今日も平和とカオスだらけ?の魔界物語
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今日ものどかな朝を迎える魔界中心にそびえ立つ城、魔帝城で珍しく一緒に朝食を食べているミノルとアキラ。

 

「アキラと一緒に国々の視察?」

 

「はい…」

 

ミノルは今日の予定を大臣に聞いてグレープフルーツジュースを口に付けた。

 

「今日、騎士団の訓練はないのはそういう事だったのか…」

 

そう言ってサラダのトマトをフォークで刺して口に入れるアキラ。

 

「確かヤマトは2ヶ月前からデストロイジュエルズの遠征で採掘作業の手伝い行っていたっけ?」

 

「はい…予定では翌日に帰還する予定です」

 

大臣の言葉に、ミノルはパンを口にして考えた。

 

『最近じゃあ滅多に目立った事は起きてないし、俺とアキラを呼び出して何を』

 

パンを噛みながら心中思ったミノルだった。

 

「まあ兎に角、行ってみよう?」

 

「んっ…まあそうだな…」

 

アキラの言葉にパンを飲み込んでミノルは返事をした。

 

 

 

 

 

朝食を終えて、黒い衣装に身に纏ったミノルと逆に白い衣装を纏ったアキラは城の廊下を歩いていた。

 

「しかし…久しぶりだな、ヤマト無しの国々の訪問は」

 

「そうだね…考えてみればヤマトとは長い付き合いになるね…」

 

「魔王の王位継承より前にいたからな…」

 

ミノルとアキラはヤマトの事を話していると目的地についた。

 

そこは、戦闘ヘリを停めているヘリポートだった。2人の前には戦闘ヘリ一台が停まっていた。

 

「ヘリで行くのか?」

 

「時間短縮のためです」

 

「場所によるって事?」

 

「はい、これが行く予定の国のリストです」

 

2人は大臣からリストを貰ってヘリに乗って、ヘリは2人を乗せて飛び立った。

 

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「最初に行くのは…ビステリア王国か…」

 

ビステリア王国とは…獣人達が治める王国で魔界では大国のジャンル入る程の力を持つ国である。

 

「ビステリア王国というとアーサーの国か…」

 

「アーサー、確かアキラの…」

 

「うん…騎士団の遠征で王位継承の前で何度か共闘して、王位になってから全然会ってないな…」

 

「俺は会議くらいで2・3回ぐらいしか会ってないな…」

 

そう言っている内に、ビステリア王国が見えてきた。城の広場にヘリが着陸し、ミノルとアキラはヘリから降りた。

 

「ミノル様・アキラ様、アーサー様が待つ王位の間にご案内致します」

 

臣下の後について行き、城の廊下を歩くと、王位の間の扉の前に到着した。

 

「開門!!」

 

王位の間の扉が開き、中に入ると中央の椅子にビステリア王国の国王アーサーとその妻で王妃のミーナが座って出迎えた。

 

「ようこそビステリア王国へ…久しぶりだな…アキラ殿」

 

「前よりずっと立派になったな…アーサー」

 

何年ぶりの再会をしたアーサーとアキラ。

 

「ミノル殿もわざわざ来ていただいて感謝する」

 

「いや…こちらも久しぶりだが…」

 

そう言ってミノルの視線はアーサーからミーナに向いた。

 

「嫁さんとは初対面だな…」

 

ミノルはミーナを見るのは初めてであり、アキラはミノルの代理で結婚式に出席してミーナを知っていた。

 

「初めまして…アーサーの妻でビステリア王国王妃のミーナと申します。以後よろしくお願いします」

 

「ご丁寧な挨拶ありがとう、私が魔王のミノル、以後お見知りおきを…」

 

ミーナの丁寧な挨拶にミノルも紳士的丁寧に挨拶で返した。

 

「さて…本題に入ろうか?何で俺たち2人を呼んだのかを?」

 

「うむ…今日は親衛隊隊長はいないのか?」

 

「ヤマト?ヤマトは今日はいない…遠征だけど」

 

「そうか…」

 

アキラの言葉に目を閉じて黙るアーサー。

 

すると、扉が開いてミノルとアキラが振り向くと…そこにはドレス姿で黄金色の毛並みをしている獣人の少女が王室の間に入ってきた。

 

「紹介しよう、我が娘でビステリア王国の王女(プリンセス)…ライナだ」

 

「初めましてライナです。ごきげんよう…」

 

「ミノルだ」

 

「初めましてアキラです」

 

ライナの挨拶に二人も返した。

 

「父の代わりに私がお話します…」

 

そう言って彼女は目を閉じた。

 

「あれは…3ヶ月前の事です」

 

 

 

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3ヶ月前…

 

 

『私は使者達と共に魔界の中心都市、『アルカディア』に視察しに来ました』

 

『ですが私は初めての国で、私は使者の目を盗んで泊まっていたホテルから抜け出しました』

 

『でも…見知らぬ場所で私は迷ってしまい、帰ろうとした時でした、柄の悪い方々数人とぶつかってしまって…』

 

 

「痛ッてー!!」

 

彼女とぶつかった男が腕を抑えて大声で膝をついた。

 

「どうしたんすか兄貴!」

 

「兄貴!」

 

周りにいた舎弟数人が兄貴と呼ばれている男に寄って来た。

 

「折れた!俺の腕が折れたぁ!!」

 

「しっかりしてください兄貴!」

 

「えっ…す、すみません!」

 

「すみませんじゃねえだろゴラァ!」

 

ライナは兄貴の男に謝るが、舎弟の一人が鋭いメンチを切って彼女を脅した。

 

「どうしてくれんだ!魔帝騎士団所属している兄貴の腕、複雑骨折してんじゃねえか!」

 

「どうしてくれんだゴラァ!!」

 

舎弟の一人が彼女の腕を掴んで引っ張ろうとしたら、黄金色の毛並みを見られてしまった。

 

「おっ!?おめえ獣人の女か!!」

 

そう言って腕を抑えながら兄貴が起き上がって彼女の顔をまじまじと見た。

 

「やめてください!離してください!!」

 

「うるせえ!人の姿した犬の分際で歯向かってんじゃねえ!!」

 

「!!!」

 

舎弟の一言で彼女はショックを受け、涙を少し流した。

 

「ちょっと来てもらおうか?ワンちゃん」

 

そう言ってショックを受けている彼女を男たちが連れて行こうとしたときだった。

 

きっと自分は辱めを受けて売られるんだと彼女は思ったその時だった。

 

ガシッ!

 

突如彼女の腕を掴んでいた舎弟の腕を横から誰かが掴んだのだ。

 

「少女一人に男が群がって無理やり連れまわそうとするなんて情けないね…」

 

グラサンをかけていた身長が180を超える男が兄貴達に言い放った。

 

「何だテメェ!やんのか!?ってイテテテ!」

 

舎弟が話している途中で男が腕を強く握り、舎弟から彼女を離し、ライナはヤマトの後ろに隠れた。

 

「ったく最近のナンパは罵声で女の子を口説くなんて…」

 

ヤマトがため息混じりで言った。

 

「このヤローぶっ殺してやる!!」

 

そう言って舎弟の1人が殴りかかろうとしたが、男の蹴りが舎弟の腹部をクリーンヒットして腹を抱えて苦しんだ。

 

「こんにゃろ!!」

 

「やりやがったな!?」

 

今度は2人掛かりで男に殴りかかろうとしたが、紙一重に避けて、一人には右ストレート、もう一人に左の掌底を当てた。残りは兄貴と舎弟の2人だけになった。

 

「やれやれ…んで?どうする」

 

「ふ、ふざけんな!たかが獣臭い獣人一匹のために…」

 

「・・・・」

 

舎弟の一言に彼女はまた泣きそうになった。

 

その時…

 

「あんた…自分がなに言っているのかわかってんのか?」

 

ジリジリと近づく男に兄貴と舎弟は少し震えだした。

 

「獣人だから何?獣臭いから何?だから何?」

 

そう言いながら男はついに2人の前にやって来た。

 

「謝罪を…そして二度とそんな寝言言わないと誓ってください」

 

「うるせえ!!」

 

舎弟が男に殴りかかったが、男が突き出した舎弟の拳を簡単に掴んで止めた。

 

「これが答えですか…」

 

男は徐々に力を入れ始め、ミシミシと生々しい骨の音が出始め、苦しみ出す舎弟。

 

「ふん!」

 

「グベッ!?!?」

 

男は痛みで隙が出来た舎弟に強烈な溝打ちを当て、悶絶する舎弟はそのまま倒れた。

 

「やれやれ…所詮は口だけか…」

 

「動くな!」

 

男は声がした方を見ると兄貴の男が少女を人質を取ってナイフを向けていた

 

「短刀を捨てて降伏したら?複雑骨折した腕してる5流大根役者の兄貴さん?」

 

「う、うるせえ!よくも俺様の部下たちを…それにな!」

 

そう言ってナイフの刃先を男に向けた。

 

 

「俺は魔帝騎士団の未来のエースなんだよ!」

 

「!!!」

 

男は兄貴の言葉に驚き、拳を強く握った。

 

「へぇ〜騎士団の?未来の?エース?君が?youが?」

 

喋りながら歩いて近づく男。

 

「じゃあ俺の事わかると思うけど?」

 

「はぁ!?お前のようなデカブツ見たことないわ!!」

 

「そう…それじゃあ」

 

そう言って男がサングラスを外した。

 

「この顔に見覚えがあるよね?」

 

「あ?……!!!」

 

男の顔を見て顔を青ざめ震えだした。

 

「デストロイジュエルズの隊長…って言えばもうわかるよね?」

 

「あ…あ…」

 

そう…兄貴はわかったのだ。

 

デストロイジュエルズの隊長は魔王親衛隊隊長…あの魔王も認めるその存在が今、自分の前にいてしかも自分はその人に刃を向けている。

 

「3秒待ってやるその間に全員連れて逃げろ?さもなくばお前の骨でいい音色を奏でてやろうか?どんな音がするか楽しみだ〜」

 

「ヒィー!すみません!!」

 

口は笑っているが目が笑っていない男に兄貴は彼女を離し短刀を捨て、舎弟たちを連れて瞬時に逃げていった。

 

 

 

男は膝をついている彼女を起こした。

 

「大丈夫?怪我は無い?」

 

「あっ…」

 

彼女は男から離れるようにその手を払った。

 

「私に…近づかないで」

 

「どうして?」

 

「私、獣人だから…他の人から見たら可笑しな人種だから」

 

そう言って顔を隠すように男から離れようとした、その時。

 

「待って」

 

男は彼女の腕を掴んで引き寄せて顔を隠しているフードを取った。

 

「君は可笑しな人種じゃないよ?」

 

「でも…獣臭いし…」

 

「全然臭くない…」

 

「嘘よ…絶対」

 

「嘘じゃないよ」

 

男は彼女の頬辺りに手を添えた。

 

「こんなにも可愛くて綺麗な獣人の君に嘘は言わないよ」

 

「!!」

 

微笑みをこぼした男の言葉にライナは顔を赤くして俯いた。

 

「それじゃあ自分はこれで」

 

腕時計の時間を見て男は立ち去ろうとした。

 

「待ってください!お名前は…」

 

「自分は名乗るほど立派じゃないですから…」

 

少し笑みをこぼした男は走り去って行った。

 

その後、彼女を探していた使いに保護された。

 

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「・・・という事があったのです」

 

少し顔を赤らめてライナは話し終えた。

 

「ライナの話を聞いて、『背が高くて、体格が良く、ジュエルと名のつく部隊』というキーワードで調べたら…」

 

「ウチのヤマトだったと」

 

ミノルの言葉にアーサーは首を縦に振った。

 

「まあ…確かに背は高いし体格はいいし、ジュエルと名の付く部隊は、ヤマトが隊長のデストロイジュエルズ…」

 

「ビンゴだな…」

 

アキラが言うヤマトの特徴にライナの話す男の特徴と合致していた。

 

「それで?何で呼ばれたんだ?ヤマト本人を呼べばいいのに」

 

「いや…あなた方にお願いがあって呼んだのだ」

 

「お願い?」

 

アーサーは一度深呼吸して立ち上がった。

 

 

「是非!ヤマト殿を我が娘ライナの婿になってくれるように頼んできてくれないか!」

 

 

「「何だって!?」」

 

 

アーサーの発言に2人は声を合わせて驚いた。

 

「ちょ!それってつまりヤマトを婿に迎えるのか!?」

 

「ああ!そのつもりだ」

 

「でも確かビステリア王国は同じ獣人同士しか結婚できないんじゃないのか!」

 

アキラが言うのは今までのビステリア国は昔からの言い伝えで異人との結婚は原則ダメであるからだ。

 

「それに私は…彼を、ヤマト殿を次期ビステリア国王に推薦しようと思っている」

 

「「!!」」

 

さらなる衝撃発言に再び驚くミノルとアキラ。

 

「ヤマトを…次期国王候補に!?」

 

「一体何故!!」

 

「うむ…近年それに反発している国民が現れ、いざそれを解除しても我ら獣人を毛嫌いするものがたくさんいる…だが彼は違った。初対面の娘でも獣人である事も全て受け入れるその器の大きさに私は感動した。私の推測だが間違いなく彼は王の素質はあると…そう感じた」

 

「「・・・・・・」」

 

アーサーの言葉に真剣に聞くミノルとアキラ。

 

「ミノル殿、アキラ殿どうかこの通りだ…」

 

そう言って椅子から立ち上がって頭を下げるアーサー。

 

「わかった…けど過大な期待はするなよ…」

 

「うむ…心得ておるが…」

 

ミノルの言葉に何故か目線を逸らすアーサーに疑問に思った2人。

 

「何故に目線を逸らす…」

 

「実は…私よりも娘がかなりヤマトを溺愛してしまって…今、花嫁修業を…」

 

「早っ!気が早すぎだろ!まだ決まってないのにか!!」

 

ミノルは盛大に突っ込んだ。まだ結婚のけの字も無いのに花嫁修業をするなんて…とミノルは思った。

 

「昔から言うではありませんか、恋する乙女に制御はムリと…」

 

「ミーナさん、それを皆は暴走と言うんですよ!恋は盲目とは言うけどそんなもんじゃないよね!」

 

ミーナの発言にツッコミを入れるアキラ。

 

「はぁ〜ヤマト様にまたお会いしたいです〜」

 

手で頬を抑えながら尻尾を豪快に振るライナ。だがミノルはそんな彼女を見てある質問をぶつけてみた。

 

「ライナちゃん…もし、もしもだよ?ヤマトの周りに女の子数人いたら…どうする?」

 

ミノルの質問にピクッと尻尾と体を止めたライナ。

 

「ちょ!兄さんなんて質問ぶつけてんの!!」

 

「そうですね…とりあえず…噛み千切って私の栄養分になってもらいますから…」

 

『『ビクッ!!』』

 

殺気を放ちながら歯を見せて舌をぺロっと見せた。まるで餌に飢えた血肉を求める野獣のような彼女にミノルとアキラは冷や汗を出して体が凍ったように固まった。

 

「あっ!そういえば…メイドさんアレを」

 

彼女はメイドに持ってこさせたのはタブレット型のPCだった。

 

「お2人は持ち合わせていますか?」

 

「ああ…持っているけど」

 

2人はスーツの内ポケットに入っている小型のタブレットを取り出した。

 

「私のメールアドレスを送ります、ヤマト様に関しての報告があったらこちらに…」

 

「ああ…わかった」

 

「こっちも空メールを送るよ」

 

お互いのメアドを交換し、タブレットを懐にしまう2人。

 

「それじゃあ…」

 

「良い返事待ってますわ!」

 

これまでにない笑顔に2人は喜びではなく別の物も感じてしまったのだった。

 

 

 

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ヘリコプター内

 

「まさかヤマトの婿入りを説得するとはな…しかも王位付きとは…」

 

空飛ぶヘリの中でミノルが外の景色を見て喋ると、アキラがある疑問をぶつけてみた。

 

「兄さん、何であの時彼女のにあんな質問をぶつけた?」

 

「ああ…だって彼を慕う女って俺達が良く知るあの二人だぞ?」

 

「あっ…サヤカちゃんとシズカさんか?」

 

「そう…身内と言う壁をRPGかスティンガーミサイルで破壊して飛び越えるような2人だぞ?」

 

「何でロケットランチャー関係なのか何となくわかるけど…いつもべったりだから知らない人から見たら恋人同士のようだからね…」

 

そう言って2人はため息をこぼして、次に向かう国のリストのページを捲る。

 

「次は…イカロス帝国だよ」

 

「イカロス帝国って、確かハーピーが治めている国か」

 

次に向かうのは両腕が巨大な翼の形状をしている顔や胴はほぼ人間と同じだが、足の形は鳥に近いハーピーという生物が治めている帝国で、場所が断崖絶壁の山々の頂上にあるが、空に関する技術は魔界の中でも一番かもしれないほどの力を持つ国である。

 

「確か男が少ない国だよな…」

 

「そう…男は繁殖の礎だ!とか豪語してる女尊男卑の国…」

 

そう…イカロス帝国は昔、男だけ感染するウイルスが流行し、男の数が絶滅寸前になるという大惨事になった。

現在ワクチンなどのおかげ絶滅だけは免れた、しかし既に時代は女の鳥人『ハーピー』が台頭の国になっており、自然に女尊男卑の国になったと言われる。

 

しかし近年ハーピーによる誘拐事件が多発しており魔界でも問題になっていたが二ヶ月前から事件が止まったらしい。

 

「まだ誘拐事件の件があるからな、あんまり気乗りしないな…」

 

「弱気にならないの…もうすぐだよ」

 

窓に見えたのは雲の上にある山々の頂上に町と中央の山に大きい城が見えてきた。

 

ヘリコプターは城の隣にある専用ヘリポートに着陸した。

 

「お待ちしてました、女王陛下がお待ちしております」

 

使いの者に案内され女王がいる部屋に到着した。

 

「ロマネス女王陛下、魔王ミノル様と魔帝騎士団長アキラ様をお連れしました」

 

「よし、入れ」

 

部屋の中から声がし、扉を開けるとそこには藁で出来た椅子に座っている深紅の大きい翼をしている年齢30後半か40前半の女性が堂々と座っていた。

 

「ようこそ我がイカロス帝国へ…私が女王のロマネスだ」

 

「魔王ミノル…以後お見知りおきを」

 

「魔帝騎士団団長アキラ…推参しました」

 

2人は丁寧に挨拶して、椅子に座った。

 

「それで…我々2人を呼んだ理由を聞きたい」

 

真剣な表情で話すアキラ。

 

「うむ…それは我が娘から話してもらおう…」

 

「「娘?」」

 

向こうにあるもう一つの扉が開いて入ってきたのは人間だと10代後半から20代くらいの風貌で赤い髪色に赤い翼のハーピーの女性が入ってきた。

 

「紹介しよう、我が娘でイカロス帝国の皇女のアリーテだ」

 

「お初にお目にかかります…アリーテです」

 

ロマネスの紹介されクールな態度でアリーテは2人に挨拶をした。

 

「初めまして…それで、話とは何だ?」

 

「うむ…あまりパッとしないものだな?魔王とは…」

 

「ピクッ」

 

ミノルの問いに冷たく当たるアリーテに少し眉を寄せるミノル。

 

「兄さん堪えて(ヒソヒソ)」

 

「わかってる…(ヒソヒソ)」

 

そんなミノルを見てアキラが小声で止める。

 

「隣が魔界最強と言われる魔帝騎士団の団長…外から見ると華奢で女々しいのだな?」

 

「止めた僕がバカだった…兄さんヤっていい?あの小娘の羽根と肉切り刻んで特製肉片付き羽毛枕作ってプレゼントしてあげるから?」

 

「欲しくないよそんな世界一グロテスクな枕、ってかお前も止めろって!!目がマジだぞ!?」

 

 

そう言って剣に手を伸ばしていかにも剣を抜こうとするアキラを止めるミノル。

 

「アリーテ、口を慎め…お早くこの2人にお話を」

 

「はい…あれは二ヶ月前の事だ…私が不覚にも人間の村人達の罠に掛かってしまった事だった…」

 

 

 

 

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二ヶ月前

 

「やったぞ!ハーピーを捕らえたぞ!」

 

「これで死んだ息子も喜ぶ!」

 

罠に掛かったアリーテの前には罠を仕掛けた村人達が歓喜していた。

 

「貴様ら!こんな事して只で済むと思うな!!」

 

「黙れ!一族の繁栄のためにとか言って男を誘拐し精力を奪い続けて使えなくなったら殺す貴様らに俺たちの気持ちなんて判るか!」

 

アリーテの言葉に激怒する村人達の一人が名乗りだした。

 

「ただ殺すんじゃねえ…そんなに男の精力が欲しいんなら…ぐへへ」

 

やましい事を言った一人に釣られて数人がアリーテに近づいた。

 

「じっくり犯してから殺してやる…」

 

「くっ…」

 

ジリジリと近づく奴らにアリーテが少しおびえ始めたその時だった。

 

「あのーお取り込み中すみませーん!」

 

声がした方に村人達にリュックを背負っている大柄の若い男が尋ねてきていた。

 

「何やってんですか?こんな所で?」

 

「あん?お前さん村の奴じゃねえな?お前もやるか?」

 

「何をですか?」

 

「今からハーピーをヤる所だ!手伝え!!」

 

「はーい!」

 

笑顔で答えた男が村人達の中に割って入ってアリーテの前に立った。

 

すると男がしゃがんで彼女の顔を覗いた。

 

「泣いてるんですか?」

 

「泣いてなど…」

 

顔を翼で隠して言い返すアリーテ。

 

「何やってんだ!速くやっちまえ!」

 

「・・・・」

 

すると男が無言でくくり罠をこじ開けるように力で破壊した。

 

「あんた何やってんだ!」

 

「何って可哀想だから性根と心が腐った連中の罠を壊しただけで…」

 

「あんた…ハーピーがどんな奴か知ってんのかい!」

 

鍬を持ったおばさんが男に言い放った。

 

「知ってますけど?ただ自分は危険な罠に掛かった彼女を助けた、ハーピーとか関係なく…ね」

 

「こいつらは俺の息子を攫って数ヵ月後には変死体で発見された!」

 

「私は兄と弟が…ううっ!」

 

「うちの息子の亡骸を思い出しただけても…」

 

村の男と若い女性と鍬をもったおばさんが涙を流しながら男に言った。

 

「ハーピーたちにわからせるんだ!俺達の屈辱を!」

 

村の若い男が泣きながら男に叫ぶが…

 

「ふっ…」

 

男は村人たちの話を鼻で笑い返した。

 

 

「あなた方の言い分は判ったけど…」

 

男は村の若い男数人の下半身を見る。

 

「罠に掛かったハーピーを犯そうとした村人が1人でもいたら話しは別ですよ?」

 

「!?」

 

男の発言に動揺し始める村人達。

 

「ぶっちゃけ実は全部見てたんですよ助けようとしたらあなた方が来て、数人が下半身を膨らませて集団強姦しようとした事も…」

 

「確かに若い馬鹿共はヤラシイ事しようとした、けどハーピーは…それ以上の事をしている!」

 

「だからハーピーは殺しても構わないと?」

 

「ああ!そうだ!!」

 

村人達の言い分を聞いて男は背負っているリュックを下ろして中を漁って取り出したのは救急箱だった。

 

男は黙ってアリーテが怪我している脚の手当てを始めた。

 

「あんた!まさかハーピーの味方するのか!?」

 

「あなた方の話しを聞いて自分の答えはこれです」

 

そう言って器用に手当てを終える立ち上がる男。

 

「それに…ハーピーを殺しても死んだ人達は生き返るんですか?喜びながら天から降りてくるんですか?」

 

近付いて来る男の言葉の問いに村人達は黙り込む。

 

「それに、例えハーピーを何百何千人殺して天から死んだ人達が甦ったとしてもあなた方はその手で、その姿で出迎えますか?ハーピーの血飛沫を浴びた体で抱き締める事、あなた方に出来ますか?」

 

「そ…それは」

 

「それにハーピーは空の国の住人、地面に立っていられるかどうかわからないあなた方より数百倍強いんですよ?掛かるかどうかわからない罠仕掛けて安心しきっている大安売りで買いまくった死亡フラグを持つ村人のあなた方が勝てるわけがない!」

 

「や…やって見なくちゃわからんだろ!」

 

「無理無理…勝てっこない、何故ならあんたらの行動はハーピーなら誰でもいいという無計画で無意味な行動…しか見えない」

 

そう言って村人達の前で右往左往と歩く男。

 

「ハーピーを捕まえたー折角だから殺す前に集団レ○プしていこうー女達は見てみぬふりをして、男は奥さん・恋人より気持ちよさそうな体を持つハーピーをレ○プしてスッキリし、身も心もボロボロになったハーピーをみんなで殺して死んだ人達の墓前でレ○プの事を伏せて報告し、みんなで喜びを分かち合っう」

 

「…めてくれ」

 

「一杯ハーピーを捕獲しよう根絶やしになる位捕獲しよう!そしたら殺し放題○便器にしてレ○プし放題、○み放題、使えなくなった○便器のハーピーは殺して捨てる。墓前で報告し、レ○プの事はみんなで黙ってよう!だってみんな判るんだものこんな無駄な事してもハーピーに殺された人達、甦るわけないからな!!」

 

「止めてくれーーーー!!」

 

1人の村人が男に殴りかかったが簡単に避けられ、足払いされて転倒した。

 

「確かにハーピーはあなた方の大事な人を奪って殺した。それは許さない、けどあなた方がやろうとしているのは似た行為に当たる…こんな事して死んで大切な人に会える?会える訳がない!彼らは天国にいる!けどあんたらが行くのは100%いや100000000%地獄行きだ!!そんなにハーピーに会いたくないならとっとと荷物まとめて村から出て行け!」

 

男は言い終わり、深呼吸して村人達を見る。

 

「それでもハーピーを殺したいなら私を殺してから殺してください、しかし自分もそれなりに抵抗します…最低でも腕か足の骨を軽く砕きますから…」

 

男は指を鳴らして村人達に忠告し、村人達は男に恐怖し震え始めた。まるで大蛇に睨まれたカエルのようだった。

 

「俺…帰る」

 

「私も…」

 

「ああ…」

 

徐々に村人達が肩を落としながら離れていった。

 

「ふぅ〜何とか退いたか」

 

そう言って男はポケットからペットボトルの水を取り出した。

 

『好機!』

 

アリーテは痛みを堪えながら立ち上がり、男を捕獲しようと考えた時だった。

 

「ハーピーは命の恩人でも襲うのかな?」

 

「!!」

 

男はアリーテを見ないで話しかけてきた。実は男はペットボトルだけでなく、小さな手鏡も出していた。そして手鏡を手で挟んで後ろの彼女を見ていたのだ。

 

「それに無理しちゃだめですよ?辛うじて脚の神経まで傷が届いてないけど、安静にしないと傷が深くなるから…」

 

「私の事より自分の心配をしないのか?私がその気になればお前を…」

 

「無理だね…その脚の怪我じゃあ人一人掴むのも難しいからね…」

 

そう言って男は赤色の発煙筒を取り出して煙りを出した。

 

「これでよし!」

 

「おい…」

 

「ん?」

 

「私達は…間違えていたのか…」

 

崖に背中を寄せたアリーテが男に聞いてきた。

 

「さぁ…自分が間違ってると思ったら間違ってるのかもしれません」

 

「私は…誘拐して精力をつけるという周りの言われが正しいのだと思っていた…出来るだろうか?その…恋愛というものを…」

 

顔を下に俯きながらアリーテが話すと男は笑いながらアリーテを見た。

 

「魅力的で綺麗なあなたなら出来ますよ…」

 

「!!」

 

男の言葉にドキッとしたアリーテ。

 

「ん?」

 

男が上を見るとアリーテも上を見るとハーピー数羽が飛んでいた。

 

「それじゃあ自分は、勘違いされるのは御免なんで行きます」

 

「待て!名前を聞かせてくれ!?礼がしたい!」

 

立ち去ろうとした男が立ち止まりアリーテに振り向いて微笑んだ。

 

「そんな大層な事はしてませんよ?それに自分は名乗るほど立派じゃないですから」

 

そう言って彼は去っていった。

 

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「「・・・・・・」」

 

話しが終わるとミノルとアキラはぼーっとした表情だった。

 

「アリーテの証言で解った事は…身長が高くて怪力の男だという事だ」

 

「まあ…ウチの親衛隊隊長であるヤマトの特徴だな…」

 

「身長が高くて若くて怪力の持ち主…うん、間違いないね」

 

アリーテが言う特徴とヤマトの特徴が一致している事を改めて解った二人。

 

「あっ!だから2ヵ月前から事件が急激に起こらなくなったのか!?」

 

「うむ…娘が新たに出した法令によってかなり制限をかけた」

 

「すごいな…ヤマト」

 

アキラは戦場ではないヤマトの行動で一つの帝国が動いた事に驚いた。

 

 

 

 

「その男、ヤマト殿はどこにいるのだ?」

 

「遠征に行っている…不在だ」

 

「うむ…本当は本人に言いたいのだが…仕方あるまい」

 

「「???」」

 

ロマネスの言葉に疑問を覚える二人にロマネスが立ち上がった。

 

 

 

「ヤマト殿を是非我がイカロス帝国のプリンセスアリーテと結婚し王位を継承して欲しい!」

 

 

 

「「はあぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!??」」

 

 

 

ロマネスの一言にミノルとアキラが盛大に驚いた。

 

「ちょ!ちょっと待て!?いきなり言われても!」

 

「しかも王位継承って!!」

 

「うむ…では頼みました」

 

そう言って部屋を出ようとするロマネス。

 

「ちょっと待ってください!理由を聞きたい!!」

 

アキラの言葉に立ち止まるロマネス。

 

「あなた方も耳にしているでしょう…反帝国勢力の事」

 

「ああ…反帝国勢力アルビオンだろ?」

 

反帝国勢力アルビオンとは女尊男卑のイカロス帝国に反旗している国で主に男の鳥人で編成している勢力である。

 

「アルビオンのリーダーは確かカーチスという…」

 

「カーチスは私の弟である」

 

「「!?」」

 

ミノルとアキラはカーチスはロマネスの弟である事に驚いた。

 

「公表はしていないが、あいつは我が娘を誘拐を企ていた…」

 

「なるほど…人質にして国を奪おうとしたのか、俺たちの協力を申請したのは俺名義の誘拐、魔王公認の誘拐が目的か…」

 

そう、カーチスは一度ミノルがいる魔帝城に訪れ、協力を要請していたのだ。

 

「わかった…魔王の権限で彼らとの協力は白紙にし、再度面会の時に真実を言わせる」

 

「すまない…ああ、理由だったな?ヤマトを王位にする理由…」

 

ロマネスは窓に近づいて、そこに映る街などを見下ろしていた。

 

「彼の器のでかさだ…彼は絶対的窮地から娘を助け出し…ハーピーの我々を知りながら、嫌わずに受け入れる彼の器に感動した…彼ならこの国を…古くのいわれによって成り立っているこのイカロス帝国を変えると信じている」

 

「「・・・・・・」」

 

ロマネスの言葉に黙って真剣に話を聞く2人。

 

「わかりました…でも期待だけはしないで下さい」

 

「うむ…わかった」

 

そう言って何故か目線を逸らすロマネス

 

「何で目線を逸らす?」

 

「実は…その、挙式の計画とドレスの候補を…」

 

「完全に決まった前提ですよね!まだ決まってもないのに!?」

 

「しかたないだろ!大事な一人娘が結婚するかもしれないのだぞ!親として盛大に…」

 

「意外と娘に溺愛してるんだな…」

 

ロマネスの発言につっ込むアキラと呆れるミノル。

 

「それで…一つ質問があるんだけど…」

 

『まさか兄さんあの質問を!!』

 

アキラは内心確信した。ビステリア王国で言ったあの質問を…

 

「もし…もしもだぞ?アリーテと同じヤマトの事を片想いしている女の子がいたらどう思う?」

 

「・・・・何?」

 

ミノルが質問をぶつけたその瞬間、アリーテが鋭い眼でミノルを睨んだ。

 

「いや!例えだよ!例え!」

 

「もちろん私のこの脚爪で頭から引き千切って脳を引きずり出す!」

 

『『想像しちまった…』』

 

彼女の言葉に青ざめる2人だった。

 

 

 

 

 

「2人はタブレットを持っておるか?」

 

アリーテがどこから出したのかタブレットを取り出した。

 

「ああ…持ってるけど」

 

返事をしたミノルとアキラはタブレットを取り出した。

 

「メアド交換だ…流出はするなよ?」

 

「解ってるって!」

 

こうして3人はメアド交換をした。

 

「うむ!返事を待ってるぞ!!」

 

その後2人は再びヘリコプターに乗り込み次の国に向かった。

 

 

 

 

                                    つづく…

 

説明
今回はヤマトを中心としたお話、ヤマトがハーレムGet!?

長文ですみません…
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コメント
咲実さん そうです私は修羅場を好むものです(ニヤニヤ)(Minosawa)
修羅場の予感…(咲実)
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