真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第二章『三??†無双』 其の三十一
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第二章  『三??†無双』 其の三十一

 

 

本城 相国室      (時報:桂花二人目銀桂 生後五ヶ月)

【亞莎turn】

「こ、ここ、こちらが丞相室からの書類になります!」

 私は蓮華様、華琳様、桃香様にお辞儀をしてから書類の束を未処理の箱に入れた。

「ご苦労さま、亞莎。」

 蓮華様が微笑んでお声を掛けて下さいました。

「あ、あの・・・そ、それとこちらを!よ、よろしかったら召し上がって下さい!」

 三国の国王で晋の相国であられるお三方を前にすると、どうしても緊張して声が上擦ってしまう。

 それでも私は自分で作ったゴマ団子の入った包みを両手で捧げた。

「あ!それって亞莎ちゃんお手製のゴマ団子!?」

「桃香、はしたないわよ。」

「ふふ、いいじゃない華琳。せっかくだから休憩してお茶にしましょう。」

 蓮華様が手を休められたのを見て華琳様と桃香様も筆を置かれた。

「そ、それでは私はこれでし、失礼い、いたし」

「ええ?亞莎ちゃんもお茶しようよ。」

「そうね、折角の機会だから話もしたいし。思春もこちらに来て座りなさいな。」

「いえ、私は皆様の護衛の任でここに居るのですから・・・」

「お願いよ、思春。孫呉の人間が多ければ亞莎の緊張も少しは和らぐと思うから。」

 思春様が私の方を見て微笑んだ。

「そういう事なら。」

 私が何も言い出せない内にお茶の準備が始まってしまいました・・・・・・。

 

 

「この曹孟徳の前に手製の菓子を持ってくるとは中々の度胸ね。」

 えええええ!?そ、そこまで考えていませんでした!

「そ、そそそそそそ、その様なつもりでは決して!あの!その!」

「ふふふ、冗談よ♪」

「華琳さんもイジワルですよぉ。」

「亞莎ってつい、いじめたくなる可愛さが在るのよねぇ♪」

「ウチの子を余りいじめないで頂戴ね、華琳。」

 ま、まな板の鯉とはこんな気持ちなんでしょうか・・・・・・。

「ふむ、揚げ具合、餡の量、餡の甘さ・・・これは蜂蜜と隠し味に塩ね。うん、合格よ♪」

「あ、ありがとうございます!」

 か、華琳様に食べ物で褒めてもらえるなんて思ってませんでした。

「今度はゴマ団子以外の物も食べてみたいわね。」

「そ、それは・・・・・・わ、私はごまだんごしか作ったことが無いので・・・」

「あら?貴女、流琉と厨房に居た事あるわよね?」

「あ、あれもごまだんごの研究で・・・」

「亞莎ちゃんにとってゴマ団子って赤のご主人さまとの思い出なんですって、華琳さん。」

 困って俯くしかない私に桃香様が助け舟を出してくれました。

「ふふ〜ん、その話、面白そうね。聞かせてもらえないかしら?」

「私も今まで詳しく聞いて無かったから聞きたいわ♪」

 そんな!蓮華様まで!?

「(亞莎、ここは諦めて話してしまわないと開放してもらえんぞ。)」

 思春様に背後からそう言われて私は諦めて話すことにしました。

「え、ええと・・・あれはまだ孫呉独立の前です・・・あの頃は夜更けまで勉強をするのが日課で・・・その事に気が付かれた一刀様が私に勉強を教えて下さる様になりました。」

 説明の為にあの頃の事を思い出すと懐かしい気持ちになってきます。

 

「(ねえ、亞莎と赤一刀が出会ったのっていつ頃なの?)」

「(反董卓連合の後よ。)」

「(ご主人さまたちの記憶が戻った後だから亞莎ちゃんにお勉強を教えられたんだ。)」

 

「夜食に一刀様がゴマ団子を持って来られて・・・それまで私は甘いお菓子を食べたことが無かったのですけど、一刀様が差し出された物を初めて口にして驚きました。世の中にはこんなに美味しいものが有るなんてって。表面はカリッとしていてそれでいてもちもちと柔らかく、とろとろの餡の味が口いっぱいに広がって、とても幸せな気持ちになりました。」

 

「(ゴマ団子の話よね?何か聞き様によっては違う事に聞こえるのだけど。)」

「(ちょっと、華琳・・・)」

「(あはは〜・・・実はわたしも・・・・・)」

 

「そのごまだんごも美味しかったですけど、一刀様と一緒に作ったゴマ団子がとても美味しくって・・・・・初めて作った物ですから上手には出来ませんでしたけど、一刀様も美味しいって言って食べてくださって・・・」

 

「(赤一刀が美味しく頂いたのはゴマ団子だけなのかしら?)」

「(そこは私も気になるわね。)」

「(お勉強も夜にしてたって言ってるし・・・ご主人さまなら・・・)」

「(あの・・・・・亞莎が頑張って語っているのですから・・・・・あの男では否定は出来ませんが・・・・・)」

 

「以来、ごまだんごばかり作るようになってしまったんです。一刀様がもっと美味しいって言ってくれるように上手になりたくて・・・・・」

「その気持ち判るよ♪」

「そうね、私も一刀たちが美味しいって言ってくれるのを想像しながら料理をするもの。」

「貴女達は想像の方に入り込みすぎるから手元が疎かになって上達しないって何度言わせるのよ・・・・・でも、亞莎。貴女のその想いが有るなら、もっと色々と作ってみなさい。」

 華琳様の言葉に思い出から現実に意識が戻りました。

「で、でも・・・作り方を知りませんし・・・」

「それを勉強なさいと言ってるのよ。新しい料理を覚え、一刀たちに食べてもらう。そうすれば料理の数だけ思い出が増えるわ♪」

 料理の数だけ・・・・・思い出が増える・・・・・・考えた事も有りませんでした。

「なんなら私が教えてあげるわよ。手とり足取り♪」

 わ、私が華琳様に料理を教えて頂くなんて!

「華琳・・・教えるのは料理だけにしておいて頂戴ね・・・・・」

「あら?料理以外にも学園で政治、経済、軍事と教えたじゃない。もっと違う事も教えてみたいわ♪」

 

「あ、あの!私でも料理が出来る様になりますか!?」

 

 私は思い切って言ってみました。

「え?・・・ええ、それは大丈夫よ。ゴマ団子がここまで上手に作れるのですもの。それに貴女だっていつ懐妊してもおかしくないのよ。子供の為にも覚えなくては駄目よ。」

 こ、子供・・・わ、私と一刀様の・・・・・赤ちゃん・・・・・。

 

「が、ががががが、頑張りますっ!こ、子供の為に料理をたくさん覚えますっ!!」

 

「真っ赤になって本当に可愛いわね♪桃香と蓮華も頑張らないと亞莎にも追い越されるわよ。」

「「・・・・・・・・精進します・・・」」

 

 私は想像してみました・・・・・私が作った料理を子供と・・・一刀様たちが美味しいって言って食べてくれている所を・・・・・。

 それはとても心が温かくなる光景でした。

 

 

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三日後

皇帝執務室

【赤一刀turn】

 秋も深くなって食べ物が美味しくなってきた。

 それは実りの秋だからであり。

 夏に減衰した食欲が戻ったからであり。

 厨房に立つ人も炎の前に立つのが苦ではなくなり手の込んだ料理が増えて来るからである。

 だから秋は食べ物が美味しい。

 真夏の猛暑の中で炎を扱う厨房は正に蒸し風呂だ。

 みんなが暑い中、必死の形相で汗を流しながら料理をしているのを見て本当に頭が下がったよ。

 最近は後宮の厨房から笑い声が聞こえて来るので俺たちも胸を撫で下ろしている。

 三日前には亞莎が手作りのゴマ団子を持って来てくれた。

 その亞莎が今、俺たちの前に居る。

 真っ赤な顔で言葉を紡ごうとしながら。

 

「あ、ああああ、あの・・・そ、その・・・」

 

 俺たちは微笑んで亞莎の言葉をゆっくり待った。

 亞莎は口を固く結んで俺たちの顔を見上げる。

 

「わ、私も赤ちゃんができました!」

 

 涙目になっている亞莎を、先ず俺が抱き止める。

「ありがとう、亞莎。」

「・・・は、はい・・・・・はい♪」

 笑顔で涙を流す亞莎を、俺に続いて緑、紫と順番に抱きしめた。

「一刀様・・・・・今日はお三方ともお顔がいつもより眩しいです♪」

 いつもなら恥ずかしさが先行する亞莎も、今は俺たちに甘える表情を見せている。

「「「ははは、前みたいに逃げ出さないでくれよ♪」」」

「が、頑張って堪えます!お、お腹の子の為にも!」

 本当に真面目で可愛い所は変わってないな。

 今では政務も軍略もこなす立派な軍師だって云うのに。

「そうだね。母親になるのに阿蒙だなんて呼ばれる訳にいかないよな。」

「は、はい!その為にも、先ずはお料理が作れるようになります!」

 そう云えば亞莎ってまだゴマ団子以外作ったこと無いって言ってたな。

「今、後宮に居る面子なら料理の上手なのが揃ってるからその点は心配ないな。」

「は、はい!三日前に華琳様も流琉さんと一緒に料理を教えてくださると仰ってました。」

「「「華琳が!?」」」

「はい♪」

 いきなり華琳の指導って滅茶苦茶ハードル高くないか?

「(なあ、華琳はどういう((心算|つもり))だと思う?)」

「(それはつまり華琳が料理しちゃうのは亞莎本人では?って事だよな。)」

「(流琉も一緒だから大丈夫・・・・・いや!もしかしたら華琳は流琉も一緒に!)」

 

「あの・・・・・どうかなさったのですか?」

 

 俺たちが小声で相談し始めたのを不思議そうに見ている。

 心配ないぞ、亞莎!

「「「亞莎が華琳と料理をする時は俺たちも呼んでくれないか?」」」

「え?そ、それは・・・・・あ!それは緑一刀様と紫一刀様も赤一刀様と同じ様に料理を作る所からの思い出を下さるって事ですか!?」

「「そうそう!俺たちも亞莎を料理・・・じゃない、亞莎と料理する思い出が欲しいんだ!」」

 今、本音が出そうになったぞ!気を付けろ!

 

「はい♪これからも素敵な思い出をたくさん作りましょう♪」

 

 うおおおおおおお!ま、眩しいっ!!

 亞莎の笑顔に後光が射しているっ!!

 よ、邪な事を考えて申し訳有りませんっ!!

「か、一刀様・・・・・・?」

「「「は・・・ははは、亞莎の笑顔が眩しくってさ・・・」」」

「そ、そんな!わ、わわわわ、私の顔なんて一刀様方に比べれば全然大したこと有りませんっっ!!」

 亞莎が遂に袖で顔を隠してしまった・・・・・耳まで真っ赤になっちゃってるよ・・・。

「「「あ、亞莎、そ、そろそろ後宮に行こうか?みんなも待ってると思うし・・・・・」」」

「は、はい・・・・・」

 

 結局、亞莎は後宮に着くまで顔を隠したままだった。

 大事な時期なんだからもっと労わってあげないと・・・。

 猛省します・・・・・スイマセン・・・。

 

 

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二日後

後宮談話室

【亞莎turn】

 

「はあ!?あいつらの顔が眩しいですってぇ!?」

 

「はい♪昨日、街中を歩いている時もキラキラと光り輝いて素敵でした・・・・・♪」

 こうして思い出すと、また胸が高鳴ってきます♪

「脂ぎった顔が陽の光を反射してただけでしょ。あ、金桂、お口が汚れてるわよ。」

「ん〜〜!」

 桂花さんが金桂ちゃんのお口を手巾で優しく拭いてあげてます。

 とっても可愛いです♪

「はい、キレイキレイね〜♪」

「きれいきれい〜♪」

 ニコニコと媽媽の真似をする金桂ちゃんが可愛すぎます!

「で?その((脂男|あぶらおとこ))たちの財布をしっかり空にしてやった?」

 脂男・・・・・穏様が仰った通り、桂花さんが子供に接する態度は『嫌っている男性の子供を仕方なく産んだ母親』とは思えません。

 

『亞莎ちゃん、愛情表現とは人それぞれです♪桂花ちゃんの態度に目くじらを立てちゃダメですよ〜♪』

 

 つまり一刀様方に対する態度は桂花さんなりの愛情表現なのですね。

「い、いえ、お食事と甘味とお料理の時に着る新しい服を買って頂きましたけど、それ以上は恐れ多くて・・・・・」

「あいつらの財布の中身は私達と子供達の為に在るんだから遠慮なんかしてやる必要無いのよ。」

 桂花さんは腕に抱いた銀桂ちゃんに笑いかけながら、そう言いました。

「はあ・・・・・では桂花さんは何を買って頂いたのですか?高い物と云えば宝飾品辺りでしょうか?指輪とか首飾りとか・・・」

「はあ!?あいつらに送られた物を身に着けるなんて考えただけで吐き気がするわ!」

 一刀様から頂いた金桂ちゃんと銀桂ちゃんをこんなに愛しているのに・・・・・。

 これはつまり自分はお金では買えない物を頂いたから、お金は民に還元する為に沢山使い経済を活性化させて一刀様のお役に立とうと云う桂花さんなりの愛情表現と策なのですね!

「私が買わせたのは・・・・・金桂の時は眞琳様と他の子供達へのお菓子と玩具を大量に買わせてやったわ。銀桂の時はオシメを始め、この後宮で必要な物を大量に買わせたわね。」

 しかも使用目的が全て子供達の為だなんて!

 桂花さんも一刀様方の外史のお話を聞いて、幸せな思い出を作る努力をなさってるんだ。

「桂花さん!とても素敵です!!これが王佐の才と(一刀様が)呼ばれた方の実力なのですねっ!!」

「え、ええ!こんな物、(華琳さまの為の)王佐の才の一端に過ぎないわよ♪」

「感動しました・・・・・私も王(一刀様)を((佐|たす))けられるよう努力します!」

「あなたの王(蓮華)を佐ける・・・・・良い心懸けだわ。やはり私が見込んだ通りね、あなた。胸が大きくなってから疎遠になったけど、それはあなたが((貧乳党|わたしたち))に遠慮していたからなのね。もうそんな事気にしなくてもいいわ。貧乳党とは関係なく、同じ軍師として仲良くして行きましょう。」

「はい!桂花さん!」

 私と桂花さんは強く、固く手を握り合いました。

 

「亞莎ちゃん、ここに居たんですね。」

「こんにちはです♪」

 

 朱里さんと雛里さんが談話室にやって来ました。

 とっても可愛い前掛けをしていらっしゃいます。

「朱里に雛里、どうしたの?」

「これから亞莎ちゃんにお菓子作りを教えてあげるんです♪」

「((藍里|あいり))ちゃんと((龍里|るり))ちゃんは月さんと詠さんが見てくださっているので、今日は久しぶりに腕を振るおうと思います♪」

 華琳様がお忙しいので今日は朱里さんと雛里さんが先生になってくださいます。

「お菓子作りか・・・本当は私も子供の為に覚えたい所なんだけど・・・」

「桂花さん、離乳食とか幼児向けの食事は上手に作られてますから、お菓子作りもきっと出来る様になりますよ!」

 そう云えば桂花さんも料理は得意な方ではなかったんでした。

「あの・・・ごまだんごだけでしたら、私がお教えできますけど?」

 桂花さんが子供の為に覚えたいと言われたので、出しゃばりかと思いましたけど口にしました。

「ゴマ団子?」

「亞莎ちゃんのゴマ団子は美味しいんですよ!」

「あれは私たちのより美味しいと思いました♪」

 朱里さんと雛里さんが褒めてくれるので恥ずかしくなってしまいます。

「で、でも、ごまだんごしか作れないんですよ!」

「へえ、そうなの・・・・・・・・・ねえ、朱里、雛里。」

「「はい?」」

 ・・・・・・何か桂花さんの目の色が変わった様な・・・・・。

「もしかして亞莎の胸が大きくなったのはゴマ団子に秘密が有るんじゃないかしら?」

「「そ、それは盲点でしたっ!!」」

 そ、そそそ、そんなまさか!

 

「亞莎は私達にゴマ団子の作り方を教えなさい!その代わり、朱里と雛里がお菓子の作り方を、私が離乳食の作り方を教えてあげるわっ!!」

 

「亞莎ちゃん、私達も以前に比べ少しは大きくなったんですよ♪」

「この機会に追い討ちを掛ければ更なる戦果が得られる筈なんです!」

 そ、それは懐妊出産をしたから大きく・・・なったの・・・・・では・・・・・・・・・三人にどれだけ増えたのか問うのは口にしない方が賢明みたいです・・・・・・。

「さあ!早く厨房に向かいなさい!亞莎につわりが来るまでに何としてもゴマ団子の秘密を手に入れるのよっ!!」

「「お任せ下さい!書記長!」」

「さ、ささささ、さっきは貧乳党とは関係なく仲良くしましょうって言ったばかりじゃないですかぁ!」

「情勢が変わったのよ・・・・・連行っ!!」

 

 私は引き摺られる様に厨房へと連れて行かれました。

 

 結局この日もごまだんごしか作れませんでした・・・・・。

 

 

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一年後

後宮 亞莎私室                  (時報:桂花三人目 妊娠五ヶ月)

亞莎の長女 ((呂j|りょそう)) 真名:((茜|ちぇん))

生後二ヶ月

【赤一刀turn】

「それであの頃、おやつがゴマ団子ばっかりだったのか・・・・・」

 まあ、星のメンマと違って誰からも苦情が出なかったから良かったけど。

 亞莎が椅子に座り((茜|ちぇん))を抱いて微笑んでいる。

 茜も亞莎を見てニッコリと笑った様な表情を見せていた。

「私は感謝しています。つわりで苦しかった時もごまだんごは食べる事ができたのでとても助かりました♪」

 怪我の功名って奴だな。

 しかもゴマは妊婦にとっても、胎児にとっても体に良いと華佗が言っていた。

 地方によっては安産食品とまで言われているらしいからな。

 卑弥呼も『神農大帝の頃より伝わる不老長寿の妙薬である』って言ってたし。

 俺たちや亞莎は美味しいからって理由だけで食べてたけど、思わぬ効果が有ったもんだ。

「茜もこんなに元気なのはゴマのおかげかな?」

 生後二ヶ月でも個性という物がちゃんとある。

 茜は特に人見知りをしない赤ん坊だった。

 茜で丁度四十人目。これだけ見てきたから分る様になれたんだけどね。

「茜ちゃんには私と違って積極的な人間になってほしいと生まれる前から思ってました。そうなれる素質は有ると思うんですけど・・・・・しっかり育てられる自信が・・・」

「茜が生まれた時に『元気な子に育てる』って言ってたのに、何か有ったのか?」

「・・・体を鍛えたり、勉強を教えたりは自信が有ったんですけど・・・・・性格となると・・・引っ込み思案な私では・・・・・」

 子育てとなると俺にだって自信は無い。

 眞琳が生まれて三年。毎日の様に新しい事の発見の連続だ。

「こんな時こそ人を頼らないと。璃々ちゃんを育てた紫苑に、ねねを育てた音々さんが居るだろう?蓮華達最初に産んだ四人も子育ての悩みを相談してるし、蓮華達に相談したり助けてもらったりも出来るじゃないか。ここには母親が沢山居るんだからさ。」

「そ、そうですね。また私、一人で抱え込んじゃう所でした!」

 一度沈んだ亞莎の顔が再び笑顔を取り戻した。

「茜が物心つく頃には素敵なお姉ちゃん達が一緒に遊んでくれてるさ。何せ四十人近いお姉ちゃんだ。きっと今よりもっと賑やかになってるよ♪」

「ふふふ♪きっとそうですね♪」

 俺と亞莎は子供達が中庭で元気に走り回る姿を想像して笑い合う。

 その時、扉をノックする音が聞こえた。

 

「亞莎、入ってもいいかしら?」

 

 声は蓮華の物だったが、扉の向こうの物音からすると何人か居るみたいだ。

「はい、どうぞ。」

「お邪魔するわね・・・あら?赤一刀はここに居たのね。」

 扉を開いた蓮華が俺を見て驚いている。俺がここに居るって知ってて来たわけじゃ無いのか。

「茜の顔を見にね。」

「れんほんたちといっしょだぁ♪」

 蓮華の陰から蓮紅が部屋に飛び込んで来た。

 その後に眞琳、香斗、烈夏が続いて入って来る。

「あーしぇまま、こんにちは♪」

「あーしぇまま!ちぇんちゃんにこんにちはしていい?」

「れっかも、れっかも!」

 どうやら三歳児達の妹巡礼らしい。

「貴女達、静かにしないと茜が泣き出すわよ。」

 子供達の後から華琳、桃香、思春も現れた。

「かりんまま、そんなことないよ。ちぇんちゃんわらってるよ♪」

 亞莎は蓮紅達が見やすい様に茜の抱き方を変えていた。

 

 亞莎と茜、そして四人の子供達の笑顔がとても眩しい秋の午後だった。

 

 

 

 

 

「一刀、綺麗に終わらせようとしているみたいだけど、ちょっと話が有るのよねぇ♪」

「へ?」

 華琳の声に振り向くと華琳、蓮華、桃香、思春が何やら怒っている様子・・・・・。

「え〜と・・・・・なにかな?」

「あなたたち、この夏に後宮の厨房に何をさせたのかしら?」

 この夏・・・後宮の厨房・・・・・・・。

「み、みんなが暑そうだったから助言を・・・・・」

 

「「「「全員に裸前掛けをさせるのが助言んん!!?」」」」

 

「い、いいいい、いやいや!水着も着用させたぞっ!!」

「ご主人さま♪みんながお料理の後で水浴びしている姿はどうでした?」

「素肌を滑る水滴が真夏の日差しを反射してとっても眩しかったってうわあああつい思い出した光景を口にしてしまったああああああああ!!」

 

「連行っ!!」

 

 俺は亞莎と子供達を残し、思春に関節をキメられながら部屋から引き摺り出された・・・・・。

「桂花がつわりで厨房に立てなかった時期を狙うなんて・・・・」

「この夏は執務室からちょくちょく消えるから変だと思ってたのよ!」

「もう・・・教えてくれればわたしも・・・・・」

「緑一刀と紫一刀は先に部屋で待っているぞ。安心しろ。」

 

 思春!緑と紫が待ってる部屋ってどこですかっ!?

 

 どう考えても全然安心できる状況じゃねええええええええええええええっ!!

 

 

 

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あとがき

 

 

今回は亞莎の可愛らしさを引き立たせる為に

このメンバーと絡ませてみました。

いかがだったでしょうか?

桂花と亞莎という

一刀への態度が対極にいる二人の会話は

かなりノって書いてましたw

 

亞莎の娘の真名

さんざん悩んで、また中の人ネタを使ってしまいました。

スイマセン

君O望O永O、マOラOからですw

(現在は削除しましたが一時期メモの一部を間違えてアップしていました。ネタバレになってしまい申し訳ありませんorz)

 

水着エプロン

この時後宮に居たのが誰か気になる方もいらっしゃると思いますので

確定しているメンバーを上げておきます。

秋蘭、月、朱里、雛里、詠、焔耶、春蘭、星、大喬、小喬、亞莎、桂花(つわり中の為非参戦)

以上懐妊順になります。

春蘭、大喬、小喬の話はまだですが

過去に発表した話の都合上この辺りで出産しておかないと辻褄が合わなくなるので。

因みに秋蘭から小喬までは水着エプロンの時出産後です。

このメンバーに後五人加わるのですが

それはリクエストの結果次第ですw

 

 

《次回のお話&現在の得票数》

 

☆明命   38票

 

得票同数の為

参戦順で次回は明命に決定しました。

水着エプロンメンバーが一人決定です。残りは四人w

 

 

以下、現在の得票数です。

 

華雄   38票

璃々   38票

二喬   36票

真桜   35票

猪々子  34票

春蘭   34票

沙和   31票

斗詩   28票

穏    27票

稟    27票

霞    26票

季衣   25票

桂花A  17票

音々   17票

思春A  14票

紫苑A  12票

鈴々A  10票

翠A   7票

華琳A  7票

冥琳A  6票

雪蓮A  5票

小蓮A  5票

風A   4票

ニャン蛮A4票

音々音A 3票

凪A   1票

月A   1票

星A   1票

 

※「大喬と小喬」は一つの話となりますのでセットとさせて頂きます。

Aは二回目を表します。

一刀の妹と息子の登場回は以下の条件のいずれかを満たした場合に書きたいと思います。

1・璃々以外の恋姫全員のメイン話が終了した時

2・璃々のリクエストが一位になった時

3・メイン二回目の恋姫がリクエストの一位になった時

4・華琳のリクエストが一位になった時

※条件に変更があった場合、あとがきにて報告致します。

 

リクエスト参戦順番→猪々子 穏 明命 斗詩 二喬 春蘭 華雄 稟 璃々 真桜 季衣 冥琳A 霞 沙和 思春A 紫苑A 鈴々A 桂花A 風A 雪蓮A 凪A 音々 小蓮A 翠A ニャン蛮族A 華琳A 音々音A 月A 星A

 

過去にメインになったキャラ

【魏】華琳 風 桂花 凪 数え役満☆シスターズ 秋蘭 流琉

【呉】雪蓮 冥琳 祭 思春 美羽 蓮華 七乃 小蓮 亞莎

【蜀】桃香 鈴々 愛紗 恋 紫苑 翠 蒲公英 麗羽 桔梗 白蓮 月 朱里 雛里 詠 焔耶 ニャン蛮族 音々音 星

 

子供達一覧

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)

5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)

7)桂花の長女 荀ツ(じゅんうん)金桂(きんけい)

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)

11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)

12)紫苑の次女 ?仁(こうじん) 露柴(ろぜ)

13)紫苑の三女 ?信(こうしん) 崔莉(ちぇり)

14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)

15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)

16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)

17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)

18)凪の長女 楽?(がくりん) 濤(なみ)

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八?(やや)

20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)

21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)

22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)

23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)

24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)

25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)

26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)

27)美以の長女 孟節(もうせつ) 花鬘(かまん)

28)トラの長女 ベンガル

29)ミケの長女 マンクス

30)シャムの長女 ペルシャ

31)桂花の次女 荀?(じゅんぐ) 銀桂 

32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)

33)雛里の長女 ?宏(ほうこう)藍里(あいり)

34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん) 

35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)

36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)

37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)

38)大喬の長女

39)小喬の長女

40)亞莎の長女 呂j(りょそう) 茜(ちぇん)

桂花の三女 荀?(じゅんしん) 丹桂(たんけい) 

桂花の四女 荀(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)

桂花の五女 荀粲(じゅんさい) 黄梅(おうめい)

桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)

A)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)

B)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)

C)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)

D)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)

E)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)

※アルファベットは仮順です

 

引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。

リクエストに制限は決めてありません。

何回でも、一度に何人でもご応募いただいても大丈夫です(´∀`)

よろしくお願い申し上げます。

 

 

説明

得票数35の亞莎のお話です。
懐妊確認の前後数日間とその一年後のお話しです。

引き続き、どの恋姫メインの話が読みたいのかリクエストを募集しております。
リクエストの多い恋姫(TINAMI、Pixiv双方の合計)を優先的に書きたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
リクエストに制限は決めてありません。
何回でも、一度に何人でもご応募いただいても大丈夫です。二人目の子供のお話の募集も開始致しております(´∀`)
ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。
誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒す事にしましたw


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コメント
ルーデル様  改めて数えると一刀たちの種馬力に脱帽ですねww 華雄・猪々子・二喬・春蘭・季衣に追加頂きました___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
巡礼するほど妹がいるってまたwwリクは華雄、猪々子、二喬、春蘭、季衣でお願いしますm(_ _)m(ルーデル)
wasiken様  エプロンドレスもいいですがフリルの無いタイプもヨコチチや谷間が・・・・・どっちを選べばいいんだああああああっ!っと、思わず暴走してしまいました。 いつも労いのお言葉ありがとうございますm(_ _)m 華琳A・思春A・桂花Aに追加頂きました___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
メガネオオカミ様  三歳を越えると長女組と一緒に行動させるつもりなので、二年後ぐらいは大名行列になっているでしょうねw 頑張って書いております!少し長めになりそうな予感が・・・。 猪々子・華雄・霞・思春Aに追加頂きました___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
アルヤ様  そろそろ来そうですね( ̄ー ̄)ニヤリ  いつものリク、頂きましたー!___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
ロードスネーク様  子供達が大きくなる前に夢を出来るだけ実現したいのでしょうねぇwww 穏・華雄・真桜・稟・沙和に追加頂きました___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
終の竜様  亞莎のゴマ団子が食べられないので、普通のゴマ団子でいいから食べたいと思ったのですが・・・・・売ってませんでしたorz 水着エプロンのシーンはメンバーが揃ったら絶対書きますwww 真桜・沙和・春蘭・猪々子に追加頂きました___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
竜羽様  亞莎の勘違いのようでいて、実は桂花本人が自覚していない深層心理を見抜いている・・・・・のか?と、敢えてグレーなままにしてみました。桂花がまだ鬼ツンの時期ですのでw 璃々と二喬に追加頂きました___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
神木ヒカリ様  桂花、朱里、雛里はまだ音々さんの域に達していないと云うことですね。いつかその価値に気付いてくれるでしょうw 小蓮A・ニャン蛮族A・音々音A・季衣・鈴々A桂花A・璃々・音々・華琳Aに追加頂きました___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
殴って退場様  周りに押しの強いが多いですしねぇw 最近はいい意味でリクエストの先が読めませんのでとても楽しみです(^-^) 璃々・斗詩・春蘭・紫苑A・翠Aに追加頂きました___φ(。_。*)カキカキ(雷起)
わーいはだかえぷろんだーゆめみたいだなー  っは!! 俺は何を・・・ というわけで更新お疲れ様でした><今回も楽しく読ませていただきました。リクはいつもどおり華琳、思春、桂花でお願いします!!(wasiken)
妹巡礼w 三十人以上の妹がいるもんなあ。長姉組は大変だwww そして次回は明命のターン! よし! リクエストは猪々子、華雄、霞、思春A、そして新しく春蘭に一票でお願いします!(メガネオオカミ)
リクよく見たらもうすぐ話が進むな。リクはいつもので。(アルヤ)
一刀は欲望に忠実ですねwww穏、華雄、真桜、稟、沙和でお願いします 。(ロードスネーク)
一度でいいから亞莎の胡麻団子の胡麻団子を食べてみたいですね。 終わりがなんとも一刀らしいwww リクは真桜、沙和、春蘭、猪々子でお願いします。(終の竜)
対極の二人の会話の擦れ違い?は面白かったです。意外と成り立つものなのですね。リクは璃々と二喬です。(竜羽)
桂花と朱里と雛里へ、「貧乳を捨てるなんてとんでもない」この言葉を送ります。 リクは小蓮・ニャン蛮族・音々音・季衣・鈴々・桂花・璃々・音々・華琳でお願いします。(神木ヒカリ)
亞莎も色々と巻き込まれるキャラ、又はNOと言えない性格ですからね…。あと水着エプロンのメンバーの残り4人誰が入るか見物ですww。リクは璃々、斗詩、春蘭、紫苑A、翠Aでよろしくお願いします。(殴って退場)
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