魔法少女リリカルなのはStrikerS〜二次創作〜 第32話 「予感、聖王医療院より」 |
瓦礫の山に囲まれていた
周りは炎に包まれ何も見えない
空中にもくもくと煙が立ち上り、空をより黒く染めていた
その中に、でっかい塔が見える
バカでかくて、妙にハッキリと見える銀色の塔だ
視界のド真ん中に佇み、俺を見下ろしていた
「・・・」
俺は動けなかった
手足の感覚はあるのに力が伝わらない、どう動かしても無 理だ
みんなどこにいるかもわからない、あいつも消えた
「・・・く」
負けた・・・完全に負けてしまった
俺も全力だった、初めての生きるか死ぬかのデッドヒート
その結果がこれだ
「・・・」
身体を少し左右に傾けると、一緒になって銀色の塔も動く
おかしいな、そんなことあるはずないのに
認めたくなかったけど、その塔は俺の腹の部分、大ざっぱ に言うと身体から生えていた
貫いているのだ
・・・こんな話を聞いたことがある
人間の体は、その痛みに耐えられないと脳が判断すると、 その痛みを遮断してあたかも何もないようにしてしまうら しい
いい話なんだか悪い話なんだか
「・・・」
ああ・・・お腹の部分が暖かい
撫でると、ヌルッとした赤い血が手にこびりつく
そろそろ・・・限界みたいだ
「・・・ンテ!」
・・・うーん?
「・・・テ!しっ・・・り・・・て!」
・・・ェ・・・トさん
ああ・・・そんな顔しないでください
あなたの綺麗な顔が・・・台無しですよ・・・?
「な・・・いって・・・の!こん・・・って・・・いよ・ ・・!」
・・・フ・・・トさん
「ほら!な・・・はとまだ決着・・・けてな・・・よ?今 度またみ・・・でやろ・・・っていった・・・ね・・・? 」
ああ・・・
「わた・・・たちは最・・・のチー・・・だって言ってく れ・・・とき・・・ごくうれしか・・・んだよ?」
なかないでください・・・
「もっとみん・・・でいろんなこ・・・しよ?・・・ね? 」
もう・・・おれは・・・
「ね?みん・・・で帰ろ?」
これを・・・
「なに・・・れ」
自分の
「い・・・だ。・・・や!」
かわりに
「・・・ンテー!」
そして俺は目をそっと閉じた
傍らで俺の上半身を抱きかかえる女の人に、二丁の銃を託 して
ーーーーーーーーーー
〜どこかの場所〜
「・・・まったく」
またこのパターンだ
何だか病院のような場所、ベッドにカーテン、最近見慣れ たものばかりだ
俺はベッドに寝転がりながら呆れてはてていた
首を左に向けてみると、ラックの上には二丁の銃とケータ イが
これだけみると、俺を縛り上げてなにかしようとするわけ ではなさそうだ。少なくとも敵ではない
「ふぅ・・・」
手を額に当ててみると熱は引いていた
ということは、あれから少し時間が経っているのだろうか ?
俺は記憶を辿ってみた、たしか・・・電車みたいなのを止 めたあと、倒れた・・・ような気がする
そのあとは覚えてない
どうやってここまで来たのか
「・・・?」
それで、ここは一体どこなんでしょう
最初は、機動六課の医務室にでも担ぎ込まれたのかと思っ たけどそうでもなさそうだし、となると・・・
「ここは聖王病院ですよ」
声がした方向に顔を向ける
そこには、聖堂女というかシスターというか、そんな言葉 が似合う格好をした、なのはさんたちと同じくらいの歳の 女の人が部屋の出入り口付近立っていた
髪は短く、紫色である
「体が随分頑丈なんですね。ここの者たちも驚いていまし た」
ラックにタオル用の水の入れ物を置きながら、女の人はそ う言った
「えっと・・・あなたは?」
「あ、申し遅れました。私はシャッハ。シャッハ・ヌエラ と申します」
キリッとした声で女の人は言う
「では・・・ヌエラさん。わ、私は一体どうして」
一応助けてもらった身ということで、礼儀正しく返す
「そう堅くならなくても。はやてさんたちのご友人だとい うことは聞いております。それと、できればシスターシャ ッハとお呼びください」
ぺこりと頭を下げ、ヌ・・・シスターシャッハさんはそう 言った
「シ・・・シスターシャッハさん。お、俺は一体どうなっ たんです?」
「ダンテさんは事件の後運び込まれたのです。意識を失っ てはいましたが身体は問題ありませんでした。本当に頑丈 ですね」
「あ〜、あはは・・・恐れ多」
「ですが、体をこわしていたのに、現場に出たのは感心し ませんね」
腕を組んでシスターシャッハはそう言った
「無理をなさるのは大変危険です。そのせいで仲間に迷惑 をかけてしまうことも、そして、自分を壊してしまうこと もあるかもしれないのですよ?」
「・・・はい。申し訳ございません。ごもっともでござい ます」
本当にシスターシャッハの言う通りだ
以後気をつけるようにしないと
「管理局員たるもの、体調管理もしっかりしませんと」
「・・・はい。申し訳ござ・・・へ?」
「ですから、管理局員たるもの体調管理を」
「いえいえ!あの、管理局員って・・・、もしかして・・ ・」
「はい。あなたですよ?」
他に誰がいるんですかと自分で自分を指差している俺に向 かってそう言った
「局員でなければ現場に出ることは出来ないのでは?はや てさんからも、うちの局員がお世話になるからよろしくと 」
「あー・・・」
その時、狸の耳と尻尾のアクセサリーを付けたはやてさん が、ふふふ・・・と笑っている姿が何故だか思い浮かんだ
・・・今度はやてさんはプリン抜きだな
「局員でなければ、危険行為として通報してるところです よ」
・・・やっぱりプリンをゼリーに変えておいてあげよう
「ですから以後・・・はい、もしもし?・・・え!?行方 不明!?」
いきなり入った通信にシスターシャッハが応えると、相手 は大慌てで用件を伝えていた
「はい、全力で捜索をお願いします。私も後から合流しま すので・・・」
合流とか捜索とかいう言葉が聞こえて来たので、おそらく 患者さんの誰かが帰ってこないのではないだろうか?
「・・・はい。お願いします」
そう言って通信を切ったシスターシャッハは、今の慌てよ うが嘘のように落ち着いた態度に戻った
「・・・何かあったんですか?」
「いえ、特に。すいません。急用が出来たので失礼します 」
「ああ、ちょっと!」
内心は焦っているようで、シスターシャッハは足早に部屋 を出ていこうとするが、ドアを開けたところでこちらに向 き直った
「無理をなさらないというのなら、この部屋から出ること を許可します。ですが、病人ということを忘れないでくだ さい。はやてさん方のように心配する方々もいらっしゃる のですから。そちらの方のようにね」
するとシスターシャッハは、目線を、おそらく俺のベッド の右隣に移した
なんとそこには・・・!
・・・どこぞの団長のように寝袋に入って、すやすや寝息 をたてて寝ている何かがいた
「それでは、失礼します」
その寝袋に目を奪われているうちに、シスターシャッハは 出て行ってしまった
「・・・」
その『何か』は、ゆったりと起き上がり、首を振って黒く 長い髪の毛をバサバサっと広げた
「んあ・・・あ〜ダン、よかった無事でぇ〜」
「・・・なに芋ってんのさ、シャム」
ーーーーーーーーーー
〜聖王病院、屋外〜
「申し訳ございません!私達が目を離した隙に!」
「大丈夫だよ。見たところ、病院の外には出て行ってない みたいだし」
「私達も、一緒に捜すとしよう」
聖王病院から、保護した女の子が行方不明になったと通報 を受け、なのはとシグナムは病院へと駆けつけた
焦るシャッハとは反対に、二人は落ち着いているようだっ た
「それじゃあ、行きましょうか?」
「ああ」
「で、ですが・・・捜すと仰いましても、どこから捜せば よいか・・・」
「ふふ、小さい子が行きそうなところは大体見当がつきま すから」
なのははそう言って、不安そうなシャッハを傍らに、病院 へと入っていく
「それに、ダンテくんもいますし」
ーーーーーーーーーー
〜聖王病院、病室〜
「ダ、ダン!大丈夫!?怪我ない!?どこか痛くない!? 頭とか平気!?」
「大丈夫だからそんなに慌てなくても・・・。ここ病院だ し、もうちょい声小さく・・・ね?」
寝ぼけ状態から覚醒したのか、状況を理解したシャムは、 大慌てで俺の体を調子を調べ始めた
心配してくれるのは嬉しいけど、ここ病院だからなぁ・・ ・
「全く・・・ダンは何回倒れたら気が済むんだか」
「俺も知りたいよ」
そう毎度毎度ぶっ倒れるのがわかったら苦労しないっすよ シャモニーさん
「うーん・・・あ、そうだ忘れてた!」
何かを思い出したシャムは、自分のカバンを漁り始めた
中でジャラジャラと工具みたいなのが擦れる音が聞こえた けどこの際無視しよう
「はい、これ」
そう言われて手渡されたのは、少し厚みがあるカードのよ うなものだった
大きさは普通で、普段お店などで使っているポイントカー ド程である
「いやー、これを開発するのに苦労したよ。あ、大丈夫だ よ。ダンが今使ってるやつの機能は全部入ってるから」
「な、何これ?」
「ん?インテリジェントデバイス」
さも当たり前のようにそう答えた
「その、インテリジェントなんとかって・・・あれかな、 なのはさんたちとかがよく使ってるあの、喋るやつ」
「そうそう!そのカードに向かって『起動』って言ってみ て」
シャムは、プレゼントを今か今かと待ち構えている子供の ように目を輝かせ、そう言った
「それじゃ・・・起動」
すると、カードがひとりでに俺の手から浮き上がり、空中 でゆっくりと回り始めた
『使用者認証中・・・初めまして、ご主人様』
「よし!」
シャムは嬉しいのか、ガッツポーズをキメていた
一方俺は、目の前でいろいろなことが起こりすぎていて、 目が点になっていた
『あ、あの・・・ご主人様?』
凛とした大人の女の人の声で、俺を心配そうに尋ねてくる インテリジェントデバイスさん
「あ、紹介が遅れたね。この子はNG-R34型っていうんだ 。まだまだ無知だから、これからいろんなことを教えてあ げてね」
ちなみに、NG-R35型というのもあるらしいのだが、スペ ックは凄いがまだまだ開発段階で、コストと維持費が大変 だからこちらにしたらしい
「ほら、ダンも何か言って」
「え?えーと、初めまして」
『初めまして、ご主人様。これからよろしくお願いいたし ます』
まずは無難な挨拶からだったが、まだ慣れない
一体何を話せばいいのか
「まぁ、そう緊張しないで。そうだ!シスターシャッハか ら外出の許可が下りたなら、少し歩いてきたら?ほら、二 人っきりで・・・ね?」
シャム・・・お見合いじゃないんだから
「おっといけない、そろそろ戻らないと・・・それじゃ、 私は六課に帰るね」
すると、シャムは自分の荷物をまとめて足早に部屋を出て 行ってしまった
最後に、あとで報告してねと言われた
だから、お見合いじゃないんだから・・・
『ご主人様、本日はお日柄もよく、散歩には最適でござい ます』
「そ、そうだね。少し歩こうか」
お見合いをする男の気持ちが少しわかった気がする
ーーーーーーーーーー
〜聖王病院、中庭のような場所〜
「つまり・・・いろんなことができるわけね」
『はい。戦闘のサポートはもちろん、日頃の生活から翻訳 までありとあらゆることを。ご主人様が望むのなら誠心誠 意全力を尽くす次第でございます』
「そ、そうかそうか。えっと・・・ご趣味なんかは・・・ ?」
『ご主人様、「趣味」とは一体なんでしょうか?』
晴れ渡る青空、眩しい太陽の光を浴びながら、俺とNG-R3 4型さんは、病院の中庭を歩いていた
身体のダルさは抜けており、快調以外の何物でもない
ただ・・・今の状況に緊張してはいるけど
「えーと、NG-R34さんは・・・」
『・・・ご主人様』
「は、はい」
木の陰にあったベンチを見つけた俺たちは、座って話を続 ける
『勝手なお願いで申し訳ないのですが・・・』
目の前で浮いていた彼女(?)は、俺の右肩あたりに移動し ながら話す
『シャモニー様から、先輩方のように、いい名前を貰うよ うにと頼まれました。なのでご主人様、私に名前をつけて はいただけないでしょうか?』
「名前・・・か」
ちょっといきなりだったからびっくりしたけど、確かにN G-R34型だと呼びづらいことこの上ない
名前か・・・
改めて考えてみると難しい
これから先、ずっと付き合っていくかもしれない、だとす ると下手な名前をつけるわけにはいかなかった
「うーん・・・」
ガサガサ
俺が悩んでいる後ろで、何かが動いた音がした
よく見てみると・・・金の長髪の、うさぎのぬいぐるみを 抱いた小さな女の子が、怯えながら、でも何かを探しなが ら、木の陰から出て来た
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合ってるかわからないけどNG-R34の元ネタが一瞬でわかったわ。(らちぇっと) 夢オチかよ!?心配して損した!(カイ) 普通に無事なのか・・・・・・・・・・・死にかけてると思っていた(ohatiyo) |
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