真・恋姫無双-道 |
第1章−捌話『背負うモノ』
「あ〜、耳が痛ぇ。」
「自業自得だろ?」
朝、玉座の間に全員が集められ、正式に和輝と伽羅が配下に加わり、全員と真名を交換(和輝は真名が無いが)をした。その際に昨日の戦での和輝の行動について小一時間程説教があり、今に至る。
「で、どこに行くんだ?」
「アテもねぇし、一刀、街案内してくれねぇか?」
「別にいいけど、昨日の奴らは?お前の私兵になったんだろ?」
朝の会議でたしか華琳がそんな事を言っていた事を一刀は思い出す。
「アイツ等なら今頃丸太引き摺って陳留の周りを走ってるぞ。」
「どんな拷問だよ!」
「まだ軽い方だよ。…昼までだし。」
「容赦ねぇ!」
そんな話をしながら、いつの間にか街に着いていた。
「此処が陳留の街だよ。」
「ほぅ、結構賑わってんなぁ。」
「まぁ、一応俺が学校で習った知識を提供してるけど、上手くいってるかまだ不安かな。」
「学生がこんだけ出来りゃ十分だろ。」
一刀の先導で街を歩いていく。どこも、笑顔が溢れている。そんな様子を眺めながら一通り街を見て、昼食をとるために食堂に入った。
「これが、華琳嬢が背負ってるもんで、これから先背負ってくもんなんだな…。」
「うん。ん?てか、何だ?華琳『嬢』って?」
「さすがに上の人間に呼び捨ては不味いだろ?」
「多分気にしないと思うぞ。一応俺と同じ『天の国』の人だし。」
「そりゃ、人それぞれってやつだ。」
ちょうど、そこで注文した料理が出てきて食べる事にした。
「なぁ、一刀。」
「ん?」
食堂を出てから暫く無言だった和輝が不意に話し掛ける。
「もしもだが、華琳嬢が居なくなった時、おめぇは華琳嬢の様に天下ってのを目指すか?」
「何を…。」
何をバカな事を、と言おうとしたが今までと違う本気の目に言葉が詰まった。だからこそ、真剣に考え、一つの答えを出す。
「多分、目指すと思うよ。でも、それは俺なりのやり方だと思うけど。」
そこで一度和輝を見たが、和輝は無言で促すだけだったので続ける。
「俺は華琳の覇道を支えるって決めたけど、もし華琳に代わって天下を目指すとしても俺には華琳の様に覇道を進む事は出来ない。でも、その先あるものは同じだと信じてるから…ってそんな感じだけど、突然どうしたんだ?」
「そいつぁ秘密だ。けど、おめぇカタギにしとくの勿体無ぇなぁ。」
その話はそこで終わってしまい、いつもの調子に戻った和輝と街を廻って過ごした。
夜、月明かりが照らす中庭で和輝は剣舞を舞っていた。いつもの様に無心に、しかしその奥底には今まで見続けた大きな背中を見据えて。
・・・チン
刀を納め後ろを振り向くと二人分の陰が近づいて来るところだった。
「…あんまし、見せモンじゃ無ぇんだけどなぁ。」
「ふふっ、謙遜する事は無いわよ。秋蘭の言う通り、なかなかにいいものだったわ。」
答えたのは華琳。その隣には秋蘭が静かに佇んでいる。それを確認しながら、向き直る。
「なぁ、華琳嬢。折り入って頼みが有るんだが。」
「あら、何かしら?」
それまで、剣舞を舞っている間、考えていた事を告げる。
「…俺は此処に、俺の組…俺の『立華』を創りたい。」
それは、自らの父の背を追う意志。その背が背負っていたものを背負う覚悟。対する華琳は、和輝の目を覗き込み、小さな笑みを浮かべる。
「いいわ、やってみなさい。ただし、私の害になると判断した時には…。」
「…肝に命じとく。」
「ならいいわ。ところで、さっきの『嬢』っていうのは何?」
「俺なりに敬意を込めた呼称だと思ってくれ。」
「そう。ならそういう事にしといてあげるわ。」
そう言い残し、中庭には再び和輝一人になった。
「親父。あんたの目指すもん、俺なりに目指してみるよ。」
見上げた月は変わらずに夜を照らしていた。
あとがき、
書いてみて思った・・・秋蘭出したのに空気だ(・・;)
組を作る設定は最初から考えていましたが、色々と今後の展開を考えてかなり早い段階で立ち上げる事にしました。どのくらいいるか分かりませんが今後を楽しみにしてください。
では、また次回(^o^)/
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マイペースに頑張ります。( ̄▽ ̄;) 注意:オリキャラ出ます。というか、オリ視点が多いです。 |
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