第14話 変わった家庭訪問? |
2学期が始まり1ヶ月、家庭訪問の時期がやって来た。今日はその事について職員会議が行われていた。
校長「え〜家庭訪問の時期がやって来ました。え〜、今年も例年と一緒ですので先生方、宜しくお願いします。」
先生達「わかりました。」
○○「ミーサさん、例年と一緒ってどう言う事ですか?」
ミーサ「そう言えば○○は知らなかったわね。この学園の家庭訪問は少し違うのよ。」
○○「違うって?」
ミーサ「普通家庭訪問は、各クラスの担任が行くでしょ?でも、ここ白鳳女大学院は、各クラブの顧問が家庭訪問を行うの。」
○○「つまり・・・もしかして・・・」
その時俺は、凄く嫌な予感がしたのだった。
ミーサ「つまり、○○はヨット部の部員全員の家庭訪問をするって事♪」
○○「イヤイヤ!!一寸待って下さいよ。茉莉香やチアキとはクラスの担任だからわかりますけど、他の皆は部活とか以外わかりませんよ!?」
ミーサ「大丈夫。基本部活の話と、学校行事の話がほとんどだから。」
○○「は〜・・・」
○○は頭を抱えながら、盛大にため息をついた。
校長「それでは、家庭訪問は来週からですので、各顧問の先生方、宜しくお願いします。」
こうして職員会議は終わり、各顧問の先生方は自分が担当する部活へと向かった。当然俺もだけど・・・
ヨット部部室
○○「まいど〜、皆集まってるか?」
ジェニー「おはようございます。全員揃ってますよ。」
○○「そうか。それじゃ今から家庭訪問の日時を決めたいから、希望があれば言ってくれ。」
リン「そっか〜、もうそんな時期か。」
グリューエル「私達も、御父様と御母様のご予定を聞かなければ。グリュンヒルデ、大至急セレニティに連絡を。」
チアキ「○○、私の所にも来るのよね。」
○○「当たり前だろ。でも、本音を言うと茉莉香とチアキは必要かと思うがね。」
チアキ「そう・・・あのくそ親父に○○を会わせたくないのよね。」ブツブツ
○○「それじゃ、家庭訪問は来週からだからな。」
一同「は〜い!!」
こうして俺の初めての家庭訪問が始まったのだ。そしてあっという間にその日を迎えた。
○○「今日から家庭訪問か〜。」
ミーサ「頑張ってね。」
○○「取り合えずグリューエル達の惑星まで行くのが、一番しんどいですよ(^^;」
ミーサ「そうよね。あの二人はお姫様だものね。」
○○「さて、そろそろ行きます。今日はジェニーとヤヨイちゃんの所だな。」
俺は、家庭訪問をする生徒の資料を持って、まずはジェニーの所へ向かった。
ジェニー宅前
○○「うへ〜・・・ドリトル家の会社は、こっちに来てからよく聞いてたけど、まさかここまでの大豪邸とは・・・(^_^;)」
屋敷の規模の大きさに圧倒されていた俺は、そのまま立ちすくしていた。すると、突然門が開きそこにはメイドと執事らしき人が立っていた。
執事「○○先生でいらっしゃいますね。旦那様と奥様、それに御嬢様がお待ちです。どうぞこちらへ。」
メイド「お荷物をお預り致します。」
○○「あぁ、すみません。f(^^;」
メイドに持っていた荷物を預けると、そのまま執事の後についていった。暫くして、応接室らしき所に通された。
執事「まもなく旦那様方が来られますので、こちらへお掛けになってお待ち下さい。」
それから暫くして、ジェニーとその両親が現れた。
ジェニー父「すみません、お待たせしました。」
ジェニー母「今日は宜しくお願い致します。」
ジェニー「紹介します、父と母です。」
○○「初めまして、この2学期からジェニーさんの部活の顧問をさせて頂いてます○○と言います。」
J父「えぇ、ジェニーから話は聞いてますよ。何でも、ついこの間ジェニーを助けて頂いたそうで。」
J母「えぇえぇ、先生には何とお礼を申し上げればいいのか。」
○○「そ、そんな・・・私は当然の事をしたまでですよ。ですから、そんなに畏まらないで下さい!!」
J父「いいえ!!それでは我がドルトル家が納得いきません!!」
ジェニー「○○さん・・・こうなった御父様と御母様は誰にも止められませんわ。」
○○「え〜・・・(^_^;)」
一向に頭を上げないジェニーのお父さんとお母さん。仕方ないので、渋々ご好意を受けるのであった。
○○「分かりましたので、どうか頭を上げてください!!」
J父「おぉ!!それはありがたい!!で、お礼と言っては何ですが・・・我が最愛の娘、ジェニーを嫁に貰ってはくれないだろうか?」
○○「・・・はい?」
J父「娘は、ここ最近貴方の話ばかりをするのですよ。」
J母「えぇ、この娘帰ってきては、今日は○○先生に誉められた等色々と話してくれて。」
J父「昔は余り会話をしなかったんですが、貴方が来てからよく会話をするようになったんですよ。是非娘をお願いしたい。」
○○「ちょ、ちょ、一寸待って下さい!!そんなお話急に言われても困ります!!ましてやジェニーさんの希望も聞かずに・・・」
J父「先生、聞いた所によると、娘以外にも貴方の事が好きな生徒が多いとか・・・」
○○「イヤイヤ!!そんなわけありませんよ。ですから、そのお話はお受けできません。」
J父「そうですか・・・」
○○「もし、他の生徒達に危害を加えれば・・・」
J父「加えれば?」
○○「いくらジェニーのお父さんでも、容赦しませんよ!」チャキッ
俺は、あれ以来肌身離さず持っている止水に手をかけた。
J父「フフフッ・・・ハハハハハハッ!!娘の言った通りだ。益々気に入った!!今日の所は諦めますが、貴方を諦めたわけではありませんからね。」
○○「・・・失礼します。」スタスタ
ジェニー「もう御父様、○○さんをお試しになりましたね。」
J父「フフフッ、すまんな。しかしあの男、とても素晴らしいな。是非ともウチに来て欲しいものだ。」
既に帰っている○○に、こんな会話をしている事には、当然気付く筈はなかったのである。そこからは順調に家庭訪問は進み、残すは茉莉香とチアキ、そしてグリューエルの所だけとなった。
○○「ん〜!!ようやく後三件か〜。」
ミーサ「随分疲れてるわね?」
○○「アハハッ(^^;)やっぱり初めての事やし、なかなか骨が折れますわ。」
ミーサ「フフッ、でも残りも後三件だし、頑張ってね♪」
そう言い残すと、ミーサは食堂から出ていった。そして翌日・・・
ピンポーン・・・
梨理香『宇宙海賊・・・』
○○「弁天丸。」
ガチャッ
茉莉香「いらっしゃい○○君♪」
○○「茉莉香、今は家庭訪問何だから、○○先生だろ。」
茉莉香「アハハ〜・・・そうでした。」
梨理香「いらっしゃい○○。へ〜・・・なかなか様になってるじゃない。」
○○「お邪魔します梨理香さん。今日は茉莉香の顧問としてやって来ました。」
梨理香「ハハハッ、そうだったね。なら、聞かせてもらおうか。取り合えず上がりな。」
梨理香さんに言われ、俺はそのままリビングへと向かった。
○○「それでは家庭訪問を始めさせてもらいます。」
梨理香「はいよ!で、茉莉香はどうなんだい?アタシは特に悪い噂は聞かないけどね。」
○○「ま〜実際問題特に言う必要全くないんですよね。強いて言うなら、知ってる通り茉莉香さんは弁天丸の船長に学生、それに部活にアルバイトと、多くの事をやっていますが、余り無理をしないようにお願いします。倒れてしまったら、今までの頑張りが無駄になりますからね。学業を疎かにならないように。」
梨理香「ふ〜ん・・・で、先生としての意見は分かった。しかし、アンタ個人としての意見はどうなんだい?」
○○「俺個人・・・ですか。」
梨理香「そうさ。アンタは茉莉香の事をどう思ってるんだい?」
○○「そうですね〜・・・茉莉香はしっかりやってると思いますよ。誰にも疲れた表情や、弱い姿を見せない姿勢。何時でも笑顔を絶やさないし、船長としての自覚もしっかりしてます。けど、せめて俺やチアキの前では弱い姿を見せてくれてもいいんじゃないかとたまに思いますね。それだけが心配かな?」
俺はそう言いながら茉莉香を見た。
茉莉香「あの・・・それは・・・その・・・。」
梨理香「○○の言いたい事は分かった。そうだね〜、茉莉香も○○やチアキ位は甘えても罰は当たんないでしょうに。」
茉莉香「そうだね・・・これからはチアキちゃんや、○○君を頼らせてもらうね♪」
○○「おう!!」
梨理香「そんじゃ家庭訪問は終わりだね。」
○○「ま〜後に残ってるチアキやグリューエルもすぐ終わるでしょ。」
梨理香「セレニティの所はわかるけど、クリハラ艦長の所は一筋縄じゃいかないぞ。」
○○「・・・善処します。」
こうして茉莉香の所の家庭訪問は無事終了した。そして翌日はチアキの所だ。しかし、場所はバルバルーサの艦だった。
○○「家庭訪問に、まさか他の海賊船に乗るとはね。しかし・・・」
先程から殺気じみた視線が気になる。そんな事を考えてると、突然船内にいた乗組員が襲いかかっていた。
乗組員「貴様がお嬢の相手が務まるか〜!!」
俺は咄嗟に夕凪を出し応戦する。相手は中々やるが、これくらいならすぐに終わる。そしてあっという間に乗組員は床にひれ伏す形となった。すると後ろから大きな笑い声が聞こえてきた。
???「ガハハハッ!!流石は弁天丸の乗組員と言ったところか。チアキが惚れるのも無料ないな。」
チアキ「このくそ親父!!余計な事言ってんじゃない!!」ゲシッ
チアキは大柄の男に蹴りを入れた。
○○「あの〜チアキ、これはどういう事だ?」
チアキ「ごめん○○、紹介するのも嫌だけど・・・これが私の父、ケンジョー・クリハラよ。」
ケンジョー「ガハハハッ!!すまなかったな若いの。どうしてもお前さんの実力を試したくての。部下に襲わせたが、案の定返り討ちにあったみたいだな。」
乗組員「すみません船長・・・」
ケンジョー「な〜に、あのチアキが惚れてる奴だ。一筋縄じゃいかないのはわかってたからな。」
チアキ「ハァ〜・・・」
チアキは頭を押さえながらため息をついた。何だかチアキの大変さが少し理解出来た気がする・・・
○○「あの〜、そろそろ家庭訪問を始めたいんですが・・・」
ケンジョー「あぁ、すまなかったな。それじゃ、コイツの部屋で聞こうか。」
チアキ「ちょっ!?親父!!なに勝手に決めてんのさ!!」
ケンジョー「心配するな!!と言うか、お前の部屋以外は汚くてな。流石に学校の先生をそこに連れてく訳にはいかんだろ?」
○○「チアキさんさえ良ければ、私は構いませんが?」
ケンジョー「と言うことだチアキ!!大好きな先生に部屋を見てもらえ!!」
チアキ「・・・///」プルプル
これはまずいな・・・チアキがあそこまで震えてる時は、そろそろ怒り爆発の予感・・・
チアキ「こんのクソ親父〜!!」ドガッ
ケンジョー「痛〜!!」
チアキに思いきり殴られたケンジョーは、そのまま気絶した。
チアキ「行くわよ○○!!」
○○「今は先生なんだから、先生をつけてくれ先生を!!」
俺は、チアキに続いて部屋に入ってった。
○○「お邪魔します。へ〜これがチアキの部屋か。」
チアキ「あんまジロジロ見ないでよ///」
○○「悪い悪い。さてと、早速家庭訪問を始めたいんだが・・・」
チアキ「親父がいないものね。」
○○「ん〜、チアキが原因だけどね。どうしようか・・・ん?これは何だ??」
俺は横にあった本棚から、アルバムらしき物を見つけた。
チアキ「ダメ〜!!」
○○「うぉっ!?」
あまりの勢いに俺達は、そのまま倒れてしまった。その拍子に、アルバムの中から1枚の写真が出てきた。写っていたのは、俺とチアキだった。
○○「チアキ、これって・・・」
チアキ「///」プシューッ
首から耳まで真っ赤になってしまったチアキ。どうやら俺は、触れてはいけない物に触れてしまったようだ・・・そこへタイミングを見計らってか、ケンジョーさんが入ってきた。ようやく家庭訪問を開始し、無事にチアキの家庭訪問は終了した。バルバルーサを去ろうとした時に、船長のケンジョーさんに呼び止められた。
ケンジョー「すまね〜が先生、少し時間もらえるかい?」
○○「・・・別に構いませんが?」
ケンジョー「すまね〜。オイ、チアキ!!お前は先に行って戻る準備をしておけ。なに、すぐに終わるさ!!」
チアキ「・・・わかったわ。」
そう言ってチアキは格納庫に向かった。
ケンジョー「やれやれ、アイツがあそこまで駄々をこねるとわな。」
○○「それで、お話と言うのは?」
ケンジョー「あぁ・・・単刀直入に聞くが、お前さん人を殺した事あるだろ。」
先程とはうって変わって真面目顔になるケンジョー。その言葉に、俺は驚きを隠せなかった。
○○「・・・何故そう思うんです?」
俺は、冷静に質問に答える。
ケンジョー「ここに来たときに、俺の部下を倒しただろ?アイツは俺の次にこの艦の中で強い奴だ。ソイツがあんなに簡単にはやられるのは始めてみた。それに、お前さんのあの動きは普通の人間には無理だ。」
○○「・・・・・・」
ケンジョー「別にお前さんが人殺しだろうが、そんなのは関係ね〜。ただ、チアキを泣かすような事があれば・・・」
ケンジョーから物凄い殺気が溢れている。こんな殺気は久々に感じたよ。
○○「大丈夫です。お宅のお嬢さん・・・チアキには手を出す筈ありません。それだけは誓えます。」
ケンジョー「・・・・・・」
○○「・・・・・・」
お互いに黙る。暫く沈黙が続いたが、ケンジョーが先に口を開いた。
ケンジョー「ガハハハッ!!なら安心だ!!お前さんの過去についてはとやかく言うつもりはね〜。大事なのは今だからな!!」
○○「ありがとうございます・・・」
ケンジョー「な〜に、良いって事よ。お前さんに何かあったら、俺達は手を貸すからな。それが、俺からの約束だ!!」
○○「宜しくお願いします。」
お互い硬い握手を交わすと、俺はチアキの待つ格納庫に向かった。
チアキ「遅かったわね。」
○○「悪かったな。だが、少し真面目な話をしててな。」
チアキ「真面目な話?」
○○「ま、内容は近々話すよ。それより、今日はこのまま弁天丸で休むわ。丁度明日は学校は休みだし、そのままセレニティに向かえるし。」
チアキ「・・・了解。」
チアキは思った。○○の様子が何処か変なのを。しかし、本人が近々話すと言った以上、あまり追及しなかった。
○○「ん〜!!いよいよ明日で家庭訪問終了だな。明日は午後から来てくれってグリューエルに言われたし。・・・チアキ、お前今日何か食いたいのあるか?」
チアキ「・・・・・・」
○○「チアキ?」
チアキ「えっ!?あぁごめん。何の話だった?」
○○「今日はお前の好きなものを作ってやろうって話だよ。」
チアキ「ホントに!!そうね〜・・・親子丼♪」
○○「了解♪それじゃあ、飛びっきり上手い親子丼作ってやるよ。」
チアキは○○の悩みに疑問を感じているが、これ以上考えても意味がないと思い、この思いを自分の中だけに思い留めた。
チアキ「・・・そう言えば、家庭訪問が終われば次は修学旅行ね。」
○○「と言っても、一ヶ月以上先の話だろ?その前にテストがあるの忘れるなよ。」
チアキ「当たり前じゃない。」
そんな会話をしながら、弁天丸に向かったのだ。後日、その事を聞き付けて、茉莉香達が○○を問い詰めたのは言うまでもなかった・・・
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普通の学校では珍しい家庭訪問のしかた。 | ||
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