オルレアンの聖処女はナントの貴族を二度知った
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 主なる神様

 どうか私たちをお救い下さい

 

 私は彼に捧げられた生贄です

 

 彼はそんな私に積極的に協力し

 先頭に立って我が国の軍隊を率いてくれました

 しかし彼は今ではすっかり堕落しています

 彼は多くのおぞましい罪を犯しました

 

 全ての原因は私の死です

 私は魔女だということで火あぶりの刑に処せられました

 彼がどうかしてしまったのはその後です

 私をこの世へ蘇らせるために様々な『儀式』と称する罪を犯しました

 そして多くの罪のない人々が犠牲になりました

 

 彼は私を蘇らせるための『儀式』を行なっているうちに

 彼の中に潜んでいた醜悪な欲望に気づきました

 すなわちそれは

 私に対する肉欲です

 

 彼曰く

 私がかつて普通の人間として生きていた時

 私に肉欲を感じることは殆どなかったとのことです

 

 しかしながら

 私を蘇らせるための『儀式』を行なっている時

 すなわち少年を攫い、陵辱し、そして殺戮している時

 彼らへ行なっている行為が私に行いたかった行為の代償だと

 彼は気づきました

 

 私は現にこのフランスの大地を踏みしめています

 荘厳なステンドグラスから差し込む光

 小鳥のさえずり声

 焼きたてのパンの香ばしい香り

 甘酸っぱい葡萄

 ごつごつした城壁

 全てを感じ取ることができます

 

 私はまた『この世界』へと蘇りました

 まるで主なるイエズスと同じように

 しかしその場所は

 彼が私を蘇らせる儀式のために描いた魔法陣の上でした

 

 それが何を意味するか

 私が蘇ったのは『禁忌』によって

 かつて私が尊敬していた人物が犯した『禁忌』によって

 それでも主なる神様は

 我々を愛してくださいます

 罪深い我らを

 

 主なる神様は

 あまりにも哀れな彼のために

 私を差し出してくれたのかもしれません

 そして主なる神様はまた

 人々を救うために

 私を遣わしてくれたのかもしれません

 かつて大天使ミカエル様が

 私にフランスを救えと告げたように

 

 どちらにせよ

 現在の私は

 彼に捧げられた生贄のようなものです

 

 主なる神様

 どうか罪深き我らをお救い下さい

説明
処刑されたジャンヌ・ダルクがジル・ド・レの黒魔術などによって生き返ったらどのようなことになるだろうかというアイディアから生まれた作品、『もしもジル・ド・レがジャンヌ・ダルクを呼び戻したら』の導入のような散文詩です。
(『もしもジル〜』の方はレーティングの関係でTINAMIにUPしているものは全年齢抜粋版(オリジナルの冒頭部分のみ)となります)。
http://www.tinami.com/view/407230
この詩の語り手はジャンヌで、文中に出てくる『彼』はジルです。
twitter上で(TINAMI公式アカウントに)この作品について全年齢で投稿して大丈夫かと質問したところ、『陵辱や殺戮の具体的描写が無ければ問題ないと思います』との回答があったので全年齢で投稿しました。
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タグ
ジャンヌ・ダルク ジル・ド・レ ジル・ド・レイ 歴史創作 歴史 フランス  

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