楽しく逝こうゼ?
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前書き

 

リスナーの皆様、沢山のコメント有難う御座います。

 

前回のアンケートの結果は、1が圧倒的でしたのでこのまま濃口ストーリー亀とさせて頂きます。

それでも早く続きが見たいとの方も大勢おられたので、なるべく展開を進められるよう努めます。

それと、最近バトルがなさ過ぎて腑抜けそうとの意見も頂きましたので、なるべく戦闘シーンは盛り込んでいこうと考えております。……まぁ今回と次の話はまだ無理ですけど(オイ

それでは、どうぞッ!!

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「え?はやてちゃんの家族の人、1人増えたの?……今日でも連れてきてくれたら良かったのに」

 

「へー、賑やかで良いじゃない?それとすずか、多分その人にも予定があるのよ」

 

「そーなんや♪リインフォースっちゅう名前なんやけど、これがまた特上級の別嬪さんでなぁ。連れてこんかった理由はまぁ……禅君にお熱上げまくっとる(ぼそっ)」

 

「「あぁ……それは……(チラッ)」」

 

何やらはやてがぼそっと最後に呟いた言葉に、俺の方をジト目で見つめてくるすずかとアリサ。

ヘイはやてテメェ、一体何言いやがった?

さて、現在俺以外の面子は全員テーブルの近くに集まって和気藹々とガールズトークに勤しんでるワケだが……やっぱこの空間に男1人ってのは辛いです。

アルフはアルフでジッと床に行儀良く座っているのだが、部屋の中にいる猫達に興味津々な目を向けられるのが我慢なら無いようで、時折「ヴーッ……」と低い声で唸ってる。

止めんしゃい、見て無いのにとばっちり受けてる他の猫が可哀相だろーに。

そんな乙女達の楽しそうな様子を入り口付近で眺めていること、実に数分、開け放たれていた入り口の向こうから、鼻を擽る紅茶の香りが流れ込んでくるではないか。

 

「皆さん、お待たせしましたー」

 

と、その紅茶の香りを楽しんでいると、開け放たれていた入り口からノエルさんと同じく紫色のメイド服に身を包んだ……少女がいた。

少女というかその……ノエルさんみてえな大人の女性って感じでもなく、かと言って俺達ほどガキじゃねえ、つまり中間なんだ。

一番しっくりくるのは、そう……なのはの姉の美由希さんと同じくらいの年代ぐらいって感じだな。

 

「ご苦労様、ファリン」

 

「「「こんにちは、ファリンさん」」」

 

目の前にいる女性の事を考えていたら、座っていた忍さんがその女性に声を掛けてた。

大きなトレーに10人分の紅茶を載せて現れたメイドな彼女の名は、ファリンさんと言うらしい。

なのは達も挨拶してるし、俺も挨拶しときますかねぇ。

 

 

 

 

 

……と、俺はボケーッとしていた意識を復活させて、大きなトレーを持ったファリンさんて人に挨拶しようとしたところ……。

 

 

 

 

 

「いえいえー♪これも仕事ですか「ニャァ♪」キャッ!?ちょ!?ウワァアアッ!!?」

 

いきなり寝転んでいた猫が二匹で追いかけっこを始めて、そのニャンコ達がファリンさんの足元を潜り抜けてしまった。

突然走り出した猫達の所為でファリンさんはバランスを崩して後ろ向きに……ってヴォイッ!!?

その瞬間、ファリンさんの手から支えを失い、前向き、つまりなのは達に向かって宙を舞うトレー。

更にトレーの上に載っていた紅茶達も、少しづつトレーから浮き上がり始めていく。

良い香りどころか熱々の中身すら部屋中に広がらせようとするファリンさん。HEYユーなにしてくれとんじゃ!?

その光景に誰もが目を引ん剥き、中にはファリンさんを支えようと動き出そうとする奴も居た。

だがなのは達の居るテーブルからファリンさんまでは絶望的に距離が空いていて、誰かが全力で動いても間に合わないだろう。

 

 

 

『比較的近くに居た』俺以外はな?

 

俺はファリンさんがよろけた辺りで嫌な予感がMAXで警報を鳴らしていたので、初動がメチャ速かった。

波紋を足全体に流して強化し、スプリンターも真っ青なスピードで走り出すと、そのまま左手を倒れゆくファリンさんの背中に差し入れる。

 

「(ぼふんっ)あう!?」

 

そうする事で、ファリンさんは硬い床で頭を打つ事を寸前で回避し、ファリンさんの無事は確保できた。

ウシッ!!次ぎは宙を舞うトレーと紅茶だ!!幸いにも奴(紅茶)はまだ『2メートル以内』に入ってるしよぉ!!

 

「カモンッ!!『クレイジーダイヤモンド』ォッ!!!(ドギュウゥウウンッ!!!)」

 

『ドラァッ!!』

 

俺はファリンさんを支えたまま『クレイジーダイヤモンド』を喚び出し、そのまま片手で宙を舞うトレーをキャッチさせ……。

 

『ドララララララララァッ!!(シュバババババッ!!!)』

 

もう片方の空いた手をMAXスピードで振るい、投げ出された紅茶の入ったカップと受け皿を規則正しくトレーの上に並べさせていく。

さすがに『スタープラチナ』程の精密動作は出来なくても、顔面の目前で撃たれた弾丸だって瞬時に掴み取れるんだ!!これぐらいは造作もねえ事だぜ!!

『クレイジーダイヤモンド』は紅茶をなるべく零さない様に、カップの縁の淵に現れる表面張力を利用しながらカップを中身ごとトレーの上に素早く置いていく。

カチャカチャカチャとカップと受け皿が触れ合う甲高い音が『9回』鳴り響くと、『クレイジーダイヤモンド』の目の前にカップは無くなった。

あるのはトレーの上に綺麗に並べられたカップが9個だけ……って待て!?『9個』!?『1個』足りねえぞ!?

 

「ゲッ!!?」

 

慌てて俺が辺りを見渡すと、俺の視界の真上にカップは存在していやがった。

しかもその落下コースはファリンさんの顔の真上、このままじゃファリンさんは大火傷を負うこと確定コース。

何時も頼りになる『クレイジーダイヤモンド』はトレーを持った状態で、俺から1メートルは離れた所に居る。

幾ら天下無双のパワーとスピードを誇る『クレイジーダイヤモンド』でも、あの距離からカップの載ったトレーの中身を零さずにコレを受け止めるなんて芸当は不可能だ。

そんな無茶苦茶ができるのは時を止められる上に超精密な動きが出来る『スタープラチナ』か、その上をいく『ザ・ワールド』しかいねえだろう。

 

……となれば、傍に居る俺がヤルしかねえッ!!

 

俺はフリーになっている自分の右腕を思いっ切り伸ばして、今正にファリンさんの顔にブチ撒けられそうなカップに手を伸ばしていく。

だがしかし、俺の体は前世と違って小学生、つまりは子供の体系だ。

幾ら小学生にしては発達した体躯をしてても、大人のレベルじゃねえから、カップには届きそうに無かった。

ヤベッ!?やっぱ無理か!?い、いや違う!!届かねーと思うから届かねーんだッ!!この禅君ならやれるッ!!掴んでみせるぜぇええッ!!!

ギリギリの位置を飛ぶカップに我が身を乗り出す勢いで手を伸ばすと……俺の右手の人差し指だけが、カップの取っ手に僅かに掛かってくれた。

おぉしやったッ!!このまま中身をファリンさんにブッ掛けない様にカップを遠くへ……。

 

グインッ!!

 

だが喜んだのも束の間、俺の指が取っ手に引っ掛かった事により、宙を無造作に舞っていたカップに急制動が掛かってしまったのだ。

つまり俺の指を中心点に、カップは半回転してより中身が豪快に出てくる事になる。

ウッソォオ〜〜ンッ!!?やばいやばいやばいッ!?こ、これじゃあ俺がやったのって余計なお節介or事態を悪化させただけって事じゃねえかよぉお〜ッ!!?

もう俺の手は両方とも完全に塞がり、『クレイジーダイヤモンド』も使えない。

視界の端でなのは達が走ってくるのは見えたが、絶対的に間に合わない位置な上にもう中身が7割も出て……。

 

「ひうッ!?(ビクウッ!!!)」

 

目の前にアツアツの湯気がホカホカと上がってるお湯が迫った事に恐怖したファリンさんは、可愛らしい悲鳴を挙げて目をギュッと瞑った。

心なしか俺の手に感じる体も、小刻みに震えてるようだ。

 

「……あれ?」

 

だが、目の前に迫っていた筈の紅茶が幾ら待っても零れてこない事が不思議だったのか、彼女は気の抜けた声を出しながら恐る恐る目を開ける。

 

「……えぇえええええッ!!?」

 

そして、目を開けた先に広がる光景に、ファリンさんは目を見開きながら驚愕の声を上げる。

彼女の目の前には、カップから流れ出た形で『動きを止めている』紅茶が顔の数センチの所でピタリと停止しているからだ。

テーブルの向こう側に居るなのは達もとても驚いた表情でそれを見ていた。

 

「な、なな……なんで?」

 

ワナワナと震えながら目の前に迫る紅茶を見ているファリンさんの顔は、不思議なモノを見て驚きに染まっていた。

 

「フゥ〜〜……そぉいやぁ、俺にはこれがあったんだよなぁ。いやすっかり忘れてたぜ」

 

俺は『波紋』の呼吸を乱さない様に溜息を付きながら、人差し指に引っ掛かってるカップの取っ手に、波紋を一点集中で流しこんでいる。

この一点集中((波紋疾走|オーバードライヴ))は((青緑|ターコイズブルー))の淡い光を指先からカップ全体と、流れ出た紅茶の中を伝わって光輝いているのだ。

そのおかげで紅茶は流れ出る寸前で波紋が流れているカップに固定されて紅茶自身にも波紋が伝導し、現実ではありえない奇妙な光景を生み出している。

いやはや、さすがにカップが回転した時はかなり焦ったが、何とか事無きを得たぜ。

 

「あ、あのぉ……」

 

何とか惨劇を回避する事に成功したので俺は目の前で((青緑|ターコイズブルー))の光を迸らせる紅茶のオブジェを見ていたのだがそこで遠慮気味な声が俺の傍から呼びかけてきた。

ん?とか思ってそっちを見やれば、両手をバンザイのポーズのままで困った顔をしてる奇妙なメイドさんが居なすった。

あっとと、まずったな。何時までもこんなモン(紅茶)が目の前にあっちゃあ安心できないか。

 

「あぁ、すんません。コレ直ぐ退けますんでちょっち待って下さいッス」

 

俺が笑顔でそう言うと、ファリンさんは頬に朱を挿したままコクンと小さく頷いてくれた。

良し、とっとと片付けますかね、このオブジェ。

俺は人差し指から放出している波紋を途切れさせないように注意したまま、カップをゆっくりと腕ごと真っ直ぐにする。

すると、プルンという小気味良い音を立てながら、波紋で固定された紅茶はカップの中へと戻っていく。

それを傍で控えていた『クレイジーダイヤモンド』に差し出して、そのまま『クレイジーダイヤモンド』にトレーを持って待機させる。

 

「……浮いてるわよ、ね?……あのトレー」

 

「は、はい……それに、バラバラに飛んでしまった筈のカップがひとりでに、トレーの上に……戻りました」

 

「ファリンも見えてたって事は私だけ幻を見てたんじゃないって事でしょうけど……一体何なの?」

 

誰の手にも持たれていないのに、宙に浮いたままのトレーを見ながら忍さんは驚愕の表情を張り付かせていた。

忍さんの隣りにいるノエルさんも、目の前の事態に驚きで声が震えてる。

あぁ〜そっか、一般人には『クレイジーダイヤモンド』っていうかスタンドが見えねえから、トレーが独りでに浮いてる様に見えるって事か。

ふとなのは達に視線をやってみれば、なのは達魔導師組もその事に気付いた様で、「そういえば……」みたいな顔をしてた。

アリサとすずかは昨日の状況を覚えているからか、忍さん達程露骨に反応はしてねえけど、それでもやっぱり驚いてら。

とりあえず向こうの様子は放置して、危機一髪の状況が乗り切れた事に安堵の気持ちが湧き上がってきた。

やれやれ、なんとか終わったぜ。

とりあえず紅茶は片が付いたので、俺はまだ俺に上半身を支えられているファリンさんに視線を向けて声を掛ける。

視線を向けた先に支えられてるファリンさんは、ポカンと口を開いた状態で俺の顔を見つめていらっしゃるではないか。

あり?もしかして俺ってば、間違えて体全体に波紋を帯びさせちまったか?

 

「とりあえず大丈夫っすか?立てるんだったら、立って欲しいんスけど」

 

「……(ぽけ〜)……ハッ!?す、すみませんすみませんすみませんーーーーッ!!?(バババッ!!!)」

 

「ぬおぉおッ!!?」

 

俺の腕の中に居たメイドさん、ファリンさんはなんと足の力だけで体全体を跳ね起きさせてしまったではないいか。

そのあまりにも人間離れした運動神経に、思わず変な声が出てしまったい……ってゆうかあんな運動神経持っておいてなんで転げそうになったんですかい?

目の前で超人的な運動神経を見せてくれたファリンさんはというと、俺に向かってひたすら頭をペコペコと下げていた。

心なしか残像が見えそうな勢いですハイ。

 

「ほ、本当にすみませんーー!!初めていらっしゃったお客様にご迷惑をお掛けしてしまって誠にごめんなさいーー!!」

 

ファリンさんはそう言いながら目尻に涙を浮かばせつつ、ずっと高速で頭を下げ続ける。

いやまぁ謝って貰うのは別に良いんですけどね?傍から見たらもはやヘッドバンキング状態ですよ?

っていうか誠にごめんなさいって何語なんスか?

俺はそんなヘビメタ演奏中の如き動きを披露しているファリンさんに苦笑いしつつ、掌を向けて静止を促した。

 

「いやいや、気にせんで下さいッス。あっ、自己紹介が遅れましたけど、すずかのダチをさせてもらってる橘禅ってモンです。よろしくお願いしやーッス」

 

とりま自己紹介をしとかねぇとな。何せお互いに名前は知ってても、会うのは初めてなワケで……

 

「はうあッ!?お、お客様に先に自己紹介をさせてしまいましたぁ!?ご、ごごごめんなさいです!!わ、私はこのお屋敷ですずかちゃんの専属メイドをさせていただいてます、ファリン・K・エーアリヒカイトと申します!!どうぞよにょしくお願いしゅます!!」

 

……いや、まぁドッチが先でも別に良いんだけどさぁ……今ゼッテェ途中噛んだろ、ファリンさん。

コレはアレか?突っ込み待ちなんだろうか?それとも無かった事にするのが優しさか?

ファリンさんの余りにも切羽詰った自己紹介と、やり遂げた感満載の顔を見てたら、どうしたらいいかわからないッス。

ちらりとすずかに視線を送れば、すずかは苦笑いしているではないか。

成る程成る程、すずかの反応からするとファリンさんの今の噛んだのは素なのか、なら突っ込みは入れるべきじゃねぇな。

っていうか考えてみれば、ファリンさんってノエルさんとファミリーネームが一緒だから姉妹って事だよな?

……姉は完璧メイド、妹はドジッ娘メイドってワケですね、わかります。

すずかの顔を見て瞬時に理解した俺は、目の前で俺をドキドキした顔で見つめてるファリンさんに笑顔を送って対応してみた。

 

「ファリンさんっすね?俺の事は好きに呼んでもらってOKですよ。多分すずかに話しは聞いてるだろうから、その辺りは省きますんで」

 

「じ、じゃあ禅君と呼ばさせていただきます。ぜ、禅君の事はすずかちゃんから色々聞いてますよ。ユーモアのある面白い方だって!!」

 

「へへっ、そいつはどうもッス」

 

さっきの噛んだのはスルーしてにこやかに挨拶すると、ファリンさんはさっきまでの失敗が無かったかのように笑顔になった。

ふ〜〜、どうやらこれで空気は完全に元に戻ったって事でいいのかね?

と、安堵して気持ちを切り替えた際、自分の足元に何かが擦り寄ってるのを感じて、俺は床に視線を落とす。

 

「ニャァ〜ン♪ゴロゴロゴロ……」

 

俺の足元には、先程ファリンさんの足元を駆け抜けて行った猫が一匹居て、俺の脚に頬というか顔を擦りつけていた。

しかも随分と気持ち良さそうな顔でご機嫌モード全開で御座る。

っていうかあんだけ大変な場面引き起こした張本(人?)な癖しやがってコイツぁ……。

俺はそのまま屈んで、足元に居た猫を抱き上げて自分の目の前に持っていく。

 

「ニャ?」

 

猫は俺が突然抱き上げたにも関わらずされるがままになっていて、持ち上がった後ろ足と尻尾を空中にプラ〜ンとさせている。

あ、コイツ雌だな。ってんな事はどーでもいいっての。

 

「コラ、人が歩いてる時にウロチョロしちゃ駄目だろーが。大人しくしてろい」

 

相手は猫だが、注意してるって気持ちが伝わりやすい様に頑張りながら叱りつけてみる。

 

「ニャ?……ナァ〜〜〜ゴ♪」

 

「話し聞けよ、いや聞いて下さいお願いします」

 

駄菓子菓子、現実とは常に非情なモノなのである

只の猫に俺の熱い思いが伝わる筈もなく、猫は俺の注意する声に反応せずに、俺の腕をよじ登って俺の胸元にジャンプしてきやがった。

しかも落ちない様に爪を立ててくるので、仕方なく抱っこして支えてやる。

それはつまり、先程アルフが収まっていた場所に、新たに甘えん坊な住人が住み着いてしまったって事だ。

これまた幸せそうな顔で俺の胸元に顔をスリスリスリスリと満遍無く擦って擦ってしてくるし。

おいおい?甘えん坊の子犬の次は甘えん坊の猫かよ、まぁ嫌いじゃねえけどな?むしろ動物は全般的に好きだったりする。

 

「……ち、ちょっと良いかしら、橘君?」

 

「へ?何すか忍さん?」

 

と、もはや離れてくれなさそうな猫を撫でて和んでいると、若干笑顔が引き攣った忍さんが俺に声を掛けてきた。

はて?何でそんなに目元がヒクついてらっしゃるんでせうか?

 

「和やかな所申し訳無いんだけど……そろそろ『アレ』について説明してくれないかしら?」

 

アレ?……アレってなんぞ?

そう言いながら忍さんが指で指し示す方向には、未だ俺の命令を忠実に守ってトレーを持ったまま静止している『クレイジーダイヤモンド』の姿があった。

しかも忍さん達にはスタンドは見えてねーワケだから、彼女達からすればトレーが独りでに浮いてる様にしか見えてないだろう。

オマケにそのトレーが空中に浮いてるのを目撃したファリンさんも、驚きで呆然としてる。

ありゃりゃ、そーいやスッカリ忘れてたぜ。そもそもココに来たのって俺達の力と事件について話すためだったじゃんか。

ちっとばかしトラブルが入って頭からスッポ抜けてた用事を思いだした俺は、さっさと行動を開始した。

 

「あ〜スンマセン。とりあえず……紅茶、テーブルに置いておきますんで」

 

俺は猫を抱っこしたままテーブルに近づき、『クレイジーダイヤモンド』を一緒に移動させて、トレーをテーブルの上に置かせた。

そのまま『クレイジーダイヤモンド』を消して、何が何だかといった表情の忍さん達に向き直る。

 

「まずはケーキでも食わねえっすか?折角淹れてもらった紅茶が冷めちまいますし」

 

「……そうね、そうしましょう。すずかから料理の腕前は聞いてたから、ソッチも気に成ってたし。ノエル、ファリン。皆に橘君が持ってきてくれたケーキを配ってあげて」

 

「「は、はい」」

 

俺の提案に忍さんは笑顔で賛成してくれて、傍に控えていたファリンさんとノエルさんに指示を出して、皆に紅茶とガトーショコラを配っていく。

そして、全てのケーキと紅茶が行き渡って全員が席に着いてから、忍さんは全員を見渡した。

 

「とりあえず、さっきの現象と昨夜の事はケーキを食べてからにしましょう。全員席に着いたかしら?」

 

忍さんはそう言いつつも、テーブル全体を見渡しながら確認を取ってくる。

って言っても全員座ってるし、席もちゃんと『9席』埋まって……ん?『9席』?

 

「あら?ケーキと紅茶が1つ余ってるじゃない?予定では10人と聞いていたんだけど……」

 

俺と同じ違和感を抱いた忍さんが声を上げるが、俺達魔導師組はそれが誰か分かっていたので直ぐに答えを弾き出せた。

そぉいやアルフは犬モードで来てるからとっとと人間形態に変身してもらわにゃ……。

 

 

 

 

 

「……オイ」

 

「ぬおほッ!!?」

 

だがその瞬間、まるでこの世の怒りを凝縮した様な、地の底から響く唸り声を耳にして、俺は飛び上がった。

その声にアリサとすずかは俺と同じ様に飛び上がって、かなりおびえている。

どうやらなのは達も聞こえた様で、一体何事かと目を丸くして驚いていた。

特に主人であるフェイトはそれがかなり顔に表れてる。

俺は震える自分に鞭打ってなんとか声のする方に体を振り向かせた。

 

「ア、アルフ?ど、どうしたんだよオイ?そ、そんな怖い声出しちまっ……て……」

 

「……(ゴゴゴゴゴゴゴゴ……)」

 

だが、振り向いた瞬間、俺は余りの迫力と衝撃に声を失った。

俺の振り向いた先にはアルフが居たが、それはさっきまでみてえな可愛らしい雰囲気は一切無く、目が獰猛にギラッギラと輝いた猛獣の如しですた。

何故かアルフの背後の空気まで震えてる様に感じられるんですが?

って何でそんなにブチ切れてんの!?しかもそれは誰に対して!?

余りにもショッキングな雰囲気に、俺は呆然として声が出せなかった。

多分俺の後ろ側に居る皆もそうなんだろう……っていうか忍さんとかアリサ達は、まず子犬のアルフが喋ってる事に驚愕してると思う。

そんな俺達には一切構わずに、纏う雰囲気は猛獣のソレと化したアルフは己が口を開いていく。

 

「……人がちょっと目を離した隙に……人の縄張りに我が者顔で居座りやがって……良い度胸してんじゃないかこの雌猫がぁあああああッ!!!」

 

ゴォオオアアアアアッ!!!

 

『『『『『えぇえええええええええええッ!!??』』』』』

 

キャーーーット!!?雰囲気だけじゃなくて体躯まで猛獣と化したぁああああ!!?

 

「ア、アルフッ!?何してるのっ!?酷い事はしちゃダメだよッ!!」

 

「ア、アア、アンタってあの時のおっきな犬だったの!?」

 

その感情がアリアリと詰め込まれたブチ切れボイスと共に、アルフは己が体躯を可愛らしい子犬から狼のソレに変身させて、俺に向かって威嚇し始めた。

い、いや!!正確には俺の抱き上げてる月村家の悪戯猫を牙剥き出し状態で、つまりモンの凄い形相でメンチ切ってらっしゃる!?

目の前で子犬が大型犬を遥かに凌駕する体躯に変身していくという非現実的な様を見せつけられた非魔導師組は、揃って絶叫してしまう。

更にアルフの主人であるフェイトの諌める声すらまともに聞こえてない状況、なのはとはやてなんか泣きそうな顔になってる。

か、かか、かくいう俺も絶叫したい気分です!?俺が抱っこしてる猫に威嚇するモンだから、俺っちまで威嚇されてる気分になってんだけど!?

そんな事は知った事じゃ無いとばかりに、アルフは俺の近くまでノッシノッシと歩み寄り殺意を篭めた瞳で、俺が抱き上げてる猫を睨み始めた。

 

「只の猫の分際で誰のオスに色目使ってんだい!!あの駄猫姉妹と言いアンタと言い舐め腐った事して……足の3、4本は覚悟出来てんだろぉねぇ!!?」

 

いやアルフそれ全部だから!?4本無くなったら歩けなくなっちゃうから!?

俺の目の前に居るアルフはそう言いながら、俺の胸元に居る猫に牙を立てようとしているのか、口を大きく開き始める。

っていうかこのままだと俺まで食われちゃうんですけど!?か、かと言って今この猫を放り出したりしたら、ソレこそアルフはこの猫を喰い殺しかねねえぞ!!?

そんな事を考えてる間にも、アルフはその大きな牙を突き立てんと口を開けて迫ってきていた。

 

「や、止めてアルフッ!!落ち着いてッ!!」

 

フェイトが必死に呼びかけているが、その声もプッツンしたアルフには届いていない。

もう今にも大暴れしちまいそうだ。

し、仕方ねえ……『この波紋』を最初に試すのは久遠を愛でる時のつもりだったが、そんな悠長な事言ってらんねえ!!

 

「ガルルルルル!!!」

 

今、ここで使うッ!!

 

俺は大口を開けて俺の抱っこしている猫に迫り来るアルフに、全力で左腕を伸ばしてアルフの後頭部から首の中間辺りに触れる。

その状態で、俺は身体中に練り上げた波紋を左腕に集めて、アルフに触れている手の平全体に波紋を纏わせながら、微弱に波紋を送り込む。

俺の腕を伝ってアルフの身体の中へッ!!刻むぜぇッ!!波紋のビートッ!!

 

「コォオォ……((波紋疾走|オーバードライヴ))ッ!!」

 

俺の気合の篭った掛け声と共に、手の平から触れているアルフに向かって、柔らかい太陽に近い色合いの波紋が迸るように流れ込んでいった。

 

「ふぁああッ!!?(ビクンッ!!)」

 

すると、あれ程ブチ切れていた筈のアルフが、何とも艶の篭った嬌声を挙げながらお尻を地面にペタンと伏せさせていくではないか。

心なしか身体全体がプルプルと震えていて、呼吸もハッハッ、と荒くなっている。

この光景に、さっきから驚きっぱなしの非魔導師組は更に口をあんぐりと開けて呆然としていた。

正に言葉が出ねえってのはこーゆう事なんだろう、それになのは達もアリサ達と同じ様な表情で固まっている。

へへへっ、どぉやら成功したみてえだなぁ。

俺の『長年の修練』と『血の滲む様な努力』と『溢れんばかりの萌えに対する熱意』が生んだ究極の波紋。

これなら実用性もバッチリだぜ、早く久遠に使ってやりてぇぜ。

と、俺の努力が実を結んだ成果に喜んでいると、俺の波紋で腰砕けになったアルフが困惑した表情で俺を見ていた。

 

「ゼ、ゼェン……これ、なにぃ?……力が、入んなぃ……」

 

まるで喉が乾いて仕方ない犬の様に舌をベロンと出したまま、アルフは熱に浮かされた声で俺に語りかけてくる。

全く、人様の家の猫を抱き上げただけで噛もうとしやがって……ちっとばかしお仕置きが必要みてえだな?

俺は俺にしがみついて震えてる猫を胸元から下ろして、猫がすずかの足元にピューッと逃げていくのを見送ってから、波紋を手に纏わせたままアルフに近づく。

そのまま、所謂『お座り』状態のアルフの下あごから喉にかけてのラインを、さっきと同じ強さの波紋を纏わせながら滑るように一撫でした。

 

「んあぁあッ!?(ビクビクビクッ!!)」

 

そのたった一撫での刺激に、アルフは更に嬌声を上げながら、床に全身を横たえてしまう。

床の上でピクピクと身体を震わせるアルフを見ながら、俺はクックと低い声で笑った。

 

「クックック……どうだぁ?俺が習得した波紋の効果は?スッゲエ効くだろぉ〜?ん〜〜?(さすりさすり)」

 

「ひゃん!?い、あぁああッ!?はうぅ!!?」

 

アルフに言葉を投げ掛けつつも、俺は手を休めずにアルフの背中をなぞり、前足の付け根の辺りを餅を捏ねるような手つきで撫でていく。

その刺激に、アルフは大きな声を口から溢れさせてしまっていた。

 

「この波紋はなぁ……身体の疲れた場所や血液の流れの淀みに直接波紋を流し込む事で、グレートに気持ちいいマッサージ効果を発揮すんのさ……ホレホレ♪」

 

「きゃぁあん!?そ、そこはぁ!?あ、あぁん!?」

 

目の前で盛大にヨガり狂うアルフの声を聞きながら、今度はお腹をグネグネと揉み解すように手の平で波紋を送り込む。

すると、等々アルフはベロンと出していた舌を床に這わせたまま、身体をビクビクと痙攣させ始めてしまう。

 

「まぁ詰まる所この波紋は破壊の逆、『癒し』の力で相手の身体を良い方向に((調整|チューニング))すると同時に((癒し|ヒーリング))してくれるってワケだ。((調整波紋疾走|チューニングオーバードライヴ))とでも呼ぼうか……はたまた((癒しの波紋疾走|ヒーリングオーバードライヴ))か……ん〜、アルフはどっちが良いと思う?」

 

俺はこの波紋に相応しい名前はどっちかと首を捻りながら聞いてみると、アルフは最早身体を起こす事すら出来ないのか、目だけで俺を見ていた。

 

「はぁ、はぁ……ひょんなこ、と……ドッチでも、良い、からぁ……もっとぉ?……もっと、触ってぇ?」

 

アルフは自分の呼吸を整えつつ、俺の手の平にむかって自分から顔だけ動かして擦り寄ってくる。

そう、この癒しの力を持った波紋は、さっきアルフに言った通り、非常に気持ちいのです。

今はアルフの動きを止める意味で通常より強い波紋を送り込んでいたから、アルフは腰砕けになったに過ぎない。

だからアルフがこの波紋を催促するのは当たり前の事なのである。

 

「ダメだ。もうお終い」

 

「……えぇ!?な、何でさぁ!?もっと気持良くシテよぉ!!?」

 

だが、普段なら喜んで可愛がってやる所を、俺はキッパリと断った。

ハッキリと断られたのが余程ショックだったのか、アルフは声を大きくして縋る様に催促してくる。

つうかアルフ、その言い方は誤解を招くから止めなさいっての。

 

「ダ〜メだ。お前はすずかの家の猫を襲おうとしただろーが。俺はそれを止める為にこの波紋を使っただけなんだからよ」

 

「そ、そんなぁ……こんな中途半端じゃ生殺しじゃんかぁ」

 

ウルウルと弱っているアルフの瞳を見て、好きなだけ撫でてやりたい衝動が湧き上がるがそれをグッと抑えこむ。

と、とりあえず今は反省させなきゃいけねえんだ。後でちゃんと反省したら、そん時ゃ好きなだけ撫でてやろう。

辛い事だが、今はしっかりと反省させなきゃ後々アルフの為にならないからな。

 

「まっ、キチンと反省するこった……そぉだなぁ、ワンちゃん風に言うと……アルフ、『お・あ・ず・け』だ。早く変身してフェイトに謝れ。それにすずかと忍さん達にもな」

 

「うぅ……わかったよぅ。でもゼンだって悪いんだぞぉ……アタシ以外のメスをホイホイと可愛がったりするから怒ってんのに……この雌ったらし、バカ」

 

しかしアルフにも思うところがあるようで、俺の言葉に口を尖らせて反論してくるではないか。

うっ……た、確かに元々の素体が動物のアルフからすれば、俺が雌の動物を可愛がるのは面白くねえか。

飼い犬とか飼い猫だって、懐いてる主人が別の動物をにばかり構ってたら怒るってのは前にTVで見た事もある。

ったく、そんな悲しそうに言われたらあんまり責めれないじゃねえか。

 

「わ、わかってるっての。だからケーキまではお預けにゃしねえよ」

 

「……じゃあ、我慢する」

 

おっ?かなり渋々ではあるが何とか納得してくれたみてえだな。

そこから少しの間、アルフが腰砕けになっていた状態から回復すると、アルフはその身を人間形態・大人モードへと変化させてフェイトと忍さん達に謝った。

そう、ちゃぁ〜んと謝ったんだが……。

 

「……変身、しちゃった……」

 

「に、人間になった?……って、この人温泉に行った時の酔っ払いじゃない!?もう何がどうなってんのよ!?」

 

すずかとアリサは目の前で変身したアルフに騒然としてしまい……。

 

「……まさか、人狼の一族?(ぼそぼそ)」

 

「いえ、それは在り得ないかと……人狼の一族に変身する程の力はありません(ぼそぼそ)」

 

「さっきの橘君のやった事も、HGS患者の力じゃ無さそうだし……やっぱり話しを聞いてみないと判らない、か……(ぼそぼそ)」

 

忍さんとノエルさんは変身したアルフを見るなり何やら真剣な表情でぼそぼそと俺達に聞こえない様に何かを話していた。

内容事態が聞き取れないから何なのかはわかんねーけど、随分真剣な表情で話してるから只事じゃ無さそうだ。

おいおいこれ以上何かあんのかよ?できれば面倒事はもう勘弁して欲しいぜ。

まぁその後直ぐに皆落ち着いてくれたんだが、俺がさっきまで撫でてた犬が実は人間だったって事で、「アンタは何をしとるかぁあ!!?」と真っ赤になったアリサにブン殴られますた。

多分さっきなのは達が「何であんな声を出してたの?」って質問に答えたアルフの「あんな気持ち良い波紋でおっぱい揉まれたら、あんな声だって出ちゃうよぅ?」という答えの所為だと思われる。

メス犬のお腹……いや確かに胸だけども、そんなモン全く意識してなかったっての。

 

「……ゼンの……えっち(ぼそっ)」

 

……だからフェイトさん?俺が悪かったですからその目ぇ止めて下さいませんか?ちょっとチビりそうです。

 

 

 

 

 

そんなカオスも少しすれば終わりの時間が来て、やっとの思いで目の前のケーキと紅茶にありつけたのですが……。

 

「こ、これはああ!?この味はぁああ!!?」

 

今回初めて俺の料理を食べる方々の驚き様がハンパなかったぜ。

ノエルさんは俺の作ってきたガトーショコラを一口食べてフォークを手から取り落として驚愕している。

さっきまでのクール美人って評価が一気に崩れ落ちていきそうな驚きっぷりに、作った俺の方がビビッちまったよ。

 

「うわぁ……!?と、とっても美味しいです!!禅君はお料理上手なんですね!!」

 

ファリンさんはとっても美味しそうにほっぺを綻ばせながら、ケーキをパクパクと次々に口の中に入れていく。

飾りッ気の無いド直球な言葉だが、その方が逆に本気で言ってるってのが伝わって嬉しくなってくるぜ。

 

「……橘君、ウチの専属パティシエにならない?今じゃなくて将来でもいいから、お給料は言い値で用意するわ」

 

何故かさっきより真剣な顔で就職場所を斡旋して下さる忍さん、目が本気と書いて((真剣|マジ))。

桃子さんに続いてアンタもかい、俺はまだ将来なんて考えちゃいねえっつの。

 

「生憎と、将来なんて漠然としか考えちゃいませんので、お誘いは嬉しいッスけどお断りさせて下さい。そん時になんねえと分かんねーっすから」

 

そう言って忍さんのお誘いをやんわりと拒否すれば……。

 

「で、でしたら是非!!是非私に、菓子作りとは何なのかをご教授頂けませんか!?どうかお願いします!!」

 

と、ノエルさんに思いっきり頭を下げられるという奇妙な状況に、どうしてそうなった?

出来れば教えてあげたかったが、桃子さんとの約束もあるので安易には答えられないのが俺の現状だったりする。

なのでその辺の事情を説明しつつ、やんわりと断りを入れておいた。

その言葉に悲しそうな表情を見せるノエルさんには心が盛大に痛んだが、これ以上俺の休みを潰すわけにはいかんでゴワす。

代案として、俺に菓子作りや料理の全てを叩きこんでくれたお袋が良いと言えば、お袋に師事出来る様に話は取り持つとは言っておいたけどね。

さて、そんな感じで和気藹々としたティータイムは滞りなく進み、気が付けば全員のカップと受け皿は空っぽになっていた。

そこから部屋を包み込むのは緊迫というか気まずい雰囲気なり、否が応にも頭を切り替えなくちゃいけねえ。

誰もが口を閉ざした空気の中で、真剣な表情をしたなのはが口火を切った。

 

「……あのね、アリサちゃん、すずかちゃん。昨日の事をお話しする前に、私がどうしてあんな力を持ってるか話したいんだけど……良いかな?」

 

なのはの真剣な表情と声音に、アリサとすずかは居住まいを正していく。

そして、なのはの発言に、2人は肯定の意味を持って頷いた。

 

「まぁ、さっきアルフ……さん?が変身した辺りから、もうスケールがトンデモない話だとはおもうけどね……アンタ達の昨日の格好もそうだけど、何気にアンタ達空飛んでたわよね?」

 

「それに、私達も一瞬で全然違う場所に行っちゃったし……あれは何なの、なのはちゃん?」

 

2人の疑問の声を聞きながら、なのはは一度深呼吸をして覚悟を決めた顔つきで2人を見る。

 

「私がああいう力を使える様になったのは、半年前の春にあった事が関係してるの」

 

「半年前……アンタが学校でも妙に上の空だった時ね」

 

アリサは心当たりがあったのか、なのはの顔を見ながら質問し、なのははそれを頷いて肯定した。

そこから、なのはの魔砲少女としてのダイアリーが赤裸々に語られていく。

事件が起きる前の日に何やら不思議な夢を見て、その日の帰りにアリサとすずかの3人で拾ったフェレット、つまりユーノの助けを求める声を聞いて、夜に家を出歩いたと。

そして出歩いた先で、半年前の事件の要であるジュエルシードの暴走体に出会ってしまい、ユーノの言葉に従って魔砲少女になり、暴走体を封印した事もだ。

さすがに普通なら魔法なんて言葉を聞いても信じられねーだろーが、アリサとすずかは既にあの魔法の騒動を目撃して体験した後だ。

それこそ逆に魔法なら納得できるって事であっさりと納得されてた。

そして、ジュエルシードを少しづつ封印していく中で、フェイトとアルフに出会った所まで話は進んだ。

さすがにフェイトがジュエルシードを集めていた理由は言うワケにはいかず、「母親に頼まれて探していた」という事でなのはとフェイトは誤魔化した。

フェイトがクローンとか実は母親が色んな意味でメッチャ病んでましたとか言えるワケがねえしな。

あの事件を経験して、フェイトの母親として目覚めたプレシアさんを見てるアリサとすずかからしたら衝撃なんて言葉じゃ済ませられないだろう。

まぁ、その辺りは上手く誤魔化しつつ、遂に話は7割方進んでいき……。

 

「それで、ジュエルシードの魔力の暴走に呑まれそうになってたフェイトちゃんを助けたのが……」

 

なのははそこで言葉を切ると、俺の方にチラリと視線を向けてきた。

他の皆も話を中心に進めていたなのはが俺の方を見たので、全員が同じ様に俺に視線を送ってくる。

あぁ、注目されてる!!注目されてるよ俺ぇ!!

 

「そこに突然現れた、禅君だったんだ」

 

なのはは俺に視線を向けながらも話を続けて、俺の初登場シーンを話していく。

しかし、俺の隣に座っているフェイトはというと、何やら顔を赤らめながら遠い目をしているではないか。

……自惚れじゃなけりゃ、多分あの時の事を思い出してるんじゃなかろうか。

 

「いきなり叫びながら現れたかと思ったら、禅君は目の前で暴走してたジュエルシードを『スタンド能力』っていう力であっさりと封印しちゃったの。あの時はすっごくビックリしたよ」

 

「うんうん、最初は敵かと思ってたけど、ゼンは何時だってアタシとフェイトのカッコイイヒーローだったんだよ♪何せフェイトを助けてくれて、しかもジュエルシードまでくれたし♪」

 

「その後で、私の手の怪我も『治して』くれたんだ♪……あの時初めて会ったのに、禅はあの時から……ずぅっと優しかった♪今も、とっても優しいし……カッコイイ……よ?」

 

「よ、よせやい二人共。そんなにベタ褒めされると照れちまうじゃねぇか」

 

余りにもベタ褒めな言葉を重ねるフェイトとアルフに、俺は気恥ずかしさから頬を掻いて視線を明後日の方向に向けた。

こ、この橘禅。普段はおちゃらけてても人から褒められるのはあんまり慣れてねえんだよなぁ〜〜。

だがそれでも、フェイトは俺の顔を真っ直ぐに見ながら楽しそうに笑ってらっしゃる。

 

「ふふ♪……何時ものお返しだもん♪」

 

そう言って頬を赤くしながらベーッとする様にチロリと舌を出すフェイト。

ぐべばぁ!?ま、まさかのこんな萌え萌えな仕返しとは……!?ま、参ったぜ……今回ばかりは、負けた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれないかしら、なのはちゃん」

 

だが、俺の初登場の華麗なる活躍を聞いていた皆の中で唯一人、忍さんが焦った声音で話を中断させてしまう。

その声に、この場に居る全員が視線を忍さんに向けていく。

 

「なのはちゃん達の持ってる力と、さっきのアルフさんの変身が魔法っていう力なのは分かったわ……でも、橘君の『スタンド』っていう力は魔法とは違うモノなの?」

 

忍さんはそう言いつつ、説明を求めて俺に視線を向けてくる。

しかも忍さんの言葉を聞いたアリサとすずかも同じような視線を向けてくるではないか。

 

「そういえば、アンタも変わった力を持ってるのよね?昨日ちゃんと話すって言ってたんだから、早く話しなさいよ」

 

「せ、急かさなくても大丈夫だよアリサちゃん。禅君は、女の子との約束を破る様な酷い人じゃないから……そうだよね?禅君?」

 

アリサは少し眉を釣り上げた、何時もの勝気な表情で俺に詰め寄り、すずかは微笑みながらも会話で俺の逃げ道を磨り潰してらっしゃる。

あの、すずかさん?微笑みながらそんな風に脅迫するのは如何なモンかと思いますよ?忍さん見てみんしゃい、若干引いてるから。

さすがにああまで言われては、俺もそろそろ自分の力を話さねばなるめぇ。

っていうかどっち道ちゃんと話すつもりだったんだがな?

俺は目の前で俺を見てくるすずかとアリサに対して肩をすくめながら、笑みを浮かべて口を開く。

 

「まぁ、今忍さんが言った通り、俺はフェイト達みてえな魔法なんて力は欠片も使えねえ。俺の持ってる能力は『スタンド能力』。俺の精神力を形にしたパワーだ」

 

「……さっき、溢れそうだったカップの中身を固定した時に見えた、電気みたいなヤツの事?」

 

俺の言葉足らずな説明に、今度は忍さんでは無くアリサが俺に質問を投げかけてきた。

だが、俺はアリサの言葉に首を左右に振って否定する。

 

「いんや、アレはスタンド能力じゃねえ。アレは『波紋』っつって、俺が5歳の時にある人から教えてもらって、今までずっと修行して使える様になったもう一つの力だ」

 

そっから、俺の初心者でも分かる波紋講座が幕を開けた。

波紋とは生命エネルギー、そして太陽と同じ波動を持つ太陽の((振動|バイブレーション))、謂わば生命の迸り。

波紋使いは自身や対象生物の血液に流れるちっぽけなエネルギーを集めて大きなエネルギーに変える事を可能にする特殊な呼吸法の使い手である事。

その生命エネルギーの迸りを操れる波紋使いは、人間の神秘的な力や限界を超えた力を発揮できる。

俺はさっきその波紋の振動でコップから流れ出そうだった紅茶を固定し、昨日なら自分の身体の治療を促進していたという例を話した。

昨日それを間近で見ていたアリサとすずかは成る程と納得し、フェイトとアルフはウンウンと頷きながら真剣に俺の話を聞いている。

あ〜そぉいや、アルフとフェイトには俺の波紋の力は教えてやってなかったな。

朝方アースラでグレアムさん達と話した時も、『クレイジーダイヤモンド』の事は話したけど、波紋の事は言って無かったっけ。

と、ここまで話していくと、またもや忍さんが手を挙げて俺に質問を投げ掛けてきた。

 

「波紋っていう力については分かったわ……それじゃあ、さっき紅茶のトレーが浮いていたのが、その『スタンド能力』って力の事?」

 

「そうっすね。なのは達みてえに魔法の力とか、何かしらの異能を持ってる人間だけが見える力。それが俺が持ってる『スタンド能力』。そして俺のスタンドの名前は『クレイジーダイヤモンド』って言います」

 

忍さんの質問に答えつつ、俺は『クレイジーダイヤモンド』の自己紹介を簡潔に済ませた。

スタンドは同じような力を持ってる者か、なのは達魔導師の様にリンカーコアという未知の器官を持つ生物にしか見えないと。

一応見えてはいないが、人の形をした((像|ヴィジョン))であるという説明もしてはみたが、忍さん達は分かり辛い様で首を捻っていた。

 

「……なんか、私達には見えてないから紹介されてもピンとこないわね」

 

「そうだね。私達にはどんな形か想像でしか分からないんだもん」

 

すずかとアリサは微妙な顔でそう言って困っている。

う〜〜む、俺としても見せてやりてえが、さすがにスタンド使いでも魔導師でも無けりゃ見せようが無えし……いや、待てよ。

説明している人達にどうすれば『クレイジーダイヤモンド』を見せる事が出来るか頭を働かせていると、一つだけアイデアが浮かんできた。

さすがに一度も試した事が無い方法なので確証は持てねえが……もしかしたらイケるかも知れねえ。

 

「忍さん、ちょっと頼みがあるんスけど……」

 

俺は難しい顔で思案していた忍さんに声をかけて、あるモノを用意できるか聞いてみる。

そのお願いに首を傾げながらも、忍さんは直ぐに頷いて俺の要求したモノをノエルさんに取りに行かせてくれた。

そして、ファリンさんが部屋を出てから数分後……ノエルさんは、俺が求めた2つのモノを手に戻ってきた。

 

「コチラで宜しかったでしょうか?」

 

そう確認を取りつつ、ノエルさんが差し出してきた物を、俺は手に取る。

俺が忍さんに頼んだモノとは、A5サイズのスケッチブックと鉛筆だ。

 

「……OK、これなら何とかなるかも。ちょっと借りますね?」

 

俺はノエルさんにそう言いつつ、背後に『クレイジーダイヤモンド』を出現させ、スケッチブックと鉛筆を手渡す。

そうすると、『クレイジーダイヤモンド』は俺からスケッチブックを受け取るために屈んでいた身体を起こして、スケッチブックをテーブルに置いた。

一方で片手に鉛筆を持って、スケッチブックに手を向き合わせる。

その行動の全てが見えているなのは達は首を傾げて不思議そうに『クレイジーダイヤモンド』を視界に収めている。

 

「禅君、一体何するつもりなん?」

 

「まぁちょっち見てなってはやて……よし、『クレイジーダイヤモンド』」

 

『……(シュカカカカカカカカカカカカッ!!!)』

 

俺ははやてに待つ様に言いながら、『クレイジーダイヤモンド』に命令を下す。

そうすると、『クレイジーダイヤモンド』はかなりの速度で鉛筆を動かして、スケッチブックに何かを書き込み始めた。

スピードからすれば、普通の人間では出来ない速度のペン捌きだ……流石にスタープラチナとか岸辺露伴よりは大分遅えがな。

まぁスピードはあっても精密動作性を優先して書かせると、ヤッパあの2人(1人と1体)には及ばねえか。

目の前で凄まじい速度で鉛筆がひとりでに動き回るその光景に、アリサ達は目を丸くして驚いていた。

 

「そ、そんな事も出来るの?その……『クレイジーダイヤモンド』って……」

 

「さっきの波紋っていう力もそうだけど、『スタンド能力』ってのもほぼ規格外じゃない……オマケに禅本人は料理のマスタークラスで大人顔負けの運動が出来るとか、何よその無駄にハイスペックなのは?」

 

『クレイジーダイヤモンド』にやらせているスケッチを見ているアリサとすずかから関心した声と呆れた声が出てくる。

つうかアリサてめえ、無駄とか言うな無駄とか。

 

「ふぇええ……『クレイジーダイヤモンド』ってあんな事も出来ちゃうんだ……フェ、フェイトちゃんは知ってたの?」

 

「わ、私も知らなかったよ……でも、何を書いてるんだろう?」

 

「私等も普通の人から見たら大概やけど、『スタンド能力』って私等の魔法よりも便利過ぎちゃうか?日常生活なら応用範囲広すぎやろ」

 

一方でなのは達魔導師組みも、今回初めて使う『クレイジーダイヤモンド』の以外な一面にかなり驚いていた。

まぁ今までが戦闘ばっかりに使っていただけで、こーゆう事にスタンドを使うのは初めてだもんな。

例外と言えば、リンディさんの湯飲みにシュガーIN事件の時と、なのはにお仕置きでグリグリ攻撃したぐれえか。

しかしはやての言葉には語弊がある、それは『スタンド能力』は一律して全部が全部こんな事が出来るワケじゃねえって事だ。

この世界で、今の所『スタンド能力』を持ってるのは、恐らく神様から特典で貰った俺1人だけの筈。

だからこそ言葉にはしねーけど、例えば第4部に出てきた鋼田一豊大のスタンドである『スーパーフライ』なんかまんま鉄塔の形でペンすら握れないし、精密動作性の低いスタンドでもこの芸当は不可能だ。

その中でも『クレイジーダイヤモンド』は四代目JOJOたる東方仗助さんのスタンドなだけあって、パワーとスピードはスタープラチナに匹敵するしな。

流石に精密動作性じゃ1歩及ばねーが、それでもチートスタンドにゃ相応しいだろう。

 

「まぁ、『クレイジーダイヤモンド』がかなりチートなのは認める。それこそ顔面の目の前で撃たれた銃の弾丸だって受け止めれる自信はあるしな……っと、そろそろ書きあがったみたいだぜ?」

 

そうしてはやて達の言葉に相槌を打ちながら待つこと1分弱、命令通りのモノが書きあがったのか、『クレイジーダイヤモンド』は鉛筆を走らせる手を止めていた。

『クレイジーダイヤモンド』はスケッチブックを俺に手渡し、俺はその中身を見てみる。

そしてその書かれたモノが俺の望み通りの代物だったので、俺は笑みを浮かべた。

 

「よっしゃよっしゃ、これだけ上手いなら文句ねえや……さて皆様、お待たせしました。こいつが俺の『スタンド』の……」

 

俺はそう言いつつ、まだ何なのか把握していないアリサ達に向けてスケッチブックを翳して見える様にする。

アリサ達に向けているスケッチブックのページには、両手を下げて自然体のポーズになっている全身にハートのアクセントを施した人型が描かれていた。

 

「『クレイジーダイヤモンド』で〜す。はっピーうれっピーよろピクねー♪」

 

そう、つまり俺が『クレイジーダイヤモンド』に書かせたのは、自分自身の全体像画だ。

これなら魔導師でもスタンド使いでもねえアリサ達が『クレイジーダイヤモンド』がどんな形かってのが伝わる。

いやぁまさにナイスアイデアだね。冴えてるぜ、俺って奴ぁ♪

 

『『『『『……(シーン)』』』』』

 

「……あ、あれ?」

 

ところがドッコイ、俺の軽快な『クレイジーダイヤモンド』の紹介が終わった後、部屋を包むのは静寂でした♪

あれおかしいナー?と思って目の前に掲げていたスケッチブックをズラして顔を覗かせれば、何故か微妙な顔か苦笑いかの二通りの顔のみだった。

WHY?一体どうしたってのよ皆さん?

 

「……その『クレイジーダイヤモンド』ってさぁ……どれぐらいの大きさよ?」

 

そして、そのワケがわからない静寂をアリサが破り、俺に微妙な顔のまま質問してきなすった。

あっ、そういや身長とか書いてねーの忘れてたな。

 

「『クレイジーダイヤモンド』の身長は……大体2メートルって所だ。パワーはその気になりゃ大型トレーラーだって弾き飛ばせるし、パンチやキックのスピードは時速300Kmから400Kmを叩き出すぜ?」

 

アリサの質問に俺は胸を張って答える。

まぁコイツの一番のアピールポイントは治すっていうチート能力だけどな?

パワーとスピードだって充分チートなんだぜ?

 

「……そんなので殴られたら、人間なんて一発で粉微塵ね」

 

ちょ、忍さん?ヒクついた顔で物騒な事言わんで下さい!!

そんな現場凄惨過ぎて、想像しただけで腹の中から込み上げてきちゃうううううううう!!

 

「て、てっきり妖精さんみたいなのだと思ってたけど……なんていうかその、ええと……」

 

「すずか、言葉を濁さなくて良いわよ……まっ、禅にはピッタリの力なんじゃない?」

 

すずかの言いにくそうな言葉に乗っかる形で再びアリサが話し、何か投げやりな感じで言葉を締めてしまった。

だがまだこんなの序の口、こっからが『クレイジーダイヤモンド』をチートたらしめる力なんだぜ?

 

「まぁ待てよアリサ。『クレイジーダイヤモンド』の本当にスゲエ力ってのは、ここからなんだぜ?」

 

片目を瞑って呆れた表情を見せるアリサに俺はニヤリとした笑みを見せながら、『クレイジーダイヤモンド』に、手に持った鉛筆を圧し折らせる。

その瞬間、ベキベキッという木の折れる乾いた音と共に『クレイジーダイヤモンド』の手の中にあった鉛筆は粉々になってしまった。

勿論、『クレイジーダイヤモンド』が見えていない人達からすれば、空中に浮いた鉛筆がいきなり折れた様にしか見えないので、皆ビックリした顔を見せていた。

 

「はぁ〜〜い。まずはこのバッキバキに砕け折れた鉛筆を〜〜……」

 

俺は皆の驚いてる表情を楽しみながら、この部屋で一箇所だけ開いてる窓に向かって、鉛筆の破片を投げさせる。

そうすると、鉛筆は小さな一個の破片以外全て外に飛んでいき、庭の茂みの中に落ちて何処にあるか分からなくなってしまう。

 

「今、外に投げました。これで残ってるのはこの『ほんのチョッピリだけ残った芯とその周りの部分だけ』になりましたね?……さて、そこで自他共に認める天才少女事、アリサ・バニングスにクエスチョン!!」

 

「え!?わ、私!?」

 

いきなり鉛筆の破片を窓の外に捨てたかと思えば、このタイミングでいきなり指名されたアリサは慌てた声を出しながら自分を指さして確認を取ってくる。

勿論、俺はその確認に肯定の意味で首を縦に振り、テーブルの上に置かれた鉛筆の破片に人差し指を添える。

 

「こぉ〜〜んなにバラバラになっちまった鉛筆、綺麗に元通りに治せると思いますか!?フィフティ・フィフティもテレフォンもオーディエンスも無し!!一回こっきりの質問デス!!さぁ、答えは!?」

 

「い、いやちょっと待ちなさいよ!?こ、こんなにボロボロの木っ端微塵になっちゃったら誰も治せるワケないでしょうが!!バカじゃないのアンタ!?」

 

捲し立てる様に言葉を並べた俺に乗せられたアリサは、深く考えもせずに俺様の質問を無理だと否定してしまった。

その答えになのは達魔導師組は揃って苦笑いを浮かべていた。

そんななのは達の表情を見て、すずかや忍さん達は「もしかして……」という期待する様な表情を見せる。

フッフッフ、その期待に答えて差し上げようではないか。

余裕を持ったニヤニヤした俺のツラが気に食わねえのか、アリサはその形の良い眉を釣り上げて俺を睨んでくる。

 

「な、なによそのバカにしてる目はぁあああ!!?アッタマきた!!じゃあこの鉛筆が治せなかったら、アンタはこの先ずっとアタシに料理とお菓子を献上し続けなさい!!勿論全部タダよ!!」

 

そして何を思ったのか、アリサは俺に「どうだ参ったか」という感じでふんぞり返ってギャンブルを持ち出してきたではないか。

しかも俺の勝率100%の賭け……こんなチョロくて楽勝な賭けに乗らないなんて手はねぇ〜〜よなぁ〜〜!?

俺を勝気な瞳で睨んでくるアリサに、俺は更に深いニヤニヤとした笑みを見せてしまう。

 

「ぐぬぬぬぬ!!ニヤニヤしてないで何とか言ったらどうなのよ禅!!この勝負、((賭けるの|コール))!?((賭けないの|ドロップ))!?((Decide it early|早く決めなさい))ッ!!」

 

アリサは目尻を吊り上げながら俺を人差し指でズビシッと指し示して、お得意の英語で勝負を吹っ掛けている。

おっとっと、ササッと決めねえとアリサの怒りが噴火しちまうぜ。

俺は椅子に座ったまま腕組みをして、暴発直前の銃みてえなアリサに言葉を掛けた。

 

「GOOD、その賭けに乗ろうじゃねえか。じゃあ俺が勝った場合の支払いだが……」

 

俺はそこで一旦言葉を切り、椅子から立ち上がって身を乗り出してるアリサにお返しとばかりにズビシッと指を向ける。

 

「アリサには今日一日、日付が変わるまでと、冬休みが開けた始業式の日に学校で会った時に、俺に対しては語尾にニャンを付けて喋ってもらうぜ?」

 

ケケケッ。あの強気なアリサが可愛らしく、しかも恥ずかしげに顔を真っ赤にしながら『ニ……ニャァ』と鳴く……あると思いますッ!!!

その賭けの内容が良く理解出来なかったのかアリサはキョトンとしてしまうが、次第に内容を理解して……。

 

「……はぁああ!!?な、何よそのバカみたいな賭け!?バ、バッカじゃないの!?いやバカなんでしょ!?そんなのやるワケないじゃない!!」

 

顔を真っ赤にしてワタワタと慌てながら俺に向かってバカバカ吠えてきなすったぜ☆

どうやら恥ずかしさで沸騰してた頭が冷えて自分の置かれた状況、そして俺のニヤついた顔と自信が、アリサの心の中に警報を鳴らし出したようだ。

駄菓子菓子!!ここまでお膳立てしといて逃がすワケがねえぞオイ!!

俺はニヤついた笑いから一転、今度はつまらなそうなモノを見る表情を浮かべてあからさまな溜息を吐く。

 

「はぁ〜〜ん?何だ何だよ何ですかぁ?オメ〜まさか……ビビッちまってんのかよぉ?ア・リ・サ・ァ・♪」

 

「なななな、ぬわぁんですってぇえええええ!?もうイッペン言ってみなさいよアンタァアア!!」

 

出来るだけバカにした様に、且つ滅茶苦茶イラつく声音を出しながら俺はアリサを分かりやすく挑発してやる。

案の定、その声に軽くプッツンときたアリサは目尻を吊り上げながら俺を問い詰めてきた。

よぉ〜しよし、食らいついたな(笑)もうホント乗せやすくて困っちゃうぜアリサちゃぁ〜ん☆。

 

「え?何ぃ?もうイッペン?もうイッペン言ってみろだぁ〜〜?いいや、言う必要はないね。何故なら一度で良い事を二度言わなけりゃあならねえってのは、相手がバカな時だけだからなぁ〜〜。そう思うだろ、アリサ?」

 

「う、うぬぐぐぐぐぐぐ!!?ア、アンタねぇえええ……!?(プルプル)」

 

そうしてボルテージMAXなアリサを見ながら、俺は耳をそばだてる仕草をしながらニヤケ面を晒して、更にアリサの冷静さを奪っていく。

だが、幾ら頭が冷静さを欠いていても、さすがに天才少女と呼ばれるだけはある。

今の『オメエはバカじゃねえからもう一度同じ事言う必要はないよね?』って言葉の裏の意味を直ぐ様解釈したんだろう。

ここでアリサがもう一度同じ言葉を聞くなら、オメエは自分をバカだと言ってるのと変わんねえって意味を。

だからこそアリサはプルプル震えるだけで俺に言い返す事が出来ないんだ。

よぉ〜し良いだろう……とっておきの『ダメ押し』ってヤツだ!!

俺はさっきの小馬鹿にしたニヤケ面ではなく、相手を労る、気遣う様な笑みを見せながら、アリサに手の平を反対にして誘うように向ける。

 

「まっ、アリサの言葉を借りた上で、敢えて言い直すなら……この勝負、((賭けるか|コール))?((賭けないのか|ドロップ))?((Decide it early|早いトコ決めちまいな))♪……ってヤツだぜ」

 

プッッッッツン☆

 

俺の最後のおちょくりを聞いたアリサの額から、鳴ってはならねえ音が聞こえてきたッス。

その音が聞こえた辺りで、アリサは顔を俯けてシーンとなってしまった。

それを見ていたなのはが頬を膨らまして俺を睨んでくるではないか。

 

「もう、禅君!!あんまりアリサちゃんをイジめちゃ駄目なの!!っていうか女の子をイジめるなんて最低な事なんだからね!!ほら、アリサちゃん。禅君の言った事なんて気にしないで良いよ」

 

自分の親友を苛めた俺にキツイ口調で叱りつつ、なのははアリサを慰めようと優しい声で語りかけながら肩に手を置こうとしていた。

……だが俺は知っている……今のアリサは、触ったら瞬間でブッ飛ぶニトログリセリン並に危ないって事を。

 

「…………の……」

 

「?アリサちゃん?」

 

なのはの出した手がアリサの肩に触れるか触れないかって所で、俯いたアリサから小さく何かを呟く声が聞こえてきた。

その声を訝しく思ったなのはがアリサの顔を覗き込もうとした瞬間……。

 

「……のッ!!(バァアアンッ!!!)乗ったろうじゃないのよこのスケコマシがぁあああああああああッ!!!?」

 

『『『『『アリサちゃんッ!!?』』』』』

 

「うにゃぁああああああッ!!?み、耳がーーーーーッ!!?」

 

バッと音が鳴りそうな勢いで顔を上げたアリサが、力の限りテーブルに手の平を叩きつけて大きな音を出した。

俺を見る、いや睨んでいるその顔は、もはや別の意味で真っ赤に燃え上がってらっしゃる。

だって背後からゴゥゴゥと燃え盛る炎のイメージがしっかりと見えてるんだもん。

しかもテーブルを叩いた音が、比較的近くで顔を寄せていたなのはの耳にダイレクトに響いてしまい、堪らずなのはは耳を抑えて転げまわった。

うーん……なんていうか……なのは乙。

 

「OKOK!!いいじゃない!!やったろうじゃないの!!アタシが負けたら語尾にニャンだろうがワンだろうが幾らでもつけたろうじゃない!!この勝負、((CALL|乗ったわ))よ!!」

 

「GOOD!!じゃあ、始めようぜ♪『クレイジーダイヤモンド』ッ!!」

 

『ドラアァッ!!!(ズギュゥウウウンッ!!!)』

 

まるで親の敵の如く鉛筆の破片を睨みながら「戻りっこない!!戻りっこないわ!!」と喋るアリサと、余裕綽々の俺という構図がそこには出来上がっていた。

クックック、悪いなぁアリサ……オメエに勝機は万に一つもねえ〜〜のさぁ!!ドゥーーユーーアンダスタンンンドゥ!!?

 

 

 

 

そして、部屋の中で唯一開けられた窓からコトコトと『木が擦れ合う音』が聞こえて……。

 

 

 

 

 

結果だけ言えば、その日月村家に、大きくてツンデレな猫が一匹現れたとだけ言っておこう☆

 

 

 

 

 

「ふざけんニャーーーーーッ!!?フシャーーーーーーーーーッ!!」

 

 

おっとっと、簡単には近づくなよ?ガブリと噛まれるかズバァアッと爪を立てられちまうぜ?

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

さて、話が大分脱線してしまったが、そこは年長者である忍さんの采配で元の軌道に戻る事が出来た。

なのはも耳のキーンとした痛みから復活し、何とか話しを出来る状態に回復している。

アリサはさっきの賭けがあるのでなるべく自分から話さない様にそっぽ向いてるし、すずかは相変わらず苦笑いだ。

そして話は俺が現れた所からもう一度始まり、次に俺が現れなかった時にあったフェイトとなのはの事だ。

その日、発動したジュエルシードを封印しようと現れたなのはとフェイト。

前の暴走事故の事を教訓に、先に封印してしまってからジュエルシードを賭けてバトルをおっ始めたらしい。

っていうか結局の所は戦うのかよオメエ達は。

そして、2人がぶつかりあってバトルをおっ始めようとした所に、クロノが乱入。

フェイトはジュエルシードを持って逃走し、なのははユーノと共に時空管理局の戦艦アースラに事情聴取で乗艦する運びとなったらしい。

そこで初めて、なのははユーノが純粋なフェレットではなく、人間の男の子だと知ったらしいのだが……。

 

「はぁああ!?ユ、ユユユユユーノって人間だったのぉお!!?……だ、だったのニャ?」

 

「し、しかも男の子って……あうぅ!?」

 

激昂しながらも律儀に賭けの内容を思い出して恥ずかしそうに赤面しながらニャとか言うアリサに萌え(ギュウウゥッ!!!×2)ぇえええ!!?

俺の脇腹に激しい痛みがぁああああああああああああ!!?

目尻からチョッピリ滲み出てきた涙を拭く事も忘れて脇腹に視線を送れば、左右から手が伸びて俺の脇腹を思いっ切り抓ってる手を発見。

それを視線で辿りつつ先ずは左側を見てみれば……。

 

「……(ピクッピクッ)」

 

そこには目を瞑りながら形の良い眉を時折ピクピクさせて怒りの表情を見せる無言のアルフが居らっしゃった。

や、やばい!?激情家のアルフが静かに怒ってる時ほど怖いモンはねえぞ!?

さすがにそんな状態のアルフと目を合わせるのは怖いので、慌てて反対に視線を向ければ……。

 

「……う〜」

 

俺を精一杯に睨んで唸ってらっしゃるフェイト様のご尊顔ががががが。

なんてこった。不機嫌な((パン2枚|フェイトとアルフ))に挟まれた((具|俺))って……こんなサンドイッチ美味しくねぇよ。

余りにも逃げ道のなさ過ぎる完璧な布陣にバツの悪さから縮こまって2人の怒りが収まるまで待ってみようとすると……。

 

「「フンッ!!」」

 

二人共完全にヘソを曲げてしまったのか、俺の脇腹を抓ったままそれぞれ反対方向に顔を背けてしまった。

あぁ畜生、何でいっつもこうなるんだっての。

っていうか、何故すずかとアリサは顔をあんなに赤くしてんだ?

脇腹が痛む中で、俺は目の前で赤面しながらあうあう言ってるアリサとすずかの2人を見ていたんだが……。

 

「なのはちゃんの連れてたフェレット……あぁ、そういえば温泉旅行に行った時に、女湯に入れてたっけ」

 

「いやーー!?言わニャいで下さい忍さん!!アタシの純潔がーーー!?」

 

「わ、私達、男の子の前では、はだ、裸に……うぅ」

 

「あっ……そ、そういえばそうだったね……にゃはは」

 

忍さんの思い出した様な一言でピーンと来ちまったい。

更に忍さんの一言に過敏に反応した頭を抱えて絶叫するアリサと若干沈んだオーラを纏うすずかの様子で確信に変わった。

なのはは何故か少しだけ頬を染めてポリポリと頬を掻いて恥ずかしそうにしてるだけだが……まさか見られるのが別にどうでも良いってワケじゃあるまいな?

だがこれは良いぞ……コレで、今日の夜にアイツに復讐する材料が増えたってモンよぉ〜〜クックック。

まさかの報復材料が増えた事に歓喜して、俺は口を抑えながら小さく笑ってたんだが……。

 

「ゼェ〜〜ン〜〜?まっさかとは思うけどさぁ……あんた、ユーノの事羨ましいなぁとか思ってんじゃないだろぉねぇ〜〜?もしそうならあたしゃ許さないよ?ガブッじゃなくてグチャッとイクからね?」

 

「ゼンに限って、そんなエッチな事は考えてないって信じてるけど……もしそうなら、今ゼンを触ってる手からほんのチョッピリだけ、ビリビリきちゃうかも……だよ?」

 

あっるえ〜〜?おっかしいなぁ〜〜?何でか知んねーけど、俺が窮地に立たされてるッス。

左右からそれぞれ怒り顔のアルフと、ちょっと濁った瞳で俺を無表情に見てくるフェイトの2人に挟まれて、生きた心地がしなかったぜ。

そして、又もや忍さんの軌道修正が入り、半年前の事件については説明が終わって次ははやてがなのはの変わりに語り部の役目を仰せつかった。

とは言っても、この事件は完璧な秘匿事項の塊なので、幾ら管理外世界に住んでるアリサ達でも全ては説明が出来なかった。

だから、アリサ達に話したのははやての家族が全員魔導プログラム体である事と、今回の事件ははやての元に偶然現れた闇の書が暴走してしまった事ということのみ話した。

さすがに管理局の内部事情とかグレアムさんの暗躍なんて話ししても誰も得しねえし意味がねえからな。

 

 

 

 

 

そのまま時間は過ぎて、等々夕方の4時になったので、今回のお茶会はコレでお開きとなった。

皆がそれぞれ帰路に着く中で、俺はなのはとフェイトとはやてに今日の夜の話し合いは俺の爺ちゃんの家でやる事で決定した事を伝えた。

まず、今は車を所有していないハラオウン家とテスタロッサ家を俺の家族で迎えに行くんだが、その後で良いので八神家のメンツも乗せて欲しいとはやてから頼まれた。

俺はその場で親父に電話し、大人数が乗れる車を出して欲しいと頼んでみる。

知っての通り親父の会社は自動車工場であり、ショップとしての知名度はかなり高く、若者向けの車雑誌にだって何度も載っている凄腕ショップだ。

だからショーとか雑誌に出すために作ったカスタムカーも何台か会社名義で所有しているので、結構沢山の車に乗れたりする。

その在庫の中にちょうど良い車が有ったようで、親父は快く承諾してくれた。

それをはやてに伝えて、夜の6時半までに迎えに行くから、その時には家に居て欲しいと皆に伝えて、俺達は一旦それぞれの家に向かった。

ちなみに高町家は家族で乗れる車があるとの事だったので、爺ちゃんの家に誘導するだけで良いとの事だった。

 

 

 

 

 

そして、俺は家に帰宅し、今日の6時に家を出発すると親父に言われて自分の部屋に戻っていた。

理由はまぁ、ある女への贈り物を作ろうと思っただけだったりする。

さすがに時間がねえからそれ程凝った物は作れねえが、なるべく心を込めて仕上げていく。

それも6時を目前として何とか出来上がり今はその贈り物を箱に詰めている。

 

「フゥ……まぁ、心を篭めて作ったつもりだし、喜んでくれりゃあ良いかね?」

 

俺は今しがた箱に入れた贈り物を、ベットの上で寝そべりながら天井に翳して眺めている。

まぁ、こんな肝っ玉の座った俺でもいざ女の子に贈り物するとなっちゃあ、不安になる事もあるんですよ。

 

『禅ーーー!!そろそろ出るから降りて来い!!フェイトちゃん達を迎えに行くぞ!!』

 

「おっ?分かったーーー!!今降りるぜーーー!!」

 

扉越しに下の階から聞こえてきた親父の声に返事を返しながら、俺はトレーナーを着込んで部屋を出た。

ちなみに微妙な時間なので夕食は食ってねえ。

さあて、アリサ達への説明は終わったし、次は親父とお袋、そんでもって爺ちゃんになんだが……。

今更だけどよぉ、((こんな力|スタンドAND波紋))を持ってる俺の事を、親父達はどう思うんだろ〜〜なぁ。

まさか気味悪いとか言われたりしねぇかなぁ……ヤベッ結構不安だぜ……。

 

玄関で俺を待っていた親父とお袋の顔を見ながら、俺はそんな悪い考えを持ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ何とかなんだろ。

結局、一瞬で何時ものお気楽思考に戻った俺は肩を竦めながら、俺にしては珍しくプリントの少ないトレーナーを着て家を出た。

 

 

 

 

 

左肩の辺りに、マジョーラカラーに輝く小さな星形のプリントのトレーナーを着て……。

 

 

 

あっ、コレは別にフラグじゃねぇぞ?

 

-3ページ-

やはり重要な友達に秘密を明かすというのと家族に秘密を明かすという話は分けさせて頂きました。

これもかなり重要なシーンだと思いますし…………なにより……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだリインフォースに対してのフラグの構築が完璧じゃねーーーッ!!?

 

考えてみて下さいよ!?フェイトちゃんてばキスまで済ませてヒロイン独走状態ッスよ!?

まだアルフだってキスまでは済ませて無いものの、それ以上っぽい行為は何度か遭ったワケで……。

やはりヒロインの座に着くからには、まだ凝縮した甘々展開が必要!!!異論は認めない!!!

だからこそ!!この次の話で!!リインフォースの!!ヒロイン昇格イベント&A"s編完結をやります!!

マジで!!間違い無く!!絶対完結させて日常&バトルの空白期を書きます!!!

鳴かぬなら!!鳴かせてみせましょう!!!リインフォーーースゥーーーー!!!!!

 

 

説明
第29話〜月村家にてお友達とお話し……O☆HA☆NA☆SHI☆じゃないぜ?
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コメント
善宗さん>いえいえwwパフェ片手でも余裕の糖度でごぜーますwww(piguzam])
 もし今まで以上がくるならば私はもう珈琲は豆のままでいいや…いっそのこと 唐辛子でも食べるか(善宗)
fuji0606さん>皆さん予防策とってらっしゃるけど、こーゆうのは寧ろカフェオレ片手に読んでいただきたい(笑)(piguzam])
kikikuyaさん>マテリアル編か……オリジナル時系列とシナリオになると思いますがそれでよければシナリオ組んでみます(piguzam])
マテリアル!マテリアル!(kikikuya)
カルピスソーダさん>……どうしましょうか?(ニヤリ)(piguzam])
ヒロインはこれから追加されるのでしょうか?(カルピスソーダ)
駄猫さん>若いジョセフが凄い参考になりましたwww(piguzam])
禅のアリサいじりが最高ッス(駄猫)
プロフェッサー.Yさん>しまった(・o・)完璧にノエルさんと書き間違えてました(オイ)修正しときます(piguzam])
…そうか、忍とファリン(読んでて気付いたけどこういう真面目な話はノエルの役目じゃ?)の話から考えると夜の一族周りはとらハ準拠、て事は久遠が妖弧である可能性が高いワケか。…アルフと久遠が出会ったらえらいことになるな。主に禅が。(プロフェッサー.Y)
プロフェッサー.Yさん>アルフには、まだ明確な恋敵が居るじゃあないですか〜〜(ゲス顔)だからこそ、その辺りが居ないリインはねっとり濃厚に(ピンポーン)オヤコンナ時間ニ誰?(piguzam])
…ってか、フェイトはキスまで済ませてて、アルフとリインフォースは胸揉まれてて…見ようによっちゃ互角じゃね?(プロフェッサー.Y)
匿名希望さん>少なくともsts前までのキャラなら確定にしよっかなぁ〜と思っています(piguzam])
ヒロインってフェイトとアルフとリインフォースで確定なんでしょうか?(匿名希望)
プロフェッサー.Yさん>修正しときました。有難う御座いますwww(piguzam])
青髭U世さん>わっふる( ゚∀゚)o彡oわっふる( ゚∀゚)o彡oと言うのをお忘れなく(冗談)www(piguzam])
絶対零度さん>今回はアリサをおちょくりまくってみますたwww(piguzam])
デーモン赤ペンさん>波紋を誰かに学ばせて魔改造?……面白そうですねwww(piguzam])
誤字報告。×急性動、○急制動。細かくてスイマセン。(プロフェッサー.Y)
次回、修羅場の匂いがプンプンするぜぇぇぇ!! ブラックコーヒー用意して全裸待機で待ってますw(青髭U世)
「この世界に俺だけ」とか言ってると、なんかフラグにしか聞こえんなぁ!? まぁ冗談として、波紋ぐらいなら誰かできそうだが・・・ リイン、フォースッ!!(デーモン赤ペン)
ライトさん>出来るなら、意識は飛ばさずガンガン甘くしていきたいでゴワすwww(piguzam])
お願いします!!リインをリインをエデンに送ってください(ライト)
tububu12さん>そうですね。其処に関しては大変失礼致しました。スタンドは個々の精神の象徴、例え破壊力で劣ろうとも心理を突くとか搦め手を使えばスタンドの強さにチートもクソもありませんでした。最近浮かれて当たり前の事を忘れていたようです(piguzam])
いい加減クレイジーダイヤモンドのことを「チートスタンド」と表現するの止めません? 「スタンド(能力)に強いも弱いも無い」というのがスタンド使いの基本的な共通認識のはずです(原作のような緻密な知略戦/心理戦を描くのは無理でしょうが)。JOJO好きな癖に自分のスタンドをチートチートと連呼するってかなり違和感ありますよ。(tububu12)
こいしさん>甘く、甘く、甘い展開を一話で書くならより内容を煮詰めなければなりません……必ず、可愛くしてみせましょうぞ。甘ったるくすると心の中で思ったのなら、既に行動は終わってるんだ!!(piguzam])
最後のほうのpiguzum]さん壊れちゃったよ。 それと早くリインフォース書きやがって下さいお願いします。(懇願)(ハラキリ)
頭翅(トーマ)さん>頑張って読んでwww(piguzam])
ヤベェ、笑いすぎてちゃんと読めんw w w(頭翅(トーマ))
匿名希望さん>ピリオドの向こうですねわかりますwww(piguzam])
ダーさんさん>YESYESYES!!OHMYGOD!!(piguzam])
プロフェッサー.Yさん>リインフォースに何やらす?ひょっとするとリインフォースが何かやらか、うわっなにをするやめっ…・・・(piguzam])
kikikuyaさん>いいえ、いぢわるですwwwぢが大切なんですよん♪(piguzam])
やっぱ超面白い! 禅がいずれ僕たちの知らない所に逝きそうだw(匿名希望)
リインフォース……鳴かせちゃってくださぁぁぁい!!!(ダーさん)
って、ちょっと待て。次回でA‘s終了+リインフォースヒロイン昇格?…アンタ禅の家族の前でリインフォースに何やらす気だ!!??(プロフェッサー.Y)
禅いじわるww(kikikuya)
げんぶさん>禅が変態?いいえ、彼は可愛い女の子が大好きなだけ(オイ)ですwww(piguzam])
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