超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編
[全1ページ]

俺は鬱陶しいほど明るく陽光の下で、黒曜日を振るっていた。

微かな一時と共に断末魔の咆哮、そして崩れ落ちる巨体。

俺は黒曜日に付いて、モンスターの体液を地面に向けて掃い、鮮血が大地を汚した。

 

『いい調子……じゃないね』

「仮にも生き物を殺すんだ……勿論、達成感ある。けどいい気分にはならないな」

 

黒曜日を量子に戻して、消えていくモンスターを静かに黙祷する。

モンスターは、基本殺せば消える。それはそのモンスターによって死んだあと消える時間は変わるが、消滅することには変わりない。

消える前にモンスターの肉体を加工して、素材にして武器にもしたりするのがこの世界の基本だ。

なのでモンスターの甲殻などを消えないうちにギルドに持っていくと、お金に変えてくれる。

このモンスターは直ぐに消えるタイプなので、素材を抜き取ることは無理だな。

 

『慣れないの?』

「逆に聞くけど、慣れてどうするんだよ。殺しを楽しむなんて外道だ」

 

仕方ない。そんなことは、いいわけだ。

モンスターがいるから、人々に危害が加わる。

だから、俺は剣を握って、その災害の根源を切り裂く。

忘れてはいけないことは、モンスターだって生きていること、自然環境の中で存在していることだ。

 

『君は本当にいい人な分類だ』

「それは、どうも」

 

影すら残さず消滅したモンスター。

俺は、懐からメモ帳に線を引いて今日もモンスター狩りをしている。

あの後、ショックのあまり寝込んでしまったシアンに俺はどうすることも出来ず、こうやってラステイションから依頼をこなしている。

世間の歯車ーーーそう言ってしまえば聞き覚えがいいが、今の俺は機械のように仕事をしている。

けど、今の俺にはこれしか出来ることはできない。

 

『全く、嫌な気分だ』

「シアン……大丈夫かな?」

『かなり心にキタだろうね。』

 

何も出来ないな。俺

あの、技術博覧会の中止がラジオで放送されて、シアンがショックを受けても、俺は進展無しに数日が過ぎ去っている。

 

『時間が解決するよ。それか、黒ッ娘を脅迫でもして無理やりでも開かせる?』

「………中々、過激だな」

『人生、いつだってハードでなきゃ飽きるよ』

 

意外なデペアの一面を知った。

今日、空は蒼穹を汚す様に漂った雲がいくつも見えた。

 

 

 

「あっ、紅夜」

 

 

 

 

……………。

 

『…………』

 

「おーい。聞こえているなら返事してよー。言葉のキャッチボールって重要だよ?」

 

デペア。いつもの作者のノリなら、場面が変わる所だよな?

 

『破壊神は文字通り、フラグブレイカーだからね。つまり((KY|空気読めない奴))』

 

なるほどなぁ。

こちらに親友に会うように手を振りながら走ってくるのは、数日前ブラックハートを簡単に欺き、モンスターを召喚した謎だらけの白衣を羽織った夜天 空という人物だった。

 

「なんだい?そんな情熱な目線で、流石の僕も照れちゃうよ?」

 

ウゼェと思った俺は、悪くないはずだ。

思ったんだが、こいつ性別はなんだろう?

力を込めてしまえば折れてしまいそうな華奢でしなやかだ。

魅力的に、そして見る物自体が違う次元と感じる蠱惑な銀眼に、荘厳な黄金の長髪が風と遊んでいる。

一見すれば、傾国の美少女ーーーそんな言葉が似合うだろうか?少なくても、この世界には違う存在だと感覚的に理解するほど、神秘と畏怖感、そして拒絶と孤立が、そいつから感じられるものだ。

 

「そんな警戒しないでも、((君から何もしない限り|・・・・・・・・・・))は僕も何もしないよ?。ここで会ったのも本当に偶然だし」

『証拠がない。君の場合は確立した事実を用意してもらいないと、信じれない』

「うわぁ、僕の信用度ゼロですか……」

『違う、深淵の如くマイナスだよ』

 

参ったなぁ……と声を漏らして、頭を掻く空。

そんな動作でさえ、神秘を感じるこいつはやはり、可笑しい。

この世界の頂点は女神だ。そんな当たり前の理をこいつは根元から破壊している。

 

「ところで、どこまで行っているの?僕、さっきまでプラネテューヌにいたからラステイションの現状を知らないんだ」

 

こいつの発言に俺は、妙な感覚を覚えた。

”どこまで行っているの?”それは、まるで、あらかじめ知っている展開を聞いているようだった。

 

『貴様こそプラネテューヌで何をした?』

「質問に質問を返す?……はぁ、経済の立て直しにモンスターの討伐だね」

『なっ……ん、だと…!?』

 

デペアはこれ以上にないぐらいに驚いた声を発した。

痙攣しているように宝玉からカチカチカチと恐怖を抱いている様に歯が鳴っている音が聞こえる。

 

『き、君が、人間の為に働く!? ありえねぇ、明日はこの世界の滅亡だ。ニヒル、君との旅も中々面白かったよ』

 

何故か、遺言を呟き始めた。

空はそれに大きなため息をついた。

 

「ダメじゃこりゃ、話にならない。えっと紅夜?恐らくだけど技術博覧会が中止になったぐらいかな?えっと……今まで通りならネプテューヌ達がシアンっていう小さな工場の社長さんを仲良くしていると思うんだけど……?」

「!?−−−なんで知っているっ」

 

未来予知なんてレベルじゃない。

まるで、あらかじめ知っていることを記憶している様に、空は言い当ててきた。

空は俺の動作に、そうかそうかと納得するように頷き、背を向けた。

 

「企業秘密だよ。これでも忙しい身だからまた今度ね。じゃあね♪」

 

空は、蠱惑的な笑みを浮かべると、無造作に浮いた。

 

「そうだ、一つ先を教えてあげる。総合技術博覧会はちゃんと開始されるよ。」

 

ーーーっ!

嘘の可能性を考えずに俺は声を出そうとしたが、空は消えていた。

姿、形、影もなく本当に刹那の時間もなく、消えた。

 

『なーんか、あいつの掌で泳がされている感がムカつく』

「そんなことより、この情報をシアンに!」

 

俺は駆けだした。

デペアは呆れた様にため息を吐く。

理屈がなくても、なぜかあの空の発言は信じれると本能が伝えたからだ。

魔力による身体能力の強化で、大きく跳躍しながら俺はラステイションに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

夜天 空side

 

紅夜が血相を変えてラステイションの町に向かっていくのを大空から見下ろしながら僕はため息を吐いた。

相変わらずのお人よしだ。僕の知っている紅夜と今の紅夜とは色々と違う点があるがやはり、零崎 紅夜であることは変わりない、と言うことだろう。

今頃、ネプテューヌ達はギガッシュから総合技術博覧会の情報を聞いて不快に思いながらも紅夜と同じようにシアンの元へ駆けつけるだろう。

 

「本当に……変わらない」

 

まるで知っているアニメを再度、見せられているみたいだ。

つまんない。もっと、刺激が欲しい……とか思うけど、流石に私情を実行にした場合の未来はよくないことをだと考えなくても分かるので、僕は何もしない。いつものように傍観するだけ……だんだけどなぁ。

 

「紅夜が、この世界にどんな影響を及ぼすのか……そこが心配だな」

 

まぁ、いい方向にもっていってくれることは間違いない。けど、ゲイムギョウ界の深淵の真実を知ったら彼はどうするだろうか?

絶望するのかな?嘆くのかな?僕の知っている紅夜とは明らかにメンタルが弱いから、その点がちょっと心配。

僕の行いは、僕自身、正しいと思っての行動だけど、人間視点から見れば狂気でありふれた人生を冒涜するような行いだ。

 

所詮この世は、バランスだ。

人は絶望を知るから、希望を理解できる。

自分が幸福だから、他人を不幸を想える。

穢れているから、自分より綺麗だと差別できる。

この世界にも、絶望を送るモンスターが存在する。それに恐怖する人間がいる。

希望を象徴する女神がいる。それに縋る人間がいる。この世界はそんなものだ。

 

「ラスボスみたいに玉座に座って待っているつもりはないけど」

 

遠ざかっていく親友の背中。

あの時と同じように、離れていく。

あの時は、冷静じゃなかった。だからしてしまった裏切りの行いに僕は、どう謝罪と償いをしたらいいだろう?

 

 

「会いたいな、話したいな、………紅夜」

 

今は叶う筈がない夢を僕は呟き、これからどういう風に未来が動くかを考えながら、あの姉がいなければ何も出来ない部屋に閉じこもってしまった色々と純粋すぎる女神候補生の様子でも見に行こうか。

 

 

 

「……イストワールは過保護だと思うね。誰に似たんだろう」

 

デペアにばれちゃったけど、親友と会うくらいのイベントは当然許されてもいいと思うけど、そんな愚痴を心に呟きながら、僕は空を翔けた。

 

 

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