バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第十九話 |
清涼祭が終わり、鋼牙と雄二と翼は学園長の元に行っていたのだがザルバとゴルバが邪気を感じ取り盗聴している夏川と常村に感づき今二人を追っていた。
「あいつらどこに行ったと思う?」
「さあな。だが急がないと危ないぞ!」
「お、おいお前ら・・・・・・・・は、速いって・・・・・・少し落ち・・・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・」
鋼牙と翼に着いていけず雄二は息を荒くしていた。
「遅いぞ雄二。」
「日ごろの鍛錬がなってないぞ。」
「お、お前らと・・・・い、一緒にすんな・・・・・・」
「鋼牙、カヲルカラダ。」
鋼牙はザルバを通信機代わりにする。
『鋼牙、聞こえるかい?』
「はい。」
『もう追わなくていいよ。』
「どいうことですか!まだ俺たちは『他のやつが片を付けてくれたんだよ。』はい?」
『実はお前さん達以外にもう一人頼んだ奴がいてね。そいつが見つけてすこしO・HA・NA・SHI☆をしてくれたんで終わったんだよ。』
「はぁ・・・・」
『じゃあそういうことだから打ち上げに行ってもいいんだよ。』
「そういうことでしたら・・・・」
『じゃあ、お疲れさん。』
通信が終わると鋼牙は少し考えた。
(一体誰が・・・・・それにこんな短時間で・・・・・魔戒騎士でこれだけの実力者はおそらく・・・・・)
「おい鋼牙。一体どういうことだよ?」
「あ、ああ。もう終わったから打ち上げをしていいそうだ。」
「だが誰がやったのだ?」
「わからん。だがカヲルさんが大丈夫と言ったそうだし多分大丈夫だろう。」
「そうか。」
三人は打ち上げの方に向かった。
学園長室でカヲルは鋼牙に通信を終えると一息ついた。
「ふう。これでいいさね。しかしまさかあいつがいたとは驚いたね。」
そのとき扉を叩く音が響き渡る。
「どうぞ。」
「失礼する。」
扉を開け入ってきたのは見た目が二十代の男性であった。
「ひさしぶりだね。お前は相変わらず若く見えるよ。」
「よく言われる。久しぶりですね、カヲル先生。」
「ああ、久しぶりだね。涼邑刃・・・・いや風雲騎士波怒(バド)。」
「その名で呼ばれるのは久しぶりですね。」
「で、どうだったかい?鋼牙の腕は。」
「大河と同じ方をしています。あいつは大河以上ですね。」
「おや!そんなにかい?」
「ええ。鋼牙は大河以上に轟天の扱いが上手いです。あいつの場合堅物でしたし。」
「それは鋼牙も同じさね。だが大河はああ見えて優しかったしね。」
「確かに。優しい故にあんな死に方をしてしまった。馬鹿ですよ、あいつは。」
「ああ。全く愚かだよ。鋼牙はどこかあいつに似ている。」
二人が大河のことを話していると鋼牙から連絡が来た。
『もしもし、学園長。少しよろしいですか?』
「ん!鋼牙かい。どうした?」
『教頭先生の件で少し話があります。』
「ああ。そういやなんか警察がこっちに来たね。何かしたのかい?」
『すこし見料を悪用して匿名で経費の横領や非合法な企業との取引等を調べ上げたデータを送ってもらいました。』
「ネットでデータを送ったらばれるんじゃないのかい?」
『日本の警察は海外サーバーに介入出来ないですからそこを突いたんです。』
「お前さんは何処でそんなことを知ったんだい!」
『まあそういうことなのでよろしくお願いします。』
「ああ、わかったさね。」
清涼祭後の打ち上げ。本来ならFクラスだけのはずがなぜかAクラスも合同にしている。
「ニシテモコイツラハ若イユエニコンナニ騒イデイルノカ?」
ザルバの言うとおり春の花見の如く騒いでいる。まあ今の時期に遅すぎるほど咲いている桜にも驚くがな。
「何故この時期に咲いているのだ?」
「翼、それは俺も思うぞ。母はなぜかこの文月学園の七不思議のひとつに『遅すぎる開花』があるといったがこのこととは思はなかった。」
「お〜い。冴島く〜ん。」
Aクラスのほうから工藤が話し掛けてきた。隣には優子も一緒にいる。
「工藤に優子か。楽しんでいるか?」
「うん。それにしても決勝戦のあの姿はすごかったね。」
「そうね。黄金の鎧を身にまとうなんて思っても見なかったわ。ところで・・・・」
「どうかしたか?」
「なんで服が戻ってないの?」
優子が疑問に思うのは最もである。『魔導空間』で召還獣と同じ姿になるのは召還獣と一体化しているが故にその姿であった。『魔導空間』から出れば元の制服姿に戻るのだが鋼牙の場合は元に戻っていない。
「ああ。そういえば元に戻してなかったな。」
「いやいやいや、戻す以前にどうなってんのそれ!」
「こいつの身につけているのは俺と同じものだ。どういうわけか形状変化をする。」
「それにこれは私服だしな。」
「「私服!?」」
「「そんなに驚くことか?」」
二人の世間を知らないことにもう何もいえない二人。そこに雄二が缶ジュースを持ってやって来た。
「おーい鋼牙、翼。」
「「雄二。」」
「ほれ。」
雄二が二人に缶ジュースを投げ渡す。二人はそれを片手で取る。
「今日はありがとうな、鋼牙。それに翼も。」
「気にするな。」
「そうだ。戦いに勝つという当たり前のことをした。それだけだ。」
「お前らが言うとなんか嫌味に聞こえんな。」
「そうか?」
「そんなつもりはないのだが。」
二人はそういいながら缶を開ける。中に圧縮されていた空気が一気に外に出る音が耳に入る。
「ところであの鎧は何だ?お前あの鎧一回も出したことないが・・・・・」
「あまりあれは出したくないものなんでな。それとあれは『牙狼』だ。」
『ガロ?』
「牙に狼と書いて『牙狼』と読む。」
「ちなみに俺の鎧は『打無』だ。打に無と書いて『打無』だ。」
「なんだか読みずらい上に書きずらいわね。」
「まあな。鋼牙、そろそろ俺は戻る。今日中に戻らないとりんが怒る。」
「母と同じなだと俺も恐怖するな。それじゃあな。」
「ああ。」
鋼牙と翼は堅い握手を交わした。その瞬間どこかシャッター音の切れる音が聞こえた。翼は手を振りながら帰っていった。
「さて、飲むか。」
鋼牙は一気にジュースを飲み干す。
「お前は親父か!」
「ま、まあいいじゃん。僕たちもあっちで飲んでくるから。」
そう言って優子と工藤はA・Fクラスのほうへと戻って行った。
「じゃあ俺たちも飲むか。」
「ああ。」
鋼牙と雄二も向かった。
鋼牙が桜の木下でひとりひっそりと座って飲んでいると姫路と瑞希が話し掛けてきた。
「「鋼牙(君)。」」
「ん!どうしたんだ二人とも?」
鋼牙は立ち上がる。
「優勝おめでとう。」
「そして、ありがとうございます。瑞希ちゃんから聞きました。」
「瑞希、自分から言っといて本人に真実を言うのはいかがなものかと?」
「ご、ごめん。」
瑞希の行動に呆れる鋼牙。瑞希は苦笑いする。
「で、でも私なんかのためにそんなことをしてくれるなんて嬉しいです。」
「別に。学園町から少し依頼されたからついでにやったまでのことだ。」
そういいながら鋼牙は少しふらついている。
「大丈夫ですか?」
「あ・・・・・ああ・・・・だいにょうふ・・・・」
鋼牙は二人にもたれかかる。
「こ、鋼牙君!」
「ちょ、ちょっと!」
「すー、すー、すー・・・・」
『・・・・・へ?』
「悪イナオジョウチャンタチ。流石ニ期待シテイルヨウナ展開カイジャナイゾ。」
「ど、どういうことですか?」
「ドウヤラ酒ヲ飲ンダヨウダ。コイツ酒ニ弱イヨウダ。スマナイガコイツヲ家マデ送ッテクレナイカ?」
「い、家にですか!?」
「で、でも・・・・」
二人は少し戸惑う。
「マア気持チハワカラナクモナイ。ダガ今頼メルノハオマエタチクライシカイナインダ。坂本ハ多分霧島ガカランデイルダロウシナ。」
「・・・・・わかりました。助けてもらったお礼ですしね。」
「うちもそうする。で、鋼牙の家って何処なの?」
「ヘヘ、ソウコナイトナ。」
姫路と瑞希は鋼牙を家まで送った。
翌日の朝。
「姫路、瑞希。」
『鋼牙(君)。』
「昨日はすまなかったな。ザルバから全て聞いた。」
鋼牙は頭を下げる。
「あ、頭を下げなくていいですよ。それに私達は二回も助けてもらいましたし。」
「そうよ。だから頭を上げて。」
「そうか。」
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ヤットオワッテアトハラクニナレルトオモッタラマタメンドウナコトガオキヤガッタ。 「風雲」 コイツマサカ! |
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