IS インフィニット・ストラトス BREAKERS 第六話 BREAKERSとは |
「なぜこうなった……」
俺は絶賛引っ越し作業中である。模擬戦後、刀奈の爆弾発言のせいで引っ越しをしていた。
と言っても、荷物は片付け終え、刀奈の部屋移動中だが。
というか、いくらなんでも急すぎる。だけど、そう刀奈に反対しても、
「私との相部屋は……いや?」
と、モジモジしながら上目遣いで言われれば、男は黙るしかないだろう。
まあ、実際俺も嬉しいんだけどね。
そんなこんなで刀奈の部屋に荷物を運んでいる途中、携帯電話が鳴った。
「誰だ?こんな時間に。BREAKERSの定期報告は来週だし」
そう思い、着信相手を見る。――そして驚いた。
束さんっ!?珍しいな、束さんが電話なんて。普通なら直接会いに来るのに。
取りあえず、電話に出る俺。
「もしもし、束さん?」
しかし、帰ってきた声はすごく緊迫したものだった。
『コウ!助けてっ!』
「!!」
その声は俺でも聞いたことのないぐらいに焦っていた。
束さんがこんなこと言うなんて……ただ事じゃないな。
「どうしたんですか!」
『こっちの居場所がばれちゃったんだよ!今この研究所に軍事用と思われるISが四機向かって来てる。だけどこっちはナンバーゼロ≠ェあるから移動できない』
状況を聞く限りかなりまずい状況だな。
「IS四機の到着予想時間は?」
『あと……一時間もないよ』
束さんの声が震えているのがわかった。こんなに怯えている束さんは初めてかもしれない。
いや、あの時に比べればまだましか。
俺はあることを決心し、束さんに話しかける。
「……その研究所の座標位置を俺に送ってください」
『コウ?』
「俺が今から行きます」
『っ!?駄目だよ、コウ!IS四機だよ!?いくらコウでも――』
「何と言おうが俺が助けに行きますから、一応外に出られるようにしておいてください」
俺が有無を言わさぬよう早口に言う。すると、
『束さんを助けても、結局はコウまで大変なことになるよ?そんなの私……』
「俺はあなたを助けます。今、俺が生きていられるのはあなたのおかげでもあるんです。そんな人が窮地に陥っている。理由なんてそれだけで充分です。それに何も無策で突っ込むわけじゃありません」
『ほえ?』
「ここの任務に入る前に俺の言ったこと、覚えていますか?」
『……』
「世界に絶望しているのなら、人類を信じられないのなら、まずはそこから変わっていきましょう。俺と一緒に♂エは言いました。ISを宇宙開発に使うどころか兵器転用した人類に絶望し、他人不信なっていたあなたに。だから、俺と変わりましょう。今から織斑先生にあなたの受け入れ準備を申し出ます」
『受け入れ準備?』
「そうです。ナンバーゼロがあなたの手元にある限り、束さんは大規模な移動ができない。なら、IS学園に来てください。それであなたの身の上は守られます。ここに来るシナリオですけど、丁度悪役≠ェいることですし、王道で行きましょう」
つまりはこういうことだ。ナンバーゼロが束さんの手元にある限り、大規模な移動はできない。なら、治外法権であるIS学園に来ればいい。ここに来るシナリオも王道的に、敵に拉致された束博士を救出。そのまま、保護という名目で治外法権のIS学園へ。そして自分はその束博士のナイト、護衛になる≠ニいうものだ。
『でも、IS学園も全くの治外法権じゃないんだよ?私が行ったら、日本が他国に潰される可能性も――』
「そこで、束さんの出番です」
『?』
「束さんのIS技術提供と引き換えにIS学園に匿うことを了承させます」
『そ、そんなの――』
「束さん、変わりましょう。俺と一緒に」
『……』
束さんは黙ったままだ。でも、このままじゃ何も解決はしない。束さんにもちゃんと見てほしい。世界は悪意に満ちているけど、だからこそ輝く人の心を。
「大丈夫です。俺がいますから。あなたのナイトとして」
なにせ――。
「なにせ、俺達BREAKERSは事実上あなたの私兵部隊なんですから」
そう、IS委員会所属は建前だ。実際は束さん直属の私兵部隊と言ってもいい。このIS学園の護衛任務だって形式上はIS委員会からの依頼となっているが、実際は束さんの依頼だ。
『……わかった。信じてみるよ、束さん。コウの言う人の心≠チていうものを。――それに危なくなったらコウが助けてくれるんでしょ?』
「もちろんですよ」
『じゃあ、こっちの位置座標を送るね。そして作戦だけど――』
俺は奔走していた。
まずは刀奈への事情説明。俺の真意が伝わったのか、すぐさま手配をしてくれた。具体的に言うと、一夏達の護衛の肩代わりと、織斑先生への事情説明及び束さんの受け入れ準備などなど。本当に俺には勿体ない位いい女性だ。
そして、俺は束さんから送られてきた位置座標データを解析。――なんと、ここからそう遠くない無人島だった。
これなら、ISを使えば、二十分で付く。IS四機の到着予定時間はまだ三十分以上ある。
――これならいける。
俺は屋上まで走り、そのままの勢いで空中に躍り出た。
「零!」
『了解です』
俺が呼ぶと、すぐさまミスティック・クラッド≠ェ展開される。
そしてスラスターを最大に吹かし、トップスピードに乗る。
すると、織斑先生から通信が入った。
『まったく。よくも独断でこんな真似しくれたな』
「でも、俺は助けたい。それはあなたも同じはずだ」
『……あいつを、馬鹿でアホな幼馴染を――頼むぞ』
「お任せあれ」
そして通信終了。
「零、 ミスティック・システムとたぶんあれも使うから、準備頼む」
『あまり無茶はしないで下さいよ、マスター。戦闘力不明のISが四機も相手なんですから』
「分かってる。大丈夫だ。俺は死なない。」
そして、さらに俺は加速した。
「……まったく。どうしてくれるのさ、コウ。こんなにも束さんの中に入り込んできちゃって。束さんはメロメロになっちゃったよ」
そう言いながら、回転式の椅子に座り、ぐるぐると回るのは先ほど通信していた篠ノ之束、本人だ。
「これはもう名前書いてもらうしかないよね」
言うや否や、懐から一枚を取り出した。そこには――。
婚姻届け
と記されていた。
説明 | ||
IS インフィニット・ストラトス BREAKERS 第六話 BREAKERSとは 短いですが、一応上げます。束さんがかなり原作と違うので、原作束さん好きな人はごめんなさい。 |
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コメント | ||
竜羽さん→アリア×ISのssでしたよね。おもしろそうです!(raludo) はい、次回からドロドロの仁義なき戦い開始ですね。うん。・・・・私の小説でもやってみようかな。主人公の取り合い。ちょうどいい感じで流無(私の小説での楯無)と争えるような娘がいますから。そう、レキが(竜羽) |
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