)
『グオォォォォォォォォォォ!!!!』
ナハトヴァールは怪獣の様な咆哮を上げると、周囲に海中よりガンダムの頭部を持つ蛇の様なユニットを多数出現させた。
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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