一刀の晋王転生録 第四章二十五話 |
姓:司馬 名:昭 性別:男
字:子上
真名:一刀(カズト)
北郷一刀が転生した者。
姓:司馬 名:懿 性別:女
字:仲達
真名:理鎖(リサ)
一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。
姓:司馬 名:師 性別:女
字:子元
真名:瑠理(ルリ)
母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。
姓:張 名:春華 性別:男
真名:解刀(カイト)
一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。
姓:王 名:元姫 性別:女
真名:美華(ミカ)
一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。
姓:ケ 名:艾 性別:女
字:士載
真名:江里香(エリカ)
後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。
姓:賈 名:充 性別:女
字:公閭
真名:闇那(アンナ)
司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。
姓:王 名:濬 性別:女
字:士治
真名:澪羅(レイラ)
後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。
姓:司馬 名:望 性別:女
字:子初
真名:理奈(リナ)
一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。
姓:杜 名:預 性別:女
字:元凱
真名:綺羅(キラ)
一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。
第二十五話
「劉備・孫権の乱 赤壁の戦い 気付かぬ危機」
「何故そう思うのかしら?」
曹操は確信で言った事に驚きながらも興味深く聞く。
「まず、海上戦で兵力差をどうするかを考える時に何が思い浮かぶ?」
(試されているわね……)
曹操はそう理解した後、彼女は考える。
(海上、つまり船の上ね。だとすると……なるほど)
「だから火計なのね」
瑠理は正解だとこくりと頷く。
「では火計を行う場所は何処が良い?」
「それはやはり、多くの敵を巻き込めるところが望ましいわね。そのために火計を行うのだから……そして早く火を巻き込むために私
達に出来るだけ近いところで火を放つべきね、そうしないと被害が広がる前に火を消される可能性がある」
「そう、つまり此方の懐に入って火を放つのが望ましい。ならばどうやってその懐に入る?」
「そうね……可能なら味方と装って近づく……!? そうか! そういう事ね!」
曹操は此処で瑠理が、黄蓋の投降が敵の策だと確信している訳が分かった。
「此処まで考えると、確かに今の黄蓋はその役を担っていると考えるべきね」
「そういう事」
(成程ね……ん? 待ちなさい?)
曹操は彼女の理論に一つ問題がある事に気付く。
「ちょっと待って、今の風向きで火計を行なえば逆にあちらの方に被害が出る可能性があるわよ?それはどう説明するつもりなのかし
ら?」
そう、現在の風の方向は劉備・孫権軍の方に向いている。これでは彼女の言うとおり、火の勢いが司馬師・曹操軍にでは無く劉備・
孫権の方に行き、自爆する。
「曹操、私達はこの赤壁の地についてどの程度知っている?」
「え?」
曹操は思わず首を傾げる。それを見た瑠理は少し言い方を変える。
「我等と敵、地の利はどちらにあると思う?」
曹操は意味を理解しはっとなった。
「赤壁は相手側の領土……という事は、此方が知らない事を相手は知っているかもしれない、それがいつ風向きの変わると言った事で
あっても」
「その可能性は高い」
「そう、ようやく全て繋がったわね……礼を言うわ」
曹操は退室の礼を取り、瑠理の天幕から出て行った。
自分の天幕に戻る際、彼女は改めて司馬家を評価する。
(黄巾の乱の時の司馬昭もそうだったけど、恐ろしいまでに心理を読み取るわね……そして敵が自分の知りえない知識を持っている可
能性を捨てない柔軟性……私は今まで司馬家を過大評価しているかもしれないと思ってたけど、まだ評価が足りなかったわ……それが
分かっただけでも今回の戦いで此方に付いた価値があった。誤った評価のままいずれ来るであろう彼女達との戦いで、確実に足元を救
われていた)
曹操は戦慄しながらもどこか満足気でそう思った。そう相手を知るか知らないかで状況が大きく変わることがあるのだから。
翌日、黄蓋が瑠理の天幕を尋ねる。
「何か言いたい事でも?」
「曹操軍の様子がおかしいと思い、少し観察していたが……どうやら船酔いに悩まされておるようじゃの?」
「気付いた?」
「うむ、流石にこのままと言う訳には行かんじゃろ? そこで提案があるのじゃが」
「提案?」
「この地で伝わる船酔いの対策があるんじゃが……」
「待て」
瑠理は口だけではなく手で黄蓋の言葉を止める。
「この話は曹操も交えたほうが良い、少し待て」
黄蓋はあっと言葉を漏らす。
「すまなんだ、確かにそうじゃな……」
(いかん、いかん……少し焦りすぎたか)
黄蓋の焦りには理由がある。それは司馬師軍のほとんどが船酔いをしていないからだ。はっきり言ってこれは大誤算だったのだ。こ
れから言おうとしている船酔いの対策こそが策の一つだからである。
黄蓋は自身の焦りを抑えながらしばらく経つと曹操が訪れた。
「黄蓋? 何か話しがあるとの事だけど」
「ふむ、実はな……」
黄蓋は、瑠理と曹操に船酔いの対策について説明する。それは大型の船からその他の船を鎖を繋ぎ合わせて波の揺れを最小減にする
という者だった。
ただ聞いてみると有効的な対策に見える。しかし黄蓋の思惑を知る二人からすれば危険なものでしか無かった。
(なるほど、鎖で身動きを取れなくして来るべき火計の効果を倍増しようって魂胆ね。連環の計っていうべきかしら?)
そう、これが黄蓋達の策だ。何故司馬師軍が船酔いしていないのが誤算だったのは、最も火に巻き込みたい彼女の軍が連環の計に掛
からない可能性が高かったからだ。曹操軍には採用されても、自分達は船酔いしていないから対策など不要と言われるのは何としても
避けなければならない。そうなってしまえば満足に兵力を削れず、この戦い、どう転ぶか分からなくなる。
「どうだろうか? それと万が一戦が始まった時に船酔いになったとならないために司馬師軍にもしてみてはどうだろうか?」
(! 来たわね……でもそれは強引過ぎるわよ、黄蓋?)
曹操のこの考えは、全てを知る人間の感性だ。もし、まだ知らないとなった時は迷いが出る可能性があった。それにはもちろん、風
向きの事もあるからだ。普通なら火計があるとは思わない。常人を凌駕する司馬子元だからこそ、この状況が起こった。
「……分かった、少し考えてみるから黄蓋は下がって……」
「……うむ、分かった」
黄蓋は天幕から出る。
(我等の策が分かっていないとしても、流石に船の身動きが取れなくなるくらいは分かるか。後は採用されるのを祈るしかない)
すでに埋伏の毒と火計が見破られていることを、全ての策が見破られていると知らない彼女はそんなことを思いながら、用意された
天幕に入っていた。
説明 | ||
この後、瑠理達はさらに黄蓋達の策を見破る。 | ||
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コメント | ||
コメントありがとうございます。澪羅はもちろん近いうちに出ます。これからどうなるかは次回から明らかに。(k3) むしろ大型船が多いのを利用して、本来の意味での連環が発動しそうですね。(h995) 見破れられてる場合は連環の計は逆に有利になるものだからな。(BLACK) 黄蓋は死亡するっぽいな(ohatiyo) |
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