真・恋姫†無双〜家族のために〜#13想いと願い
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 ん……。なんか揺れてる……。

 なんだろう……なんか暖(あった)かい……。まだこうしていたいな……。

 

 

 

 なんか話し声が聞こえる……。お医者さんがなんとかって言ってる?

 さっきまでの暖かかったのが無くなってる……怖い……。

 ん……なんかほっぺが暖かくなってきた……さっきのと似てる……。

 うん……これは……好き……。

 

 

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 ん〜〜。よく寝た。

 んん?……ここどこ?

 えーっと……。隣に男の子がいた。誰だろ……。

 

 「…………誰? 」

 

 ちょっと後ろにも知らない女の人がいる……あの人……なんか怖い。

 女の人はちょっと前に出て、私に話しかけてきた。

 

 「私の名前は司馬徽。字は徳操よ」

 

 それに続いて隣にいる男の子も。

 

 「僕の名前は黒繞。字は幽明」

 

 「あなたはこの街の近くにある川で倒れていたらしいのだけれど、覚えているかしら? 」

 

 倒れてた? ここはどこ? 私は……。なんだか怖くなってきて首を振ってしまった。

 そしたら男の子と女の人がなんか話して、女の人はどっかに行ったみたい。

 

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 「名前は覚えてるかな? 」

 

 男の子ーーこくじょうゆうめい? だっけ……。この子が話すとなんだかぽかぽかする。

 名前……名前……。なんでだろ、思い出せない。

 怖くなってぎゅっと目を閉じた。そうすると、何か頭の中で響いてくるのがあった。

 誰か……呼んでる? ……これが……私の名前?

 分からないけど、きっとそうなんだと思った。

 

 「……((影華|えいか))。そう呼ばれてた……と思う……」

 

 そう伝えると男の子は笑ってくれた。嬉しかった。

 

 「そう……その名前は真名なのかな? 」

 

 でも名前は呼んでくれなかった。なんかすごく寂しかった。

 

 

 そのあとすぐにお医者さんを連れた女の人が戻ってきた。

 そうしたら男の子が私から離れていこうとして、咄嗟に服を引っ張っちゃった。なんでこんなことをしたのか分からないけど、とにかく男の子が離れるのが怖かったんだと思う。

 そんな私を見ながらも、男の子は優しく話しかけてくれた。

 知らず知らずのうちに、男の子の服を掴んでいた右手には力が入っていた。

 

 

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 ご飯の時間になった。また知らない女の人が増えていた。その人はほうとくこう? というらしい。こくじょうが教えてくれた。

 ご飯を手で食べようとしたら、こくじょうに止められた。なんで? ってに首を傾げたら、道具の使い方を教えてくれた。これを使って食べるんだって。

 

 それからもこくじょうは色んなことを教えてくれた。こんなに色んなことを知っていて、こくじょうはすごいと思う。そう言ったら笑ってた。彼(・)が笑うと私もなんだか嬉しくなる。

 

 

 

 ある日、こくじょうが『今日だけはごめんね』と言ってどっかに行ってしまった。いつも一緒にいる虎(空)を残して。

 初めて、私の隣にこくじょうがいない。寂しい……怖い。なんで空は平気なんだろう……。

 

 「こくじょう……早く……早く帰ってきて……」

 

 我慢してたけど、涙がでてきちゃった。空はそんな私を見て、涙を舐め取ってくれた。私は空に抱きついて泣いた。

 

 

 その日の夜。私はこくじょうに腕を回して眠りについた。もう離れたくない。

 

 

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 次の日、またこくじょうはどっかに行こうとしてた。昨日みたいになるのは嫌。だから私は前と同じように、服を掴んで引き止めた。

 彼はこっちを振り向くと、優しい笑顔を浮かべながら私に話しかけてくれた。

 

 「……どうしたの? 」

 

 離れないで。どこかに行くなら私も行く。そう言いたかった……。でも、うまく口からでてくれなかった。そんな私に気付いてるのか分からないけど、彼はもう一度声を掛けてくれた。

 

 「付いて来る? 」

 

 そう言われた途端、考えるよりも先に頷いてた。

 

 「よし! じゃあ一緒に行こう」

 

 彼は私の手を取って走り出した。からだがぽかぽかしてきたけど、握った手にさらに力を込めた。絶対に離さないように。

 

 

 

 着いたところにはたくさんの人がいた。怖くなって彼の腕にしがみついたら、大丈夫だよって言って頭を撫でてくれた。不思議と怖くなくなった。

 

 彼に、危ないから離れていてって言われた。でも私は手を離そうとしなかった。そしたらほうとくこうが近くの木を指差して、そこから見てるなら構わないって言ってくれた。少しの間なら……。空と一緒に木の下へ行き、その後はずっとこくじょうを見ていた。

 

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 家に帰ると、こくじょうはすぐにしばきのところに向かった。手はまた繋ぎなおした。

 どうやら字の読み書きを教わるらしい。

 しばきから何かを渡された彼は、ちょっとむずかしい顔をしてた。でも私じゃ手伝えないし……。

 俯いていたらしばきに話しかけられた。

 

 「あなたも、この子と同じことを学んでみるかしら? 」

 

 つい、しばきのほうを向いてしまった。普段は開いてない目が今は開いていて、私の目をまっすぐに見ていた。なんだろう……この目はそんなに怖くない……。

 

 「……同じ? 」

 

 「ええ、同じよ」

 

 同じ……同じ。がんばれば彼のことを手伝えるかな……。喜んでくれるかな……。なら……。

 

 「ん……やる」

 

 ちょっと彼は驚いてたみたいだけど、そんなことは気にならなかった。

 

 しばきから絵本が渡された。そのとき一緒にこんなことも言われた。

 

 「彼を助けたいなら、これだけじゃ足りないわよ? 相応の覚悟を持って、これぐらいは一日で終わらせなさい。それが出来なかったら、これ以上あなたには何も教えませんからね? 」

 

 驚いて彼女の目をみた。嘘を言ってるようには見えなかった。でも、あなたなら出来るわ……そう言っているようにも見えた。彼の為だ。絶対に終わらせよう。

 

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 その日の寝る前に、私はしばきの部屋に来ていた。絵本を読み終えたからだ。

 彼女は相当驚いてたみたいだったけど、いつものように笑ってから書物を取り出すと、私に渡してきた。

 

 「それは六韜(りくとう)と呼ばれる兵法書よ。彼が今やっているものが終わったら、これを読ませる予定なの。だから先にあなたが読めるようにしておきなさい」

 

 「こくじょうの……役に、立てる? 」

 

 「ええ、もちろんよ」

 

 なら私の答えは決まっているようなものだった。

 

 「じゃあこれ、借りる」

 

 「ええ。あとあなたは私に質問してもいいから、どんどん解読しなさい」

 

 「ありがとう……」

 

 

 そうして新たな書物を持って、部屋に帰った。

 

 

 

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【あとがき】

 

ちょっと肌寒い感じがしますが、こんばんわ。

 

九条です。

 

 

支援数10記念回、いかがでしたでしょうか。

本編では語られていない部分もいくつか書いてみました。

でも、こう……あれですね。横文字を使わないで表現するのって大変ですね……。

 

 

今日も嬉しい出来事がありましたよ!

TOPページの小説を見てみたら……、

HOTに族ため#12覚悟? が載っていましたよ!

いやはや、本当にありがたいです。これであと10年は戦える……←何とだ

 

 

真名交換してなくね?……あっ。

じ、次回かその次にはっ!

 

とにかく!

今後も何か記念になるようなことがあったら

こんな感じで、本編とはまた違ったことをやってみようかと思っています。

 

次回も早めに更新できたらいいなーといった感じで、お楽しみに〜

説明
#8が支援数10を獲得した記念です。
新たな試みとして、なるべく第三者を挟まずに進行していきます。

影華視点になるため、少し時間が前後しますので、ご注意ください。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2203 2013 16
コメント
こちらも名前の修正完了致しました。詳しくはNLをご覧ください。(九条)
>yamimaru様 恋をイメージして書きましたからね?。それと記憶喪失の人は無口な印象がありまして……。(九条)
少女が呂布に思えてくる(yamimaru)
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