ホールドアップ |
アマチュアでもプロに勝てる。その気運をつくったのが桜庭愛という少女だった。
腰まである長髪に赤いリボン。赤いワンピース水着、黒い膝パットに赤いリングシューズ。弱冠16歳でリングに上がることになった少女はプロレスをやってのけた。プロとも闘える技能。戦闘に耐えられる耐久性。そして何より強い意志をその身に宿し、少女はリングにあがる。・・・やがて、彼女が興した「団体」はさまざまな美少女たちをリングに上げ、「美少女プロレス」の創成期をなしていくのであるが・・・この時の愛はそうなるとは思っていなかった。ただ、プロと闘えるチャンスに喜び、自分の力だどれほどのものか試したいという気持ち。ひとりの幼き武芸者として女子プロレスの道場の門を叩いたのだ。
・・・俗に言う[道場破り]である。
「・・・さくらばあいさんとおっしゃりましたか?」
対応に出たのは蒼髪の女性。私はこくんと頷いた。礼儀をもって「一手ご指南をと願い出る。
ここが女子プロレスの老舗。新日本女子プロレスと知った上での回国修行。その頃の私はストリートファイト
・・・路上喧嘩や野仕合に明け暮れて「強さ」を求めていた。
女子格闘家として「女子プロレスラー」の強さを知りたい
「・・・どのようなご用件で?」
「はい。私は格闘に身を置き、日々、野試合や路上喧嘩をおこなってきました。
しかし、それとは大きく異なると、女子プロレスを見て感じました。・・・自分のしたいことは何なのか。
それを見つけたいと」
「・・・試合を申し込みにきたのですね」
真っ直ぐに私を見る年上の女性。得心した様子で誰かを呼んだ。
「・・・祐希子を呼んできて」
パンサー理沙子の正規軍の体制に不満をぶつけるカタチとなった若手の造反。
[レッスルエンジェルス]とのちに呼ばれるようになる革命。それを敵視する者たちの中には直接、喧嘩をふっかけてくる相手も多かった。・・・南利美や、ミミ吉原のような血気盛んな挑戦者たち。
それらをねじ伏せてきた理沙子や祐希子。可愛らしい外見とは裏腹に新女のレスラーはみな、一様に強かった
「この子がスパーリングをしてくれえうそうよ」
そう微笑み、私に紹介してくれた。赤い髪の少女。歳は私と大して変わらない。
「うちの若手のエース、マイティ祐希子です。桜庭さんの試合の相手を勤めます」
私に笑顔で微笑む彼女の物腰の柔らかさにこちらも深々と頭を下げる。敵意むき出しでくるもとと踏んでいたのに新日本女子プロレスの選手は何かほかとはちがった。
「・・・格闘技を嗜まれているとお聞きしましたが」
パンサー理沙子とマイティ祐希子に尋ねられ、私は頷く。
「はい。中国拳法を使います。路上格闘や野試合では受け身も重要ですから柔道も身につけました」
そうですか。・・・では、こちらへ。
応接間から道場へと案内される。私は対戦相手を観察しようと様々なことを聞いた。
プロレスは門外漢だったこともあるが、マイティ祐希子という女性に何か親近感のようなものを感じた。
「ところで、桜庭さんは水着はもってきていますか?」
「はい。地下闘技場で闘う際は「ワンピース水着」で出場しています。」
それに理沙子は微笑み、祐希子は・・・やっぱりと頷く。
祐希子はその名前を聞いて大きく微笑んだ。
新咲祐希子として喧嘩に明け暮れていた時期に聞いた「桜庭愛」の噂。
不良とは明らかに違う路上の少女格闘家。その少女と戦いたいと思った。
ヤクザに囲まれ、通りかかった赤いリボンを飾った少女に助けられた。その少女が見せた「強さ」と「笑顔」
・・・自分にとってそのストリートファイターはこの世界に入る動機になったのだから。
「桜庭愛さんがウチに来たんですか」
・・・ええ、きちんと礼節をわきまえた女性ですね。
栗色の髪の吉原泉も愛の人となりが噂とたがえないのに嬉しそうにして。
試合の相手は・・・祐希子。あなたよ。かつての自分とちがうとこを見せてあげなさい。
そう告げられ、マイティ祐希子はすぐに水色のワンピース水着を用意する。スパーリング形式だが、
これは非公式の試合でもある。
・・・自分の力を見せるときなのだから。リングが用意されセッティングされていく.
説明 | ||
ストリートファイターとして回国修行にでた愛。 新日本女子プロレスに相手を乞う。[レッスルエンジェルス]の世界観を参考にした格闘少女ss 美少女レスラー桜庭愛[さくらばあい]を主人公にした物語 |
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格闘少女 レッスルエンジェルス 女子プロレス | ||
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