バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第十四話
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「戻ったぞ・・・・て、なんだか客がいないのは気のせいか?」

「気のせいではないぞ。お前たちの試合を見ながら接客をしていたが客があんまり来ないのじゃ。」

 雄二が鋼牙に状況を説明する。

「つまりこの状況は外部で起きているというわけだな。」

「そのとおりじゃ、山刀。」

「翼で構わない。言いずらいだろ。」

「わかった。」

 そうやって考え込んでいると外野がなんだか騒がしくなってきた。

『お兄さん、すいませんです。』

『気にするな、チビッ子。』

『チビッ子じゃなくて葉月ですっ。』

「雄二が戻ってきたようだな。」

「そのようだな。」

『で、探しているのはどんな奴だ?』

 ガラッと音を立てて教室の扉が開く。

『お、坂本。妹か?』

『可愛い子だな。ねぇ、五年後にお兄さんと付き合わない?』

『俺はむしろ今だからこそ付き合いたいなぁ。』

 クラスの大半が囲んでいく。客いなくてもさすがに仕事をしろ。

『あ、あの葉月はお兄ちゃんを探しているんですっ』

 ん?この声聞いたことがあるな。

『お兄ちゃんの名前はなんていうんだ?』

『あぅ・・・・・・わからないです・・・』

『家族じゃないのか?それなら特徴は何かないのか?』

『騎士のお兄ちゃんです。』

『すまん、今二人いるんだがほかに何かないのか?』

『指輪をはめています。』

『『『『それは鋼牙だ。』』』』

「俺と決め付ける要素は簡単なものなんだな。」

「あ!騎士のお兄ちゃんだ。」

「葉月ちゃんか、久しぶりだな。よくここの学校がわかったな。」

「はいですっ。お兄ちゃんここの制服を着ていたからわかったです。」

「そうか。」

「鋼牙、アンタ葉月と知り合いなの?」

「ああ。お前も知り合いなのか?」

「当たり前よ。葉月はアタシの妹なんだから。」

「・・・・そうなのか?」

「はいですっ。島田葉月です!」

 驚いたな。確かに言われてみれば瞳の色に髪の色、顔の骨格も似ているな。

「あ、あのときの綺麗なお姉ちゃん!ぬいぐるみありがとうでしたっ!」

「こんにちは葉月ちゃん。あの子、可愛がってくれてる?」

「はいですっ!毎日一緒に寝ています!」

 なんだか姫路と話している様だが・・・・・・何の話だ?まあ他人のことには野暮に突っ込まない方が正しいな。

「雄二、何故こうも客が少ないんだ?」

「そういえば葉月、ここに来る途中でいろんな話を聞いたよ?」

「ドンナ話ナンダ?」

「あっ!喋る指輪さん!お久しぶりです。えっと中華喫茶は汚いから行かないほうがいい、って。」

「オソラクアノワッパドモノ妨害ジャナ。」

「ドウスル鋼牙?」

「葉月ちゃん、どこでよく聞いたのかな?」

「メイドさんがいっぱいのところで聞いたですっ!」

「ふむ。」

 Aクラスか。噂を広めるにはうってつけの場所だと思うが・・・・・・営業妨害を二重にしているな。

「翼、雄二。いくぞ。」

「む〜、せっかく葉月が来たのに!」

 確かにせっかく来てもらったのにこれは失礼だな。どうしたものか・・・・

「ワシタチト一緒ニ行動シテハドウジャ?」

 ゴルバのフォローが入る。助かった。

「それはいいですっ!」

「ふむ。ならば姫路と島田も一緒に言ってはどうじゃろうか?召還戦争もあるじゃろうし、早めに昼を済ませてくるよい。」

「そう、悪いわね秀吉。」

「いいんですか?ありがとうございます、木下君。」

 これで姫路達とも一緒に行動することになったか。全部で六人。少し混雑している中を進むのは難しいな。

「それじゃあ行くか。」

 鋼牙の言葉に一同は頷いた。

 

「悪い鋼牙、ここはやめておこう。」

「今更何を言う。見損なったぞ。」

「頼む。ここだけは、Aクラスだけは勘弁してくれ!」

 有事はジタバタしながら抵抗しているのはAクラス【メイド喫茶 『ご主人様とおよび!』】と店名で書かれている看板の前にいた。

「坂本、貴様のわがままに付き合っていては今の状況を改善出来ないぞ。」

「ソウジャトモ。男ナラバ覚悟ヲ決メ、敵地ニユクノジャ。」

 翼と鋼牙に引っ張られながら有事は強制入店させられる。

「翔子ちゃんのためにいいことしてくれますね。」

「鋼牙は優しいわね。」

「お前らの目は節穴か!」

 鋼牙は二人の言葉に突っ込むが周りの人の声によりその声はかき消された。

「・・・・・・お帰りなさいませ、ご主人様。」

 出迎えてきたのはメイド服を着た霧島であった。

「翔子ちゃん・・・綺麗ですね。」

「・・・ありがとう。ん!そっちにいる白い服を着た人は?」

「俺は山刀翼だ。ここの生徒だったものだ。」

「・・・・そう。私は霧島翔子。」

「ではよろしくな、霧島。」

「じゃあ私達も。」

「はい!失礼します。」

「・・・お帰りなさいませ、ご主人様にお嬢様。」

 霧島は丁寧に迎えてくれた。

「・・・・・・チッ」

 雄二もしぶしぶ入る。

「・・・・・・お帰りなさいませ。今夜は帰らせません、ダーリン。」

 なんだか変わったアレンジをしているな。

「翔子ちゃん、大胆です!」

「うちも見習わないと・・・・・・」

「あのお姉ちゃん、寝ないで一緒遊ぶのかな?」

 三者三様のリアクションをする。だが南は何をい習うのだ?」

「お席にご案内します。」

 霧島が歩き出したから俺たちも付いて行く。しかし客の人数がすごいな。ここまでとはな。

「お、お兄ちゃん。すごいお客さんだね〜。」

 霧島に席に案内され俺たちは座る。

「・・・・・ではメニューをどうぞ。」

「うちは『ふわふわシフォンケーキ』で。」

「あ、私もそれにします。」

「葉月も!」

「俺はチョコレートパフェにする。」

「鋼牙は相変わらずだな。俺はバナナパフェにする。」

「んじゃ俺は――――」

「・・・・ご注文を繰り返します。」

 遮る様に霧島が言う。雄二の頼みたい物がわかったのか?

「・・・・・・『ふわふわしフォンケーキ』が三つ、『チョコレートパフェ』が一つ、『バナナパフェ』が一つ、『メイドとの婚姻届』が一つ。以上でいいですか?」

「全然よろしくねえぞ!?」

「落ち着け雄二。」

「そうだ。騒いだら他の客に迷惑が掛かるぞ。」

「お前たちはそこを心配するのか!」

「・・・・では食器を用意いたします。」

 女子三人のところにフォーク、俺と翼の前にスプーン、雄二の前には字つんと朱肉が用意された。

「しょ、翔子!これ本当にうちの実印だぞ!どうやって手に入れたんだ!?」

「・・・・ではメイドとの新婚生活を想像しながらお待ちください。」

 霧島が優雅にお辞儀をしながらキッチンへと戻っていく。霧島とすれ違うように優子が近づいてくる。

「いらっしゃい、鋼牙。」

「ああ。」

「そっちにいる人は?」

「山刀翼だ。翼で構わない。」

「そう。」

「ところで優子、ここに変な客が来なかっか?」

「変な客?」

「そうです!騎士のお兄ちゃんのお店のことを悪く言っていたお客です!」

 葉月ちゃんがフォローに入った瞬間、聞き覚えのある声がしてきた。

『それにしてもFクラスの店は接客が最低だよな。』

『ああ。変ないちゃもんつけてきやがって、ほんと最低だぞ。』

「・・・・・・今の本当?」

「待ツノジャ。アヤツラノ話ヲウノミニスルノデハナイゾ。」

「・・・・・・今の声は何処から?」

「「・・・・・ゴルバ。」」

「ス、スマヌ・・・・・・」

 優子は翼の左手首を見る。

「指輪の次は腕輪・・・・・もうあなた達は何でも有りね。」

「マアコノコトハ置イテオイテアイツラノ方ダナ。」

「そうだな。なあ木下、あいつらさっきもここに来たのか?」

「ええ。さっきも同じことを繰り返していたわ。」

「トンダ迷惑行為ダナ。」

「マッタクジャ。ドウシタモノカノ?」

 一同考え込む。そしてザルバが提案をする。

「鋼牙、一肌脱ゲルカ?」

「どういうことだ?」

「女装ダヨ。オ前ガ女装スレバイイ。ソンデモッテココノ店員ニナリスマシアイツラヲ恥サラシニスルンダ。」

「ま、待って!鋼牙君がそんなこと「構わん。」・・・・え!?」

「それでことが解決するのならば一肌脱ぐ。それだけのことだ。」

「い、いいのならいいけど・・・・・・・・」

「ま、まあ鋼牙がいいと言ってんならそうしようぜ。悪いが木下、服貸してもらえるか?」

「え、ええ・・・いいわよ・・・」

「姫路、瑞希。化粧を頼む。というか粗方全て頼む。俺はああいう衣装を着たことが無い。」

「わ、わかりました。」

「こ、鋼牙がそういうなら・・・・」

 そのとき翔子がホットケーキとパフェ二つお盆に乗せてやって来た。

「お待たせいたしました。」

「・・・・・先に食べてからでもいいか?」

「鋼牙くんはチョコレートがすきなんですか?」

「ああ。苦いのがいいんだ。」

 鋼牙がパフェを食べて数分後。姫路、瑞希、優子の三人が気を落としていた。

「ど、どうしたんだ三人とも?」

「こ、鋼牙君が・・・・・」

「なんか女性として負けた気がします・・・」

「・・・・・自信無くすわ。」

 三人の後ろから女性顔負けの顔立ちの鋼牙の姿があった。

「・・・・・・本当に鋼牙か?」

「そんなに違うか?」

「ああ。お前の面影がまったく無い。」

「そうか。雄二、ザルバを預かってもらえるか?」

「別に構わないが・・・・・翼じゃなくていいのか?」

「そろそろ次の試合がある。お前が持っていたほうが効率がいい。」

「なるほどな。」

「じゃあ言ってくる。」

 鋼牙は女性らしい歩き方で三年生二人に接近していく。

「あいつ秀吉のように演劇の才能があんじゃないのか?」

「さっき私達が歩き方を簡単に説明しただけなのに・・・・」

「聞いただけであそこまで出来るなんて。」

「まあ、あいつは聞いたことを頭の中でイメージするからな。あれくらいは簡単なことだ。」

『キャ―――――!!』

 鋼牙が女性の声で悲鳴を上げる。

『こ、この人私の胸を触ってきました。』

『な!触ってないって!』

『嘘です!もうお嫁にいけない(泣)』

 三年生二人に周りのいたい視線が注がれる。二人は状況を察し金を払わずに店を出て行った。鋼牙は姫路達の方に向かっていく。

「演じ終わったぞ。」

「お前切り替え早いな。」

「そうか?あ、優子。」

「な、なに?」

 鋼牙は懐から一万円札を出し、優子に渡す。

「・・・え?」

「この服を貸してくれたのと、この店に迷惑が掛かったのと、あの二人と俺たちの分を含めてだ。足りなかったら払うが。」

「い、いいって。それにこんなに貰えないし。」

「俺とザルバからの気持ちだ。俺は着替えてくる。」

 鋼牙はそう言って更衣室の方へと足を進めた。

 そして三回戦は相手が食中毒を患ったために不戦勝。しばらく店の経営に専念した。

 

 鋼牙が食品倉庫のほうに食材を取りに行った瞬間の光景である。

「これとこれだな。」

(オイ鋼牙。)

(どうしたザルバ?)

(サッキ教頭ガオ前ニ話シカケタトキニナニカ違和感ヲカンジナカッタカ?)

(アア。オソラク魔導具ガ紛失シタ事件ニモ関与シテイルナ。)

「おい。お前が冴島鋼牙か?」

「ん?」

 鋼牙は後ろを振り向くと二人のチンピラの姿があった。

「ここは関係者以外立ち入り禁止だが・・・・・・何か用か?」

「ああ。死ね!」

 チンピラAがいきなり右手で殴りかかってきた。鋼牙はその拳を左の手の甲で上に挙げみぞに一発パンチを叩き込む。

「ぐうっ!」

 チンピラAは腹を抱えながら膝まづく。

「てめぇよくも!」

 チンピラBが接近してくる。鋼牙はわざと右足でゆっくりとキックする。

「馬鹿が!」

 チンピラBは左腕で捕まえる。鋼牙は右足を軸に左回し蹴りを喰らわせる。

「ぐあっ!」

 チンピラBは気を失った。

「去れ!」

 鋼牙の言葉に従うかのようにチンピラAはBを方で抱え込んで鋼牙に一言言って去っていった。

「てめぇ、夜道には気をつけろよ。」

 二人のチンピラが去っていたあと、ザルバが口を開いた。

「アイツラオマエガアノアダ名ッテコトヲ知ラナイヨウダナ。」

「ザルバ、あの名は俺は嫌いだ。」

「デモシカタナイダロ。オ前タチガ訓練シテイタ時ニカランデキタヤツラガ悪インダカラナ。」

 鋼牙はため息を吐きながら教室へと戻って行った。

 

説明
メイワクコウヲシラナイウチニシテイナイカ?
「女装」
コウガ、オマエッテホントスゴイナ。
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そういえば、もう一つの作品の更新は、どうなるのだろうか?(駿河)
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